地球防衛軍3の兵器
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301
ななしのよっしん
2010/09/15(水) 21:50:35 ID: o0PpVnrRyH
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当初は本当に装弾数2発のスタンダートな中折れ式のダブルバレルショットガンが予定されていたが、
「いくらなんでも原始的すぎるだろう。面白くないし」という研究員の意見で(前線の兵士が危険だからという懸念は最後まで出なかった。困ったものである)、バッファローショットガンと同等の装弾数を目指した結果が、
マガジン内部に仕切りを作り、左右の銃身に弾丸を同時に装填できる特殊な並列弾倉の製作である(別案として1つのチューブマガジンを左右の銃身で共有させれば、銃本体もG3ショットガンを流用出来てコストダウンできるという意見もあったが、装弾不良を多発させたため断念した)。
そうして出来上がった雛型に、「せっかくだから同時発射式にしよう」という司令官の思いつきが加味され、(研究員の趣味で)通常のバッファローシリーズとの相違点を作り出すために、
アサルトライフル及びSTライフルのノウハウが活かされたスパローショットを参考に、「AFライフルのノウハウが通用するならバーストもいけるんじゃネーの?」ということで2点バースト射撃の機能が組み込まれ、
「バーストモデルなら破壊力はぎりぎりまで底上げしよう」と散弾の収束性が高められた。
実戦においては、4回の射撃で全弾撃ちつくしてしまうため手数が足りず、しかも2連装という特殊な装弾機構のため連射機能が低下。
弾倉交換時にも初弾の装填に手間と時間がかかり(熟練者でも約4秒かかる)、
「瞬間的な火力は高いが持続力が無く、巨大生物の集団を相手にするには小隊をダースで揃えなければ数で押し切られる」、「どう考えても普通のショットガンの威力か連射性能を向上させた方が使いやすい」、
「っていうかカッコいいから連装って斬新すぎるとかいう以前に意味が(ry」という前線のレンジャーチームからの悲鳴が絶えず、バースト式のショットガンがシリーズ化されることは最期までなかった。
……が、その後も連装式のアサルトライフルやロケットランチャーやグレネードランチャーやグレネードランチャーやミサイルランチャーが懲りずに開発され続け、
前線の兵士たちが頭を抱えてうずくまるはめになるとは誰が予想できたであろうか(むしろ容易に予想できたのでは? と言うのは禁句である。誰だって未来には希望を抱いていたかったのだから)。
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302
ななしのよっしん
2010/09/16(木) 08:00:15 ID: CvmaT72wBU
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>>301
そんなに連装がアレだというならまともな(ように聞こえる)解説をしてやんよ!
……というのは冗談で、前に書いたはいいけど連続しすぎるんで自重してたブツを投下するだけです。
・3連GランチャーBRUTEJ、3連GランチャーBRUTE、2連GランチャーCRUMBLE
スタンピードによって証明された拡散発射の有用性を受け、威力向上に伸び悩んでいた(正確には巨大生物の進化に火力上昇が追いつかなくなった)UM系グレネードランチャーの開発班が打ち出した、
「複数発の同時発射による面制圧」という仕様に対する解は「連装」という発想であった。
ショットガンと同じか近い方式による同時発射は数が多ければ多いほど有効であるが、同時に一発のサイズに制限がかかり、それは単発威力の低下という問題となって付きまとう。
ファイブカードで確認された同時発射数の少なさによる拡散密度の偏りは、爆破範囲を有効に活用するべきグレネードランチャーでは大きな問題であったが、
逆に「同一の拡散弾道を取らせる事ができれば同時発射数が少数でも有効な面制圧が可能」という発想を引き出すことになったのである。
では、同一の弾道で同時発射するにはどうしたら良いか?
ボルケーノの多弾頭弾やFORKに使用された板型カートリッジの流用という案もあったが、自己推進力を持ち翼による弾道安定を行える両者と違い、
発射時の『初速』のみで飛翔するグレネードでは、散弾銃方式よりはマシではあれど爆破範囲を活かせるだけの安定した軌道が得られないという問題が試射によって明らかになった。
「特殊武装の実戦テストを行っていた」遊撃隊から、V字型に弾を発射するライフルの存在が明らかになっていたが、実物は戦闘の混乱で行方不明、
実際に開発に携わっていた研究員も詳細については覚えておらず、状況が状況である為に彼らをそれ以上引き止めることもできず、V字発射ライフルの技術流用は断念された。 -
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303
ななしのよっしん
2010/09/16(木) 08:13:22 ID: CvmaT72wBU
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そんな折、なんとはなしにUMランチャーのレンコン型弾倉を見ていた研究者の一人が、ふと思うところがあって拳銃の図鑑を引っ張り出し、自らの発想が可能だと考え、同僚達に相談を持ちかけた。
彼が指したある古い拳銃――UM系と同じ回転式弾倉を備えたそれは、他のリボルバー拳銃、そしてUMランチャーと大きく違うところがあった。
他の拳銃が弾倉の上部から発射していたのに対し、彼の示したそれは弾倉の下部から発射する構造になっていたのである。
「こいつがそうであるように、リボルバーなら上でも下でも発射できる。なら、両方同時に発射することもできるんじゃないか?
