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チョッパリピース


ヨミ: チョッパリピース
掲示板をミル!
44カキコ!

チョッパリピースとは「朝鮮語チョッパリ」に起する、日本を貶めるために使われる侮辱のハンドサイン」である……かのように日本語圏のインターネット上で流布されているものである。

しかし詳しくは後述するが、侮辱のハンドサインとして存在している、と言えるだけの確たる根拠が見つけられない。ネット上で広められた根拠が曖昧な話、いわゆるデマ/陰謀論のようだ。

「チョッパリピース」という名称自体も2015年インターネット掲示板5ちゃんねる」で創作されたもののようで、それ以前の使用例が確認できない。


概要


チョッパリ」(쪽발이)とは朝鮮語で「割れた足」をし、のように二つに割れた蹄の足をす言葉だった。これから転じて、足袋下駄履など足のが離れた履き物を用いる日本人への罵倒/蔑称として用いられるようになった。詳細は「チョッパリ」の記事を参照されたい。

この「チョッパリ」に関連して、

「特殊な形でピースサインをすることによって「チョッパリ」を表し、陰ながら日本を貶める的で行われるハンドサインがあるのだ」

というのが、日本語圏のインターネットで流布されている内容である。

ちなみにこの「チョッパリピース」には、「1. 2015年に芸人関連で流布されたもの」「2. 2019年中ごろに芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」関連で流布されたもの」「3. 2019年末に野球際大会「プレミア12」関連で流布されたもの」と、手の形がいずれも異なる3種類が存在する(詳細は後述)。なお、その「1.」や「3.」内でも手の形が異なっていたりするので、実際には3種類どころではない。

「手の形がいずれも異なる様々なハンドサイン」であるのに同じ「チョッパリピース」として流布されてしまう、ということが何を意味するかと言うと……「ピースに似ているが一般的なピースとは異なる」ポーズを取っていれば、何でもかんでも「チョッパリピース」だとして誹謗中傷され拡散されてしまう、という状況になってしまっているとも言える。

一例を挙げれば、以下のツイート「小泉進次郎議員がチョッパリピースをやっている」と非難する内容で、2019年8月中旬にツイッターに投稿されたもの[外部]2019年8月18日現在時点で1000件以上の「いいね」を集め、1200回以上リツイートされている。

ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/madaimeijin/status/1161407760518406144[外部]

だが実際には、この写真一緒に写っている「平将明」議員が2013年にツイッターに投稿したもの[外部]だが、「ボブピース」という「下町ボブスレープロジェクト」の決めポーズを取っているだけである。

ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/TAIRAMASAAKI/status/347918577854193665[外部]

ちなみにこの「ボブピース」は「グッジョブ」と「ビクトリー」を表現したもの中小企業サミットin自民党本部 | 下町ボブスレーオフィシャルブログ[外部]安倍晋三総理大臣も「下町ボブスレープロジェクト」の表敬訪問を受けた時にこの「ボブピース」をしたことがある。

このような状況下では、政治家や芸人などにとって、いや分野を問わずあらゆる有名人にとって、「ピースに似ているが一般的なピースとは異なるポーズ」の写真を撮して開しておくことは危険かもしれない。

それだけでも、上記の小泉進次郎議員や平将明議員のケースのように、謂れのない中傷拡散されてしまうリスクになってしまうからだ。


朝鮮語でのウェブ検索による検証


翻訳した朝鮮語「쪽발이 피스」(チョッパリ ピース)「쪽발이 사인」(チョッパリ サイン)などで検索して確認してみても、朝鮮語でこのハンドサインについて説明したサイトはほぼない。

それどころかわずかに見つかるのは、以下のように「チョッパリピースというのが日本ネット右翼の間でネットミームになってるらしい」と紹介して嘲笑したり呆れている韓国サイトである。


物証の欠如


また、「明らか日本を貶めるためにこのポーズをとっているとわかる写真」のような物は全くい。

「ちょっと趣向を変えたピースサイン」「特に深い意味のないキメのポーズ」「二敬礼パロディ」「gun fingerガンフィンガー)の模倣」などといった他の理由で自然に説明可なものばかり。「日本を貶めるためのポーズとしてしか説明できない」ような写真が存在しないようだ。

日本を侮辱するためのハンドサインとして有名であれば、例えば韓国反日デモなどで明らかに侮蔑や威圧の表情でこのポーズを取っている者が多くみられてもよさそうなものだが、報道写真を見てもそのような者が見つけられない。

