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インフレ恐怖症


ヨミ: インフレキョウフショウ
掲示板をミル!
12カキコ!

インフレ恐怖症(inflation phobiaとは、「ひとたびインフレが発生したら制御できなくなりハイパーインフレにまで突き進むのではないか」という強い疑心にとりつかれ、いかなる場合でもインフレ誘導政策に猛反対することを言う。
  


症状と罹患者


日本政府日本銀行の政策は多々あるが、その中にはインフレを高めるものがある。

インフレ誘導の政策を提示されたら、「通貨の信認が失われ、通貨価値が暴落し、インフレが制御できなくなり、ハイパーインフレになる」という口上を述べ立てて、猛反対をする・・・これが、インフレ恐怖症の典的な症状である。

日本経済デフレになっていようがなんだろうが、一切関係なく発症することでも有名である。この記事[外部]には日本インフレ率の推移が示されているが、1999年以降の多くの年でデフレとなっていることがわかる。安定的な経済成長に必要とされるインフレ2%に達しない年が非常に多い。そういう状況でもインフレ恐怖症が流行した。

インフレ誘導政策をひとたび実行したらデフレの状態から即座にハイパーインフレへ移行する、とする患者もいる。これを融の岩石理論と言う。「坂に置いてある岩石は放置していれば安全だが、ひとたび転がり出せば猛な勢いで加速して、坂の下に住む人々を危険なに遭わせるだろう。融政策もそれと同じで、ひとたびインフレ誘導をしたら猛な勢いでインフレが進み、ハイパーインフレになる。ゆえにインフレ誘導をせず放置するのが一番だ」というである。

ちなみに、インフレには数段階あり、2~3クリーピング・インフレ、5~7の高度経済成長期並みインフレ、10~20のギャロッピング・インフレ、26を3年続けるなどして3年以内に物価が2倍になるハイパーインフレ、といった段階を踏む。「デフレからいきなりハイパーインフレになる」というのは、インフレ恐怖症特有の物言いである。


患者としては、財務省官僚の一部、日本銀行職員の一部、国会議員の一部、経済学者の一部などが挙げられる。また、財政再建という名の緊縮財政支持者に患者が多い。
  


インフレ恐怖症になる原因


人はなぜインフレ恐怖症を発症するに至るのか、その原因は長らくに包まれていた。本項において考察しておきたい。

インフレ恐怖症の原因は、大きく分けると4系統になると思われる。タイプAは「トラウマ説」、タイプBは「喪失に対する恐怖説」、タイプCは「学術的知識の作用説」、タイプDは「学術的知識の欠如説」である
 


タイプA トラウマ説


幼少期にオイルショックを体験し、インフレのトラウマを植え付けられた

日本において、年間インフレ10えるギャロッピング・インフレが発生した直近の年は、1973年である。この年に第1次オイルショック[外部]が起こり、狂乱物価と言われるほど物価が上がった。トイレットペーパー買い占めが起こるなど(画像[外部])、社会になった。

この第1次オイルショックが幼少期と重なり、100円の小遣いで買える駄菓子の量がどんどん減っていくという戦慄すべき恐怖体験を経たことでインフレに対する根深いトラウマが心に刻み込まれ、40年以上経った2020年現在でも心の傷(PTSD)に苦しんでいる、という論考が上がることがある。

青山雅幸衆議院議員[外部]は、インフレに対する恐怖心をTwitter上で露わにすることでとても有名である。彼のインフレに対する懸念のは、いくらでも読むことができる(ツイート1[外部]ツイート2[外部]検索[外部]

これに対して、「青山議員は、 1962年生まれで、1973年の第1次オイルショックのときは11歳だった。第1次オイルショックを実経験したから、インフレ恐怖症を抱えることになったのではないか」と分析するTwitterユーザーがちらほら現れている。
 


タイプB 喪失に対する恐怖説


高額の銀行預金を保有する者が、資産の目減りを嫌っている

経済評論家三橋貴明が、2016年11月3日にアップロードしたブログ記事[外部]の最後尾で、“資産を「預」で保有している富裕層にとって、例えば3インフレは「資産が実質的に毎年3ずつ、減りしていく」ことを意味します。恐らく、この辺りに世界に蔓延した「インフレ恐怖症」の解があるのではないかと考えているのですが”とっている。

高額の銀行を保有する富裕層が、銀行の価値の減りを嫌うためにインフレ恐怖症を発症した。それが、他の人へ伝染していったのかもしれない、という推論である。

この推論には反対意見もあり、「富裕層は銀行の他に式や不動産を所有していることがある。銀行インフレに弱いが、式や不動産はインフレに強い(インフレーションの記事で解説されている)。だから富裕層はインフレをさほど脅威に感じない」というものである。
 

賃金労働者が、物価の上昇を嫌っている

インフレ時においてっ先に苦労することになるのが、安定した職に就いている賃労働者である(インフレーションの記事で解説されている)。インフレになると物価上昇が発生するが、賃上昇がそれに追いつかず、賃労働者が苦労する。

