M61 バルカン(Vulcan)とは、ゼネラル・エレクトリック製の20mmガトリング砲である。
ただし、「バルカン」(バルカン砲)はスイスのエリコン社の商標登録。
概要
米空軍の要請により、1946年から始まった「プロジェクト・バルカン」においてゼネラル・エレクトリックが開発した。それぞれがボルトを持った6本の銃身を外部動力で回転させて発射するため、非常に高い発射速度を得ることができ、銃身の寿命も長くなる。従来式の機関砲では給弾や排出は発射によるエネルギーで行なうため、発射できない弾があるとそこで射撃が止まってしまうが、M61では外部動力で給弾、排出を行なっているので、発射できない弾は単に排出されて射撃が続行される。[1]
主に航空機が搭載する機関砲やガンポッド、CIWS(近接防御火器システム)の一つである「ファランクス」等に使用されている。「M61」、「M61A1」、「M61A2」の3モデルが存在し、これらは「M61シリーズ」と総称される。
ほかに、銃身を3本に減らしてヘリコプター搭載用に軽量化したM197もあり、これはAH-1などに採用されている。[2]
初期モデルは電動だったが、立ち上がりが悪く全力射撃が可能になるまで時間がかかるということで、後のモデルは油圧モーター駆動である。
M61A1の場合、毎分発射率(spm)は最大6000発で±10%のバラツキがある。この発射率への加速時間は0.4秒で、減速時間は0.45秒、後者の時間内に5~11発が発射され、3950spm以下まで減速すると電気雷管に点火する電源がカットされて、完全停止までにさらに4~9発が(発射されずに)排出される。[3]
バルカン砲の誤用
日本では「バルカン砲」の誤用が多い。特にロボットアニメやSTG等のサブカルチャーにおいて多く見られ、「機動戦士ガンダム」シリーズでは、ガトリング砲のみならずリヴォルヴァーカノンやチェーンガンと同じような機構を持つ機関砲でさえバルカン砲と呼称し、それはビームを発射するものまで及んでいる(ビームバルカン、GNバルカン等)。
上記のような影響からか、現在では全てのガトリング砲=バルカン砲というような考えが一般化してきている傾向もあるが、基本的にこれも誤用である。
しかし、「ホッチキス」や「キャタピラー」等のように商標名が一般名詞化されることも少なくない。
日本の公用機関での採用
- 高性能20mm機関砲(海上自衛隊)
- JM61A1/JM61-RFS20mm多銃身機銃(海上自衛隊掃海艇・海上保安庁巡視船)
- JM61A1型20mmバルカン砲(航空自衛隊・F-15J/F-2/F-4EJ改)
- VADS対空機関砲(航空自衛隊基地防空用)
- 20mmM197ガトリング砲(銃身3本への軽量化型、陸上自衛隊対戦車ヘリ搭載)
上記の製造及び整備は住友重機械工業が担当している。同社は機関銃強度偽装で指名停止措置を受けたが…
関連項目
脚注
- *「メカニックブックス6 攻撃ヘリコプターのすべて」 江畑謙介 1985 原書房 p.83
- *「メカニックブックス6 攻撃ヘリコプターのすべて」 p.85
- *「F-16の搭載兵器」長久保秀樹 F-16ファイティングファルコン 航空ファンイラストレイテッド93-6 文林堂 1993
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