RPGツクールとは、
- エンターブレイン(旧アスキー)開発・発売のRPG制作ソフトのシリーズ。
- RPGツクール SUPER DANTEのこと。第1作目タイトルであるためそういう認識が多い(厳密には間違い)。
- RPGツクール(PS2)のこと。現状記事名と同じタイトルで登場しているのはこれだけ。
一般認識としては1.が最も多いであろうことが予測されるため、本記事では1.を解説する。
2.と3.は個別記事を参照されたし。
RPGツクール(英語版の名称は「RPG Maker」)とは、エンターブレイン(旧アスキー)が開発・販売していたRPG制作ソフトである。グループの再編によって、2015年からはKADOKAWAが開発・販売を行っていた。
2020年からはKADOKAWA傘下のGotcha Gotcha Gamesがシリーズの開発・販売を手掛けている。[1]
概要
様々な命令・画像・音楽を組み合わせてオリジナルのRPGを制作することができる。画像・音楽はあらかじめ用意されたものの他、自分で作ったものも使用できる。シリーズ初期製品やコンシューマ版を除き、作成したRPGは遊ぶだけなら本ソフトを必要としない(あれば解析が出来る)ため、友人に遊ばせたりインターネットで配布したりする事ができる。
ちなみにSFC版などが発売された当時にはアスキー主催の「RPGツクールコンテスト」が行われており、最優秀賞をもぎ取ったユーザーには賞金1000万円が贈呈されるなど、その頃はまさにツクールの黄金期であった。
自分でゲームが作れるという夢のようなソフトであるが、シリーズを重ねていくにつれ「一応進化こそしてはいるが、あれやこれやの部分は劣化している」という例も多々あることがお約束に近くなっている。
特にコンシューマシリーズは地雷率も高く、期待が大きいとガッカリしてしまうことも多い。しかし、それを逆に魅力だと熱弁する剛の者もいる。
当然、後述のように完成度の高いツールも存在するし、PC版であれば概ねツールとしての完成度は良い。最も有名なのはRPGツクール2000など。
近年はそれぞれ際立った仕様となっていることを生かして、各々のツールの仕様を持ち味にして「ここが売り」とするようになっている。
真面目にゲームをつくろうとしているユーザーは、購入前に一応他人の評価に目を通したほうが得策である。
コンシューマシリーズは当たり外れが激しいので購入は慎重にするべきである。PC版はパッチで対応されるため、外れが出ても後々に舵取りが効く場合も多い。
なお『格闘ゲームツクール』などの亜種シリーズもいくつか存在する。
2023年5月に発売された「RPG Maker Unite」から、「ツクール」シリーズの呼称は海外名の「Maker」シリーズに統合されている。
シリーズの推移
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(リダイレクトにはついていない)
PC版
- 1990年 RPGコンストラクションツール Dante
シリーズ第一弾、MSX2用RPG制作ツール。 - 1992年 アクションRPGコンストラクションツール Dante2
MSX2用。シリーズ中唯一のイース風アクションRPG制作ツール。
独自の音楽作成ソフトMuSICAでBGMも自作可能になった。
今作発表直後、第一作Danteの直接の後継ツールになるDante3の発売が発表されたが開発中止。MSX2用のシリーズはこのDante2を最後にDante98以降に引き継がれた。 - 1992年 RPGツクール Dante98
DanteをPC9800シリーズに移植したもの。ツクールの名称は他のアスキー系ツール(アドベンチャーツクール等)で既に使われたことがあったが、本シリーズでは今作から採用された。 - 1996年 RPGツクール Dante98 II
Dante98の後継製品。
階層のついたマップ、変数などが追加された。
ゲームエンジンの再構築による発売延期のせいで下記の95と発売時期が近くなってしまい、あまり売れなかった不遇のソフト。 - 1997年 RPGツクール95
ここでPC9800シリーズからWindowsにプラットフォームが変更され、Danteの名称も廃された。
他のソフトとは違ってマウスでも操作できるのが特徴。数多くの名作が出た。有名な作品にムーンホイッスルなど。 - 2000年 RPGツクール2000
一番有名でかつて最も多く使われていたと思われるソフト。この作品におけるキャラクターのサイズは、XPまで継承された。普及率が高いのは、機能性の高さと自由度の高さ、それでいてイベント機能が充実しており、その他ダンジョンなどの制作も比較的楽だという敷居の低さにあり、公式でも初心者に一番オススメしている。
