The Last of Us Part IIとは、2020年6月19日に発売された、ゲーム『The Last of Us』の続編である。
概要
2013年にPlayStation 3専用タイトルとして発売され、世界中から絶賛されたサバイバルアクション「The Last of Us」の続編。PlayStation 4専用タイトルとなる。開発は前作に引き続きノーティドッグが務めている。
E3 2018でトレーラーが公開されると、再生回数があっという間に500万回を突破した。
前作から約4年後の世界を舞台に、19歳になったエリーを主人公とした物語が展開する。成長したエリーは「セラファイト」と呼ばれる集団とハードな戦いを繰り広げる。弓やピストル,相手から奪ったマチェットやハンマーなどさまざまな武器を手にして戦い、前作ではジョエルの専売特許だった相手を“肉の盾”にしたりといったスキルも身につけている。また、前作よりAIが進化した「インフェクテッド(感染者)」も登場する。
キスシーンでのエリーの唇や鼻のリアルな動きや顔が赤らむシーン、戦闘シーンでのエリーと敵の自然で流れるような動きなど随所に高度なアニメーション技術が用いられている。
前作同様オープンワールドは採用せず、ステージクリア型の構造を採用している。クリアする方法は複数用意され、ステージを意識させないように、戦闘エリアと非戦闘エリアはシームレスに繋がっている。
ストーリー
本作は、ジャクソン(序盤)、シアトル(エリー編)、シアトル(アビー編)、農場、サンタバーバラ(終盤)という構成をとっている。ストーリーのボリュームは前作と比較しても大規模なものとなっており、およそ20~25時間程度の時間を要する。ストーリーはエリー視点とアビー視点を中心として展開される。物語の中核となるシアトル編がエリー・アビー双方の視点から三日間の構成で描かれるため、エリー・アビー両編のボリュームはほぼ同規模と感じられる。
登場人物
主人公
エリー・ウィリアムズ - 声:Ashley Johnson 日本語吹替: 潘めぐみ
前作の主人公。年齢は19歳(前作では14歳)。世界的にパンデミックを引き起こした寄生菌に感染しているものの、感染が進行せず、寄生菌への「免疫」をもっている。前作でジョエルの手によりファイアフライから救出されたものの、自身の生存と引き換えにワクチン開発の可能性が消滅したこと、自身の意思とは無関係にジョエルがそれを選択したことに対して複雑な感情を抱いている。生存後はジャクソンで生活していたが、アビーによるジョエルへの復讐以後、アビーを追い彼女がいるとされるシアトルへと向かう。
アビー(アビゲイル・アンダーソン)- 声 : Laura Bailey 日本語吹き替え:森なな子
本作のもう一人の主人公。販売前にはその存在が秘匿された(とはいえ、一部トレーラーに登場している)。前作でワクチン開発を担い、手術室でジョエルに殺害された医師の娘。その経緯からジョエルへの強烈な復讐心をもち、物語の序盤のジャクソンにて目的を遂行する。シアトル編では、復讐を達成してもなお満たされない感情、ジョエルへの苛烈な復讐による元ファイアフライの仲間同士での対立、WLFの兵士でありながら元ファイアフライでもあるという葛藤、といった様々な悩みに苦しむ様が描かれる。
ジョエル・ミラー - 声:Troy Baker 日本語吹替:山寺宏一
前作の主人公。年齢は50代(前作は40代後半)。アメリカ南部出身。寄生菌によるパンデミック発生直後に自身の娘であるサラを失い、以降は非人道的な手段を用いつつ生計をたてていた。前作では、ファイアフライの依頼により「運び屋」としてエリーを護衛する過程のなかで相互に信頼関係を形成し、最終的にはワクチン開発のためにエリーを死にいたらせようとするファイアフライを組織ごと壊滅させる選択を行う(その際アビーの父親を殺害する)。本作序盤では、ジャクソンで平穏な生活を送っていたところ、アビーに襲撃され、苛烈な拷問の末殺害される。以降は主にエリーの回想というかたちで度々登場する。
