UbuntuとはLinuxのディストリビューションの一種である。
概要
「Ubuntu」という名前は、アフリカのズールー語で「他者への思いやり」を意味する。基本的に無料で使用でき、使いやすさやインストールの容易さに重点を置いている。Linuxの他のディストリビューションだとまともに使える状態に環境整備するだけでもコマンドラインを併用したりしつつ凄まじく面倒な作業を要求されることが多い(最近は割とマシになってきたとはいえ)が、Ubuntuは必要なものは初期状態でだいたい揃っており、ドライバをいちいち入れなくてもハードウェアはだいたい動作してくれるためすぐに使い始めることができる。また設定もいちいちコマンドラインで設定ファイルをいじらなくともGUIでかなりのことができるようになっている。このような市販のOSに勝るとも劣らない楽さ、わかりやすさが受け、現在Linuxのディストリビューションで不動の人気を誇っており、世界中にファンがいる。公式サイトも充実しており、疑問点を質問できる体制が整っているため、初心者にも優しい。また、Linuxでは日本語環境を使える状態まで整備するのに面倒な作業が必要というのが半ば常識のようになっているがこのUbuntuでは日本語話者向けにカスタマイズされたものが公式で提供されており、最初から不便なく日本語を扱うことができる。なお、Linuxは日本語の情報があまり多くない傾向にあるが、Ubuntuに関してはかなり充実してきている。
一方で、最初からなんでもできるということは必要のないものも含めて膨大なソフトウェアやドライバがインストールされていることを意味し、Ubuntuでは基本的にインストールされたソフトウェアやドライバのバージョン管理が一元化されているため、アップデートが楽な反面山のような数のパッケージのアップデート通知が来ることは日常茶飯事である。
しかし、インストールしないLiveCDの起動時点でLANや無線LANのドライバーがインストールされていたりするので、PCが起動しなくなった時には便利である。修復用として1枚CDを焼いておくのも良いかも知れない。
公式サイトから配布されているイメージとして、デスクトップ版とサーバー版の2種類が存在する。どちらの版も、初期選択パッケージが違うだけなので完全互換。
簡便さが重視されるため、トレードオフとして権利関係の厳格性は若干ゆるめにしてある。つまり、プロプライエタリ(非オープンソース)な物が標準で用意される。元になったDebian GNU/Linuxは、このあたりが非常に厳格という違いがある。厳格だと、例えば動画再生も初心者にはままならない(自力でパッケージを拾ってくる・ビルドする必要がある)。
これは「Ubuntuが優れる」「Debianが優れる」という話ではなく、ポリシーの違いであることに注意。
リリース
通常版のサポート期間が短縮されたため、ユーザーは半年ごとに最新バージョンにアップデートするか、あるいはサポート期間が5年のLTSを使い続けることになる。現在の最新バージョンは18.10 (Cosmic Cuttlefish)、最新のLTSは18.04 LTS (Bionic Beaver)。
インターフェイス
10.10まではGNOMEというデスクトップ環境を採用しており、従前のMac OSやWindowsに似た使用感だったため乗り換えが容易だった。11.04からはUnityという新シェルを採用し、操作感が大きく変わった。このUnityは、2011年リリースのGNOME 3やMac OS X Lion等と近い思想になっている。Windows 8もこれに近い思想を一部に取り入れている。
さらに、PCだけでなくタブレットやスマートフォンまで共通のインターフェイスでカバーするという計画が進められていた。しかし、モバイル分野での普及が今後難しいという判断から、次期バージョンとなるUnity8は正式リリースを待たず開発が終了されることになった。
17.10からは再びGNOMEを採用している。従来からのユーザーに配慮し、標準のGNOME3ではなく、ランチャーなどが独自にカスタマイズしたものになっている
派生ディストリビューション
自身もDebianの派生だが、Ubuntuから更に派生したものも多い。一部は公式派生。
- KDE採用の Kubuntu(Unityの代わりにKDEを使いたい人向け)
- Xfce採用の Xubuntu(軽量化)
- LXDE採用の Lubuntu(軽量化)
- GNOME Shell採用の Ubuntu GNOME(17.04を最後にUbuntuへ統合された)
- MATE採用の Ubuntu MATE(10.10以前のGNOME 2によく似たデスクトップ)
- Budgie採用のUbuntu Budgie
- 教育用 Edubuntu
- 映像録画視聴用 Mythbuntu
- 映像音声編集用 Ubuntu Studio
- 中国ユーザー向け Ubuntu Kylin
- もっと権利系を簡便にし、グリーン基調にした Linux Mint
- Lubuntuをさらに軽量化したと言える Ecolinux
- 軽量デスクトップに人気ソフトを追加したLinuxBean
- USBメモリやLive CD上で運用できるPuppy Linux(Slackware、T2、Ubuntuのそれぞれをベースにしたバージョンが存在する)
- Google Chrome OS(現在はGentoo Linuxベース)
導入事例
近年コスト削減策として大阪府交野市がXubuntu、北海道夕張市がUbuntu、大阪府箕面市がEdubuntuを導入している。
デスクトップOSとしては、2010年末時点での各種調査データでいずれもLinux自体の個人使用シェアが1-1.5%前後。Windowsと競合できるレベルにはない。 国内でも過去にシャープやDELLから搭載端末が販売されたが、ほとんどは短期で販売終了している。(2018年現在、一部のカスタマイズモデルで選択可能。)
一方サーバーOSとしては、特に個人用サーバーやクラウド、IoT分野においては高いシェアを獲得している(ZDNet記事)。2017年時点で、多くの調査で他のLinuxディストリビューションを抑えトップに立っている。
Ubuntu on Windows
Windows 10へ導入可能な開発者向けの環境。新たにMicrosoftが開発したWindows Subsystem for Linuxによって、Linuxとの互換性が高いコマンドインターフェイスをWindows上で利用できる。bash.exeバイナリはUbuntuの開発元であるCanonicalからMicrosoftへ提供されている。
Ubuntuの読み方
ちなみにGoogle先生(Google翻訳)は「ウブントゥー」「ウブンチュウ」の中間のような読み方をなさいます。
linuxも「おまいら、好きに読め」というのが御大Linusの見解なので、Ubuntuも堅いこと言いっこなしだといいね!
関連動画
関連商品
Ubuntu Magazine Japan
毎号、最新のバージョンがLive DVDとして付録で付いてくる。表紙が毎回ロリ系なのは担当の趣味のせい。
週刊アスキー(アスキームック)
その他
関連項目
- Linux
- Debian GNU/Linux(Ubuntuの元になったLinuxディストリビューション)
外部リンク
- Home | Ubuntu Japanese Team(日本語化されたUbuntuの本家)
- 架空線 – AERIAL LINE - : うぶんちゅ!(Ubuntuを題材にしたウェブ漫画)
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