いや、理論上は6発全部を同時に撃つこともできるはずだ。違うか?」
それが実現できれば発射機はUMランチャーの改造だけで済むうえ、開発済みのグレネード弾も流用可能であり、生産コストや配備の面からも有用であると思えた
(同時発射ランチャーが無くてもUMランチャーや他の発射機で一発ずつ撃つことも可能となる)。
「……違わないな。けど実現には無理があるんじゃないか? 主に反動とか」
「それをどうにかするのが僕達の仕事だろ?
ランチャーについての案はある程度できている。唯一ともいえる問題が、その反動だ」
そこで最大の問題であった発射反動について、実射によるテストが行われた。
電気着火式に改造された単発式ランチャーを複数繋げただけの、明らかなテスト用の銃を渡された隊員は酷く微妙な顔をしていた(6連装には流石に難色を示した)が、それでも指示された通りの試射を行い、
後の研究員からの質問の段になってようやく表情に納得の色を見せ、実射の感想だけでなく運用なども含めたアイデアや経験談を積極的に提示した。
それにより、同時3発までなら反動もランチャーの重量も運用可能なレベルだが、それ以上は据え置きか撃ち捨てでないととても使えないということがわかり、3連装ランチャーの設計・開発が進められた。 -
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304
ななしのよっしん
2010/09/16(木) 08:17:27 ID: CvmaT72wBU
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そうして完成した連装ランチャーは、通常のUMランチャーに砲身を2本追加したような奇妙な形状ではあったが、
テスト段階のものよりも軽く、独特の撃発法の為に組み込まれた専用の緩衝装置のおかげで反動も(意外と)マイルドであった。
発射機構は通常のハンマーによる撃発と電気着火の複合式で、弾の方でも両方に対応している。
まず通常の撃発によって6連弾倉上部の弾を撃発、同時にバッテリーから電流を流して右下と左下の弾を電気着火し、3発を同時発射する(実際にはコンマ1秒以下のタイムラグがある)。
その反動で衝撃を電圧に変換する緩衝装置を動かし、発生した電力でコンデンサを再充電・次弾発射に使う電気着火用の電力を確保する。
正面から見て回転式弾倉の上・右下・左下の3発を発射し、その間となる残る右上・左上・下の3発はトリガーと連動した通常の送り機構で1段階回転させることで発射位置へと移動する。
追加された左右の砲身はやや開いて装着されており、これによって約30度の開度で拡散発射され、その間を埋める形で中央を1発が飛んでいく。
時限式はその構造上、接触型よりも高い火力を有することが常識となっていたが、BRUTEJは時限式・拡散発射の特性を活かす為に爆破範囲を重視し、
接触式のBRUTEでは近接時の自爆の危険を減らす為に爆破範囲を抑えてその分威力を重視しており、結果的に威力は同等のまま爆破範囲だけが異なるものとなった。
2連GランチャーCRUMBLEは、威力上昇の苦肉の策として弾を大型化したために回転式弾倉の装弾数を4発に落さざるを得ず、結果中央の砲身を切り落とした水平二連型のランチャーとなった。
3連型では重量増加と機構の複雑化を避けるために電気着火という形で『誤魔化していた』同時撃発装置を備えており、弾こそ電気着火にも対応させているが撃発そのものはハンマーの衝撃で行われる。
構造上発射開度は3連型と同じ約30度。中央に飛ぶ一発が無い代わりに高威力グレネード弾の爆破範囲で中央の一発分の隙間を埋めている。 -
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305
ななしのよっしん
2010/09/16(木) 08:19:32 ID: CvmaT72wBU
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とはいえ複数の撃発機構や複数の砲身の重量、電気着火対応のカートリッジ等複雑な構造から、メンテナンスの手間や生産性の低さ、コスト高等が問題となり、
更により高コストではあれど、広く・判り易く・なによりバカ火力のスタンピードXMの実戦配備により、置き換わる形でこれら連装ランチャーは姿を消していく。
しかし、この時得られたランチャー重量や反動のデータを元に『限界』に挑む形でUMAXの開発に着手、試験段階ながら傑作と謳われる兵器となったことを考えれば、
グレネードの開発系譜において連装ランチャーが無駄だったと言い切ることはできないだろう。
なお、UMAX弾を連装ランチャーに装填して威力と火力を併せ持った広範囲兵装として使用することも不可能ではないが、弾倉強度の関係上10射保てばいい方、酷ければ初弾で弾倉が裂けてしまう為、
UMAX弾のみ専用のランチャー(ストックにUM-AXと大きく刻印されている)での使用に制限されている(重いUMAX弾を飛ばす為に強い発射薬が装填されているため)。
当然だが、逆にUMAXランチャーで他のUM弾を使用するのはなんの問題も無い。
