Radiohead(レディオヘッド)とは、イギリス出身の世界的ロックバンドである
- 30年近くにわたって世界のトップクラスに君臨し続けるロックバンドである。
- 商業的妥協を一切せずに実験的な音楽を作り続けながら、商業的成功も同時に獲得している。
- 3rdアルバム『OK Computer』、4thアルバム『Kid A』によって、90年代を代表するアルバムと00年代を代表するアルバムを同じバンドが作りだすという偉業を成し遂げた。
- また『The Bends』、『OK Computer』によってギターロックの未来を担うバンドと目された彼らが、
- エレクトロニカサウンドを全面に押し出したアルバム『Kid A』を発表したことは多くのバンドに衝撃を与え、00年代以降のロック・ミュージックの方向性を決定づけた。
メンバー
- トム・ヨーク / Thom Yorke ⇒ (ボーカル/ギター/ピアノ...etc)
・全ての曲の作詞をしている。また多くの曲の大枠やデモを作っている。ただし、曲はそこからメンバー間での議論を重ねてそこに肉付けしたり、逆に削ったりすることで楽曲の元を作っている。そのため基本的に作詞/作曲のクレジットはメンバー全員(Radiohead)となっている。
・特徴的なエモーショナルな歌声は、彼自身は嫌悪していたが、ビョークなどから高い評価を受けており、彼女の『I've Seen It All』など、多くのアーティストの作品にボーカルとして参加している。また、そのことからトム自身も自分の歌声を悪いものではないと考えるようになった。
・デビューから『Hail To The Thief』発売前後くらいまで非常にナイーブかつ偏屈な性格だったようで、ツアー DVD『ミーティングピープルイズイージー』ではメンバーに怒鳴りちらしたり、 また、Radioheadのファンだったコールドプレイのボーカル、クリス・マーテレコード会社の重役をバカにするシーンを見ることができる。 ィンは初対面時にトムに無視されて悲しかったと語っている。 ・社会活動に熱心で、社会問題に関してたびたび発言したり、NPOを支援したりしている。
・幼児期の手術の失敗により、左目を完全に失明している。
- ジョニー・グリーンウッド / Jonny Greenwood⇒ (ギター/キーボード/暴走...etc)
・憑依的かつノイジーなギタープレイが持ち味。また先入観や定石にとらわれない斬新なエフェクトペダルの使い方が特徴的。
・ポール・トーマス・アンダーソンの作品や『ノルウェイの森』などの映画音楽、現代音楽の作曲家として委託を受けて交響曲を作曲してもいる。
- コリン・グリーンウッド / Colin Greenwood ⇒ (ベース...etc)
・Radioheadは他のバンドに先んじて、インターネットを使ったファンとの交流をイチ早くから行なってきた。
ロックにおいては音楽活動とそれ以外の活動は、別々に存在するとは言えない。両者の垣根を意識的に取り払うような活動もRadioheadの特徴のひとつと言えるが、
その立役者は、偏屈なメンバーの中にあってフレンドリーで慎み深い情報発信を続けてくれていたコリンだと言えるだろう。
・オックスフォード大学を卒業している超インテリ。
- エド・オブライエン / Ed O'Brien ⇒ (ギター/イケメン/世界一のコーラス...etc)
・とてつもない甘いマスクの持ち主である。
・トムやジョニーのムチャ振りに動じることなく、ライブではドラムだろうがマラカスだろうがなんでもやる。
・トムに負けず劣らない美しい歌声の持ち主。ライブではとてつもなく美しいコーラスを披露する。
- フィル・セルウェイ / Phil Selway ⇒ (ドラム/照明...etc)
・スキンヘッドと優しげな笑顔が特徴のドラマー。デビュー時にはすでにほとんどハゲかかっている。
・他のバンドと比べても特に変拍子が多いRadioheadの音楽にあって、抜群の安定感と、ドラマチックなドラミングを披露している。
- ・一応上記パートが基本となっているが、曲によって様々な楽器を使うためパート分けは一定ではない。
- ・名前を観ればお解りのように、ジョニーとコリンは兄弟である。また、結成以来この不動のメンバーで活動している。
・ジョニー以外の4人は同じ高校の出身であり、高校で出会った。
【第6のメンバー】
既存のロックバンドの慣習に囚われないRadioheadにとって、バンドメンバーとスタッフの垣根はあるようでない。ここではそんなバンドにとって第6のメンバーと言える人物を紹介する。
プロデュース、アートワークともに、メンバー自身も行なっている。
- ナイジェル・ゴッドリッチ
・プロデューサー
・『OKコンピューター』以来レディオヘッドの全てのアルバムをプロデュースしている。 同アルバムで名を上げた彼は、その後イギリスを代表するプロデューサーにまで登りつめ、 BECK 、トラヴィス、ポール・マッカートニーなどの名盤をプロデュースした。 ・Radioheadのメンバーとは公私ともに仲が良く、
