日本沈没は、1973年の小松左京によるSF小説である。1974年度星雲賞長編部門受賞作。
概要
SF作家の小松左京によって書かれたSFパニック小説。漫画化、ドラマ化、映画化も複数回されており、70年代を代表するSF作品のひとつ。
日本列島が丸ごと沈んで日本人が流浪の民となってしまうというストーリーは、日本列島に長く住み続けてきた日本人にとって非常にショッキングな内容であり、社会現象にまでなった。また、1973年に公開された映画版も大ヒットを記録した。1974年にはテレビドラマも作られた。2006年にも再度映画化された。
漫画化は2度あり、最初は1970年代にゴルゴ13で有名なさいとうプロによって、2度目は2000年代に一色登希彦によってなされた。
2020年に『日本沈没2020』のタイトルでアニメ化されNETFLIXで配信されたが、内容は日本列島が沈むという事実が共通しているだけで、原作小説とは全く異なっている。
2021年には『日本沈没ー希望のひとー』のタイトルでTBSテレビでテレビドラマ化された。放送期間は2021年10月~2021年12月。
ストーリー
地殻変動により、日本列島は2年以内に海中に没することが明らかになった。
最初はその事実に半信半疑だった政府も次々に起こる地震などにより、日本民族を生き残らせるための「D計画」の推進を余儀なくされる。
予想よりもはるかに早く沈んでいく日本列島。日本列島から脱出した人たちは世界各国で流浪の民となり生きていかなくてはならなくなる。
主な登場人物
- 小野寺俊夫
主人公。海底開発株式会社の潜水艇操縦士。
田所博士を乗せての海底調査で異変の現場に出くわし、日本沈没事件に巻き込まれていくようになる。
兵庫県神戸市出身。 - 阿部玲子
ヒロイン。原作小説では、良家の令嬢で、玲子の親と俊夫の上司の策略で俊夫と出会い、愛し合うようになる。
さいとう版では弟がいる設定。一色版では俊夫と同じく神戸市出身で阪神淡路大震災で家族を失い、
その時レスキュー隊員に命を救われた経験から成人後ハイパーレスキュー隊員となった。一色版では酒豪でもある。 - 田所雄介
地球物理学者。勘を頼りに調査と研究を行う学会の一匹狼で、
国内での評価は極めて低いが、国外からは逆に高い評価を受けている。
調査の結果、「日本は最悪、2年以内に海底に没する」との結論を出す。 - 渡老人
政界のフィクサー。自宅にツバメが営巣しなくなったことに疑問を感じ、田所と接触し、意見を聞く。
その後、政府のD計画に資金を提供し、日本人の国外脱出を助けた。
100歳と言われる高齢で、原作小説の設定では明治12年(1879年)、福島県で生まれ、
明治21年(1888年)に磐梯山の噴火で両親を亡くし、その後山形に住む養母に引き取られるが、
その養母も明治27年(1894年)の庄内地震で死去、その後財を成し政界のフィクサーと呼ばれるようになった。
花枝という孫娘がいる。続編の『日本沈没・第2部』では、花枝の子供であるモーシェ・雅俊・ワタリと
その異父妹の渡桜の兄妹が登場する。
続編
もともと『日本沈没』は第1部と銘打たれており、小松左京本人にも続編を書く意志はあった。しかし、筆はなかなか進まず、時間だけが流れて行った。
2006年の再映画化を機に、小松左京本人による『日本沈没・第二部』が谷甲州との共著として2006年に出版された。ただし、実際の執筆は谷がメインだった。この作品では日本列島が沈没したのちの、各国へ散った日本人の活躍を描いている。
第3部の構想もあったが、それを執筆する前に2011年に小松左京はこの世を去った。
パロディ他
70年代の一大ヒットとなったこの作品はそれだけにパロディの対象となりやすく、様々な作品でパロディ化されている。
最も有名なパロディは筒井康隆による『日本以外全部沈没』だと思われる。小松自身からお墨付きを得て書かれたこの作品は1974年の星雲賞短編部門を受賞し、パロディ元と合わせて長編短編両方で『日本(以外全部)沈没』のタイトルが並ぶことになった。
また、物理的に日本列島が沈没することだけでなく、日本経済が停滞・後退していることを指して「日本(経済)沈没」のような報道・雑誌の見出しに使われることも多い。
2011年の東日本大震災の際には、韓国の報道でこの言葉が用いられた。→日本沈没(韓国報道)を参照。
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関連項目
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