またUMAX弾の強い発射反動の問題から連装化は見送られている(2連装CRUMBLEの弾倉をUMAX用に交換した改造型が確認されているが、
上下を逆にして迫撃砲のようにストックを地面に、或いは肩に担いで壁や大きな瓦礫に押し当てて使用されており、手持ちのランチャーとしては無理の過ぎる兵装であることは間違いない)
大戦中は新旧の発射機が入り乱れて配備されていた為にこの制限が意味を持っていたが、掃討戦終了後の再編成に伴う統一装備プログラムの実施で、UMランチャーは全てがUMAX対応となり、同時にこの制限は解除された。 -
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306
ななしのよっしん
2010/09/17(金) 03:34:05 ID: vPRee8N42s
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バッファローG3バーストが何故2連装なのかと考えて某剣客漫画及び某ロボットゲームに登場する刃が2連になっていて短い間隔で均等に損傷を与えることにより治療や再生を困難もしくは遅延させるという効果を目指して造られた武器を思い出しこれは似てるかもしれないと思いいろいろ考えてみました。
実際壁に撃って見ると ガバナー>>>>G3バースト>バッファロー・スパローと言った具合。
またこの銃の初登場を調べるとノーマル37噴出で女王蟻発見以降なのでこの2連装と言う発想は
「飛翔しての逃走、もしくは部隊を強硬突破しうる可能性が高く、なお且つそれを許す訳にはいかない、女王蟻やヴァクラなどの超巨大生物に対するストッピングパワー」
2発の散弾を狭い範囲に当てる事で複雑な損傷を与え、運動能力の低下、損傷の長期化により後続・増援部隊への繋ぎを目指した。
しかし時期的にC型爆弾や対超巨大生物戦術の発展及びALLレーザーの完成に挟まれ発展の道(及び使い道)を閉ざされてしまった間の悪い銃だった・・・言う解釈はどうでしょう?・・・微妙ですね;
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307
トウフウドン
◆CUSj3wKrCc 2010/09/19(日) 19:29:44 ID: MpcQNSMukf
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>>299のバッファローG3バースト
>>302の3連GランチャーBRUTEJ、3連GランチャーBRUTE、2連GランチャーCRUMBLE(3武器まとめ記事)
以上のご投稿を承りました
現在、掲載待ちの投稿記事は以下の17件です。
「AF16」
「AF19」
「ファイブカードXA」
「ジェノサイドガン」
「スタンピードM1」
「スプラッシュグレネード(無印)」
「スティッキーグレネード試作型」
「スタンピードM2」
「スティッキーグレネード(無印)」
「グレネードランチャーUM1」
「ライサンダー2」
「MG10」
「ライサンダー(無印)」
「P89バウンドガンMG10J」
「ライサンダーF」
「バッファローG3バースト」
「3連GランチャーBRUTEJ、3連GランチャーBRUTE、2連GランチャーCRUMBLE(3武器まとめ記事)」 -
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308
ななしのよっしん
2010/09/20(月) 00:21:30 ID: 9+l4C/indb
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309
ななしのよっしん
2010/09/20(月) 02:30:24 ID: SMsjB9Y8Mm
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SSに挑戦。長文中尉。
EDFの新作なんてなかった('A` )
AF15
俺はEDFが嫌いだった。
というより、EDFに進んで入隊するやつが嫌いだった。
給料が良い、待遇が良い、そんな理由で国を守ることを忘れる奴らが大嫌いだった。
部下の曹長も俺の下を離れてEDFに入隊した。家族のため。そいつはそう言って消えていった。
あいつらは本気で宇宙人が攻めて来ると思っている。
確かに2013年に起きたあの事件。宇宙になにかいるだろうよ。
だが、宇宙ではそれがあいさつなのかもしれないじゃないか。
そんで地球に来たら教えてやればいい。ビームは撃つもんじゃないってな。
そんな俺を曹長は笑った。
お気楽者だと。
ああ、そうさ。俺はお気楽者さ。お気楽者は戦場でも生き残る。映画でよく聞くセリフだ。
俺は宇宙人の存在を信じていなかったわけじゃない。むしろいると思ってたさ。
なのに俺はEDFに入隊しなかった。なぜか?
宇宙人が攻めて来るより、どこぞの国が核ミサイルをぶっぱなしてくる方が早いと思っていたからだ。
そうでなくとも、何かをきっかけに戦争をふっかけてくると。外国人は何を考えているかわからないからな。
そうなったとき誰が国を守る?