財務省官僚や大学教授は、典的な賃労働者である。しかも資産運用をするほどの高給取りではなく、富裕層のように式や不動産を所有してインフレ対策することも難しい。

日本でもヨーロッパでも、インフレ時に賃労働者がストライキを起こして賃上昇を要したケースが多い。そういう歴史事実を考えれば、「賃労働者の警心が、インフレ恐怖症の原因である」という説の説得は高いと言えよう。
 

格差縮小に対する恐怖心がある

インフレーションの記事でも解説されているが、インフレになると安定している職に就いている勝ち組が損をして、就業状況が不安定な負け組が得をすることになり、格差社会が解消され、格差の縮小が発生する。

格差の縮小を生々しい言葉で表現すると「難しい勉強を重ねるという苦労をして大学卒業した高学歴勝ち組と、中学卒業してからロクに勉強もせず遊んでばかりいた低学歴の負け組の給料が、次第に同じような額になっていく」というものである。

苦労をして高学歴を勝ち取った人にもいろんな人がいるが、その一部には「自分は苦労してやっと人並みの給料にありつくことができた。苦労せずに人並みの給料を得ようとするのは許せない」という調子で、努や苦労を経ずに給料をもらうことができる幸運の持ちに対してしい嫉妬心を感じつつ、自分の積み上げた努の価値が下落することを恐怖する人がいる。

そういう、幸運に対する嫉妬自分の努の価値下落に対する恐怖心を胸に秘める人は、格差縮小を本的に嫌悪し恐怖する。インフレというのは格差縮小と同意義なので、格差縮小を嫌う心理がインフレ恐怖症の原因になるというわけである。


余談だが、嫉妬心というのは、非常に強く人を突き動かすことで有名である。20世紀を席巻した共産主義根本原理は「持ちに対する嫉妬」とされているし、20世紀終盤から2020年現在まで猛威を振るっている新自由主義は「法律・制度に守られた既得権益に対する嫉妬」とされている。嫉妬心というのは、決して馬鹿にできないものである。
 


タイプC 学術的知識の作用説


商品貨幣論の影響を受けている

貨幣の成り立ちを説明するために使われてきた商品貨幣論の影を受け「通貨の信認を失ったら貨幣価値が暴落する」と信じていることが、インフレ恐怖症の原因となっている、という説がある。


簡単に商品貨幣論を説明すると、以下のようになる。「原始社会では物々交換が行われていたが、そのうち、市場に参加する皆が一様に価値があると信認する商品が便利な交換手段(貨幣)として使われるようになった。その代表例は、である。時代が進むにつれて、との交換を義務づけた紙幣が流通するようになった。1971年のニクソショックドルの交換が停止されてからは世界中から紙幣が姿を消して不換紙幣ばかりになったが、不換紙幣利用する皆が一様に価値があると信認しているから、皆に使われて流通しているのである」というものである。

つまり商品貨幣論とは、「貨幣とは、利用する皆が一様に価値があると信認しているもの」と定義する理論である。

商品貨幣論は、との交換を義務づけた紙幣の時代までは上手に貨幣を説明できた。ところが、不換紙幣の時代になるとあまり上手に説明できない。「共同幻想」というあやふやな言葉を持ち出して、苦し紛れの説明をするようになった。

現代は世界中で不換紙幣が使われている。紙幣というのは原価がわずか24円切れなのだが、そんなものに1万円の価値が宿っていると、利用する皆が共同幻想を抱いている。

その説明は、同時に、「インフレ誘導をして政府通貨価値を保つ姿勢を放棄すると、皆が紙幣を疑い始め、『切れに価値がある』という共同幻想が崩れ、利用する皆の通貨に対する信認が一気に失われ、1万円札の価値が24円にまで即座に下落する、すなわち即座にハイパーインフレになる」という思考をもたらす。この考え方は、インフレ恐怖症そのものである。

商品貨幣論は、長らく正統的な学術論として扱われてきた。大学商品貨幣論を教え込まれ、その影を受け続けている人たちが、インフレ恐怖症に苦しんでいるのである。
 

インフレ恐怖症の根本原因が商品貨幣論にある、という学説は有力説ではないかと思われる。その理由の一つは、インフレを全く怖がらない人たちが信奉する国定信用貨幣論という貨幣論が、商品貨幣論と全くの逆の理論になっているからである。


※この項の資料・・・中野剛志『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』328~331ページ[外部]東洋経済記事[外部]
 


タイプD 学術的知識の欠如説


売りオペのことを知らない

日銀は、売りオペレーションという行為を行うことができる。保有している国債国債市場参加者に売却することで、日銀当座預金という通貨をこの世から消滅させ、世の中全体の日銀当座預金の総量を減らすことができる。日銀は、通貨発行権だけでなく、通貨削減権も持っているというわけである。

そういう事実を知らなかったり、あるいは忘却したりすると、「通貨をひとたび発行したら、2度と通貨の総量を減らすことができない」と思い込むようになり、インフレを極度に警するようになり、インフレ恐怖症を発症する。
 


関連項目



最終更新日: 20/03/11 22:29
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