ONE PIECE FILM REDとは、漫画・テレビアニメ『ONE PIECE』の劇場版15作目である。115分。
概要
『ONE PIECE FILM Z』『ONE PIECE FILM GOLD』に続き、尾田栄一郎が総合プロデューサーを務める「ONE PIECE FILM」シリーズの4作目(忘れられがちだが、前作『ONE PIECE STAMPEDE』はこのシリーズではない)。
監督はテレビアニメ以前の『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』で監督を務めた谷口悟朗、脚本は黒岩勉。
尾田栄一郎いわく、強いジジイは一通りやったとのことで、メインキャラクターとして、シャンクスの娘「ウタ」という少女が据え置かれた。ウタの声は名塚佳織が務めるほか、歌唱担当としてうっせぇわ等でおなじみのAdoが起用されている。このような映画の性格から、歌唱パートが多めに取られている。
本編の劇伴と『新時代』を作曲した中田ヤスタカをメインに、秦基博、Mrs. GREEN APPLE、Vaundy、FAKE TYPE、折笠悠太、澤野弘之などといった名だたるアーティストが一同に介している。
これらの楽曲は作中のウタの心情や背景に寄り添いつつも各自の持ち味を出した楽曲になっており、本作の魅力を大きく裏付けるものとなっている。一方で、歌唱シーンそのものがメインで、脚本面での粗や、ライブ場面そのものが映画本編に対して必然性が微妙なところや、原作本編との矛盾点の多さもあり、「麦わらの一味というキャラクターを利用したAdoの長編プロモーションビデオ」という評価もあった。
なお、そろそろ四皇をテーマにしたいということで、シャンクスら赤髪海賊団が物語の軸になり、シャンクスのとある過去や、赤髪海賊団の幹部たちの戦闘シーンなどが初めて披露された(なお、郷里大輔没後のロックスターの後任が斎藤志郎であることも明らかになった)。
興行収入は最初の2日間で動員数157.9万人、興行収入22.5億円とオープニングとしては東映配給の作品で歴代1位を記録。
10日目の8月15日でシリーズ最高の興行収入だった『FILM Z』を超える70.6億円を達成。
20日目の8月25日で東映単独配給の作品として初の100億円を突破。
23日目の8月28日で東映の共同配給作品であった『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(102.2億円)を超える114.5億円を突破。
38日目の9月12日で観客動員数が1000万人を突破(138億円)。
69日目の10月23日には、興行収入173.5億円を達成。国内映画として歴代9位に到達した。
2023年1月29日に終映。最終興行成績は197億円となった。
同年10月20日、アンコール上映が行われた。10月20~22日の週末映画動員ランキング1位を記録。
10月30日に東映単独配給の作品として初の200億円を突破。
11月19日にアンコール上映終了、興行収入203.3億円を達成し、歴代6位の記録を残した。
映画の公開に合わせて、テレビアニメのワンピースでも二話に渡って、ウタとルフィの出会いを描く特別編が放送された。この特別編では、原作では描かれていなかったルフィとシャンクスの出会いも描かれた為、大きな話題を呼んだ。この特別編は尾田栄一郎の監修の元に作られており、本編で実際にこのような事があったとのこと。
フィルムシリーズ以降恒例となった映画の観劇特典として、設定資料などが描かれた40億巻が入場者特典として配布された。300万部と大きく刷った為、原作者である尾田栄一郎はゆっくり来ても手に入るから大丈夫という触れ込みを出したのだが、前述の関係者の想定を上回る大ヒットによって、早いところでは3日で、1週間もたつ頃にはほぼ全てなくなった。そのため初期は特典の供給が足りておらず増刷を望む声が多かった。このメガヒットは東映側からしても想定外のものであったことが伺える。
それらの声を受けて、おおよそ1月半後に特典第四弾として40億巻は200万部の増刷をされ新しい入場者特典として配布された。
入場者特典が増刷されるというのは異例である。
第二弾としてはワンピースカードゲームのデッキが50万パック配られた。こちらは総数が少なかった事もあり1日で物品がなくなった所も多かった。第三弾でウタにフォーカスが置かれた4/4巻が300万部配布された。これも一週間ほどでなくなった。
それ以降も、単行本104巻の付け替えカバーやポストカード、フィギュアなどが配布されている。
11月5日から尾田栄一郎と谷口悟朗監督が出演する副音声上映、出張版SBS(実質的なオーディオコメンタリー)が劇場で配信された。
ストーリー
素性を隠したまま発信するその歌声は“別次元”と評されていた。そんな彼女が初めて公の前に姿を現すライブが開催される。色めき立つ海賊たち、目を光らせる海軍、そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにきたルフィ率いる麦わらの一味、ありとあらゆるウタファンが会場を埋め尽くす中、今まさに全世界待望の歌声が響き渡ろうとしていた。
物語は、彼女が“シャンクスの娘”という衝撃の事実から動き出す。
「世界を歌で幸せにしたい」とただ願い、ステージに立つウタ。
ウタの過去を知る謎の人物・ゴードン、そして垣間見えるシャンクスの影。
登場人物
麦わらの一味
- モンキー・D・ルフィ(CV:田中真弓)
- ロロノア・ゾロ(CV:中井和哉)
- ナミ(CV:岡村明美)
- ウソップ(CV:山口勝平)
- サンジ(CV:平田広明)
- トニートニー・チョッパー(CV:大谷育江)
- ニコ・ロビン(CV:山口由里子)
- フランキー(CV: 矢尾一樹)
- ブルック(CV:チョー)
- ジンベエ(CV:宝亀克寿)
オリジナルキャラクター
- ウタ(CV:名塚佳織、歌唱:Ado)
- シャンクスの娘を名乗る少女。もともと赤髪海賊団にいたため、ルフィの幼馴染の一人でもある。
- しかし、ある日シャンクスと別れ、とある事件で荒廃したエレジアでゴードンとともに暮らし始め、2年ほど前から世界で注目の歌手となる。
- そして、「新時代」を目指し、自身のウタウタの実で何らかの計画をはじめ……?