登場勢力
ジャクソン
ワイオミング州ジャクソン群を拠点とする勢力。エリーとジョエルが所属する。自勢力の存在を秘匿しつつも、難民などに対して好意的に接するために、多くの住民が所属している。
ワシントン解放戦線(Washington Liberation Front, WLF)
主にシアトル中心部を勢力圏におく。軍(FEDRA)の抑圧的な統治に対するレジスタンス活動を前身にもつ。軍に勝利して以降はシアトルの実質的な支配者になっているものの、実際には軍と変わらぬ苛烈な統治を行い、セラファイトといった対抗勢力を生み出し終始抗争を展開している。軍の施設を接収したのか、食料品の生産、武器の製造、軍用車の複数台の運用といった高い技術力をもつ。別称は軍旗や軍用犬を運用することに起因する「ウルフ」。
セラファイト(Seraphites)
シアトル中心部の対岸にあるベインブリッジ島を本拠とする。「預言者」と呼ばれる女性を神聖視しており、崩壊以前の文明を忌避した原始的な生活をおくる。「預言者」の死以降、教義が先鋭化したのか、WLFを含む異端者を凄惨な方法で処刑したり、顔に傷を入れるなど一見して野蛮な習慣をもっている。アビーからは狂信者として忌避されている。以前はWLFと休戦協定を結んでいたが決裂し、作中ではWLFとの激烈な抗争を展開している。別称は「スカー」。
FEDRA(連邦災害対応管理庁)
パンデミック発生後に全米各地の隔離施設を管理している組織。通称「軍」。シアトルではWLFとの抗争に敗北し、作中では遺構や遺物に面影を残すのみとなっている。エリーには旧態依然の組織として忌避されているが、自身の敗北以後セラファイトのような対抗勢力の登場を予言するなど、個々の構成員は必ずしも無能ではなかった模様。
ラトラーズ
カリフォルニア州サンタバーバラを本拠とする勢力。サプレッサー付きのSMGを装備するなど一見して高度な技術力をもつが、実際は流民を奴隷化し労働力として用いるなど非人道的な統治体制を敷いている。
ファイアフライ
前作に登場する組織。前作ではFEDRAによる強権的な統治に抵抗し、パンデミック以前に存在した政府組織の復活を目的としたゲリラ活動を展開していた。またワクチン開発などにも着手していたが、そのカギとなるエリーを殺害(解剖)しようとしたことで、ジョエルから反感をかい組織を壊滅させられる。壊滅以降は組織の解散を決定しており、各構成員はWLFに身を寄せたり(WLFでは「ソルトレイク組」と呼ばれている)、失意のうちに自殺したりしていることが作中からわかる。
寄生菌
前作・本作の元凶。寄生菌によるパンデミックにより、本作での文明は壊滅している。寄生菌に感染し行動を支配された「感染者」は、周囲の人間を攻撃することでさらなる感染者を増そうとする。本作の感染者は、動物を問わずあらゆる生物に攻撃を仕掛けており、条件次第ではヘラジカや馬といった自身よりもはるかに大きな生物をも捕食できる。前作では単なる敵として描写されていたが、本作ではビンや爆発物を使った誘導を行うことで、敵対する勢力に感染者をけしかけることができる場面があり、運用次第では強力な味方になる(その強さは大量のWLFが登場する「キャピトル・ヒル」というステージを、空き瓶二本で突破できるほど)。
なお「感染者」は、感染の進行度によって複数の種類に区別されている。
①ランナー
感染したばかりの人間。第一段階。理性を失っており、周囲にいるあらゆる非感染者を攻撃する。行動が素早いうえ数が多く、閉所での戦闘はかなり厄介。耐久力は通常の人間とさほど変わらない。
②ストーカー