EDFは人間を殺さない。暴徒と化した人間も。例え祖国が滅びようとしていても。
そんなのはまっぴらゴメンだ。だから俺はこの自衛隊に残った。
曹長に、古い人類と言われた。 -
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310
ななしのよっしん
2010/09/20(月) 02:33:05 ID: SMsjB9Y8Mm
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俺は古い人類だった。
遠くに見えるらしいたくさんのアリンコがそれを象徴している。
あの曹長の憎たらしい顔が浮かんできた。無性にイライラする。
「120迫、すべて配置完了しました」
軍曹がそう言ってきた。数年前はヒョロッヒョロだったのに、今ではとても頼もしいヤツだ。いつか喰われるかもしれない。
迫撃砲を用いた、巨大生物掃討作戦。世界中で同じようなことが行われているらしい。
EDFの連中との共同作戦だ。ただEDFでは未だ迫撃砲や榴弾の類は開発されていないため、今ここにはいない。
面制圧完了の後、ライフルを持って残ったアリを掃討するらしい。まあ、俺達には関係ないが。
まったく楽な仕事だ。弾を飛ばす。それだけだ。これで死んだら笑いものどころではない。
1400時、作戦開始。
合図で一斉に発射された。
しばらくして、爆発音が響いた。煙が立ち込める。その煙を見て煙草が吸いたくなった。吸えなくなったのは値上げのせいだ。
牽引車の中でボンヤリしていると、怒声が響いた。軍曹だ。昔のヘラヘラした声ではない。ホント頼もしくなった。
「巨大生物が……巨大生物が接近してきます!凄まじいスピードです!」
急いで起き上がって俺は目を疑った。爆心地からここまでどれほど距離があるのか。覚えていないが、少なくともキロ単位だ。
たくさんのでかいアリンコが迫っていた。まっすぐこっちに。
「巨大生物が……俺たちを殺すんだ!あの顎で!」
「なんだよこれ!EDFの連中はなにしてんだよ!倒してくれるんじゃなかったのか!」
自分の部下ながら情けなくなってきた。だがその意見には賛同する。EDFの連中はなにをしている。やはりあいつらはアテにならなかったんだ。金のために入隊した奴らだ。アテにした俺がアホだった。
「迫撃砲は捨てろ!全員牽引車に乗り込めぇ!」
俺はそう言うと、自分の命令を無視して牽引車から降りた。中にあった武器も一緒にだ。
「うわあああああぁぁぁああああぁ!ライフルが効かない!」
ハチキュウの銃声と共に声が響く。この声はチビでデブでハゲのあいつか。警戒のため、多少前方に展開させていた。
「ひ……ひぃぁぁああああああぁぁあ」
前方で奇声が上がった。この声は聞いたこともなかった。 -
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311
ななしのよっしん
2010/09/20(月) 02:34:37 ID: SMsjB9Y8Mm
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「命令だ!早く車に乗って逃げろ!軍曹!お前もだ!」
部下たちは一目散に車に乗って逃げ出した。俺のことを気にするものはいなかった。
俺は、逃げようとしていなかった。
あのスピードは車じゃ逃げ切れない。足止めが必要だった。
「隊長一人なら、武器は一つでいいでしょう?」
なぜか武器は二つ転がっている。自分で取り出したはずだが覚えていない。我ながら混乱していたようだ。
「うるせえ!いいから逃げろ!酸で溶けるぞ!痛いんだぞ!」
「言い方が子供ですね。顔はおっさんのくせに」
俺の言葉を無視して軍曹は武器を拾った。よく見ると見覚えの無い銃だ。間違っておもちゃでも持って来ちまったのか。
「これ、EDF製ですよ!八九式より頼れそうですよ隊長!」
そういえば、EDFの連中から使えないからと、武器を回されたような気がする。
「巨大生物接近!撃ちます!隊長も!」
前の方に展開していた奴らがなぜか戻ってこない。理由は明白だ。
「敵討ちだ」
俺はそう言って弾を装填した。引き金を指を引っ掛けた。
「おおおおおおおお!?イヤッッホォォォオオォオウ!」
気持ち悪い声が上がった。五月蝿い軍曹だ。
「隊長!これすごい連射性ですよ!あれ?」
そう言ったら銃声が止んだ。自分の持ってる武器の横を確認してみた。AF14RARと書いてある。
軍曹の撃った弾は、巨大生物を怯ませるほどの威力を持っていた。確かにハチキュウよりか頼りになりそうだ。
アリンコがケツの穴から酸を放ってきた。いつの間にか目の前だ。運良く、酸は俺を避けた。
「隊長!リロードしますから、その間撃ってください!」
「お前が俺に指示するか」
そう言いつつ俺は銃をぶっぱなした。アリが悲鳴をあげて足をとめる。 -
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312
ななしのよっしん
2010/09/20(月) 02:36:21 ID: SMsjB9Y8Mm
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「アイツのケツの穴にロックオンだ!」
「余裕ありますね隊長。こっちは精一杯ですよ」
酸を放とうと尻を振り上げたアリがひるんだ。その隙に他のやつを狙う。
こうやって敵足を止め続けた。助かる希望は無いことは撃ったら分かった。怯みこそすれど、まったく倒れない。
いくら不良品扱いでもEDF製、普通のやつもこれより多少マシってレベルだろう。こんな武器で立ち向かっていたのか。あいつら。
撃ち切ったらしい。弾が出なくなった。
「リロード完了!俺の番だ!天皇陛下万歳ってね!」
軍曹が変わって撃ち始めた。声色は軽いが顔は真剣だ。無理をしているんだろう。なぜ俺はこいつを無理にでも逃がさなかったのか。こんな時に後悔し始めた。
アリンコの後続が次々到着し始めた。撃ち切った軍曹に変わって撃ち始めたが、それでも間に合わない。尻を振り上げ、赤い酸を吹き出す。酸の雨。アシッドシャワーと言ったほうが子供にウケるかもしれない。
「隊長、俺、この戦いが終わったら結婚するんですよ」
バカがバカを言い出した。さすがにヤバくなってきた。これから死ぬはずなのに俺も軍曹も割と落ち着いていた。
「隊長!横!右!いや、隊長から見て左!」
「な……」
アリが顎を鳴らしながら突進してきた。スズメバチに立ち向かうミツバチの気持ちがよくわかった。
時間がゆっくりになった。
アリに穴が開いた。
奇声と共に、アリが倒れた。
誰が?