「こいつらが日本を貶めるチョッパリピースを取っている!」として流布されるのは日本の芸人や有名人であり、しかもの場で陽気に大っぴらに映っているものばかりである。侮辱の意味のハンドサインをそういったシチュエーションで行うのは不自然であろう。

ただ、「本当の意図を隠して、日本を貶めるポーズを広めるという陰謀のために流行らせようとしているのだ」とする向きもあるようだ。しかし、その根拠を確認しても「他の解釈が可な話の寄せ集め」の域を出ない。


チョッパリピース バージョン1(2015年)


最初に広められた「チョッパリピース」は、「人差しと中えて伸ばして、も立てて、と小は握ったハンドサイン」であった。「ピストルハンドサインの、伸ばした人差しに中も添えたバージョン」と言えるかもしれない。

ネットTwitter検索したところ、2015年4月10日インターネット掲示板5ちゃんねる」のとあるスレッドで書き込まれた、お笑い芸人8.6秒バズーカー」がこのハンドサインをよく行っていることに関する書き込み(レス番号159番[外部])が発端だったようだ。

このスレッド[外部]自体は、「8.6秒バズーカー」が「反日芸人」ではないかという噂話を取り上げたニュースサイトサンデー」の記事だった。

※ちなみに、この「サンデー」の記事の内容自体も「他の解釈ができる材料を、すべて強引に悪い方に解釈していった」だけの信憑性の薄いもので、記事中にすら「こじつけではいかという」という但し書きが載る程度のものだった。

上記の書き込みの後にも、同スレッド内では「タレント木下優樹菜も「チョリーッス」の掛けとともにこの手の形をしていた」「チョッパリピースを略してチョリーッスってことか(この趣旨の書き込みが「チョッパリピース」という言葉のそもそもの初出であるようだ)」等と、具体的な根拠を欠いたままにどんどんとこの内容を信じ込んで発展させる人々が登場。

さらには上記のスレッドの内容をまとめたブログが複数現れ、

これらのブログ記事がTwitterなどで拡散されたことで、この根拠があやふやな「チョッパリピース」を信じてしまう人が急速に増えていったようだ。

こういった過程の中で、8.6秒バズーカー木下優樹菜氏だけではなく様々な芸人・有名人写真もこういったポーズを取っている写真が掘り起こされていった。そしてその芸人・有名人ネット右翼が嫌うような要素が何かあれば、「チョッパリピースをしている」というレッテルを貼られて広められ、中傷されていった。


そもそもよくあるポーズ


しかし根本的な問題として、そもそもこのポーズ / ハンドサインは大してしい物ではないという点がある。

たとえば1930年の名作映画『モロッコ』のアミー・ジョリー(演:マレーネ・ディートリヒ)[外部]『ドラゴンボールGT』の「孫悟空」[外部]『新世紀エヴァンゲリオン』の「葛城ミサト」[外部]、『ラブライブ!サンシャイン!! 』の「国木田花丸」(Aqours 3rdSingle「HAPPY PARTY TRAIN」試聴動画[外部]の再生時間1分40時点)……など、少し検索して探しただけでも複数のキャラクターがこれとほぼ同じか、あるいはかなりよく似たポーズを取っている画像・映像が発見できてしまった。

さて、「これらのシーン制作者は全て日本を貶めようとする陰謀を持っており、そのためにこのポーズを取らせたのだ」と考えるべきだろうか?

そう思う人はどいないだろう。

上記でも少し触れたが「二敬礼」という軍人などが行うよく似たポーズがある。正式な「二敬礼」はを立てないが、軍人でない人がうろ覚えに雰囲気でなんとなく真似ればこのポーズにもなるだろう。

また、Vサインを少し崩してを伸ばして行えば、このサインによく似たものになってしまう。

手話で使われる「文字」の「し」や「り」もこのサインに似通っている指文字一覧|NHK手話CG[外部]

本記事「概要」でも触れたが、「下町ボブスレープロジェクト」の決めポーズで「グッジョブ」と「ビクトリー」を表現する「ボブピース」も、横向きになっているが類似している。

さらに、「gun finger」(ガンフィンガー)というレゲエドラムンベースなどの音楽でよく使用されるポーズ/ハンドサインに至っては、上記の「チョッパリピース」と全く同じ形である(→「"gun finger"」でのGoogle画像検索結果[外部])。

