OP詐欺とは、アニメやゲームの冒頭で流れるオープニングアニメーションが、本編の内容・イメージ・クオリティと一致しない時に使われる言葉である。
概要
多くのアニメ・ゲーム作品が早いスパンで世に溢れては消えていく昨今、“とりあえず”OPだけでも見ておこうという視聴者は少なくない。そんな彼等を引き込む為にも、OPには様々な訴求力が求められる。メインとなる登場人物達や物語の大まかな雰囲気の紹介、更には動きのある整ったアニメーションや魅力的な主題歌を盛り込む事で、視聴者を未知の作品へと誘う。
しかし、これらの要素が肝心の本編と一致しない(しなくなってしまった)場合も多々あり、視聴者からは詐欺レベルの認定を受けてしまうケースがある。これらの“OP詐欺”は主題歌詐欺、演出詐欺、作画詐欺の3つに分けられる。
主題歌詐欺
歌詞詐欺
タイアップ曲ではない筈なのに、歌詞とストーリーが全く合っていないという詐欺。アニメーションにおける楽曲の地位が安定していない時期の作品に多く見られる。製作に深く関わっていないスタッフが作詞し、歌詞がストーリーと合っていない「無敵超人ザンボット3」「機動戦士ガンダム」や、SMAPの歌うラブソングにもかかわらず本編はギャグアニメの「赤ずきんチャチャ」、作られていた別曲を歌詞の固有名詞部分だけを書き換えて採用した為、当時としては珍しくやや説明不足な仕上がりになってしまった「闘士ゴーディアン」等もこれに当たる。尚、ゴーディアンは演出詐欺の項でも触れられている。
曲だけは名曲詐欺
OPは名曲なのだが、それに肝心の本編の内容がついて来られていなかった詐欺。影山ヒロノブが在籍した「レイジー」の元メンバーが結成した「ネバーランド」の名曲、「孤独の旅路」をOP曲に据えた「サイコアーマーゴーバリアン」だが、80年代のアニメとは思えない程レトロな作画に定評がある。さらにゴーバリアンは、主役メカをマジンガーZそっくりにするようにダイナミックプロにデザインを発注するなど、アニメ自体が「ブランド詐欺」の疑いもある。
演出詐欺
本編の内容と著しく異なる映像を流す詐欺。OPだけ見た印象と、内容があまりにかけ離れている場合がこれに当たる。
OPだけ見ると面白そうに感じられる本編の出来があまり芳しくなかったり(下項「作画詐欺」も参照)、OPで主役扱いされているキャラが本編では完全に脇役或いは結果的に本編に出演していない(本編を象徴しない)シーンや人物、メカ等が描かれている場合が挙げられる。本編では名前どころか存在すらしていないキャラクターがOPに出演してしまっている「魔法遣いに大切なこと」等もこれに当たる。
このタイプの場合、製作側の歪による内容の乖離が視聴者に直に伝わってしまう詐欺現象を指す。
但し、それがスポンサーと制作現場のすり合わせによる商業的事情であったり、パイロット版映像の段階の名残りであったり理由自体は様々なものがある。
- ロボットアニメで話題に上りやすい「電脳冒険記ウェブダイバー」のOPはこのタイプの典型であろう。OPでは2Dアニメーションによるロボットの良質なバトルシーンが見られるのに対し、劇中では合体以外のアクションがほぼ皆無な3DCGでロボットが表現されているなど内容がかけ離れており落差が凄まじい。後に当時の担当声優がネタにしたり、販促の制約がない最終回ではスタッフがCGの使用を止めたことが明かされるなど、いくつもの逸話が残されている。また細かい所では前期OPでヒロインの有栖川アオイがラスボスとなる伏線が用意されていたものの、その設定が没になった為映像ソフトではこの演出が修正されている。
- 「機動戦士Vガンダム」のOPでは前後期共に、本編の陰鬱な内容に対して爽やかな少年漫画のようなノリのOPである。(但し後期OPはよく聴くと不穏な歌詞も)
- 「機動戦士ガンダムZZ」の前期OPにはシャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)が登場するが、没になったため結局本編には登場しなかった。
- 「機動戦士ガンダムSEED」の前期OPでは、ガンダムアストレイが登場するシーンがある(M1ではない)がこれは後のリマスターの映像では削除されている。
- 「機動戦士ガンダム00」1stシーズンの前期OPでは、サビの部分で意味深に登場する少女(マリナに似ているが全く別の人物)が作中で重要な役割を担うかと思いきや、結局本編に一切登場しなかった。後に監督曰く「刹那の中のぼんやりした平和の女神的な象徴で他の何でもない」と語られた。
- 「Myself;Yourself」OPでは(TVアニメ版は3:50頃から)学園祭で皆揃ってライヴを行っているが、ニコ動でもコメント率200%を誇った本編にそんなシーンは存在しない。
