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古英語


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古英語(Ænglisc sprǣċ, En: Old English)とは、印欧語族(Indo-Europeans)に属する、五世紀から十二世紀にかけてイングランド(England)で話されていた言である。中英語(Middle English)、近代英語(Modern English)へ続き、現代英語スコットランド英語(Scottish English)、スコットランド(Scots)及びその他現在世界各地で話される英語のもととなった言である。現在死語

便宜上、その終わりをノルマン・コンクェスト(Norman Conquest, 1066年)とする。ここから、ロマンス(Linguae Romanicaeオイル系(langues d'oïl)のノルマンフランス語(Norman French)及びれが発展したアングロ=フランス語(Angro-French)が英語に流入し、これをもって古英語は中英語に移行しはじめる。ただし、これは必ずしも、これ以後、古英語が使われなかったということではない。


概要


ゲルマン(Germanic languages)西ゲルマン語群(West Germanic languages)に属し、更に西ゲルマン語群を分ける分類ならば北海ゲルマン群(Ingvaeonic languages)に含まれる。アングル族(Angles)・フリジア族(Frisians)・サクソン族(Saxons)・ジュート族(Jutes)などが話していた言葉がイングランドいて混ざり合って生じた言である。古ザクセン(Altchsisch, Old Saxon)などとも近いが、最も近い言は古フリジア(Old Frisian)である。そのため、よくアングロ・フリジア(Anglo-Frigian)とまとめられることもある。

ノーサンブリア(Northumbrian)、マーシア(Mercian)、ケント(Kentish)、ウェセックス(West Saxon)の四方言に大別される(このうち、マーシアノーサンブリアの方言をまとめてアンリア方言(Anglian)ということもあるが、これはこの地域に移住してきたのがアングル人であるからである)。これはそれぞれアングル族、ジュート族、サクソン族の移住した地域に近い。つまりは、大陸でのゲルマンの分化の影を受け、それが古英語の方言差となった。このうち、ウェセックスイングランド統一を成し遂げ標準となり、また、アルフレッド大王(Arfred the Great, Ælfred)の時代に聖書翻訳や伝承の集を積極的に行ったため、当時も現代もウェセックス方言が占める重が大きい。

彙は、現代英語と異なり、ケルト(Celtic)由来の地名やラテン語(Latin)由来の聖書関連の言葉を除き、ほぼゲルマン由来の単である。後期には、北ゲルマン群の古ノルド(Old Norse)の影を受けるが、影を受けた地域はデーンロウ(Danelawノーサンブリアとマーシア)が中心で、古英語において流だったウェセックス方言はその影が少なかった為、文章上で明確に影が見えるのは中英語からになる。

ちなみに現代英語の単において、西ゲルマンから順当に継承したものは40のうち約1000しかない。基礎的な単でも実は外来語ということがよくあるのである。以下はその一例。

take, get, give, they, rich, egg, dream, birth, art, etc.

これに加えて、中英語以降の文法の簡略化やドイツ語(German, Deutsch)の保守性などのお陰で、古英語の文章はイギリス人よりドイツ人の方が理解ができるという場合が往々にしてあるらしい。


アルファベット


使用するアルファベット(Alphabet)は現代英語ラテン文字26文字の内V/v, W/wを除く24文字に加えて合字Æ/æ、Œ/œと、ルーン文字Þ/þ(thorn;ソーン)とÐ/ð(eth;エズ)、Ƿ/ƿ(wynn;ウィン)とȜ/ȝ(yogh;ヨッホ)が使われる(但し、Ȝ/ȝが必ず使われるわけではない)。また、現代では発音の区別のため、長音ā,ǣ,ē,ī,ō,œ̄,ū,ȳと、ċ,ġを使うことがある他、Ƿ/ƿはP/pとの区別がしにくいためW/wに置き換えられる。


