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O157とは、非常に危険な大腸菌の一種である。
概要
そもそも大腸菌はヒト(人間)を含む哺乳類の大腸に生息する細菌で、本来は無害なのだが、中には病原性大腸菌といって人間に食中毒や感染症を引き起こす有害な大腸菌も存在する。
O157は病原性大腸菌の中でも特に危険な腸管出血性大腸菌と呼ばれるグループに属する。腸管出血性大腸菌は感染すると大腸に出血を伴う激しい炎症を起こしたり、毒素によって腎臓や脳に重大なダメージを与えることがある。
O157はベロ毒素(志賀毒素)という、とても強力な毒素(猛毒)を産生する。ちなみにベロ毒素は赤痢菌(細菌性赤痢の病原体)が出す毒素と似たようなものである。
他の食中毒菌と比較して胃酸に強いため、感染力が強いのが特徴である。そのため細菌性赤痢やコレラ、腸チフスのように人から人に伝染することもある。
ちなみに腸管出血性大腸菌はO157以外にもO111やO104、O26などの種類がある。
感染経路
特にレバーなどのホルモン(内臓肉)は高確率でO157やカンピロバクターなどに汚染されているので要注意。今はレバ刺しも禁止されているからね!
症状
細菌性食中毒の中ではカンピロバクターと並んで潜伏期間が長く、3日〜1週間程度経ってから発症することが多い。細菌性赤痢と似たような症状があらわれる。
主な症状は腹痛と水のような下痢だが、O157では血便を伴うことが多いのが特徴。カンピロバクターやサルモネラ菌など他の食中毒でも血便を伴うことがあるが、O157では重症の場合、「便全体が真っ赤な水状で、まるで血液だけが出てくるような感覚」(下血)になる。また、虫垂炎や腸重積症に匹敵する激しい腹痛を伴うこともある。
人によっては発熱を伴うこともあるが、39℃以上の高熱は稀。また食中毒の中では吐き気や嘔吐は少ないとされる。
多くの場合は1週間程度で治癒するが、感染者の6〜7%は溶血性尿毒症症候群(HUS)という重大な合併症を引き起こすことがある。HUSは急性腎不全(尿毒症)や溶血性貧血、脳症などを引き起こす怖い病気で、これに罹ると死亡することもある(HUSの致死率は3〜5%)
治療方法
病院に行って薬(乳酸菌製剤、抗生物質など)をもらうのが基本とされる。脱水症状を防ぐために水分補給はしっかり行う。
下血やHUSがあるなど重症の場合は入院が必要。また、感染症法では三類感染症になっているため、感染者はしばらくの間、サービス業や飲食業などの仕事ができなくなる(就業制限)。
予防方法
食材は十分に加熱調理すること。牛肉やレバーなどを生で食べるのは避けること。焼肉やステーキなどは牛肉の表面さえ焼いてあれば中身が生でもあまり問題ない(ただしレバーやセンマイなどのホルモン系は中までしっかり焼かないと危険)が、ひき肉(ハンバーグなど)やサイコロステーキは中までしっかり火を通さないとダメ。
また人から人に伝染することもあるので、ノロウイルスと同様にそちらにも注意しよう。
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関連項目
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