変数の概念が始めて登場(フラグ自体は以前より搭載されていた)、これにより複雑なイベントを作る事が可能になった。仕様を少し強化した廉価版が発売されている(通常版もパッチで廉価版仕様に対応)。
最も盛り上がっていた発売当時、毎月のようにコンテストが制作されていたこともあり、完成度の高い名作がたくさん揃っている。現在も廉価版が定期的に出たり、RTPのダウンロードが可能だったり、息の長いツールである。 - 2002年 RPGツクール2003
2000のマイナーチェンジ的な要素をもった続編。続編ということもあって当然機能は2000以上(職業の概念、ダンジョンの自動生成、各種イベントの強化など)。ただしデフォルト戦闘はDQ式からFF式になり、やや面倒になった。
自作戦闘、戦闘なしRPGを作るならオススメ……といっても最近のPC版ツクールとしては珍しく、現在は絶版である。
2000の作品をコンバートすることも可能。発表当時はバグや仕様等で評価が低く、2000で十分すぎるためか結果さほど普及せず、あまりこれを利用した完成品は見られないが外国では人気である。
なお、デフォルトの顔グラフィックが前作のものよりややリアルな顔つきになっている。 - 2004年 RPGツクールXP
スクリプト(RGSS、Rubyをベースにゲーム向けクラスライブラリを加えたもの)が登場。イベントコマンドの多くが削除され、スクリプトを多少知っていないと基本的な要素の作成すら困難なったため、初心者には敷居が高い。一方でアイデア次第で様々な作品(RPG以外)も作る事が出来たため、上級者にとっては夢のようなツールであった。
この作品から外国で発売することを意識したデザインに。アクティベーション(ネット認証)が必要になった。こちらも廉価版が発売され、上級者用として需要を形成している。 - 2007年 RPGツクールVX
XPのスクリプトを残した上で、イベントコマンドが復活したため、XPよりは敷居は下がっている(しかしイベントコマンドが2003よりも少ないのでやはりスクリプトに頼らざるをえなくなる)。
キャラのサイズが95のようなサイズになっている。発売してから四年経ち、後継のツールが出たのにも関わらず。廉価版は出ていない。2011年に和の素材集付きで改変販売されることになり、その後Value+として和素材集を特典として封入したお得な登場した。公式ではシナリオもシステムもこだわりたい人向けとされている。
VX ACEよりも素材の規約が緩かった関係で改変素材が非常に豊富で、それらの利用の為のユーザー登録用として人気が高い。 - 2011年 RPGツクールVX ACE
VXの続編にあたるツクール。ツクール2003のような兄弟ソフトというよりかはVXの名を借りたほぼ別物のツール。
顔グラモンタージュ、影ツール、超必殺技ゲージTP、特徴設定など、いろんな機能が追加されている。初心者にも優しい一方、RGSSはさらに進化しているので、より幅の広いゲームを作ることが可能。MVが発売して以降、最新作ではなくなったがそれ故に信頼性が高く、最新作のMVが出た後もそれなりに使われている。 - 2015年 RPGツクールMV
2015年12月17日発売(英語版は10月23日発売)。従来のWindows版に加え、Mac版も発売。PC環境でのプレイ以外にも、ブラウザ向けに配信されている作品であればスマートフォンやウェブブラウザからもプレイ可能になっており、以前では不可能だった公開先も選べるようになっており、豊富となっている。
プラグインシステムはRGSSに替わって大百科などWebにも使われているJavaScriptを採用しており、RGSSでも不可能だったゲームが作れるようになっている。ツクール95以来で18年ぶりの復活であるマウス操作と新しくタッチ操作に対応しており、様々な操作が可能になっている。戦闘システムはフロントビューとサイドビューの両方を搭載し、選択可能となった。画面サイズは前作の544×416ピクセルから、816×624ピクセルへと拡大。チップセットも1.5倍サイズの48×48ピクセルとなった。
現代ものやSF、パッケージキャラなどデフォルト素材も豊富で、顔グラモンタージュもデフォルトに合うように改良されており、デフォルトだけで様々なゲームが作れるようになった。
2015年にグループの組織体制が変更されたため、この「MV」から開発・販売はKADOKAWAに変わった。 - 2020年 RPGツクールMZ
2020年8月20日発売。
コンシューマ版
- 1995年 RPGツクール SUPER DANTE
スーパーファミコン。ドラクエ風コマンドウインドウが特徴。
漢字がほとんど使えない、作れるイベントの量に限度有り、ダメージは計算式の完全固定と制約が多い。
仕様も独特で、代表として「魔法を10個以上覚えると古い方から順に忘れる」が挙げられる。
