ニコニコ大百科

おおまがり

今考えると、私はこの時点で本当に彼へ恋をしていたのかもしれません。
過去の打算的な、どす黒く汚れた恋とも呼べない感情のようなものではなく。
相手のことを願い、思い焦がれ、その人のために尽くしたくなるような…恋本来の輝きを持つ感情。
重度の依存からくる勘違いかもしれません。また何かの打算的な感情から始まるものかもしれません。
あるいは、私の始まりであるあの告白から、そう思い込もうとしている…それだけかもしれません。
しかしその時にあったような偽りのものではなく…今度こそ、私の心は輝いていました。
残念なことに、それはこの時点では決して叶うはずのない恋でしたが…
偽りのものではなく、本当の恋を知った時にはもう遅かった…考えれば、皮肉なものです。

しなのまち

とさいっく

とよしみず

ひだおさか

ふくたわら

いちのかわ

かみかがわ

ほんの少しの胸の痛みもあり、それには当時の私も気づいていましたが…
ですが、それでも彼に尽くしたい、悩みを解決させてあげたい、結ばれて欲しい…そう、私は考えていました。
どうしてそう思えたか、それはわかりませんが…きっとそれは、彼に幸せになって欲しかったからでしょう。
自分が彼によって悩みを解決してもらったお礼に、自分も彼の悩みを解決してあげたい。幸せになって欲しい。
今度は自分が彼の力になりたいと、そう考えていたのでしょう。
あるいは…『その人に恋をしている彼』に、私は恋をしていたのかもしれません。
実際に、想い人のことを話す彼は、凄く幸せそうでした。
今日はどこで会ってどういう話をしたとか、昔あの人とどういうことがあったとか。
こういう所が好きだとか、どうすれば思いを伝えられるだろうかとか…
そういうことを、めまぐるしく表情を変えながら私に話す彼の姿もまた、私の眼には輝いて見えました。
その輝きに、私は惚れたのかもしれません。
あるいは両方でしょうか。まあ、そんなことはどうでもいいのです。
恋に理由なんて無い、と古今東西で歌われているように、そこは重要ではないのです。
ただ彼に尽くしたいと願った。ただ、たったそれだけが、私の中では重要な事柄でございました。

ただのうみ

おおのごう

なかはんだ

しもぎおん

えちごそね

ひたちつだ

あかいがわ

マチカネタンホイザ

ふたまたお

にしやしき

しむかっぷ

いぶりはし

たかぎまち

たまつくり

いわねばし

そのことを…当然、私が彼に恋をしているなどということ以外を…彼に話したところ、
彼は少々戸惑い、申し訳無さそうにしながらも、「ありがとう」と協力を受け入れてくれました。
これで、私は彼のために動くことが出来るようになりました。
相談に乗り、具体的な解決案を話し合い、実行に移してもらい、結果を聞き、そこから先へまた対策を考える。
文字だけ見るとまるで攻城戦の作戦を練っているようだ…ということで、彼はこの話を『作戦会議』と評し、
そしてこの『作戦会議』を週に三回ほど行いながら、彼の恋を私は応援し続けました。
作戦会議のたびに一喜一憂しながら相手の反応を語る彼を、私は本当に幸せに眺めていました。
ある日彼が嬉しそうに「相手と手を繋げた」と語ると、私も自分のことのように喜び、実家から酒を持ち出し飲み合いました。（※私は当時未成年です。良い子は真似しないように。）
またある日は彼が悲しそうに作戦が失敗したことを語ると、私も落ち込みながら作戦の反省を話し合い、抱き合いながら彼を慰めました。
嗚呼、今考えてもこの時の私は一番幸せであったと思います。
突き刺すような胸の痛みが気になることはありましたが、それ以上に彼が幸せそうなことが嬉しくてたまらなかったのです。
このままずっとこの幸せが続けばいいと思いました。
彼がきっと、幸せを掴んだあとも、その話を聞ければいいなと願っていました。

にしせいわ

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