あなたは選ばれし者ではない。偉大で力強くもない。他者より多くの「ヒットポイント」をもっているわけではない。世界の中心にいるわけではない、ごく平凡な存在なのだ。何の努力もしなければの話だが。
人食い人種に捕らえられ生きたまま食われろ。奴隷商人たちに売り飛ばされて鉱山で強制労働に従事するのだ。これはゲームイベントなどではなくありふれた日常だ。この混沌とした世界は、あなたの人生を狂わせる。ありとあらゆることが起こりうる。しかし、強さをもっていればなんにでも打ち勝つことができる。
レベル調整は存在しない。あなたのレベルにぴったりのアイテムだけを並べる店などない。世界はあなたのレベルに合わせてレベルアップなどしない。ゲーム開始時において、あなたは最弱の存在だ。生存するためにもがき苦しむことになるだろう。倒れたあなたに差し伸べられる救いの手は存在しない。
Kenshiとは、十年以上の開発期間を費やした、オープンワールド型オフラインRPGである。
概要
ゲーム情報 | |
---|---|
ジャンル | アクション RPG シミュレーション ストラテジー |
開発元 | Lo-Fi Games |
販売元 | Lo-Fi Games |
機種 | Win (Steam) |
発売日 配信日 |
2013年3月21日 (アーリー) 2018年12月6日 (正式) |
価格 | ¥3,500 ¥498 (OST) |
その他 | -- |
ゲームソフトテンプレート |
Kenshiは、Chris Hunt氏(別名義「Captain Deathbeard」)により、2007年ごろから開発されているゲームである。 [1]
シームレスの広大なワールドマップで展開されるフリースタイルの1人用RPGで、ワールドは「Daggerfall」以降最大となる870平方km超とされている。 [2] [3]
2011年にGamersGateでアルファ版が公開され、2013年からはSteamで早期アクセスゲームとして公開。2018年12月6日に正式リリースされた。 [4][5]
ゲーム本編(\3500)とオリジナルサウンドトラック(\498)が発売されている。セットはなし。
コンセプトは「自分(Hunt)が好きな要素全部乗せ」。もともとは自分が楽しむために作ったゲームであり、特定の市場向けではなかったことを明かしている。 [6]
作る際に参考にしたのは「Fallout」「Fallout2」「XCOM」シリーズであるとのこと。「人間には血が流れているし内臓もある」という命ある表現や、プレイヤーがキャラクターへの思い入れや愛着を持てるようになる過程を重視しており、腹を斬られると腸が出てくるなど、本来はもっとゴア表現を入れたかったらしいが、技術的な問題やゴア表現を入れるほど販売するのが難しくなるという理由から見送っている。 [7]
動作環境
動作環境は確認された時点のものです。公式ページなどで更新されている場合があります。
最低環境 | 動作環境 | |
---|---|---|
OS | Windows (64bit) | Windows 7 (64bit) |
プロセッサー | 2コア (64bit) | 4コア (64bit) |
メモリー | 6GB RAM | 16GB RAM |
ストレージ | 空き容量 14GB | 空き容量 14GB |
グラフィック | Pixel Shader 5.0対応のグラフィックボード | |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 11 |
その他 |
日本での知名度
元々、日本での知名度はかなり低かった。ほとんどの部分をHunt氏一人で開発していた為、長い期間「早期アクセスゲーム」の状態でゲーム自体が未完成だった事と、日本語対応していなかった事が原因と思われる。しかし、開発も進み、有志の方による日本語化MODも作成され、遊びやすい環境が整いつつあった。
そんな中、2017年11月26日、東北きりたんを使ったVOICEROID実況プレイ動画の「きりたんが荒野を征く」がニコニコ動画へ投稿された。この動画シリーズがヒットしたことで、知名度が一気に上昇し、Kenshiを購入する日本人が急増した。 しかしクリスいわく、日本で自分のゲームが流行している事にはしばらく気づいておらず、売上推移を見たときに初めて気づいたそうである。 [8]
そして、日本での購入者が増えたことで、公式Twitterからのアナウンスにより、2018年1月にまさかの日本語対応が決定。4月の更新で日本語対応がなされた。[9] [10]
Kenshiに登場するキャラクターをMMDモデル化したMMDKenshiなど、日本独自のコンテンツも誕生した。
2018年11月15日、ニコニコにおいて「Lo-Fi Games ニコニコ支部」とでもいうべき公式アカウントが作成され、コミュニティに対する感謝メッセージや公式トレーラー動画を投稿した。なおその際に一部のニコニコのKenshi動画シリーズ作者に広報役として協力をお願いしていたようである。[11] [12]