「コンシューマでRPGツクールが出た」と言う点では記念すべき作品だろう。
サンプルゲーム「FATE」はDante98の移植版。容量ギリギリまで詰めたのか、残り容量がほとんどない。ストーリーに好感を持った者が多く、他のツクールで作り直したり、外伝などの創作を作った者がいる。 - 1996年 RPGツクール2
同じくスーパーファミコン。PC版に先駆けてDanteの名称が廃された。
サテラビュー対応だったためROMは通常より大きかった。
キャラクターの投身はRPGツクール2000に近い。
容量が増え、キャラの向きが指定できるようになった。特にBGMに良曲が多く、1ループが長いのも特徴。
サンプルゲーム「だんきちのバクチン大作戦!!」はツクールの基本ともいうべき学校が舞台。ドタバタコメディながら作者ネタやエロネタがあり、他のサンプルゲームより異彩を放っている。クリアまでのプレイ時間は5~10時間。
エンカウント設定がきつく、ザコとの戦闘が多くなりがち。
RPGツクール2の攻略本でも裏話が記載されているので気になる方はチェックすべし。 - 1997年 RPGツクール3
初のプレイステーション。これまで固定だったダメージ値に乱数が導入された。
やりたい事が大幅に増えた今作を最高傑作と評すと同時に、この後のシリーズが大抵あまり良いものではないため、この作品がピークと皮肉られる事も。
データのセーブは当然メモリーカードで行うが、アニメティカを使用したオリジナルキャラの投入やマップチップを入れると容量が膨れ上がり、規模が大きくなるほど容量も大きくなり、メモリーカードを複数要する場合もある。
ニコニコにおけるコンシューマツクールの中ではもっともポピュラーと言っても過言ではないことが、この作品の完成度と普及率の高さを物語る。
サンプルゲーム「gobli -ゴブリくんの冒険-」はRPGの世界ではザコモンスターであるゴブリくん、影役のポール、ネコの堀田が下剋上を狙う物語で、評価は高い。 - 2000年 RPGツクール4
プレイステーション。暗に「脱ドラクエ化」の方針が見える作品で、戦闘画面がファイナルファンタジーなどに代表されるアクティブバトル式サイドビューとなっている。待望されていた変数が導入された。
敵に攻撃・ダメージ・待機モーションがあるなどコンシューマとしては面白い要素が増え、自分で戦闘アニメが作れたり、魔法アニメに3DCGムービーが収録されていたり、召喚獣の要素も追加された(こちらも3Dムービー)。
が、バグが多いのが欠点であり、せっかくいろいろ変えられるのにもかかわらず、それが肝心の画面に反映されないなど悲しい仕様もある。
容量問題も根深く、自作するとちょっとパーツを増やしただけでとんでもない容量を食うなど、マップの自由度の低さもあっておそろしく不評だった。
サイドビュー戦闘画面だけは評価が高く、戦闘画面だけを見ればシリーズの中でもっとも完成度が高いという声もあがるほど。属性も細かく決められるほか、それぞれのスキルダメージを一キャラずつ細かく設定出来るなど、戦闘設定の面でも高い性能を秘めている。なお、どういうわけか召喚獣の中にはジバクくんが混ざっている。 - 2002年 RPGツクール5
初のプレイステーション2ソフト。ツクール初の3D作品。等身がシリーズ随一の低さである。
メッセージ入力が比較的ラクな反面、イベント機能がデフォルト機能としてほとんど搭載されておらず、制作難度は制作者の技量に左右される。
そんなわけで自由度があまりにも高すぎるためにとても作成が困難となっており、敷居がおそろしく高い。PC版でスクリプトを共有される以上に難しいと言えばその難度がお分かりいただけるだろう。
ただし使いこなせば完成度の高い3DRPGを制作することも可能なソフトであり、秘められた可能性はコンシューマシリーズ中においては随一、ジャンルによっては(主にARPG)、PC版をも凌ぐものが作れる制作ツールである。人によって評価が分かれる作品。空想科学最後のツクール作品でもある。 - 2004年 RPGツクール(PS2)
プレイステーション2。キーボード非対応。シリーズでも珍しい8頭身キャラを使える。
画像がとても綺麗で曲も良い。マップ制作も簡単であり、平たく言えば3DのFFが作れるという、まさに夢のようなソフト……のはずだった。
が、作成可能な人物が100体(これは主人公・敵・町の人間を含めた脇役を含めた要素)と決まっていたり、ツクールシリーズとして致命的な「製作に大きな制限が加わる」という難点がつきまとう作品。
もっともキツイ難点は、ロード地獄である。RPGなのに、戦闘を「なし」にでもしないとストレスがどうしてもつきまとうゲームになってしまうという哀しみを背負った。
