RX-8とは、マツダ(MAZDA)が製造していたスポーツカーである。
概要
(2012年6月までは)世界唯一のロータリーエンジン(RE)搭載市販車だった。
センターピラー(前後ドアの間の柱)がない観音開きドア(フリースタイルドア)や小型であるREの利点を生かしたフロントミッドシップレイアウトなど、個性的な特徴を持ち、4ドアセダンレイアウトとスポーツカーを両立している。
RX-7(FD3S)の生産終了(2002)に伴い、次世代RE搭載車として2003年に登場した。1967年から続くマツダREの末裔である。排ガス規制等を今後クリアできる目処が立たず、2012年6月を持って生産終了となった。
沿革
先代のRX-7(FD3S)は、熟成されたターボREと小型軽量なボディでその性能が極限に達していた。しかし、排ガス規制やスポーツカー市場の冷え込みなどから生産終了を余儀なくされた。次期車両は、環境・燃費対策のためにエンジンをNAロータリーに、また親会社のフォードの厳命により4ドア4シーターとして開発が進められることになった。REを搭載した軽快なスポーツカーと、大人4人がしっかり乗れるセダン―相反する2つの要件を満たすため、先代とはまったく違う設計がなされることとなった。
性能
前述のフリースタイルドアは、4ドアをできるだけ軽く作ろうとした結果である。乗り降りのしやすさは4ドアにやや劣るが、センターピラーレス化・後部ドアアルミ化で2ドア並の重量を実現した(実はリアドア内部にセンターピラーに当たる強度部材が仕込まれており、ドアの留め金でボディと剛結し、走行中の車体強度を稼ぐ設計である)。開口部が大きいが、高張力鋼の採用等により強度は高く、横方向の衝突安全性も高い。また軽量化の為スペアタイヤは搭載せず、パンク修理キットで代用している。
エンジンレイアウトも、NA化により小型化した補器類をさらにずらす等の工夫により、先代より深く低い位置にエンジンを設置し、FRスポーツカーで理想とされる前後重量比50:50を保ちつつヨーモーメントを5%低減している。燃料タンクも後席下に移動された上にスペアタイヤも廃止されており、FD以上のコーナリングマシンと言われている。
エンジンは13B-MSP(RENESIS)と呼ばれ、燃費・排ガス対策のためにサイドポート給排気を採用している。ローター自体の設計は40年以上変わっていないが、ローター・フライホイールの軽量化、サイドシールの見直し等で9000回転を許容する(ルマンで優勝した787Bと同じ)高回転エンジンとなっており、(レシプロエンジンと単純比較はできないが)1.3LのNAエンジンながら235馬力を発揮する。ちなみにこのエンジン、性能的にNAロータリーの極限に近く、チューンによる馬力向上が難しい(過給器を搭載する方法もあるが)ほか、エンジンの「当たり」「外れ」がかなりあるようである。
チューナーの間では「200馬力出ていれば当たり」との声も。 「非力」「重い」「中途半端」等の批判もあるが、国内外で多数の賞を獲得している。また生産台数もギネス記録を持つマツダ・ロードスターに迫る勢いであった。超辛口の批評で知られる自動車評論家のジェレミー・クラークソンもTopGear内で「これはとても、とてもいい車だ」と賛辞を惜しまなかった。
古典的なFRレイアウトながら、ロータリーエンジンの特徴を最大限生かし実用的ながら楽しく優れた運転感覚を持つ車であるといえる。ZOOM-ZOOM。
関連動画
関連項目
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