- 「戦勇。」は歌手がJAM Projectのせいか燃えアニメのような作りに見えてしまっているが、本編はギャグアニメである。
- 「School Days」はOPだけ見れば、甘酸っぱい青春物のような作りになっている。
面白い筈なのにつまらなく見える珍しい詐欺
また、主題歌詐欺でも取り上げた「闘士ゴーディアン」OPは、第1話で主人公にしか動かせないゴーディアンに姉が無理に乗り込んだシーンを流用している為、戦闘に躍動感が見られない。歌詞・演出と二重の詐欺であるが、タツノコプロ創設者である吉田竜夫氏の死去前後から起こっていた人材流出時期と重なる為、止むを得なかったのだろうか。 ただし、そのOPに流用された第1話のシーンもその後、バンクとして主人公が搭乗した戦闘シーンとしても再度流用されている。
演出詐欺…?(意図的な演出詐欺)
最近では視聴者の第一印象を逆手にとって、制作側が意図的に本編内容に沿わないOPを演出する事で視聴者を惹きつけるケースも多い。「天体戦士サンレッド」(アニメ)、「ザ☆ネットスター」(TV番組)等がこれに当たる。また、一見しただけでは本編に沿っていないように思えるOPが、よく見ると実はストーリーと一致している…という凝った構成を繰り出してくる作品もある。「魔法少女まどか☆マギカ」が有名。演出詐欺返し、とでも言うべきだろうか。
- 「なるたる」OPの場合、ハートフルな雰囲気と可愛らしいキャラクターに釣られて本編を見ると「詐欺だ!」と思いがちだが、本編を見た後でもう一度見直すと、実は本編のハートフルボッコな内容と殆ど一致している事が分かるつくりになっている。使用されている曲「日曜日の太陽」も、作者が自殺した友人に向けたメッセージである。
- 「錬金3級まじかる?ぽか~ん」のように、OPが妖しさ満載シリアス系なのにも関わらず本編がドタバタギャグ、という逆パターンも存在する。その理由は本編最終回でようやく明らかにされたが、これこそまさしくOP詐欺もいいところである。同様のOPには「いぬかみっ!」等が挙げられる。「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」のOPにおいても、デスメタルでやたらシリアスな作りになっているが本編はやはりギャグである。
- 「ニニンがシノブ伝」OPでは主人公シノブの分身と戦うシーンが出てくるが、本編ではそのような戦闘シーンはなく、更に言えば主人公の分身そのものが出てこない。
- 「ドルアーガの塔」は一期は学園青春アニメ、二期は野球アニメのような作りになっているが、本編は学園や野球など一切登場しない異世界ファンタジーモノである。
- 「げんしけん2」「直球表題ロボットアニメ」はどこからどう見ても燃えロボットアニメとしか思えない。
- 「かみちゃまかりん」は夕方放送の幼女向けアニメにALI PROJECTというミスマッチな組み合わせにアニメファンからは『合ってないだろ!』という不満の声が多数挙げられたが、次第に本編のダーティーな内容が明らかになるにつれてそういった声は少なくなった。
- 「がっこうぐらし!」は一見萌え美少女ものアニメに見せかけて実はサバイバルホラーという真逆の作風なのだが、第1話OP時点ではその点をほぼ隠しきっている。ただし種明かしと周囲の環境が変化するに従って本来の作風に準じた映像に差し替えられている。
18禁アダルトゲームのOPデモなどでは萌えを全面に押し出した明るいムービーでわざと騙して、中身をプレイしてみたら絵以外まるっきり違う内容だったりするのが良く見られる。例を言うと・・・
作画詐欺
OPの作画クオリティが非常に高いので期待して観たら、肝心の本編の作画がヘッポコでした…という詐欺。3種の詐欺の中で最も多いと思われる。1980年代から90年代にかけてのTVアニメ(特にロボットアニメ)粗製濫造期に多く見られる。葦プロや90年代のタツノコプロ、そして国際映画社制作アニメのほとんどはこれ。
デザインの大幅なアレンジによる詐欺(通称:大張詐欺、バリグナー)
本編作画が悪い訳ではないが、OPと本編で主役メカの頭部デザインがあまりにも違った為に詐欺扱いされているケース。主犯アニメーターは大張正己。彼がOPで独特なアレンジをしてしまった為に、プラモデルとデザインが違い過ぎてバンダイに怒られたとの逸話もある。演出・作画の二重詐欺。それでいいのかサンライズ。
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関連項目
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