![]() |
もしかして → NATTO(納豆) |
NATOとは、アメリカを中心とした国際的な軍事同盟である。
ロシアなどで俗にいわれる「西側(諸国)」とは、大体この軍事同盟のことを指す。
正式名称は「North Atlantic Treaty Organization」(北大西洋条約機構)で、「OTAN(オタン)」はフランス語・スペイン語・ポルトガル語での表記。
概要
「集団防衛」「危機管理」「協調的安全保障」を中核的任務とした、北アメリカおよびヨーロッパの国家によって構成されている軍事同盟の一種で、一般社会においては国際機関の一つとしても知られている。1949年に締結された「北大西洋条約(North Atlantic Treaty)」に基づいて設立された機関であり、本部はベルギーのブリュッセルにある。
第二次世界大戦のあと、枢軸国(日本・ドイツ・イタリア)との戦いから共産圏(ロシアら東側諸国)との戦いにシフトしていたことから、アメリカという大国を自分たちの陣営に引き込みたい思惑を持つイギリス、フランスが主体となって同盟を構想したことから始まっている。
北大西洋条約の中心は第5条で、同盟の1カ国以上に対する武力攻撃は全体への攻撃とみなし、国連憲章第51条で認められた個別または集団自衛権の行使により、必要とおもわれる行動を個別または集団で行い被攻撃国を支援する規定になっている。米国内では欧州有事の際に米国が自国の意志に反し集団自衛に参加する義務が生じるのではないかと懸念されたが、「各々が必要と考える行動」を個別で行いうるという表現にすることで、議会批准を通した。[1]
また、NCS(NATO Condification System)ピカティニー・レールやSTANAGマガジン、5.56mm、7.62mmなどの NATO弾薬規格などといった各国での軍隊装備品の規格を定めてもいるため、加盟した各国で共通した装備品を融通しあうことが可能になっている。
加盟国
※並びは「50音順」
1949年に北大西洋条約を締結した時には、アメリカ、カナダなど12ヶ国が締結して結成された。ソ連崩壊後は、ソ連の影響下にあった国からのNATO加盟が相次いだ。
2022年に発生したロシアによるウクライナ侵略をうけてフィンランドとスウェーデンが加盟を申請、フィンランドは2023年4月に加盟、スウェーデンはトルコとハンガリーが反対していたが2024年3月に加盟している。
他にウクライナ、ジョージア、ボスニア・ヘルツェゴビナが加盟を希望している。
組織
以下の組織図のうち、ブリュッセルのNATO本部にあるのはNATO国際事務局とNATO軍事幕僚部(IMS)である。
北大西洋理事会(NAC) | |
文民機構 |
軍事機構 |
- ■北大西洋理事会 (NAC:North Atlantic Council)
- NATO加盟国の代表によって構成される、NATOの意思決定機関。議長はNATO事務総長が兼務。
- ■NATO国際事務局(IS)
- 加盟国の職員によって構成された文民機構。トップはNATO事務総長。NATOの意思決定やその履行に関する行政的支援及び助言の提供を行う。
- ■軍事委員会 (Military Committee)
- 加盟国の軍人(参謀総長)によって構成された軍事機構。軍事幕僚部(IMS)や欧州連合軍最高司令部(SHAPE)、変革連合軍最高司令部(HQ SACT)などの軍事機関をまとめている。
NATOの行っている活動・機関など
NCS
NATO Condification System(NATOカタログ制度)はすべての防衛装備品に13桁の共通番号(NSN:NATOストックナンバー)をふり、コスト削減や緊急時の代替品、代替メーカー情報を提供する防衛装備品のサプライチェーン・データベース。日本は2011年にこの制度に加盟している。[2]
TIER
NATO非加盟の国で、NATO規格の装備を管理し合える国々を、その進捗度合いに応じて分けているランクのこと。「自国の装備品にコード(NSN)を振ってNCSに登録していること」「自軍の装備品データを加盟国家にアクセスできるようにしておくこと」など、様々な規定や要求水準があり、これをクリアすることで「Tier1」に加盟できる。
しかしTier1はまだ入門者レベルで、さらに様々な規定や要求水準をクリアしなければNCSの上位メンバー「Tier2」になれない(Tier2に入っている国では、オーストラリア、韓国、シンガポールなど)。
日本は2011年にNCSに加盟したもののまだ他国との装備品システムの共通化は実現しておらず、そのためNATOのWebサイトでは日本は「Tier1」にランク付けされていた。2020年10月より、日本が「Tier2」に引き上げられ、Tier2メンバーとしての業務が開始されることとなった。[3]
PACS
「Pacific Area Cataloguing Seminar (PACS)」の略で、アジア・太平洋の各国家の国防担当者が集まっておこなうセミナーのこと。NATOに非加盟の国でNATO規格の装備品を融通できるところは「Tier」「NATO Tier」と呼ばれているランクがつけられている。
日本との関わり
日本はNATOには加盟していない。だがNATOからは「世界におけるパートナー(Partners across the globe)」のパートナー国家として認定されているため、オブザーバー国家としての参加は認められているので"実質的な同盟関係"ではある。
個別での協力も行われており、日・NATO国別パートナーシップ協力計画(IPCP)に基づく軍事訓練への参加が認められたり、NATOの演習に自衛官がオブザーバーとして派遣されることもある。
また、自衛隊の装備・兵器などはアメリカの影響でNATO規格に沿ったものであり、2011年に加盟した装備品データベースNCSにおいては「Tier1」にランク付けされているため、NATO加盟国への援助や装備の融通、および同じNATO非加盟国家でNATO規格を導入している韓国やオーストラリアとも、規格に沿ったものを融通し合うことはシステム的に可能である。[4]
関連動画
活動
日本
関連コミュニティ
関連リンク
関連項目
脚注
- *「NATO 変貌する地域安全保証」谷口長世 岩波新書 2000 pp.2-3
- *2018年4月、防衛装備庁はAURA社のソフトウエア・システム(MCC)を導入
2018.11.22
- *防衛装備庁:NATOカタログ制度について
2018.11.22
- *システム的には可能だが、憲法の制約や法律の問題あと国民感情といった様々な理由でダメになる場合というのはある。2013年に自衛隊が韓国軍の要請で銃弾を提供したことが事件になっているが、あれは両国が同じNATO規格で共通した装備だったからこそ実現できたケースである。
- 8
- 0pt