俺は振り返った。振り返っている間にもアリンコは次々に倒れていった。
「どうも皆さん援軍だぜ!EDFのレンジャーチームの俺がお迎えしに来たぜ!」
「立つなよ!危ないじゃないか!」
俺は驚いた。役立たずが役に立っているんだ。驚かないで誰が悪い。
「さすが新型ライフルだ!糞蟲が一瞬で死んでいくぜ!」
「だから立つな!」
あいつら牽引車に乗っている。運転手はさっき叫んでいたうちの部下だ。今も叫んでいるが。
車が止まり、中から派手なベストを着ているやつが数人降りてき、撃ち始めた。
「新型の威力を見せつけろ!撃てえええええ!」
「Yes,ser!」
先頭の部隊長らしきやつ、なんだか見覚えのある憎たらしい顔な気がする。 -
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313
ななしのよっしん
2010/09/20(月) 02:37:30 ID: SMsjB9Y8Mm
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「おら!前にいるやつ!下がれ!当たるぞ!」
声も聞き覚えがあるが、気にしないことにした。
「軍曹、待避だ!武器もいらん!走るぞ!」
「ラジャー!」
いつの間にアシッドシャワーもなくなっていた。
俺たちが牽引車のあるところにたどり着いたとき、すでにアリンコは全滅していた。あれほど弾を撃ちこんでも倒せなかったやつらが、あっさりと。
人々を虐殺して回った、俺たちが倒すべきだった、憎き敵を一瞬で。
力のなさを実感した。
軍曹に貰った煙草を吸った。
肺が痛くなった。
……だが、あいつらには力がある。
あのおぞましい巨大生物をいとも簡単に撃ち破った。その力。
まだ開戦から、数週間。
その僅かな時間で新型のライフルを完成させた、開発チームにも驚きを禁じ得無い。
俺もそろそろ、オッサンになっちまったのかもしれないな。
「いまさらですか?」
「人の心読んでんじゃねえ」 -
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314
ななしのよっしん
2010/09/20(月) 17:40:14 ID: mpOfJgqp3+
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315
ななしのよっしん
2010/09/21(火) 22:38:26 ID: SMsjB9Y8Mm
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316
ななしのよっしん
2010/09/24(金) 20:26:47 ID: aWgeFmYaqR
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アーマースーツの項最終行の「着ていた」が「来ていた」になっていたので
勝手ながら修正させて頂きました。通りすがりで失礼しました。 -
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317
トウフウドン
◆CUSj3wKrCc 2010/09/24(金) 22:45:00 ID: MpcQNSMukf
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318
AF99_1
2010/09/25(土) 23:08:57 ID: CvmaT72wBU
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今までも前置きから始まっていましたが、今回は更に輪をかけて前置きが長いです。全文の45%くらいが前置きとかもうね…
辻褄の合わない部分とか数値を勝手に設定している部分もあるので、その辺は添削をお願いします
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AF99
キャリアーが何故巨大生物や機動兵器を無尽蔵に投下できるか?という疑問に対する解は、空間転送か圧縮格納のどちらかであるという説が有力であった。
巨大生物の生命力(耐久力)や速力の上昇は、適応や進化という言葉で説明でき、巣で成長した個体を格納、或いは転送して投下しているとみて間違いないだろう。
また明らかな機械体であるガンシップやヘクトルの耐久性が上昇すること(しかも外見の変化はないまま)には、
どこか他の星やマザーシップ内部に工場やそれに類するものがあり、地球での戦闘データを元に製造・改良を行っているという見方ができる。
だが、もしも―――あくまで推測に過ぎないが―――そういった『工場で生産されたものを現地改造』した上で戦線に投入しているとしたら?
先のキャリアーの無尽蔵性に「その場で生成している」という説もあった。しかしそれは物質生成の為のエネルギー量の問題から否定されていた。
だがヘクトルの武装は、近接戦用のバルカン・広域破壊用のブラスター・遠距離砲撃用のプラズマ砲を戦域や配置に合わせて付け替えられており
(ヘクトルの武装は腕と一体化しているので、厳密にはこの表現は間違いである)、左右で異なる武装であることも珍しくない。
大戦前の人類の技術でさえ、資材さえあれば武装を作り出して装備し、戦闘に赴くことができた。
ましてや、二足歩行戦車ヘクトルとその武装であるビームバルカン(AKライフルが原型と謂われる。尚ブラスターは四足にも搭載されていることから『既存』の兵装だと思われる)
を短期間で開発・量産し、戦線に投入したフォーリナーならば、『武装付き』で転送or運搬してきたヘクトルを短時間で現地向けに改造することくらいやってのけるだろう。
つまり物質をゼロから生成するではなく、元々ある物体を他の物体に『変質・変形』させる程度ならば、さほど大きなエネルギーは必要ないのである(といっても比較問題に過ぎないが)。 -
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319
AF99_2
2010/09/25(土) 23:10:45 ID: CvmaT72wBU
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この説を裏付ける状況証拠がある。キャリアーの『投下速度』である。
キャリアーはそれぞれが決まった「もの」を投下する(四足がそうであったように、状況に応じて投下物の変更自体は可能だと思われる。
切り替えに手間や時間が掛かる為か、投下物が変わる瞬間を見た者はいない)が、巨大生物は複数匹が連続投下されているのに対し、ヘクトルは一体ずつしか投下されていない。
これは単に転送したor格納していたものをそのまま落とすだけでいい巨大生物と違い、ヘクトルは一体のサイズに加えて改造(装備)を施す時間が必要だからではないかと思われる。
四足もまた、巨大生物やカンシップは連続投下していたのに対し、ヘクトルは時間を置いて一体ずつ投下していた。
前置きが長くなったが、つまりはキャリアー等の『投下装置』には物質変成の機能もあるのではないかということである(後に残骸の解析によって変成機能を持つことが明らかになっている)。
それがEDFの歩兵用武装とどう関わるのか?
