NHKラジオ第1とは、NHKの放送系統の一つ。
NHK沖縄の本局以外の南西諸島や小笠原諸島などを除き、原則中波(AM)放送により送信されている。
この放送を聴くだけではNHK受信契約は不要(契約が必要な条件は放送法に基づきNHKの地上波テレビ放送または衛星テレビ放送が受信できる受信機器を所有すること)である。
概要
1920年米国で世界初の商業ラジオ局KDKAが開局すると日本でも開局の動きが出始めた。1923年(大正12年)9月1日発生の関東大震災により新聞社が機能不全に陥ったことでラジオ放送の必要性が唱えられ、同年12月21日に放送用私設無線電話規則(大正12年逓信省令第92号。担当大臣は犬養毅逓信大臣。無線による放送は政府が掌握し、民間事業者が行うルール)が定められた。これに対して例えば東京地区では28団体が出願した。逓信省はその中から6団体に選び、それらを中心として全団体を取り込んだ事業組織を設立。1925年(大正14年)3月22日9時30分に社団法人東京放送局(総裁・後藤新平、理事長・岩原謙三<芝浦製作所社長>)として日本初のラジオ放送として東京・芝浦にあった東京高等工芸学校よりコールサインJOAK、周波数800kc(現・800kHz)、出力220Wにて仮放送を行ったことにその起源を発する、日本一長い歴史を持つ放送局である。同年7月12日、愛宕山(現在、NHK放送博物館がある場所)に移転し出力1kwに増力、本放送を開始した。続いて社団法人大阪放送局、社団法人名古屋放送局が開局したが、名古屋放送局のサービスエリア内の都市規模が東京・大阪に比べ小さく、結果として名古屋の経営が行き詰まったことから、1926年(大正15年)8月に各組織を統合した社団法人日本放送協会が経営することとなり、戦後に放送法に基づく特殊法人になるなどの紆余曲折を経て現在に至る。
※中波ラジオ放送は朝鮮半島のほうが早く、朝鮮総督府が1924年11月に京城(現在のソウル)の逓信局で出力50wで放送した試験局が最初。のち逓信局指導の下、社団法人京城放送局(JODK)→社団法人朝鮮放送協会京城中央放送局(JODK)→→韓国放送公社(韓国KBS)本部(HLKA)。
戦前までは多くの地域で唯一のラジオ局として存在し、国内外のニュースや音楽、ラジオドラマなどを放送した。太平洋戦争の開戦と終戦の玉音放送を伝えたのもNHKラジオ第1であり、現在テレビで長寿番組として知られる「のど自慢」「紅白歌合戦」の発祥もラジオ第1である。
戦後、商業民間放送が解禁され競争にさらされるとともに、都市放送ことNHKラジオ第2が三大都市圏以外の地域にも展開したことやNHK-FM放送が開局したことによりNHKラジオ内での番組の棲み分けが図られ、2019年現在では各正時にNHKニュースを放送し、朝、午前、午後、夕方、夜、深夜に大きく分け生ワイド番組を中心にスポーツ中継といった一般的な娯楽番組を中心に手堅く編成しており、テレビで言うところの「総合テレビ」に該当、ラジオ第1も日曜討論やのど自慢、紅白歌合戦などの番組を総合テレビとサイマル放送している。またラジオ内ではNHKラジオ第2が教育・外国語(語学・外国語情報)、NHK-FMが音楽番組やラジオドラマ中心の編成とし、役割を分担している。
かつてはかなり堅い番組内容方針であり、また中高年向けの「お堅い番組」が多く、若者向けの番組制作を従来はかなり少ないものだったが、2012年以降方針を転換し若者向けの番組が徐々に増えつつある。
ステレオ放送
ステレオ放送サービスは1952年(昭和27年)12月より第2放送との組み合わせ(2ch)、1959年(昭和34年)には第2放送と教育テレビの音声との組み合わせ(3ch)で放送されていたが(初のレギュラー放送「立体音楽堂」、AMステレオ放送としては1953年11月13日から1965年4月5日まで)、民放のように1波単独での放送が開始されることがなかった(AMステレオ放送参照)。
災害報道
NHKが災害対策基本法で定められた公共機関であり、災害対策として90%以上は生放送で編成されている。また、緊急地震速報や津波警報が発令されたり、震度6以上の地震が発生した際など非常時には総合テレビと同一の内容に切り替える(いわゆる「全中」)。安心ラジオがテーマ。
1990年代に24時間放送化された(ラジオ深夜便)。それまでは0時から5時までは放送休止。臨時ニュースがある場合は機器の電源を入れてから放送したので速報性に欠けていた。
有線放送電話による同時配信
農村部や漁村部といった一次産業が主産業の小さな地域においては、日本電電公社(電電公社、現・NTT東日本、NTT西日本)の一般加入電話の普及も遅れていたこともあり、農業協同組合や漁業協同組合により地域電話「有線放送電話」が敷設された。放送機能を利用してNHKラジオ第1の再配信が行われることもある。だいたい流される番組は「NHKニュース」や「ひるのいこい」。祖父や祖母の家に帰省して電話機から突然流れるラジオ番組に驚く都市部の子供の姿があった。
インターネット配信
2011年9月1日から、「NHKネットラジオ らじる★らじる」として、基幹局(東京<NHK放送センター>・札幌<NHK札幌放送局>・仙台<NHK仙台放送局>・名古屋<NHK名古屋放送局>・大阪<NHK大阪放送局>・広島<NHK広島放送局>・松山<NHK松山放送局>・福岡<NHK福岡放送局>)の内容での番組のネット配信を開始。
2016年からはradikoでの配信も実施している。
放送開始・放送終了
24時間放送化前までは、放送開始時はチェレスタによる「開始音楽」に続いてコールサイン(呼出符号)と放送局名(たとえば放送センターの場合「JOAK、NHK東京第1放送です」)がアナウンスされる。
放送終了時は君が代に続いてコールサイン(呼出符号)と放送局名がアナウンスされ、チェレスタによる「終了音楽」が流される。
開始音楽、終了音楽とも曲名は「ラジオの開始・終了音楽」で、作曲は熊田為広、演奏は三石精一。たぶん1968年から流されていると思われる。
オルゴールじゃなかったー
主な番組
定時番組
早朝ワイド(5:00-8:30)
- マイあさ!