そして日本時間の2018年12月6日 21:00、公式Twitterおよびニコニコ公式アカウントにおいて正式版アナウンスが発表。これにより、「Kenshi」の正式版が配信開始された。[13]
Kenshi 2
2019年3月20日、続編となる「Kenshi2」の開発がスタートしたことが発表された。ただ、続編ながらも舞台は時代をさかのぼって1000年前の「旧帝国」に設定されている。 [14]
Kenshiには「OGRE」というゲームエンジンが使われており、Kenshi2の発表時には前作と同じOGREが使われるとされたが、後の9月の発表において別のゲームエンジンである「Unreal Engine」(UE)を採用することを発表した。なお「UEを採用したということはEpic Gamesの傘下に入った/入ることになるのか」という質問に対しては、あくまでゲームエンジンを採用しただけで傘下に入ったわけではないとしている。 [15]
またUEへの移行に合わせて公式が「Kenshi2開発を遅らせてKenshiもUEに移行させるか」と「Kenshiのバグ修正を維持しKenshi2開発を優先させるか」でアンケートをとったところ80%以上が「Kenshi2開発の優先」を望んだため、公式はそれに従ってKenshi2開発に進むことになった。 [16]
Lo-Fi Games
クリス・ハント | ゲームデザイン、プログラム |
サム・ジン | プログラマー |
ナタリー・ハント [17] | シナリオ、ビジネス関係 |
オリー・ハットン | グラフィックス担当 |
英国・ブリストルを拠点とするインディゲームのスタジオ。「Kenshi」を開発したゲームメーカーである。
最初の6年間はクリス1人で作っていた。独立前はゲーム開発会社に勤めていたが、ビジネスモデル優先の社風に嫌気がさしたことで、退職して一人でゲームを作りはじめ、週に2日パートで夜勤の警備員の仕事をし、残り5日は「Kenshi」を作るという生活を続けていた。
1週間なにもしない期間を作ったり、別のゲームで遊ぶなど自由な時間を過ごしたりして、シンプルに楽しむ期間を作ってリフレッシュを心がけることでモチベーションを保っていたという。 [18]
のちに4人体制になっている(あとフリーランスで、音楽とSE担当が1人、メディア・アーティストが1人いるらしい)。インディーズ系のスタジオでは小規模なチームであるが、クリスによると小さなチーム体制のおかげでお互いリラックスした意見交換ができたらしい。
テストやデバッグに関しては、チームの規模の関係もあったため、プレイヤー達のコミュニティにテストをしてもらうことでフィードバックしてもらい、意見を取り入れてバランス調整を行うという手法をとっていた。
投資家などからの資金提供は、ゲーム内容やクリエイティビティ、ビジネスモデルにさまざまな要求がくることが想像できるため、断っているという。
私は自分のクリエイティビティを信じて独立し,夜勤のアルバイト等をしながら10年間ゲーム作りを続けてきました。同じクリエイターの皆様には,「何を作りたいのか」ということにこだわりつづけてほしいということです。
インディゲームなのですから,市場動向やはやりを考えずに,自分のクリエイティビティを信じてほしいと思っています。そうすれば,後からお金がついてくるはずです。
ゲーム内容
ゲームの雰囲気はFallout2とMount&Bladeを混ぜた感じ。ゲームシステムはFallout2とElonaを合わせたようなRTS・RPG。
地球とは別の惑星にて、ポストアポカリプス(文明崩壊後)の世界を自由に旅するのが基本。ここで基本と書いたのは、このゲームには明確な目標が無く、自由度が非常に高いがゆえである。
本作の特徴として、明確な主人公(プレイヤーの分身)は存在しない。PCはゲーム中に死んだりスカウトしたりで入れ替わっていき、気付けば初期のPCが全員居なくなっていることもあり得る。PCが全員死亡すると何も出来なくなるため実質的なゲームオーバーだが、この状態でもゲームを終了せず世界を眺めつづけていくことすら可能である。
一名~十数名のパーティーを1つ~4つ作り、キャラクター毎に、あるいは複数人まとめて指示を与え、操作する。基本操作はマウスで行えるが、キーボードも合わせて操作すると、キャラクターに指示を出しやすい。戦闘はAIが自動で行う為、アクションゲームのような素早い操作をしなくても楽しめる。
プレイ内容の一例を挙げると、
- 銅・鉄などの鉱石を採掘し売却する、採石坑プレイ(初心者向け)
- 拠点を建築して仲間とともに働き、食料・アイテム・武具等を生産する、開拓者プレイ
- 街を渡り歩いて商品を仕入れ売却する、交易商人プレイ
- 街の商店から商品を盗み、別の場所で売り捌く、盗賊プレイ
- 犯罪者を捕まえて、賞金を獲得する、賞金稼ぎプレイ
- 広大なマップ上に存在する様々なモンスターを狩る、ハンタープレイ
