曖昧さ回避
N-I とは、
- 1950年代から70年代にかけ開発されていたソ連の有人月探査用ロケットの名称。 → N1ロケット
- 1970年代から80年代にかけ開発・運用されていた日本の人工衛星打ち上げ用ロケットの名称。 → N-I ロケット
ここでは2.について説明する。
概要
N-I ロケットとは宇宙開発事業団(NASDA)と三菱重工が、
米国デルタロケットの技術等を参考に開発していた3段式の中型液体燃料ロケットである。
開発経緯
東京大学生産技術研究所を礎とする固体燃料ロケットの分野ではそれなりの技術を有していた日本であったが、
実用的な大型衛星などを打ち上げ可能とする液体燃料ロケットの開発には遅れをとっていた。
これらの開発担当となったNASDAは米国からの技術供与を得てデルタロケットの技術を段階的に習得、
日本独自で進めていたQロケットの成果と絡め液体燃料ロケットの開発を進める事となる。
機体構成
3段式の液体燃料+固体燃料ロケットで、第2段を除けば米国デルタM ロケットの略同型といえる。
全長32.57メートル、総重量90.4トン。(積荷の人工衛星を除く)
第1段機体
デルタロケットに使用されていた液体酸素とケロシンを燃料とするMB-3-3エンジンを使用、
機体と共に当初は輸入していたが後に三菱重工や石川島播磨重工によってライセンス生産されるようになる。
第2段機体
宇宙開発事業団がQロケット第3段エンジンとして開発し、三菱重工が製造していたLE-3エンジンを使用。
なお搭載にあたっては、米国側のチェックが入る事になった。
第3段機体
サイオコール社の固体ロケットモータ スター37Nを輸入して使用。
補助ブースター(SOB)
サイオコール社の固体ロケットモータ キャスターII を、
日産自動車宇宙航空事業部(現IHIエアロスペース)がライセンス生産。
ロケット打ち上げ時には、第1段に3基装着し推力を増強していた。
ペイロードフェアリング(衛星フェアリング)
マクドネル・ダグラス製のデルタロケット用フェアリングを輸入して使用。
打ち上げ能力
打ち上げ実績
7回中6回の打ち上げに成功。(但し6号機は衛星側の問題でミッション達成ならず)
詳細
機体番号 打ち上げ日時etc | 搭載衛星 |
ETV-1 1号機 1974/09/02 ETV-1 2号機 1975/02/05 |
|
1号機(N1F) 1975/09/09 14:30 ※初飛行 |
|
2号機(N2F) 1976/02/29 12:30 | |
3号機(N3F) 1977/02/23 17:50 | |
4号機(N4F) 1978/02/16 13:00 | |
5号機(N5F) 1979/02/06 17:46 ※打ち上げ失敗 |
|
6号機(N6F) 1980/02/22 17:35 | |
7号機(N9F) 1982/09/03 14:00 ※N-II ロケット1,2号機が ※先行して打ち上げられる |
成果とその後
輸入品が大半を占め誘導装置など一部がブラックボックス化していた等の問題はあったものの、
液体燃料ロケットの独自開発に向けた下地となる。
ただ打ち上げ能力が低く大型の衛星を搭載できないため、N-II ロケットの開発に移行する事となる。
関連動画
ソ連のN1ロケット
関連コミュニティ 関連チャンネル
関連リンク
関連項目
- NASDA 宇宙開発事業団 / 三菱重工 / 石川島播磨重工 / 日産自動車
- ISAS 宇宙科学研究所
- JAXA 宇宙航空研究開発機構
- N-II / H-I / H-II ロケット
- 種子島宇宙センター
- 打ち上げロケット・宇宙機の一覧
- 宇宙へ打ち上げリンク
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