これで躓いてしまったことが致命的だったのか、以降10年以上据え置き機におけるツクールソフトは発売されなかった。
ニコニコでもこれを題材にした動画は希少中の希少である。
自由度が低い分、設定すべきところは5とは打って変わってビックリするくらい単純なので、初心者であっても作りやすいことだけは確か。 - 2018年 RPGツクールMV Trinity
プレイステーション4/Nintendo Switch/Xbox One(発売中止)。実に14年ぶりとなる据え置き機版RPGツクールで、RPGツクールMVのコンシューマ版。が、長いロード時間や大量のバグなどが原因で2018年のクソゲーオブザイヤー大賞を受賞してしまうことに。一応そこからかなり改善しているが…
携帯ゲーム版
- 2000年 RPGツクールGB
ゲームボーイカラー。GBのソフトであるため漢字が使えない。
サンプルゲーム「NOBLE CAT」はありがちな中世風RPGだが、王女ニーナがベッドで寝る度に元の姿やネコの姿に変わるなど、サンプルゲームとして学ぶべき部分は多い。 - 2001年 うちゅう人田中太郎で RPGツクールGB2
同じくゲームボーイカラー。
当時『月刊コロコロコミック』で連載されていた「うちゅう人 田中太郎」のキャラクターを追加したもの。
前作RPGツクールGBをベースにしているので前作を周知している者なら違和感無くRPGを作成できる。 - 2003年 RPGツクール アドバンス
ゲームボーイアドバンス。テストプレイをしながらゲームを製作できるのが大きい。
敷居がシリーズ随一の低さで、本当に作り易いため携帯ゲーム機のツクールシリーズでは評価が高い。
主人公の名前をプレイヤーに委ねられることも大きく、後には受け継がれなかったサイドビュー戦闘も搭載されている。 - 2010年 RPGツクールDS
ニンテンドーDS。およそ7年ぶりの携帯機での登場。
DPサイズとFULLサイズのどちらかの形式で作成(途中変更可能)。Wi-Fi通信やDS同士の通信で、作成したデータを送信できる。ソフトを持っていない相手にも、「DPサイズ」でなら送信が可能(その場合セーブ不可能で電源を切るとデータも消える)。
それだけ言うと特に問題がないように見えるが、中身は「ゲーム作るってレベルじゃねぇぞ」と言われるほどの壊滅的なツール。多くの仕様や不具合、バグで話題を集め、クソゲーオブザイヤーにも選評が上げられる事態となったが、結局選外となった。 - 2011年 RPGツクールDS+
ニンテンドーDS。RPGツクールVX ACEと同時発売となる携帯機ツクール最新作。RPGの定番、西洋素材を一切廃止、現代、江戸、未来の三種類の素材がメインという割り切ったソフト。
前作の不安こそあれどニコニコでの生放送におけるタイアップなどもあって大きな期待を抱かれていた。
しかし、案の定ツクラーを悶絶させる致命的なバグが多く、特にイベント戦闘でアイテムを二重消費は本ツクール最大の批判点としてあげられる。
だが大きなバグを除けば作りやすさは大きく向上しており、容量対策も割合施されているので、前作のようにクソゲー・オブ・ザ・イヤーに選評が上げられることはなかった。
しかしツクール城の運営が2年もしないうちに終了したり、これによってコンシューマのツクールが盛り上がることはなかった。 - 2016年 RPGツクールフェス
ニンテンドー3DS。コンシューマ初の変数の設定が可能となり、SDカードに対応する事で容量問題が解決された。
亜種
- こちらの記事を参照 → ツクールシリーズ
RPG MAKER
- RPG Maker Unite - 2023年発売。Unity上で動作する。PC版のみ。
- RPG MAKER WITH - 家庭用ゲーム機向け。Nintendo Switch、PlayStation4、PlayStation5版の発売を予定。
ニコニコ動画におけるRPGツクール
ニコニコ動画にもいくつかRPGツクールで自作した作品のプレイ動画がアップロードされているが、実際に遊ぶことより、動画として楽しめる作品の方が人気の出る傾向にある。
いわば、RPGツクールを用いて作られたMADだとも考えることもできる。
ニコニコツクールゲーの項も参照されたし。
関連動画
サンプルゲーム
BGM
作品
関連リンク
関連項目
- ゲーム
- ゲーム制作
- RPG
- RTP
- エンターブレイン
- ニコニコツクールゲー
- ツクール
- ツクールシリーズ
- 他人ツクールシリーズ
- ツクラー
- VIPRPG
- WOLF RPGエディター
- SMILE GAME BUILDER
- RPGアツマール
関連項目(シリーズ一覧)
脚注
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