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フォアグラ


ヨミ: フォアグラ
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フォアグラfoie gras)とは、ガチョウやアヒルカモ)の脂肪肝を食材としたものである。

美味であることで知られ、キャビアトリュフとともに「世界三大珍味」と呼ばれることもある。


概要


ぶっちゃけ「食い過ぎ状態が続いたガチョウやアヒルカモ)の肝臓」の事である。ガチョウやアヒルカモ)等に必要以上に餌を食わせて脂肪肝にし、その肝臓を食すというシロモノ。

「フォアグラ」とはフランス語であり、「フォア(foie)」は「肝臓」、「グラ(gras)」は「脂肪」なので直球で「脂肪肝臓」である。ちなみに疾患としての「脂肪肝」は「stéatose hépatique」というまた別の名称がちゃんとある。

フォアグラを作るのに使われるは、上記のようにガチョウおよびアヒルカモ)。ガチョウはフランス語で「oie」(オワ)、アヒルカモ)は「canard」(キャナー)という。ガチョウのフォアグラ(foie gras d'oie)の方がより古くから製造されていたが、現在ではアヒルカモ)のフォアグラ(foie gras de canard)が流通数の大半を占めている。

名称がフランス語であることからも分かるが、フランス料理でよく使用され、フランスでよく生産され、フランスでよく消費される食材である。ちなみに、フランス法律で「フォアグラはフランスの保護すべき文化遺産、美食遺産だ」と宣言している。フランス以外ではブルガリアハンガリーでも多く生産されているが、それらのからもフランスに向けて大量に出荷されている。

フランス人にとってもフォアグラは庶民的な普通の食べ物というわけではなく、ハレの日に食べる、ちょっと贅沢感のあるごちそう的な食べ物である。ただしパテ製品などにはかなりお手頃価格のものもある(パテは中身が100%フォアグラでなくてもよいという事情もある)。また全体的に見ても、世界三大珍味の他2種、キャビアトリュフ較すると手が届きやすい価格である(キャビアトリュフの一部製品が、希少性の故に異様な高価になっているとも言える)。


アヒル?カモ?


アヒルカモ)」というどっちつかずの記述が気になる方もいるだろう。これには色々と事情がある。

まず「アヒルカモ)のフォアグラ」のうち多くは、「canard de Barbarie」というのオスと、アヒルのメスを掛け合わせて作った雑種「canard mulard」を肥育して作られる。雑種にしない「canard de Barbarie」自体を肥育して作る場合もある。

そしてこの「canard de Barbarie」は、日本語で「バリケン」、「フランスガモ」、「タイワンアヒル」、「バルバリー」、「バーバリ」とも呼ばれる。つまりカモとも呼ばれているし、アヒルだとも呼ばれているのだ。フランス語の「canard」は日本語カモアヒルの双方に対応するのである。

ただし「カモは野生のアヒルはそれを禽化したもの」と考えると、全に禽化されている「canard de Barbarie」は「アヒル」と言う方が適当に思われる。であれば、「canard de Barbarie」とアヒル雑種である「canard mulard」もカモと言うよりはアヒルだろう。

しかし日本フランス料理翻訳の慣例として、canardカモと訳す。例えば禽化されたcanard、つまり日本語の基準では「アヒル」とするべきだったとしても、フランス料理食材店やフランス料理店では「カモ」と和訳するのである。そのためcanardのフォアグラは、日本での商品説明としては「カモのフォアグラ」とされていることが多い。


食材として


上記「概要」での説明からもご想像がつくと思うが、かなり脂っこい食べ物である。しかし、ただの脂でギトギトの食材と言うわけではなく、独特のコクのある味があり、さらに滑らかな舌触りも相まって美味であると評されることが多い。

肝臓の形をある程度残してソテーやポワレやグリルといった様々な手法で焼いて調理される場合もあれば、テリーヌやパテやムースといったように形を残さずすり潰すような調理法もまた伝統的なものである。アヒルのフォアグラは前者のような温製の料理に向くとされ、ガチョウのフォアグラは後者のような冷製の料理に向くとされる。また、新鮮なフォアグラは生で供されることもある。

