Kの墓とは、
当記事では順に説明する。
小説でのKの墓
小説『こころ』でKの死後に作られた墓のこと。先生("下"では「私」)が石屋に行って選んだものが使われている。作中では先生とKがよく散歩しており、Kが気に入っていた場所だった東京の雑司ヶ谷霊園にあるとされる[1]。
小説では"上"で既に登場人物によって言及されているが、直接登場することはなく、「K」についても詳しく語られない。先生は「友達の墓」とだけ述べており、"下"の手紙で告げるまでは「私」には詳しい話をしなかった。基本的に墓へは先生一人で行っており、奥さんを含めて他の人が一緒に行くことはない。
先生の生活に近づきつつありながら、近づく事のできない私は、先生の頭の中にある生命の断片として、その墓を私の頭の中にも受け入れた。けれども私にとってその墓は全く死んだものであった。二人の間にある生命の扉を開ける鍵にはならなかった。むしろ二人の間に立って、自由の往来を妨げる魔物のようであった。
"下"の終盤で、先生と奥さん(下の前半では「お嬢さん」)が結婚後に2人でKの墓を訪れている。しかし、そのとき先生は「私が悪かった」と心の中で繰り返すだけだった。Kの死とお嬢さんとの結婚への感情(運命の冷罵)もあり、以降は先生一人で墓に懺悔のために向かっている。
墓そのものについては先生は「大したものではない」としているが、奥さんは墓を見て「立派だ」と言っている。Kの墓の詳しい外見は、作中に記述が無く不明である。
その時妻はKの墓を撫でてみて立派だと評していました。その墓は大したものではないのですけれども、私が自分で石屋へ行って見立てたりした因縁があるので、妻はとくにそういいたかったのでしょう。私はその新しい墓と、新しい私の妻と、それから地面の下に埋められたKの新しい白骨とを思い比べて、運命の冷罵を感ぜずにはいられなかったのです。私はそれ以後決して妻といっしょにKの墓参りをしない事にしました。
漫画でのKの墓
上記の『こころ』を漫画にした『こころ ―まんがで読破―』に登場。漫画の前半部で、Kの墓の様子とそれにうなだれて両手で触れる「先生」の様子を絵で描いている。
K |
ただし、その外見は墓石に「K」と大きく書かれたものになっている。「K」自体は仮の名である[2]が、これでは実際に墓に「K」と刻印されているように捉えられてしまう。
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「○○家之墓」や戒名等が書かれることが多い和墓に、アルファベットのKだけが書かれている点も大変シュールである。せめて文字の部分を光や暗闇でぼかす、裏側から描くなどでなんとか工夫できなかったのかという声も多い。
ちなみに、Kの位牌もあり、Kの自殺というシリアスなシーンの直後に突然登場する。
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なお、『こころ ―まんがで読破―』自体については、Amazonのレビューでは「これを読んだことで『こころ』を読破したとまでは言えない(原作も読んでほしい)が、とっかかりとしては理解しやすい」等の肯定寄りの評価が比較的多い。ただし、Kの墓についてはやはり「おかしい」と突っ込まれている。
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関連項目
脚注
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