朝ワイド(8:30-12:00)
昼
昼ワイド(12:30-)
- まんまる
深夜放送(23:00-翌5:00)
その他
臨時番組
かつてあった主な番組
早朝ワイド(5時台-概ね8時台)
朝ワイド(概ね8時台-概ね11時台)
ラジオいきいき倶楽部が初めての朝ワイド番組。それ以前は9時台、10時台、11時台と別々の番組(というかコーナー的な感じ???)を放送していたようだ。おおよそ4年間隔でリニューアル。
- ラジオいきいき倶楽部 - 1999年4月~2003年3月 4年間
- 今日も元気でわくわくラジオ - 2003年4月~2008年3月 5年間
- ラジオビタミン - 2008年3月31日~2012年3月 4年間
- すっぴん! - 2012年4月~2020年3月 8年間
- らじるラボ - 2020年3月30日~2023年3月 3年間
昼(概ね12時台)
NHK-FMと同時放送。有線放送電話で再送信されることが多い。
昼ワイド(概ね12時台後半-概ね17時台)
夜
放送局・コールサイン・周波数・出力一覧
太字は拠点局。
他中継局が多数ある。
北海道ブロック
- NHK札幌放送局 JOIK 567kHz 100kW
- NHK函館放送局 JOVK 675kHz 5kW
- NHK旭川放送局 JOCG 621kHz 3kW
- NHK帯広放送局 JOOG 603kHz 5KW
- NHK釧路放送局 JOPG 585kHz 10kW
- NHK北見放送局 JOKP 1188kHz 10kW
- NHK室蘭放送局 JOIQ 945kHz 3kW
東北ブロック
- NHK仙台放送局 JOHK 891kHz 20kW
- NHK秋田放送局 JOUK 1503kHz 10kW
- NHK山形放送局 JOJG 540kHz 5kW
- NHK盛岡放送局 JOQG 531kHz 10kW
- NHK福島放送局 JOFP 1323kHz 1kW
- NHK青森放送局 JOTG 963kHz 5kW
関東甲信越ブロック
- NHK放送センター(東京) JOAK 594kHz 300kW
- NHK長野放送局 JONK 819kHz 5kW
- NHK新潟放送局 JOQK 837kHz 10kW
- NHK甲府放送局 JOKG 927kHz 5kW
東海北陸ブロック
- NHK名古屋放送局 JOCK 729kHz 50kW
- NHK金沢放送局 JOJK 1224kHz 10kW
- NHK静岡放送局 JOPK 882kHz 10kW
- NHK福井放送局 JOFG 576kHz 5kW
- NHK富山放送局 JOIG 648kHz 5kW
近畿ブロック
中国ブロック
- NHK広島放送局 JOFK 1071kHz 20kW
- NHK岡山放送局 JOKK 603kHz 5kW
- NHK松江放送局 JOTK 1296kHz 10kW
- NHK鳥取放送局 JOLG 1368kHz 1kW
- NHK山口放送局 JOUG 675kHz 5kW
四国ブロック
- NHK松山放送局 JOZK 963kHz 5kW
- NHK高知放送局 JORK 990kHz 10kW
- NHK徳島放送局 JOXK 945kHz 5kW
- NHK高松放送局 JOHP 1368kHz 5kW
九州沖縄ブロック
- NHK福岡放送局 JOLK 612kHz 100kW
- NHK北九州放送局 JOSK 540kHz 1kW
- NHK熊本放送局 JOGK 756kHz 10kW
- NHK長崎放送局 JOAG 684kHz 5kW
- NHK鹿児島放送局 JOHG 576kHz 10kW
- NHK宮崎放送局 JOMG 540kHz 5kW
- NHK大分放送局 JOIP 639kHz 5kW
- NHK佐賀放送局 JOSP 963kHz 1kW
- NHK沖縄放送局 JOAP 549kHz 10kW
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関連項目
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