povoとは、KDDI・沖縄セルラー電話連合(au)が2021年1月13日に発表し、同年3月23日に導入した新料金プランである。
概要
事の起こりは政府からの圧力。これまでも菅義偉内閣総理大臣が既存3大キャリアに対して「携帯電話料金が高い」と注文を付けられており、KDDI側は系列サブブランドのUQモバイルの値下げで茶を濁していたのだが、「メインブランドに手を付けろ」とさらなる圧力が加えられていた。
そんななか、NTTドコモが政府の意向に沿う形で「ドコモの通常の回線品質をそのままに、月間最大20GBのデータ通信が使えて月額2980円(後に2700円に変更)の新料金プラン」である「ahamo」を発表。激震が走ることになる。シンプルかつこれまでとは比較にならない低廉な料金プランであるため、MVNO各社も対応に追われ、ユーザーからも喝采を浴びる。
しかしその直後KDDIはミスを犯す。新たに発表した「データMAX 5G with Amazonプライム」が旧態依然の各種割引込みでの料金表示かつ複雑すぎる契約内容である事、なによりahamoレベルの新料金に期待がかかっていたことからユーザーから総スカンを食らい、さらに武田良太総務大臣からもダメ出しを受ける形となった。
さらにソフトバンクもLINEとの協業による「SoftBank on LINE(後にLINEMOの正式名称に)」を発表し、ahamoに対抗し始めたことでKDDI側も待ったなしの状態となった。
こういう状況下でようやく発表されたのがこのpovo。英語で「新たな視点」を意味する「point of view」と、ラテン語で「卵から」、「最初から」を意味する「ab ovo」が名前の由来。ここで思い切ったのが1回5分の通話定額をオプションとして切り離し、月額2480円にするというやり方である。そしてユーザーのニーズにあうよう「トッピング」と呼ばれるオプションを各種設定し、それを組み合わせてもらうという形になっている。
※「トッピング」は東南アジアの通信会社で用いられているオプション形態。povoもシンガポールのCircles.Lifeとの協業によるサービスであるため、その仕組みをそのまま取り入れた形になる。
この新手法のインパクトは絶大で批判していたユーザーは手のひら返し、ソフトバンクもこれに追随(LINEカウントフリー=LINEでの通話では無料という事情もある)して通話定額をオプション化、楽天モバイルや各種MVNOも対抗策を打ち出し、ドコモも料金を当初から下げるまでに至る。
ただし、povoもahamoやLINEMO同様オンライン専業プランとなっている。他にも各種制約を受けるため注意を要するのは間違いない。
なお、武田総務大臣だが、発表後一定の評価を示すも、「最安値を目指した」ということにかみつき「結局同じ値段だしわかりやすいやり方にして欲しい」と批判。だがKDDIからの反論だけで無く世論からも「お前は何を言っているんだ」とツッコミをくらい、改めて発言意図を説明せざるを得なくなったことも付記しておく。
……と、ここまでが従来までのpovo(後述にあわせてpovo 1.0に呼称変更し、9月下旬で新規受付を終了)。サービス開始から半年経って、KDDIは新たな戦略に打って出る。
povo 2.0
これまでのpovo 1.0を見てみると、KDDIの方針故かどうにもUQモバイルのほうが通信データ残量の翌月繰り越しなどサービス面も込みでコストパフォーマンスに優れていると感じられることが多々あった。そこでpovoの運営方針を全面転換、先に述べたとおり東南アジア流のトッピング方式を全面的に取り入れ、基本料金を撤廃した料金プランとなった。
基本料金は無料にした上で通話料・SMS送信料は従量課金にし、別途通話かけ放題とデータ通信をタイプに合わせてトッピングで選択、あわせて動画配信のDAZNと.smashの視聴料もデータ通信量込みでトッピング対象とした。
また、他にはない面白い要素として、対象店舗でau PAY決済で支払いorサービスを利用する、あるいは街中などでポイント地点を見つける、プレゼントに応募するなどでデータ通信量が獲得できるという「#ギガ活」も展開する。
利点
- これまでのauでの通信サービスの品質を維持した形で4G/5Gが使える。
- データ通信量/有効期限ごとのトッピングとして、1GB/7日間:390円、3GB/30日間:990円、20GB/30日間:27,00円、60GB/90日間:6,490円、150GB/180日間:12,980円、そして24時間データ使い放題:330円の6種から選択可能(1.0は月間20GBのデータ通信容量で固定、200円24時間データ通信無制限というトッピングも用意)。
- 通話定額(5分以内と完全定額)もトッピングという形で提供。2.0からはDAZNと.smashの視聴トッピング(それぞれ指定の有効期限が設定され、データ通信無制限込み)も開始。
- eSIMも提供している。
制約
- 契約は13歳以上に限られる。(当然、未成年の場合は親権者の同意が必要である。)
- auスマートバリューや家族割などの各種割引対象外。家族割のカウント対象についても2021年夏までは早期契約特典としてカウントされるものの、基本的にはカウント対象外となる。
- auやUQモバイルから契約を切り換えた場合、既存の契約年数が引き継がれずリセットされる。
- 申し込みやサポートはオンラインのみ。
- キャリアメール(@ezweb.ne.jp)や留守番電話サービスの提供は無し。メールはフリーメールなどを準備する必要がある。
- データ通信量超過時の速度制限は1.0では1Mbps、2.0では128kbpsになる。
- 2.0のデータ通信トッピング、ギガ活で得られるデータ量、いずれも有効期限が設定されており、それを過ぎると利用できなくなる。さらに全く使っていない場合最後の通信から180日経つと解約対象となる。
関連動画
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関連リンク
関連項目
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