日本ダンス&ボーカルグループDA PUMP」は、この「ガンフィンガー」を参考として2019年の楽曲「」内で「サクラフィンガー」という類似ポーズダンスに取り入れたDA PUMP今年は「桜」で勝負 振り付けのTOMOとダンス世界一KENZO語る/芸能/デイリースポーツ online[外部]。そのため「DA PUMP」のファン等の間でも行われることがある。

つまりこのポーズは、さまざまなきっかけで自然に取りうるような、あるいは別の由来が明確にあるような、割とありふれたものなのだ。不特定多数の芸人や有名人過去にこのポーズを取ったことがあってもおかしくはない。

そのため「こいつは気に入らない、反日に違いない」と思う芸人や有名人たちの過去の画像をしつこく探せば、該当するものを見つけ出す可性はそこそこあると思われる。そして見つけ出した画像をSNSなどに投稿して「ほらチョッパリピースを取っている!こいつは反日だ!」とあげつらえば、結果としてこの「チョッパリピース」の神話は補強されていく。


チョッパリピース バージョン2(2019年その1)


2010年から3年ごとに開催されている芸術祭「あいちトリエンナーレ」の2019年開催回。その「あいちトリエンナーレ2019」のセレモニーにおいて、愛知県知事の「大村秀章」氏や芸術監督を務める「津田大介」氏など多数の参加者が「人差しと中を離して伸ばしたピースサイン(Vサイン)を横向きに作った両手を、手の甲を前に向けて体の前に持ってきて、上下に配置する」というポーズをとって写真を撮した。その写真は、大村秀章知事の公式Twitterなどで開されていた。

だがその、「あいちトリエンナーレ2019」の一では、元従軍慰安婦を題材とする「平和少女像」や、昭和天皇写真を含むコラージュ作品が燃やされる様子を記録した映像作品など、センシティブな展示内容を含む企画展「表現の不自由展・その後」が行われていた。

これらの展示内容には抗議電話メールが殺到し、最終的には「夏休み子供達も来館するんやろ。FAX届き次第大至急撤去しろや さもなくば、うちらネットワーク民がガソリン携行缶持って館へおじゃますんで~~」という文面の脅迫ファックスが届いたことを理由に、「表現の不自由展・その後」は中止が決定された。

この騒動の中で、この企画展を批判する人々の中の一部の者たちが、「両手でピースサインを作り、体の前で上下に配置する」という上記の写真ポーズについて「これは日本を侮辱するチョッパリピースだ」という論調を取り始め、Twitterブログ記事などのインターネット上で非難しはじめた。

そしてそういった非難について著名人までもが言及するなどの経過を経て、インターネット上でさらに拡散されていった。その結果として、このジェスチャーも新たな「チョッパリピース」として扱われ始めてしまった。

かしここで疑問が起きる。上記の「バージョン1」とはかなり違うポーズである。実質「二本を立てている」という点くらいしか共通点がいだろう。同じ「チョッパリピース」であるなら、なぜこんなにポーズが異なっているのか?

その理由は簡単で、このポーズは別に「チョッパリピース」というわけではなく、「あいちトリエンナーレ2019」のメインビジュアルを模したポーズであるため。

まず「あいちトリエンナーレ」のロゴは初回の「あいちトリエンナーレ2010」の際に決定されたもので、「Aichi」のAと「Triennale」のTを組み合わせた矢印となっているあいちトリエンナーレ2010のロゴマークが決定しました。 - あいちトリエンナーレ2010[外部]。ちなみにこの時の愛知県知事は大村知事ではなく、芸術監督津田氏ではない。

そして、「あいちトリエンナーレ2019」のメインビジュアルはこのロゴを配置したものになった。「対立を越えて多様な世界を行き来し、連帯してゆく人間」を表現する意図で「縦に2つ並んだ横向きの矢印ロゴで、片方は右で片方は左と、それぞれ逆の方向を向いている」というものあいちトリエンナーレ2019のメインビジュアル等が決定しました | ニュース | あいちトリエンナーレ2019[外部]

このメインビジュアルを両手のハンドサインで模したものが、上記のポーズと言うことになる。


「裏返したVサインだから侮辱」



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最終更新日: 20/06/19 19:36
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