・ソングライティングとポストプロダクションとの区切りがあまりないRadioheadの音楽にとっては、時にメンバー以上の貢献をしている。特にトム・ヨークとは、 彼の全てのソロアルバムのプロデュースだけでなく、 彼とレッドホットチリペーパーズのフリーと共に、「アトムス・ フォー・ピース」というバンドを結成し、 アルバム制作とライブツアーを行っている。
- スタンリー・ドンウッド
・芸術家。
・トム・ヨークの美大時代のクラスメートで、『ザ・ベンズ』のアルバムジャケットを制作して以来、ジャケットやポスターなど、すべてのアートワークを担当している。
その活動は印象的かつ象徴的なアルバムジャケットに限らず、Radiohead を利用したコンセプト・アートとも言える。
アートワークには過去の芸術家の引用などが多用され、スタンリーが個人的に発表したアートが援用されることもある。
また、アルバムごとの特異な宣伝方法は音楽業界に少なからぬ影響を与えた。 ・毎週日曜日にトムの家で、テレビニュースに罵詈雑言を浴びせかける会というのを開いている らしい。
概要
結成は1985年。結成時は「On A Friday」というバンド名だった。
1991年にメジャー契約、その頃にバンド名を「Radiohead」に変更。
デビュー当初はブリットポップの流行に乗って現れたバンドの1つ程度に思われていた。
この頃はまだ、いわゆるギターロック中心の音楽性であった。
2ndアルバム『The Bends』で批評的、セールス的に成功。
しかしメンバーはこの成功の延長線上で活動していくことを嫌い、実験的な音楽を作るようになっていく。
発売前に「成功をドブに捨てた」と言われた3rdアルバム『OK Computer』は全米、全英でともにプラチナディスクを獲得。世界的出世作となる。
また批評的にも成功し、後年にはRolling Stoneが選ぶ90年代のベストアルバムで第3位、Pitchforkでは第2位に選出された。
発売時に「商業的自殺行為」と言われた4thアルバム『Kid A』は全米、全英のヒットチャートでともに1位を獲得。
また批評的にも成功し、後年には00年代のベストアルバムの第1位に、Rolling StoneとPitchforkの両誌で選出された。
このように、商業的妥協を一切せずに商業的結果も得るという多くのアーティストが理想とする状況を彼らは勝ち取り、その妥協なき姿勢は世界中でも支持され、現在もイギリスを代表するロックバンドであり続けている。
また音楽そのものに限らず、その流通のあり方にも意識的で、業界人が驚愕するほど大胆な試みを何度か実際に行っている。
近年ではアルバム「In Rainbows」をレコード会社からの関与を一切断った状況(レコーディング費用も自前)で製作し、独自サイトにて先行ダウンロード販売、しかも値段は購入者が決めるという方式を取った。その後、CDフォーマットでも販売されたが、その際もメジャー流通を通さず、各国の条件の良いインディーズレーベルと契約しリリースするという方式をとった。これまでのレコード会社主導の流通システムから脱し、完全にアーティスト自身が作品に対する主導権を握るという意味では非常に画期的な事であり、業界関係者を驚愕させた。
現在もRadioheadは、最高のミュージシャンであることを武器に
「ロック」、「ポップミュージック」、「商業主義と芸術」「バントメンバーとスタッフ」「スタジオアルバムとライブ」「音楽活動とそれ以外の活動」など、
ありとあらゆる枠組み、境界をウロボロスのように、内側から食い破り続けている。
ディスコグラフィー
・世界三大負け犬アンセムのひとつ
『Pablo Honey』の先行シングルとして発表され、Radioheadの名前を世界に知らしめた。今でもRadioheadを象徴する曲のひとつであり、ライブでイントロが流れるとオーディエンスから大歓声が湧く。
海外のライブで巻き起こる「俺はウジ虫だ」の大合唱はちょっとした見ものである。
ただし、『The Bends』発表までの長い間「creep」だけの一発屋と言われ続けたことがトラウマらしく、ライブではなかなか演奏してくれない。
oasisのリアム・ギャラガーいわく「Radioheadは小難しいことをやってるが、ファンが望んでるのはcreepなんだよ。素直にcreepを演奏してりゃいいんだ」
G–B–C–Cmの循環を繰り返すコード進行が特徴。あるミュージシャンいわく、「このコード進行が最高なことはcreepの前から分かってた。…前から分かってたハズなんだけどなぁ」
この2ndアルバムも『OK Computer』がなければ、90年代を代表するアルバムになっていたかもしれないくらい評価されている。
映画音楽、サイケデリック、ヒップ・ホップ、エレクトロニクスなど、同時代の様々な音楽や社会の影響を実験的に取り入れながらも、
