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ヤン・ウェンリー(Yang Wen-li / 宇宙暦767年4月4日~宇宙暦800年6月1日)とは、田中芳樹の小説『銀河英雄伝説』に登場する自由惑星同盟軍最強の用兵家であり、テロリズムに倒れた不敗の英雄である。
恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもののぞみはしない。だが何十年かの平和でゆたかな時代は存在できた。吾々がつぎの世代になにか遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和がいちばんだ。そして前の世代から手わたされた平和を維持するのは、つぎの世代の責任だ。それぞれの世代が、のちの世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和が保てるだろう。忘れれば先人の遺産は食いつぶされ、人類は一から再出発する事になる。まあ、それもいいけどね。
座乗艦(第13艦隊司令官就任後)は「ヒューベリオン」、「レダII」、「ユリシーズ」。
石黒監督版アニメでの声優は富山敬、逝去後、青年時の配役として郷田ほづみ(のちに完全に後継)、同「黄金の翼」では原康義、「Die Neue These」での声優は鈴村健一、遠藤綾(幼少期)。舞台版の俳優は河村隆一(「初陣 もう一つの敵」では田中圭)、DNT舞台版では小早川俊輔。宝塚版は緒月遠麻、凛城きら。
「銀河英雄伝説」における、自由惑星同盟側の主人公的存在。惑星エル・ファシルでの民間人300万人救出や、難攻不落のイゼルローン要塞を味方の損害ゼロで陥落させた事から「奇跡のヤン」「魔術師ヤン」と呼ばれ、主人公ラインハルト・フォン・ローエングラムとは
と、私生活が質素な事とジョークのセンスが無いと言う共通点以外は対極の存在として描かれている。諸葛亮や陳慶之がモデルとの説があるが、原作者の田中芳樹はモデルは特にいないとしている。
ヤン自身の実態は、歴史と紅茶が好きな以外は年金暮らしを希望するものぐさな問題児で、ユリアン・ミンツがトラバース法(軍事子女福祉戦時特例法/戦災孤児の養育に関する法律)でヤンの元に来るまでは雑然とした部屋に住み、地位や名声にも無頓着で野望も持たず、特に何か政治的・軍事的な行動をおこすわけでもないぐうたらな日々をすごす一士官だった。
軍人というのは敵を殺し、味方を死なせ、他人を騙したり出し抜いたりすることに明け暮れるろくでもない商売だ
他人に対し寛容・大らか・包容力を持ち合わせているが、嫌いな人間に対しては極端に意固地で毒舌家となり、温和な表情で辛辣な台詞を吐く。万事に不器用、毒舌家のアレックス・キャゼルヌに「首から下はいらない」と評されるほど。
好きな物は歴史と紅茶入りのブランデーブランデー入りの紅茶。歴史家としてはアマチュア研究者程度としか言えないが、こと紅茶に関しては熱が入っており、コーヒーを泥水と考えている節がある。ただし本人が紅茶を上手く淹れられるかというとそんなことはなく、常にユリアンにまかせている。
戦略及び戦術作戦立案能力、用兵能力は作中で最強を誇り、所謂「武人」の意識が欠落している為逃走する事に一切躊躇わず、補給線を重要視し、エドウィン・フィッシャーの名人芸な艦隊運用をもって縦横無尽に銀河を駆け、撃墜王のオリビエ・ポプラン、陸戦無双のワルター・フォン・シェーンコップ、歴戦の老将ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツらを率いて、時には難攻不落といわれたイゼルローン要塞を味方の損害無しで陥落させ、時に奇計・妙計の限りをつくして崩壊寸前の同盟軍を幾度も救い、ラインハルト・フォン・ローエングラムから民主主義を守る為の講和の機会を引き出すまでに至った。
しかし、指揮をとった戦いでは一度も負けていない(あと一撃まで迫ったバーミリオン会戦は本人的には敗戦としているが、ラインハルト自身が敗北したとしている)ものの、どれほど戦場において戦術で優位に立ち勝利を重ねても、ラインハルトが戦略的な勝利を組織した状態で戦っている限りは絶対的な勝利は奪えない事もヤンは理解しており、実際、ラインハルトの知略により毎回寡兵で対峙する事を余儀なくされていた。
戦術レベルにおける偶然は、戦略レベルにおける必然の、余光の破片であるにすぎない
ヤンに戦略眼がなかったわけでは決してなくラインハルトの戦略を看破した事もあるが、ラインハルトが軍権や政権を手に入れ、強大な戦力と確固たる基盤をつくりあげたのに対して、ヤン自身は地位と立場が同盟軍一となっても腐敗しきっていた自由惑星同盟に対し
最高指導者は文民でなくてはならない。軍人が支配する民主共和制など存在しない。
吾々は軍人だ。そして民主共和政体とは、しばしば銃口から生まれる。軍事力は民主政治を産みおとしながら、その功績を誇ることは許されない。それは不公正なことではない。なぜなら民主主義とは力をもった者の自制にこそ真髄があるからだ。強者の自制を法律と機構によって制度化したのが民主主義なのだ。そして軍隊が自制しなければ、誰にも自制の必要などない。
私は最悪の民主政治でも最良の専制政治にまさると思っている。
とシビリアン・コントロールを遵守した為に戦略能力を活かす機会が得られず、また得る努力もしなかった為に発揮される事がなかった。結果としてヤン・ウェンリーの最終的な勝利を前提としない姿勢が、個人的な民主主義の理想により大量の戦死者を作り上げた虐殺者であると後世に評価されたりもしている。ヤン・ウェンリーが最初から本気になっていれば、被害は少なくすんだとも言われたりしているらしい。英雄に祭り上げられた者のつらいところである。
寡兵を率いて連戦に勝利し続けた事、石黒監督版アニメでの富山敬の名演技による人間味あふれる人物像が描かれた事、対陣の物語の主人公が容姿、軍務、政務など全てにおいてチートとも言える天才ラインハルト・フォン・ローエングラムであった事、有能な人材が泉のように湧き出る帝国軍に対して同盟軍の有能な将官が先に戦死し続け、ダスティ・アッテンボロー以降後が続かない慢性的な人材不足やアンドリュー・フォークによる同盟軍崩壊もあって最終的には報われなかった事、最期は暗殺された事、そもそもアンドリュー・フォークが(ryと言った点が日本人の心をくすぐったのか、原作者田中芳樹の「計算外」の大人気を博するキャラとなっている。
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