それは、基本的に銃というものが弾に合わせて造られるものだということにある。
銃弾の直径とバレル内径が一致するのは無論のこと、薬莢にフィットする薬室、発射火薬の爆圧に耐えられる銃身肉厚、薬莢後端の溝の形状に合わせた引き抜き装置など、
様々な点で銃と弾が合っていなければ、弾は飛ばないどころか時に銃そのものが破損し、的ではなく射手を殺傷してしまう。
常時ならば、銃に合う弾を、或いは逆に保有する弾に合う銃を手に入れればいい。
だが世界的な資材不足と流通不全に陥った大戦時に、そんな『常套手段』が通用するわけがない。多少無理があろうとも、手元にあるものを使わねばならなかったのだ。
(その一部が巨大生物の外皮を用いたアーマーやバウンド弾、体液を利用した強酸投射銃アシッドガンである) -
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320
AF99_3
2010/09/25(土) 23:15:22 ID: CvmaT72wBU
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AF99はそんな背景から生まれた独自の内部機構を有するアサルトライフルである。
通常のライフルは弾倉内の銃弾を機械的な送り機構で薬室に押し込むことで発射の準備状態となる。
しかしAF99はキャリアーの『装置』を解析して入手した物質変成技術を用いており、内部機構で銃弾を分解、弾頭を一定口径に再構成しているらしい。
その詳しいシステムに関しては軍事機密であるため明らかにされていないが、『ライフル弾』と呼ばれる種類の弾薬であればどれを使っても、混ざっていても構わないという“超”汎用性は、
確実に『合う』弾を手に入れられるとは限らない最前線の兵にとって非常に心強いものであり、主に接近戦を得意とする部隊や、噂を聞きつけた各国軍、レジスタンスまでから配備要請が殺到した。
要請を出したとはいえ、兵士達は使用技術の高等さや不可解さから配備数には絶望的な見通しを立てていたが、当初の要請数に加えて初回配備時に急遽追加要請された分
(同時期に配備が開始されたAF99STを要請していた隊が、4倍近い初期配備数の差から遅延を見越した『繋ぎ』として、或いは乗り換える形でAF99を要求した)までもを、
AF99STの半分の期間(最終的な要請数はEDF内だけでSTの倍、外部組織も含めれば3倍近くあった)で支給し切るという圧倒的な生産性をみせ、いい意味で彼らを裏切る結果となった。
これは長射程を持ち味とするAF99STの要求する命中精度(工作精度)がS+であるのに対し、射程が約半分のAF99はAでよいという製作の手間や、専用弾薬の有無などの差から生じた結果である。
(なお、AF99STの配備に準じて『余った』AF99は他の部隊のスペアやEDF外の戦闘組織に支給された)
そんなAF99にも欠点が残されていた。
解析半ばの技術を見切り発車的に投入(それ自体は戦時という火急の事態ゆえ公然と行われており、その為に救われた命もあることを考えれば非難はナンセンスである)した為に、
ほぼ完璧に動作していたのは弾頭の分解・再構成の機能だけで、発射火薬に関しては『抜き取って送るだけ』に留まっていた。
また発射速度や連射速度・威力を一定に保つ為に、大型弾は弾頭素材や火薬の一部が使われないまま薬莢と共に排出・投棄されており、
当初の『物資不足を補う』という点からは本末転倒なシステムとなってしまっていた。 -
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AF99_4
2010/09/25(土) 23:20:33 ID: CvmaT72wBU
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その後、対マザーシップ兵装の開発を目的とした「次世代先進兵器開発計画」、その一部としてライサンダーFの強化改修計画Z-Planが始動。
数で勝るフォーリナーに対するには不利となる高火力・低連射というライサンダーの特性を補う支援兵装――ヘクトルやキャリアーといった大型兵器を叩くスナイパーを援護する、
或いは逆にスナイパーの援護の下で巨大生物を掃討する接近戦部隊用――として、Z-Planに付随する形で「次世代先進兵器開発計画」に組み込まれ、
ライサンダーFと同じく、各機能の不全部分の完全動作――資材の不完全消費や発射火薬への不干渉等の改善――を目標に改修・改造が進められていく。
(性能上の評価ではAF99STの方が評価は高かったが、既に改造の余地が無い程の高い完成度であったことと射程距離を始めとした性質が狙撃銃に近しかったことから、
狙撃銃であるライサンダーが不得手とする接近戦に強いAF99が選択された)
ナンバーが21から99へと飛んでいるのは、従来モデルと違って弾薬の強化に頼らない「次世代の」銃であるということと、不全部分が存在するために「完璧」には届かないということから、
従来の2桁ナンバーの「次世代」である100に一歩及ばない、という意味で付けられている。
(AF99STは、AF20STの『前例』に則って同時期に開発されたためにナンバーを揃えた結果そう付けられたに過ぎない。STライフル開発陣はナンバーへの拘りは薄いようだが、100STの方が喜んだかもしれない)
一部には、これが開発された日本に伝わる(民族的な世界観と言う方が近いか?)、物品が長い時間経過により意思を持ち、時に姿を変えて自ら動き出すとされるモンスター「九十九神(付喪神)」と
物質変成機能をかけた言葉遊びだとも言われるが、どちらであってもAF99の性能と信頼性は間違いの無いものである。
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以上です。
加えて誤字報告。
・アシッドガン の噴霧実験のシーン
根元の間接から焼き切られている
→関節
ロボットもので「逆間接」で良く誤字られるんですよね、この漢字w -
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トウフウドン
◆CUSj3wKrCc 2010/09/26(日) 19:19:57 ID: MpcQNSMukf
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トウフウドン
◆CUSj3wKrCc 2010/09/26(日) 19:26:30 ID: MpcQNSMukf
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ななしのよっしん
2010/09/27(月) 19:54:11 ID: SMsjB9Y8Mm
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325
ななしのよっしん
2010/09/27(月) 21:34:59 ID: hOG+MOv+M8
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326
ななしのよっしん
2010/09/28(火) 17:59:17 ID: o0PpVnrRyH
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最近はネタ成分が少ない記事を書いてきましたが、読んで面白いのでしょうか?
