Windows 3.xとは、Microsoft社が開発した16ビットオペレーティング環境である(3.1からはオペレーティングシステムを名乗っているが単体では動かないので厳密に言えば違う)。
概要
Windows 3.0
「Windows 2.x」からのメジャーバージョンアップである。2.xまでは「リアルモード(8086系の古い命令しか使わないモード)」と「スタンダードモード(80286系の当時普通だった命令を使うモード)」を使用していたが、3.0からは新たに「386エンハンスドモード(i386系の新しい命令を使うモード)」が追加され高速化した。スタンダードモード以下では機能に制限がかかるが、386エンハンスドモードは486系以上のCPUがないとそれなりに重かった。また、インストール中にドライバを組み込む重要なファイル「config.sys」を編集する必要があり(当時の)初心者には敷居が高かった。
一方でMultimedia ExtentionsをインストールすることでPCMでのサウンド再生に対応するようになった。
Windows 3.1
Windows 3.0からのマイナーバージョンアップである。リアルモードを切り捨て、高速化を図った。その代わり(当然だが)8086系CPUのサポートが無くなった。日本語版ではスタンダードモードは消さずに、80286系のサポートも切っているため、スタンダードモードでもi386系が必要である。あとはいろいろ改良をしているが、それでもずるずる引っ張っている周辺機器の問題など、残されていた問題は山済みだった。すべて解決するのはWindows 95である。
サウンド再生が標準となり、起動音が鳴るようになった。また、拡張機能としてVideo for WindowsやQuickTime for Windowsをインストールすることで、動画再生にも対応するようになった。
Windows 3.11
Windows 3.1からのアップデート版であり、日本未発売。今で言うService Pack(サービスパック)の一種であり、パッケージでの販売はされなかった。
Windows for Workgroup 3.x
3.1または3.11にネットワーク機能を追加したものであり、日本未発売。Windows for Workgroup 3.11ではWindows 95で実装された一部の機能が先取りで搭載されている。なお、サポートが切れててなおかつ標準でネットワークに繋げられるこのバージョンでWWWに接続しようなんて絶対に思わないこと!最悪コンピュータウィルスに感染して貴重なソフトウェア資源が失われる危険性がある。
Windows 3.2
普及状況
CPUがi486、Pentiumプロセッサと高速化され、VGAに対応したことで、従来のWindowsにくらべて日本語表示が速くなり、また豊富なカラー表示が可能になり、さらにウィンドウアクセラレーターと言われたビデオカードを使うことで、高速な描画、高い解像度、フルカラー表示にも対応できるようになったことで、PC-9801シリーズやMacintoshなどから移植された多くの実用的なアプリケーションが次々と登場するようになった。
さらに、音声や動画の再生も拡張機能をインストールすることで対応でき、ゲーム用の高速描画もWinGによって対応することができたため、AT互換機やPC-98シリーズなどを本格的なマルチメディアPCとしても扱えるようになった。
それに伴い、多くのメーカーがWindows 3.1プレインストールモデルをリリースし、HDDの内蔵は当然となり、CD-ROMドライブ搭載マシンも次々登場している。
一般ユーザーに普及するのはWindows 95を待たなければいけなかったが、熟練したPCユーザーがWindowsに触れ始めたのがこのバージョンからとなった。
この時代と並行して、DOS/Vが日本で発売され、ソフトウェアで日本語処理が出来て海外のソフトも英語モードに戻すことで動作できるようになった。
それにより、海外の安価なAT互換機が輸入、進出し、国民機と言われていたPC-98シリーズのシェアも徐々に減り始めた。NECに煮え湯を飲まされていた国内メーカーもAT互換機を発売するようになり、Windows 95発売に至る環境は整いつつあった。
一方でNECも危機感を感じ、Windows向けにハードウェア機能を最適化、コストパフォーマンスを向上させたPC-9821シリーズをリリース、性能面で当時のAT互換機と渡り合えた98MATE(従来のPC-9801シリーズとの互換性を重視したMATE-A、Windows利用を重視して互換性を一部捨てたMATE-B、MATE-X)、音声機能やCD-ROMドライブを標準搭載した98MULTIを発売した。
関連動画
関連項目
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