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『ファイナルファンタジーIX』(FINAL FANTASY IX)とは、スクウェア(現スクウェア・エニックス)が2000年7月7日に発売したプレイステーション用ゲームソフトである。略称はFF9、FFIX等。
ファイナルファンタジーシリーズの本編第9作目である。
ファイナルファンタジーIX |
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ジャンル | RPG |
対応機種 | プレイステーション |
発売元 | スクウェア |
開発元 | スクウェア (ホノルルスタジオ) |
発売日 | 2000年7月7日 |
プレイ人数 | 1人 |
メディア | CD4枚組 |
希望小売価格 | 7,800円(税抜) |
予約特典 | ビビのぬいぐるみ (コンビニ予約) |
CERO | A (全年齢対象) |
その他 | <移植版> ・2010年5月20日から ゲームアーカイブスで配信 <リマスター版> ・2016年2月10日から iOS/Android版配信 ・2016年4月14日から Windows版配信 ・2017年9月19日から PS4版配信 ・2019年2月14日から Nintendo Switch/ Xbox One版配信 |
シリーズ最後のプレイステーション用タイトルであり、次回作のFF10以降はPS2にプラットフォームを移す。
主に『パラサイト・イヴ』の制作に参加したスタッフや、その他の美術力の高い海外スタッフを多く集めるため、ハワイのホノルルスタジオを拠点にし、映画版『ファイナルファンタジー』と同時進行で開発が行われた。映画版FFと同様に「生と死」に纏わる物語を主題にした作品であるが、こちらは王道ファンタジー風の世界観を採用し、鮮やかな色彩のデザインを多く取り入れている。
物語のテーマは「生命讃歌」。世界を巡る陰謀に巻き込まれながらもキャラクターたちがそれぞれの「生きる意味」を探して旅を続ける物語は非常に情緒的、哲学的で今なお根強いファンに支持されている。
特にその物語性を強く反映したキャラクターのビビ・オルニティアは本作における裏の主人公と謳われるほど人気が高い。
制作のコンセプトには「原点回帰」が掲げられており、初期ナンバリングのFFがハードの制約の関係上で多用できなかった3D表現を用いて再び"ハイ・ファンタジー"路線のFF世界の実現に挑戦した作品である。
また、PS1の持てる表現の限界を出し切ることも目標として掲げられ、次世代機のPS2に引けを取らない映像美を実現した。
同じPS1作品のFF7,8は映画やドラマのような手法を取り入れていたが、本作では非現実的・アニメ的な動き(モーション)の面白さを多様に盛り込み、そうする上で人物グラフィックを高頭身にすると絵的に不自然に映ってしまうため、頭身が引き下げられている。そのため、1つ1つの場面が一枚絵の中で起こっているような演出を獲得している。物語面においても随所に見られる叙情性に富んだ台詞回しが「演劇」を思わせる作りになっており、FFがシリーズを連ねていく毎に離れて行った"古典演劇"への回帰が見受けられる。
また、最後の一桁代のナンバリングということでFFシリーズが備える世界観を再構築する目的で身内向けすぎず退化の要因にならない程度に過去のオマージュ要素が盛り込まれている。同じく、知っている人をニヤリとさせられるようにクリスタルも復活している。
…が、発売前に公開していた作品のコンセプトが「原点回帰」で、宣伝コピーは「クリスタル、再び」だったがために、そのクリスタルの登場が終盤であることや、クリスタルの存在が大前提の冒険では無いこと、ジョブチェンジシステムが無いなどの理由で、本作でのクリスタルが予想と違う扱われ方をしている点について古参ファンは不満の声を上げていたという。(だが、本作のクリスタル自体は設定上重要な位置付けになっており、乱雑どころか寧ろプレミアムな扱いをされているのは変わりない)
発売から10周年を記念する2010年にはPlayStation Storeのゲームアーカイブスにて配信が開始。
2016年2月10日からはiOS版とAndroid版、4月14日からWindows版の配信が開始された。
2017年9月19日にはPS4版が登場。2019年2月14日にはNintendo Switch版とXbox One版も登場。
2016年以降の同タイトルはリマスター版となっている。
いずれも定価2500円。新要素としてトロフィー機能、ムービーシアター(※要クリア)が実装。
ロード時間が大幅に短縮され、戦闘開始時のカメラ旋回をカットすることが可能。下記の高速モードを併用するとで更に素早く戦闘ができる。ムービーシーンのスキップも可能。
他には、ブースト機能が新たに加えられ、「オート戦闘モード」の他に「トランスゲージMAX」「ダメージ9999固定」「高速モード(移動速度、イベント&ムービーシーンの高速化)」「エンカウント無し」をポーズ画面(PAUSE)から選択できる。こちらは後で取り消しが可能。
また、コンフォグ画面から「アビリティマスター」「レベル魔石力MAX」「ギルMAX」を選ぶことができるが、こっちは一度選ぶと取り消しができないので注意。
以下、各ハードの違い。
しかしCM広告まで打ったにも関わらず、国内・海外共に前作8よりも売り上げを落としてしまった。これは
などが原因とされている。
▲上記の通り、当時本作は攻略本(アルティマニア)の発売をする予定がなかったという現代においては異例の処置が下されていた。これはプロデューサーの坂口氏の意向によるものである。
攻略サイト版・書籍版アルティマニアの序文に坂口氏は「攻略記事や攻略本を見ながらプレイするのではなく、自分自身でゲームを進めた時に感じる驚きや、友だちとそのゲームについて情報交換し合う楽しみを味わってほしい」という意図があったことが書かれている。
その為か、本作の内容も随所にプレイヤーの各々の想像に委ねる展開、メタファー(暗喩)がさりげなく盛り込まれており、作品を通して絵本のようなコミカルで可愛らしく癒される世界観とは裏腹に、プレイすればするほど「答え」を探し出せる作りになっている。
あのラスボス、あのキャラの消息、終盤に出てくるクリスタル…それぞれのものの配置、キャラクターたちの台詞が意味深な役割を持っていて、プレイヤーに想像を掻き立たせている。
本作のテーマである「原点回帰」にすら多様な捉え方がある。物語をクリアした後、どんなものや人が【原点】に【回帰】したのか考えるもの面白いだろう。
一方、未公開だった情報はゲームの完全攻略における隠し要素も然りで、手持ちに何も用意して無いまま完クリ派の人にはあまり良い印象は持たれていないが…
また、IX以降再び初期シリーズ(の世界観)を意識したナンバリング作品は現れなかったが、DS版FF3・FF4を経て、外伝ではあるが『光の4戦士』とその後継作品の『ブレイブリーデフォルト』が初期FFにおける王道ファンタジーの復古かつ遺伝子を受け継いでいる。
何にせよ、FF9のCM中に現れる“見つからないものを、見つけるために。”という主題は、それを丸々意味していたのかもしれない。
▲何気ない流れの中で人は生きる。
不安を抱き、疑問を抱き、悲しみを抱きながら。そして、人はなにかを求めようとする。
彼等がそうであったように。
ジタンは自分の守るべきものを。
ビビは自分の存在を。
ガーネットは自分らしさを。霧がすべてを覆い尽くすこの世界で、彼等は自分なりの「答え」を探し求めた。
ある時は戦い、ある時は手をとりあうことで。その「答え」は何だったのか。
彼等はそこに何かを見いだすことができたのか。それは、この物語を紐解けばわかるかもしれない…
―パッケージ裏面より