個人的には、
司令官「今のEDFには華がない! そうだ、女性隊員のアーマーをメイド服にしよう!」
↓
研究員「わかった。やってみる」
↓
司令官「新型アーマー、モデル『エロメイド』が来たぞ!」
レンジャーズ「「一生ついて行きます隊長!」」
↓
オペ子「司令官、開発局からメッセージが。『男性用のも用意した。テスト結果を数日中に報告すること』だそうです」
一同「……」
↓
司令官をプロミネンスに縛り付け 「宇宙に帰れぇ~」
みたいなネタに走った記事の方が好きなのですが、どちらの方が需要があるのでしょう。
とまあ前書きはふざけて書きましたが、本文はネタなしです。
ゴリアスD1
戦後こそ地球を救った英雄として称えられたEDF日本支部であるが、開戦前、結成当初のEDF日本支部は『張り子の虎』と揶揄され、フォーリナーが侵略者であると断定された後は、
異星人たちの圧倒的な科学力と軍事力の前では持ちこたえて半年だろうと総司令部に見積もられた。
それまで親日国として手を携えてきた国々は手のひらを返し、皆が日本の陥落を仕方が無いと黙って見送った。
しかしながら日本支部の陸戦隊は各所で奮戦。小規模な戦力しか持たない地域やEDF構想に反対し一国武装中立を宣言した国家の戦線が崩壊、陥落してゆく中、空母型円盤を撃墜し、巨大生物を掃討してフォーリナーに多大な損害を与えていた(当時はそう分析されており、それは間違いだったということは後にEDF壊滅という授業料をもって知ることとなる)。
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ななしのよっしん
2010/09/28(火) 18:00:28 ID: o0PpVnrRyH
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フォーリナーからしても日本列島戦線においてここまで激しい抵抗を受けるとは予想していなかったのか、突如進路を変え日本に引き返してきたマザーシップより四足要塞が投入されることとなった。
関東を蹂躙する四足要塞への攻撃は失敗。さらに、地底において巨大生物の巣穴が確認されたため、EDF総司令部と日本政府は日本列島の放棄を検討。
EDF日本支部にも極東司令部へ撤収命令が下されるが、司令官と発令所の職員らが抗命行為であることを承知で命令を拒否。
その後日本脱出計画は撤回された(詳細は書籍『EDFの戦い 2017』及び『EDF戦史2020年刊』、『巨大生物(フォーリナー)の項目』を参照』)。
生まれ故郷を護るため。
各地の新兵募集所には無数の志願兵や義勇兵が殺到した。
少なくない犠牲を出したものの、地底の巣穴を根絶。
また四足への補給活動の妨害に成功、これを好機と見たEDFは四足攻略作戦を計画した。
日本の陸戦隊は、先の地底侵攻作戦にて多大な損害を出しており(巣穴が予想以上に大規模だったため作戦が長期化し、参加部隊の平均死傷率は142%に達した)、この作戦が失敗すれば日本列島戦線は戦力喪失により崩壊する。
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328
ななしのよっしん
2010/09/28(火) 18:03:18 ID: o0PpVnrRyH
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その為司令部、戦略情報部からの派遣将校、さらにはかつて実行された四足要塞阻止作戦に参加した攻撃隊の生き残りも加わって入念に検討。
しかしながら、残された戦力や日本支部に配備された現存する兵器では正面切って戦えば勝ち目はないと判断され、
『遊撃隊が四足の行く手を遮り注意をひきつけ、その隙に主力攻撃部隊が足元に展開。不意を付いて集中砲火で弱点を攻撃する』……それが唯一我々に勝ち目が残された可能性である、と最終決定が下された。
しかしながら、この作戦には懸念される点があった。
携行火器の火力不足である。
奇襲である以上、四足要塞が反撃準備を整える前に撃破ないし確実な損害を与えることができる瞬間的な火力が必要であるが、
攻撃隊員の人数が満足に揃えられなかったため、最新式(当時)のスティングレイランチャーやスナイパーライフルでは有効な損害を与えられない公算が大きかった。
そのため司令官は主力部隊用の攻撃兵器の製作を兵器開発局に依頼。
さしもの開発班も時間や資材、予算の都合上無理だと難色を示していたが、
「これが日本の存亡をかけた正真正銘最後のチャンスなんだ!」
という司令官の執念に折れた。
1分1秒を争う逼迫した状況だったこともあり、実際に四足と戦った陸戦兵の直接の声が箇条書きに近い『要望書』としてそのまま開発班に送られるという異例の措置が取られ(「毎回こうだったなら俺たちは消火器片手に出撃せずにすんだものを」と、