フォアグラを使う有名な料理としては、「フィレのロッシーニ」だろうか。有名な作曲であり美食でもあったジョアキーノ・ロッシーニが好んだことでこの名が付いており、ヒレステーキの上にフォアグラを乗せトリュフも使った贅沢な料理である。ロッシーニはフォアグラとトリュフが好きだったことで知られているそうで、他にも「ロッシーニ」と付いたフォアグラとトリュフを使ったメニューが複数あると言う。

肝臓」という点は日本でも一般的な食材であるのレバーと共通している。しかしフォアグラは臭みが少なく、また脂でしっとりとしていることや調理法の違いからボソボソとした食感にもなりがたく、バーとはかなり食材としての方向性が異なる。ただし、でも稀に偶然「バー」(要するに脂肪肝)が発生する。この「バー」は通常のバーより臭みが少なく食感もクリーミーになるとされ、ややフォアグラ寄りと言えるかもしれない。


倫理的衝突


動物愛護団体にはすこぶる印が悪い。ただの食わせすぎではなく、理やり食わせて肥えらせる所が、癇に障るらしい。

この理やり食わせる手法をガヴァージュ(gavage)と言うが、その方法は基本的に「管をの食に突っ込み、圧で食物をの中に流し込む」というものであり、確かにイメージとしてかなり苦しそうなものである。

動物愛護団体は「はガヴァージュを嫌がって避けようとする」「ガヴァージュでは傷つけられ、ストレスを感じる」「ガヴァージュが行われると死亡率が上がる」「肥大した肝臓のために、は立つこともできなくなり呼吸すらしづらくなる」「わざと病気にさせるという行いが異常である」「一部の生産場ではたちは劣悪な環境に置かれている」などとし、フォアグラの生産・流通・消費に反対している。

こういったに対する反論もなされており、例えば「水鳥はそもそもを丸のみにして食べる種であり、食に管を入れられても苦しくはないはずだ」「ガチョウは渡り鳥だった雁を禽化したものだが、元々雁は渡りの前に栄養を肝臓に蓄える性質がある。つまりガチョウに残った雁の性質を利用して肝臓脂肪を蓄えさせているのであり、病的な脂肪肝と単純に同一視するのは正しくないただし「canard de Barbarie」の場合は、元になった野生種も渡り鳥ではない」「少なくとも認定を受けたまともな生産場ではを劣悪な環境においたりはしない」と言った意見もある。

ともあれ動物保護の観点から、さまざまなや地域において、フォアグラの製造禁止や流通禁止の法規制が為されてきている。例えばポーランドイスラエルはかつては有なフォアグラ生産であったが、現在では製造が禁止されている。インド2014年にフォアグラの輸入を禁止した。

そんな中、アメリカ合衆国での動向はやや特徴的である。シカゴでは2006年にフォアグラの販売禁止が定められたが、約2年後に止された。また、カリフォルニアでは2012年にガヴァージュによるフォアグラの生産・流通・提供禁止が定められたが、やはり2年半後に止された。止されるまでの期間も、禁止を守らなかったり、フォアグラを無料提供し他の料理の価格で補う(これなら「販売」にならない)という法の抜けを使うレストランが多く、行政もこれを取り締まり切れてはいなかったようだ。同歴史にある「禁酒法」と「隠れ場(スピークイージー)」を思い起こさせるようなエピソードである。

なお、こうした倫理的問題を避けるために「ガヴァージュを行わず、思う存分食べさせることのみで肝臓脂肪を付けてフォアグラを作る」といった代替的な生産方法もわずかながら行われている。ただし伝統的なガヴァージュによる製法を守っていないため、この「倫理的なフォアグラ」をフォアグラと呼んでよいのかどうか疑問視する人もいる。

さらに、植物由来成分から作られた、ベジタリアンヴィーガンでも食べられるようなフォアグラ模造製品も何種類か存在している。


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最終更新日: 17/07/23 20:44
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