- 古代文明の遺跡を探索し、強力な敵を倒し、アイテムや武具、古代の科学書を入手する、冒険者プレイ
等があり、やろうと思えば自分から奴隷になることすら出来る。
より先進的な建築や製造・農耕を行うには、技術研究が必要となる。高度な技術研究に必要な、古代の科学書などのアイテムは、危険を冒し古代文明の遺跡を探索することなどで入手出来る。
また、キャラクターには空腹度や熟練度などのパラメータ値が設定されている。空腹状態が続くとキャラがやせ細り、筋力が上がると体がたくましくなるなど、細かいところまで手を加えているのも特徴。
ゲームエディターが標準装備されているため、MODを作るのがかなり容易であり、後述する動画の影響を受けたMODなども多数存在する。
関連動画
公式動画
実況プレイ動画
Kenshiの主なゲーム実況プレイ動画。
その他の関連動画
実況プレイ動画以外の、主なネタ系動画。KenshiのMMD動画詳細は『MMDKenshi』の記事を参照。
関連静画
関連MOD紹介コンテンツ
Kenshiの主なMOD紹介。他のMODは『Kenshi Steamワークショップ』を参照。
関連リンク
Steam関連リンク
公式関連リンク |
Wiki関連リンク関連ブログ |
関連項目
動画シリーズその他 |
脚注
- *Hunt氏本人もはっきり覚えていないらしい。こちらの掲示板では「I don't really remember the date or year I started. Its around 6 or 7 years I think.」(意訳:「ぶっちゃけ開発し始めた日付を憶えてないんだ。たぶん6年前か7年前」)と2013年に答えており、こちらの掲示板では「 I started the project solo, somewhere between 6-8 years ago.」(意訳:「6年前から8年前の間のどこかで、一人でプロジェクトをスタートさせたんだ」)と2015年に記している。
- *海外のRPGゲーム「The Elder Scrolls」シリーズの一作で、世界で最も広いと言われたゲームマップの一つでもある。総面積は約63,000平方マイル(約160,000平方km)と言われる(イギリスの2/3くらい)。
- *このゲームについて(Steamページ)より
- *開発者ブログにて「It will be our final big update before we fully release Kenshi this year.」(意訳:「これは、今年Kenshiを正式リリースする前の、最後の大きなアップデートになるだろう」)と2018年1月10日にアナウンスされている。
- *公式Blog #27: Version 1.0 Release Date!
- *『Kenshi』12月6日正式版リリースに向けたメッセージ (sm34271018)
- *[TGS 2018]ついに正式リリースが目前に迫った「Kenshi」。そのデザイナーへ足掛け10年以上に渡る開発の日々を聞いた (4Gamer 2018/09/26 15:51)
- *TGS2018 - 4Gamerのインタビューより)
- *Kenshi @ Develop Brighton @KenshiOfficial 22:57 - 2018年1月19日 (Twitter)
- *公式プレスでは、日本語の追加と正式対応は5月2日にリリースされたVer0.98.23からとなっている。 → 0.98.23 Out Now (5月2日 - KOOMATZU)
- *Kenshi @KenshiOfficial / 14:10 - 2018年11月16日
- *【Kenshi】早口姉妹のKenshiなんちゃって初見プレイSC part35【VOICEROID】
- *Kenshi @KenshiOfficial21:01 - 2018年12月6日
- *オープンワールドRPG『Kenshi 2』の開発がスタート。続編開発で培った技術は、初代に無料で反映される予定 (Automaton 2019-03-21 08:09)
- *荒野のサンドボックスRPG新作『Kenshi2』ではUnreal Engineを採用、『Kenshi』の移植も検討 (GameSpark 2019.9.27 Fri 17:00)
- *ファン投票の結果によりLo-Fi Gamesは『Kenshi 2』の開発を優先―Epic専売は興味なし (GameSpark 2019.10.31 Thu 2:20)
- *クリスの妹。クリスによると「途中からこのプロジェクトに半ば強制的に連れてきました(笑)」とのこと。
- *1人で10年作り続けたRPGが日本で突然ヒット!「Kenshi」クリエイターインタビュー (GamesIndustry.biz 2018/10/02 23:44)
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