- ゴードン(CV:津田健次郎)
- ウタの育ての親で、エレジアの元国王。
- ロミィ(CV:新津ちせ)
- ウタのファンの少女。
- ヨルエカ(CV:梶裕貴)
- ウタのファンの羊飼いの少年。
- サニーくん(CV:桑島法子)
- ウタウタの実で変化させられた、サウザンドサニー号。
- エボシ(CV:山田裕貴)
- クラゲ海賊団船長。
- ハナガサ(CV:粗品)
- クラゲ海賊団船員。
- カギノテ(CV:せいや)
- クラゲ海賊団船員。
赤髪海賊団
- シャンクス(CV:池田秀一)
- ベン・ベックマン(CV:田原アルノ)
- ラッキー・ルウ(CV:土門仁)
- ヤソップ(CV:小林通孝)
- ライムジュース(CV:小野健一)
- ボンク・パンチ(CV:中村浩太郎)
- モンスター(CV:島田敏)
- ビルディング・スネイク(CV:二又一成)
- ホンゴウ(CV:緑川光)
- ハウリング・ガブ(CV:中田譲治)
- ロックスター(CV:斎藤志郎)
その他原作キャラクター
- シャーロット・リンリン(CV:小山茉美)
- シャーロット・ペロスペロー(CV:内田夕夜)
- シャーロット・カタクリ(CV:杉田智和)
- シャーロット・オーブン(CV:木村雅史)
- シャーロット・ブリュレ(CV:三田ゆう子)
- トラファルガー・ロー(CV:神谷浩史)
- ベポ(CV:高戸靖広 / 上田麗奈)
- バルトロメオ(CV:森久保祥太郎)
- サカズキ(CV:立木文彦)
- ボルサリーノ(CV:置鮎龍太郎)
- イッショウ(CV:沢木郁也)
- モモンガ(CV:太田真一郎)
- コビー(CV:土井美加)
- ヘルメッポ(CV:永野広一)
- ブルーノ(CV:佐々木誠二 / 渡辺久美子)
- カリファ(CV:進藤尚美)
- ロブ・ルッチ(CV:関智一)
- 五老星(CV:野田圭一、緒方賢一、園部啓一、平野正人、増谷康紀)
- マキノ(CV:大本眞基子)
- ゼウス(CV:水島裕)
- チャルロス聖(CV:茶風林)
特筆点
- ジンベエが麦わらの一味として初めて映画に登場(本編の時系列を考えると、例によってパラレルワールドではあると思われる)
- 原作でも伏線が貼られていたが、ルフィの夢が海賊王になった先にあるという事が強くフィーチャーされた内容になっている。
- 本作においてルフィは、冒頭のバトル以外一切技名を叫ばない。これはウタがルフィにとって倒すべき相手では無いためである。ルフィがウタを殴らないことは尾田栄一郎が拘った点としてあげている。
- CP9のメンバーだったブルーノとカリファが本編に先駆けて再登場し、パンフレット等でCP‐0と明言されたことで、少なくともウォーターセブン潜入組の元CP9は復活後全員CP-0に昇格したことが判明した。
- ビッグ・マム海賊団がある程度メインで活動しているため、例のごとく"彼女"がヒロインの一角に据えられている。
- オリジナルキャラクターのクラゲ海賊団として、山田裕貴と粗品が、ウタのファン・ロミィとして新津ちせがゲスト出演している。
- 原作時空にウタが居ることは原作1055話のシルエットや谷口監督のインタビューで居ることが示唆されており、金獅子のシキのように過去設定を共有している事が明かされている。
- adoが歌ったウタの楽曲はApple Musicのデイリーチャートでトップ10を総舐めする結果を残したことで、アニメのみなら現実でも世界一の歌姫になるというミラクルが起こった。
- 東映の単独配給映画では初の100億円突破作品となる。終映時の197億円は東映の年間興行記録の最高が2009年の179億円だった事もあり、1作で東映の年間興行収入記録を塗り替えてしまった。
関連チャンネル
関連リンク
関連項目
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