MiG-23とは旧ソ連空軍の開発した可変翼戦闘機である。ここではMiG-23に加えて戦闘爆撃機型であるMiG-27についても記述する。
概要
1960年代、旧ソ連空軍では前線戦闘機としてはMiG-21フィッシュベッドを使用していた。MiG-21は、小型で機動性や速度性能が高く、簡素なものながらレーダーを装備し赤外線誘導ミサイルの運用能力も与えられていたため使い勝手の良い機体ではあった。しかし同時期に仮想敵であるアメリカ海軍や空軍ではF-4ファントムⅡを主力機として使用していた。F-4は大型の機体とそれに見合う大型レーダーを装備、AIM-7スパロー中距離空対空ミサイルの運用が可能であった。スパローは命中率や信頼性に問題があったものの赤外線誘導式のミサイルと比べてはるかに長大な射程を持っており、F-4とスパローの組み合わせ相手ではMiG-21では少々分が悪いことが問題になっていた。それに対抗して開発されたのが当機である。
離着陸性能の向上と高速性能の両立を狙って可変後退翼を採用している。離着陸時には大きな揚力を得られるようほぼ直線に翼が広げられる。逆に高速飛行時には抵抗が小さくなるように翼を目いっぱい後ろに下げている。翼の制御は手動式である。ただし可変翼は複雑な構造故、重量が重くなり、運動性に関してはMiG-21を下回るといったデメリットもある。
レーダーはモノパルス式のドップラー・レーダーを備える。ベトナム戦争で撃墜されたF-4を回収して分析されたようで、ルックダウン能力に優れAA-7エイペクス空対空ミサイルの誘導が可能。このためF-4とBVRで互角以上に渡り合うことが可能となった。エンジンも強力で、近距離戦闘でも高い加速力を生かした戦いに持ち込めば十分に強みを発揮できる。
性能は高かった当機であったが、冷戦終結後それにともなう軍縮の動きによって予算が削減、維持費がかかることからそれを嫌った一部の装備国は退役を推し進めている。
MiG-27
MIG-23は強力なエンジンとそれによって支えられた航続距離や搭載量が武器であった。それに着目したミグ設計局は派生形として戦闘爆撃機タイプであるMiG-27を開発した。MiG-23との違いは以下の通り。
- レーダーをはずして代わりに爆撃コンピューターとレーザー測距装置を搭載
- マッハ2以上での高速性能は重視されないため、エアインテイクを可変ベーン式から固定式に変更
- 対地掃討を重視し23ミリ機関砲から火力の大きな30ミリ機関砲に変更
- 不整地での運用を考慮して足まわりを強化
- エンジンの換装
おもにソ連空軍で運用されたがインドやスリランカなどにも輸出されている。
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