内に秘めた心情を爆発させてそれをひとつの世界観や価値観で表現し、音楽は叙情的かつ感動的で、
時代を反映しながらも紛れもなくロックミュージックであるという、まさにこの時代に生まれるべきアルバムを生み出した。
発売前は、大衆に分かりやすいコマーシャルなものではなかったことに対し、主に一部の契約レーベル関係から「成功をドブに捨てる気か」などの非難の声が上がった。しかし商業的にも批評的にも大成功し、ニルヴァーナの『NEVERMIND』とともに、90年代を代表するアルバムと目されるようになった。
Radioheadはこのアルバムで初めて、ラップトップ等のコンピューターを用いたポスト・プロダクションを行った。
ロックならではの感情などの人間的な要素は排除されており、全体を覆いつくすのは無機質で冷ややかな電子音である。
Radioheadはこのアルバムで、ジャズや現代音楽からの影響も受けた実験的なエレクトロニカサウンドを全面に押し出し、ロックサウンドに融合させた。
ギターロックの未来を担うバンドと目された彼らがこのようなアルバムを発表したことが多くのバンドに衝撃を与え、00年代以降のロック・ミュージックの方向性を決定づけた。
と、いうことになっているのだが…
単に聴くぶんには、難解で無機質という印象は感じない。
静謐で美しいメロディーと不穏でゾクゾクするようなリズム、禍々しい言葉と新鮮なアイディアに満ちた音楽たち。
数多くの名盤を聴いた時に味わえる感動を、このアルバムでも感じることができる。
『Kid A』と同時期に作られた、『Kid A』のアウトテイク集のような趣のあるアルバム。
その分『Kid A』の延長にありながら、そこには収まりきれないようなぶっ飛んだ曲や、『OK Computer』の頃のようなエモーショナルな曲も入っている。
『Kid A』と同じ曲のアレンジの違うバージョンも収録されており、この2枚の関係自体もひとつの表現となっている。
ロック・ミュージックへの回帰を感じさせるアルバム。
iTunesの登場などの音楽のあり方の変化を受けて生まれた、アルバムを通して聴くということに対する懐疑的な意識を反映し、アルバム全体を通した明確なコンセプトを持たない。
また歌詞についてトム・ヨークは、「シルクハットに入れた単語カードを適当に取り出してつなげた」と語っているように、1曲を通して一貫した意味をなさない傾向がある。これは「好きなところだけ聴いたり、何かをしながら聴いたりする」という聴き方を自明のこととしているためで、「歌詞の意味は聴いた人が自由に組み立ててくれれば良い」らしい。
『Kid A』以来の実験的な音楽を様々な楽器を使って生演奏できるようになったRadioheadは、そのロック以外の多様な音楽を肉体に取り込んだような状態だと言えるだろう。
このアルバムではその肉体を充分に生かし、ロックの外側から取り込んだものが有機的に融合した、美しいロックミュージックを生み出している。
「とてつもないカオスだった」と言われる『Kid A』に次いで多くのポスト・プロダクションによる作業を経て作られており、その点からも単純な原点回帰ではないことが分かる。
前作で長年の集大成的作品を作ったと思ったら、今作はまたもやわけの分からないアルバムである。
全体的に奇妙なリズムが強調されており、1つの曲なのに2つの曲が流れているように聴こえるなど、実験色が強い。
前作で取り戻した人間性も、またもや捨て去ったかのような印象を受け、とっつきにくいことこの上ないアルバムである。
再び人間性を取り戻し、エモーショナルなアルバムである。
しかし、そのエモーションは変拍子、不協和音、ノイズ、調子外れなメロディーなど、どこか居心地の悪く、驚きに満ちた音たちによって喚起される。それは現代詩のようなオケとも言え、まるで使われていなかった心の一室から音楽が聞こえてくるかのようだ。
歌詞は残虐で、攻撃的かつ挑発的。ときに厭世的で絶望的。なんにせよ、この世界のあらゆる悪、そして不幸や悲しみを塗りつぶそうとする、狂気ともいえる暗い怒りで満ち満ちている。
Radioheadのライブ
- 『Kid A』以降、ロックの身体的・能動的快楽から逃れるような曲を多く作るようになった彼らだが、ライブになると一転。
- 複雑なエレクトロサウンドの曲すら、大胆なアレンジとよく分からない楽器を駆使してパワフルな生演奏を披露する。
- Radioheadは観客に強烈な身体的カタルシスを感じさせる、レッチリやMUSEにも劣らないライブバンドでもあるのだ。
風評被害?について
一時期、彼らのヒット曲「Paranoid Android」をもじった「冷酷無比のパラノイド・アンドロイド」というタグが流行した。
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関連項目
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