M36とは、以下の意味を持つ。
- M36・・・・・・地球から約4100光年の位置にある星団。
- S&W M36・・・・・・スミス&ウェッソン社のベストセラー小型拳銃。隠し持てるサイズの5連発リボルバー。
- M36ジャクソン・・・・・・第二次世界大戦においてアメリカ軍が運用した対戦車自走砲。
ここでは、3について詳しく解説する。
概要
M36ジャクソンはアメリカ軍が第二次世界大戦において開発・運用した対戦車自走砲である。正式な分類はGMC(Gun Motor Carriage)であり、日本語では「機動砲架」や「戦車駆逐車」と訳される。つまりアメリカ軍的にはこいつは戦車ではないので、「駆逐戦車」というのは不正確だと言えるかもしれない。 愛称はジャクソン。南北戦争においてストーンウォール・ジャクソンと呼ばれた南軍の将軍、トーマス・ジョナサン・ジャクソンから。
1942年、従来アメリカ軍が配備してきた3インチ砲搭載のM10や76mm砲搭載のM18といった対戦車自走砲では、ドイツ軍が誇る重戦車を正面から相手にするには火力不足であることが判明した。そこでアメリカ軍は「強力な対戦車能力を持つ砲」として以前から開発を進めていた90mm戦車砲を完成させると、新たな対戦車自走砲の開発計画をスタートさせた。M10とM10A1をベースとして試験を行い、最終的に90mm砲用の新型動力式砲塔をM10A1の車体に載せた車両をM36として採用した。
従来兵器の車体をそのまま流用したため、M36は新造されるだけでなくM10A1を改造して作られることも多かった。また、数不足を補うためにM4シャーマンの車体を流用したM36B1や、M10の車体を利用したM36B2といったバリエーションも存在する。
搭載する90mm砲はドイツ軍の重戦車を遠距離から撃破でき、貴重な対戦車火力として重宝されたが、装甲の薄さから撃破されることも多かった[1]また、オープントップ式[2]であったため空中炸裂砲弾や手榴弾の投げ入れに弱く、現地改造で装甲の機能を持つ天井板が取りつけられたりしている。
1944年にM36は一度生産終了するが、バルジの戦いで再び需要が増加。生産が再開されるも大戦には間に合わず、戦後に西側諸国に提供され、朝鮮戦争にも日本経由で投入されている。その後は主力戦車の登場により、それまでの戦車や対戦車自走砲が不要となったため、戦車駆逐車というカテゴリーごと退役した。
余談であるが、戦後日本初の国産戦車である61式戦車開発の際に、自衛隊は90mm砲の参考としてM36を1両アメリカから入手している。
性能
最高速度 | 48km/h |
行動距離 | 320km |
主砲 | 90mm戦車砲M3 (50口径、47発搭載) |
副武装 | ブローニングM2重機関銃 (1000発搭載) |
装甲 | 108mm~10mm |
エンジン | 水冷V型8気筒ガソリンエンジン(500馬力) |
乗員 | 5名(車長、砲操作要員(3名)、運転手) |
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関連項目
脚注
- *アメリカ軍のドクトリン的には、対戦車自走砲(戦車駆逐車)は敵戦車の登場に対応して素早く戦場に向かい、敵戦車を待ち伏せして撃破する兵器だったので、設計においては装甲よりも火力と機動性が優先されていた。しかし、実際は戦車と同様に最前線で運用をされる事が多かった
- *待ち伏せポイントにおいて砲塔要員が頭を出して偵察することで、敵より早く相手を見つけるための設計だった。
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