感染後しばらく経過した人間。第二段階。前作ではランナーとの区別はなかったが本作では物陰に隠れるなどの巧妙な行動をとる。
③クリッカー
感染後かなりの時間が経過した人間。第三段階。視力はなく聴力で周囲を把握する。前作と同様に対抗手段ないつかみ攻撃は即死扱いであり、耐久力も高い。本作では、ランナーやストーカーのつかみ攻撃の頻度が上がっており、ランナーに対処中にクリッカーが接近・即死という連携攻撃を受けやすい。感染者の処理は計画的に行おう。
④ブローター
感染後相当の時間が経過した人間。第四段階。耐久力があるうえに、つかみ攻撃は即死、距離をとれば胞子による攻撃など前作と同様にスキがない。
⑤シャンブラー
本作に登場した新たな形態。近づくと酸性のガスを発生するので、近接攻撃での対処は困難なうえ、死後は文字どおり爆発四散する。死後一定時間は死体に近づくとダメージを受ける。こいつも倒す際には計画的に。なお降雨量の多いシアトルで突然変異したブローターのなりそこないと考察されているが、なぜかサンタバーバラにも登場する。
⑥ラットキング
アビー編に登場するボス。いわゆる「感染者第一号」らしい。周囲の感染者を取り込んだ結果巨大化しており、近接攻撃は当然即死のうえショットガン程度ではひるまず突進してくる。挙句の果てには、一定ダメージを受けるとストーカー形態と分離し、同時に二体を相手にするのを強いられる。ステージの広さを生かして、深追いはせずそれでも攻撃は仕掛けよう。なお初見では暗闇のためステージが広いとわからず、究極の初見殺しになる(場合もある)。
登場武器&アイテム
エリー
銃器
①セミオートピストル
前作で登場。基本性能は前作と同じであるが、本作では工作オプションとしてサプレッサー(容器+布で工作)が追加されたため隠密武器としての運用が可能に。隠密プレイヤーには必須。
②リボルバー
前作で登場。ジョエルの遺品。前作と基本性能は同じで、セミオートピストルより威力が高く、レティクルの収束速度もかなり早い。打ち合いに強いプレイヤーや強制戦闘では強い味方になる。
③猟銃
前作でも登場。ボルトアクション式ライフル。基本性能は前作と若干異なり四肢を打ち抜くことで、欠損でのキルを狙える(ただし日本版では表現規制の対象)。ヘッドショットではシャンブラー・ブローター・ラットキング以外の敵を一撃で倒せるが、胴打ちでは攻撃力強化をしない限りランナーを一撃で倒せない。それでも一撃の威力は高いのでボス戦向け。
④ショットガン
前作でも登場。基本性能は前作と同じで接近戦では無類に強さを誇り、猟銃と同様に四肢の欠損も狙える。
マガジン拡張をすることで相談数を増やそう。
⑤弓
前作に登場。基本性能は前作と同じで、音が鳴らず高威力、当たり所次第で矢を回収可能。さらに本作では矢は工作(刃物+テープ)が可能なうえ、爆弾矢という本作初登場のオプションも工作(テープ+爆弾)が可能。なお未強化では弓を弾く速度が遅く連射に向かないので部品をためての強化を推奨。ステルスプレイ向け。
⑥サプ付きサブマシンガン
おそらく元ネタは前作オンラインで登場した「スペクター」。サプレッサー装着済のサブマシンガン。連射可能なサプ付きセミオートピストルとして運用可能だがいくつか相違点もある。まずレティクルの収束が遅い(おそらく作中で最低)。次に収束範囲自体も狭く精密射撃に向かない。最後にフルオート限定なうえ連射速度が高いので、頭狙い&タップ打ちでも無駄打ちがでる。それに弾の入手も困難。
補助武器
①火炎瓶
前作で登場。工作(アルコール×布)が可能。敵が密集しているところに投げ込めば軒並み敵を掃討できる。特に感染者は音をたてると密集するので、対感染者で無類の強さを発揮する。ただし本作の火炎瓶は前作ほどの燃焼効果がないので、一つ投げるだけで周囲の感染者を一層するような前作プレイの再現は不可能。
②スタン爆弾
