Windows NTとは、Microsoft社が開発した業務用のOSである。
概要
Windows 1.0~3.1はGUIやメモリー拡張機能を備えたラッパーのようなものだったが、Windows NTはゼロから設計・開発されており、そういう意味ではWindows NTが最初のOSとしてのWindowsといえる。
DEC社(現:ヒューレット・パッカード) から移籍したデヴィッド・カトラーが中心となって開発されており、DECのOSであるVMSの思想を受け継いだ構造を持っている。
Windows 1.0~Meに至るバージョンでは、MS-DOS、16ビット版、32ビット版それぞれのシステムが寄せ木細工のように組み合わさっているため、どこかのアプリケーションでエラーが発生すると全体に波及し、フリーズに至りやすい弱点があった。しかしWindows NTでは、中心部であるカーネル領域とアプリケーション領域を分離して管理する構造になっているため、 アプリケーションエラーが発生してもシステムダウンしない丈夫な構造になっている。
セキュリティ面においても、個人利用を主体としていたWindows 1.0~MeではユーザIDやパスワードの設定なしでも利用が可能であったが、Windows NTでは、管理者(Administrator)を中心に、一部の利用制限がされたユーザーを階層的に管理し、それぞれにユーザIDとパスワードを設定させる仕様となっており、第三者による不正利用を容易に行えないよう対策が施されている。
さらにNTドメインを採用することで、ドメインコントローラーから参加しているサーバー、クライアントのユーザ管理を一括で行うことも可能となっている(Windows 2000からActive Directoryに移行)。
また、元々32ビットOSとして作られている一方で、DOSやWindows 3.xなどの16ビットOS向けアプリケーションとの互換性を保たせる意味でWoWというエミュレーターを搭載した。
ファイルシステムとしては、ユーザ管理情報やジャーナリング、暗号化にも対応したNTFSを採用、Windows 95発売当初のFAT16が2GBまでしか利用できなかったのに対して、NTFSでは理論上、16TBまでの利用が可能となった。
その他の特徴として、新しいデバイスを積極的に活用しようとしなかった(=最新のデバイスが使えない)というのがある。つまり、どのOSよりも信頼性と安定性に優れているということである。最新の周辺機器はいろいろ不具合が多いことが多く、また企業でもあまり必要としないことが多い。ならばそのサポートを切ってしまおうと安定性を優先した結果、企業に大量に導入されることとなった。
だが、NTは既にサポートが終了している。いくら安定性に優れてていてもこれでは未知の脆弱性に対して無防備だ。サポートが終了したOSを外部ネットワークに接続して使用することは危険なので、単独での運用ではない場合は早急なアップグレードをお勧めする(それ以前に、現行のハードウェアではインストールすら不可能である)。
Windows MEより後のWindowsは、いずれもWindows NTがベースになっている。
各バージョン
NT 3.1(1993年)
もともとはIBMと共同で開発していたOS/2のバージョン3にあたるが、IBMとの確執によってWindows NTに名称変更、ヒットしていたWindows 3.1にあやかって、バージョンも3.1とした。
インタフェースはWindows 3.xで採用されたプログラムマネージャを中心とするものとなった。
しかし、一般的なパソコンのメモリー容量が4~8MBだった時代に、32MBを超える容量を要求し、さらにはCPU性能も高いものを要求したため、対応できるパソコン、ワークステーションは少なく、普及には至らなかった。
NT 3.1ではx86版の他に、DEC Alpha版、MIPS版も発売された。
NT 3.5(1994年)
要求するメモリ容量を16MBまで引き下げ、システム全体のオーバーヘッドを抑えることでCPUなどの要求性能を引き下げることで、ハイエンドのパソコンでも十分動作するものになった。
また、FAT16でフォーマットされたHDDでもロングファイルネームが利用できるようになった。
このバージョンから、クライアント向けのWorkStationと、サーバー向けのServerという2種類のエディションに分けられた。
NT 3.51(1995年)
Windows 95の発売により、一部のAPIの互換性を保つよう改良された。
また、新たにPowerPC版も発売された。
NT 4.0(1996年)
インターフェースとして、Windows 95同様のExplorerを採用した。これによってWindows 95並みの操作性を手にする(IE4.0以降のインストールにより、Active Desktopへと拡張可能)。
また、グラフィック性能を向上させて体感速度の向上を図る一方、一部のセキュリティが脆弱になってしまった(これが是正されるのはWindows Vistaになってから)。
Windows 95との互換性が高められているものの、DirectXを使うアプリケーションとの互換性は低く、プラグ・アンド・プレイも対応しない。
それでもWindows 95の不安定な動作に辟易したパワーユーザーが、安定したNT 4.0に乗り換える事も少なくはなかった。
使用不可能なデバイス・機能
その他これ以降に規格化された全てのデバイス・機能が使用不可。
関連動画
関連項目
- Windows
- パソコン
- Microsoft
- Windows 2000 - 当初NT 5.0として開発が進められたが、Beta3よりこの名称に変更された。ただしNTからの派生であることを示すため、"Built on NT Technology"という表記がパッケージやタイトル画面に付けられた。
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