終戦まで戦い抜いた陸戦隊員たちは語る。この事例は司令官と研究員の、規則規律が重要視される軍組織においては異常ともいえるほどの柔軟さを賞賛すべきなのか普段の場当たり的で無謀な開発&指示を咎めるべきなのか判断に苦しむところである)、
その内容は要約すると、
・短期決着を想定しているため手数よりも一撃の破壊力を重視。
・狙いをつける時間が確保できる保証がないので、単発式でもいいから確実に狙って当てられる射程と精度を(この頃製作された『改悪』に近い新型のアサルトライフルや、手数重視のカスケードランチャーの精度の悪さに起因する)。
・四足の真下から真上に向けて撃つからグレネードランチャーでは無い物でお願いしたい。
・訓練に費やす時間がなく、実戦経験が足りない新人も少なくないため、単純で扱いやすく、信頼性の高い物が望ましい。
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329
ななしのよっしん
2010/09/28(火) 18:05:04 ID: o0PpVnrRyH
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これらの条件を満たした兵器が、四足要塞と実際に戦い、これから今一度戦いに往く隊員の総意であり、直ちに研究班へと伝えられた。
しかしながら、最精鋭でこそないものの、有能な人材が集まった開発チームをもってしても、作戦決行日までの期限があまりに短すぎたため、やはり無理だと開発メンバーは結論づけようとした。しかし主任研究員は
「この約束を果たせなければ我々にEDFの仲間を名乗る資格はない」
と宣言。それを受けた他の研究員も覚悟を決め、すべてを投げうち開発を続行した。
世間からはマッドサイエンティストと後ろ指を指されている彼らとて日本を、地球を守ろうという想いは同じだったのである。
研究員らは一から書き起こした設計図をプライドと共に破棄し、対ヘクトル用に開発していた遠距離攻撃を想定した低倍率スコープ付きのロケットランチャーを流用。
次弾装填機能を廃し、単発式にしたことによる構造の単純化によって精度や動作の確実性が向上。単純化に伴い扱いも容易になった。
従来の弾倉式のランチャーと比べて相対的に弾頭が大型化。威力もそれまでのスティングレイランチャーとはけた違いに上昇。
スティングレイシリーズではカートリッジ式弾倉に補給用の水を内包し水冷式で機関部などの過熱を抑えていたが、
弾倉を廃したため構造の見直しを迫られたため、開戦前と比べて飛躍的に向上した技術、及びフォーリナーがもたらした地球外テクノロジーを用いて、3秒に1発のペースで射撃が可能な空冷式となった(この設計は後のAFRARなどにも用いられた一方、
一部の素材や設計にフォーリナーゆかりのものが使われており、人類側の加工技術などの限界によりAF20STやスティングレイランチャーなどには使えなかった) 。
こうして、四足要塞との決戦の直前に、対四足用のロケットランチャーは完成した。
外見こそはスティングレイに酷似していたものの、内部構造は全くの別物であった為、スティングレイの名ではなく、『弱小の者が強大なものを打ち倒す』という願いを込めて『ゴリアス』の名を冠せられた。
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ななしのよっしん
2010/09/28(火) 18:06:39 ID: o0PpVnrRyH
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肝心の四足要塞攻略作戦では、戦略情報部の砲台の起動にかかるまでの時間を読み違えたため、
遊撃隊の狙撃支援が間に合わず(地底侵攻作戦に参加したストームチームはほぼ全滅に近い損害を出しており、この作戦に参加した遊撃隊員の半数が頭数合わせのためにかき集められた若手の兵士であった為展開及び攻撃にまごついた面もあるため、一概に戦略情報部が悪いという訳ではない)、
ゴリアスランチャーを装備した主力強襲部隊は壊走。
しかしながら、四足要塞にしがみついて作戦を続行した遊撃隊員が破損を免れたランチャーを回収し、四足要塞に損害を与えることには成功した。
なお、急遽間に合わせで、現地改修に近い形で製作された兵器だったため、その後新しく製造されることはなかったが、四足要塞との戦闘を生き延びた隊員らの強い要望により、
北米の兵器開発局がこのランチャーの可能性と発展性を見て後押ししたこともあってゴリアスD1の名で制式装備品として登録された。
終戦後、再建されたEDFの複合施設のホールにて、激戦を『生き延びた』ゴリアスD1が、四足要塞との戦闘で殉職した陸戦隊員のリストと共に今なお展示されている。
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