スタングレネード。工作(爆薬+容器)が可能。敵に当てることで一定時間無力化できる。複数ストックが可能なうえで爆発音も最大なので、空き瓶の上位互換としても運用が可能。
③煙幕
前作で登場。スモークグレネード。工作(爆薬+容器)が可能。スタン爆弾の上位互換かつ、敵からの視界を遮る煙幕の展開が可能。
④設置爆弾
本作で登場。設置式の地雷。工作(爆薬+容器)が可能。使用感としては前作の爆弾から投擲能力の削除したもの。爆発にはエリー自身も巻き込まれるため、設置は慎重に。臭いの後を必ず追う犬の処理には向き、敵の攻撃ルートの封鎖にも使える。
アビー
銃器
①ピストル
基本性能はエリー編と同じ。
②狩猟用ピストル
本作で登場。事実上は単発式ボルトアクションライフル。銃弾は工作(爆薬+刃物)が可能。
③セミオートライフル
前作オンラインで登場。セミオートピストルの連射速度に、リボルバーに匹敵する火力といえば聞こえはいいえが、個人的な使用感はザ・中途半端。
④二連ショットガン
二連式ショットガン。ショットガン自体の性能はエリー編と同じで、接近戦では無類の強さを誇る。それに加えて、オプションの焼夷弾の工作(アルコール+爆薬)が可能であり、ひるみ+燃焼攻撃ができるため感染者相手には強力無比な強さをもつ。
⑤クロスボウ
前作オンで登場。運用はエリー編の弓に近いが、矢自体の工作はできない。あとヘッドショットには慣れが必要。矢の回収率が高いうえ、頭に当てればほぼ回収できる。
⑥火炎放射器
前作で登場。前作では最強の対感染者武器も本作では大幅弱体化。強いには強いがこれをもっておけば万事OKというほどではない。
補助武器
①パイプ爆弾
本作で登場。序盤で手に入る爆弾。持ち運べる数は多いがその分工作に必要な資源(アルコール+容器+爆薬)も多い。使用感としては前作で登場した爆弾から地雷機能を削除したものといえば近い。
②ナイフ
エリーもナイフを使うが、アビー編では工作(刃物+テープ)が可能な別物アイテムとして登場。使用感は前作と同じ。なお使用者の性能も前作とほぼ同じなうえ前作で登場した鍵開け要素がない。※なおアビーは前作・本作をとおしてナイフを使わず敵を処理可能な三人の一人(残りはジョエル、マーリーン)である。
エリー・アビー共通
①回復キット
アルコール+布で工作可能。利用しないプレイを心がけよう。
②空き瓶&レンガ
みんなの味方、空き瓶&レンガ。ただし前作ほど必中とはいかないうえ、落ちている数も少ない。本作では、こんなときに空き瓶があればと思う場面が多いので過信は禁物。
③窓ガラス
その辺にある何の変哲もない窓ガラス。割ることで陽動に使える。消音武器で割れば空き瓶の代わりにもなる。相手が人間の場合、索敵状態で割ればこちらに一人だけで向かってくることがあるので、連鎖でステルスキルを狙える。
④強化武器
強化済み近接武器。前作と性能が異なり、高威力だが一撃死させるほどの威力はない。
マルチプレイ
本作には実装されていない(2020年末現在)。登場を期待しよう。
本作の評価
本作は、ゲームシステムやグラフィック面では正当な進化を遂げており、その点は順当な評価を受けている。その映像美はPS4最高との評価も高い。 その一方で"metacritic"での評価は、メタスコアが93点、ユーザースコアが5.7点と著しい乖離があり(2020年12月現在)、またユーザースコアもポジティブな評価とネガティブな評価に分断しており、賛否両論となっている。端的に言えば「あう人間にはあうが、あわない人間にはとことんあわない」という評価が下されている(逆に気になる人は中古価格の安い今がやり時ともいえる)。なお賞レースについてはgotyの記事を参照されたい。
関連動画
関連項目
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