発音・音韻


古英語のりの慣習として、発音との一致がしないものもある。


子音


発音はほぼ日ローマ字どおりに読めばよい。ただし、一部で違うところがある。以下にそれを記す。

文字 発音
c [k] 後舌音 a,o,u の前後と子音の前後では[k]と発音する。
それ以外では下記参照。
ċ [tʃ] 前舌音 æ,e,i の前後と末では[tʃ]と発音される。この区別のため、現代では、 ċ と表記する。
cg [dʒ] 近代英語では dg [ ʤ ]と表される音を古英語では cg と表す。*ggに i ないしは *j(ヤ行の子音)が後続する時に [ ʤː ]と発音された。
g [g]
[ɣ]
g は通常[g]と発音される。後舌音の間や後舌音と l,r の間では[ɣ]と発音される。
それ以外は下記参照。
ġ [ j ] 頭の g に前舌音が後続する場合、 g が前舌音の間にある場合、前舌音に尾の g が続く場合、 g は硬口蓋化し[j]と発音される。これを区別するため、現代では ġ と表記する。
ȝ [ j ] 上記ġの発音を含め[j]の発音をする際に使われた。現代ではほぼ使われない。
h [h]
[x]
[ç]
h は基本、[h]と発音するが、音節末において、後舌音や ea,ēa,eo,ēoの二重音の後、l,r のあとでは、 h は[x]と発音され、前舌音や ie,īe の二重音の後では、[ç]と発音された。
ng [ŋg] 現代英語では尾の g は発音されないが、古英語では発音された。
[nʤ] ngの後に i ないしはj(ヤ行の子音)が後続したときgが硬口蓋化して [ nʤ ]となる。
q [k] 古英語においては、ほとんど使われないが、quで[kw]を表す。通常は cƿ か cw とされる。
sc [ʃ][sk] この子音の組み合わせは古英語以前の時期において硬口蓋化したが、時代を経るにつれてskが硬口蓋化するはずのない音環境でも[sk]>[ʃ]の変化が順次生じていった。
頭においては、前舌音が後続する場合に硬口蓋化が生じ、次いで後舌音、さらにr音の前で生じた。中においては、 前舌音が隣接する環境で生じ、末では前舌音に続く環境で[ʃ]へと変化した。
結果、[sk]として残ったのは、中において後舌音が後続するか、尾において後舌音が前置されるかである。
ただし、古ノルドからなどの借用はこの限りではない
(例:shirt(西ゲルマン由来), skirt(古ノルド由来), OE. scyrte <PGmc. *skurtjaz(ゲルマン祖再建形))。
u [w] 古英語にはwの文字はなく、従って初期には、uあるいはuuの形を用いて、[w]を表現したが、後に、ルーン文字からƿを借用した。
þ/ð [θ] 古くは、 þ が音 ð が有音を表したが両者は後に差別に用いられるようになった。
ƿ [w] 現代の表記では w を使う。
z [ts] 外来語の表記や、希に[ts]を表すとき使われる。

また、摩擦音 f,s,þ/ð は有音の間では有化し、[v],[z],[ð]と発音される。二重子音は長く発音され、-ff-, -ss-, -þþ-/-ðð-は優勢化されない。

註1:古英語の/c/, /g/が硬口蓋化(調音点が前に移動すること)して生じたċ, ġであるが、一応は前舌音の前後でc, gの硬口蓋化が生じたとされているが、これに反するものもかなり見受けられるため、安易にこうだとは決められない事情がある。

例えば、OE. sēċan "seek"であるが、不定形尾OE. -an(aは後舌音である)が後続しているにもかかわらず、cが硬口蓋化している。

またOE. gēs "geese"のように、前舌音が後続しているにもかかわらずgの硬口蓋化が生じていないケースもある。これらでなぜ硬口蓋化が生じていないのかを説明するには専門的な知識と学術的な説明が不可欠なため、ここでは省略することにするが、前舌音が隣接するからといって必ずしも硬口蓋化が生じるわけではないことは留意すべきである。

註2:勉強面ではċ, ġはそれぞれ[ ʧ ], [ j ]と発音するとされているが、おそらく最初は[ c ], [ ɟ ]、つまり硬口蓋閉鎖音であり、それが後に擦音化(assibilation)したと考えられている。


母音


音はa, æ, e, i, o, u, yの短音七つとā, ǣ, ē, ī, ō, ū, ȳ の長音七つ、及びea, ēa, eo, ēo, io, īo, ie, īeの二重音八つで、これに加えて方言によってはœ,œ̄が使われる。古英語が話されていた当時、長音は音を二つ重ねたり、アクセント表記のような記号音字の上にって表記していた例があるが、ほぼ全ての例において、短音との区別なく書かれている。現在ではマクロン表記によって、長音と短音を区別する。

文字 発音
a [ɑ] 後舌のア。但し、鼻音の前でoと交代する例があり、[ɔ]となる場合があったと推察される。
ā [ɑː] 上記aの長音。
æ [æ] この文字アッシュ(ash[æʃ])と呼ぶ。前舌低音。ドイツ語の<ä>に相当するが、現代ドイツ語においては発音が既に変化している。 現代英語でもこの発音はあるが(cf.bat,cat)、文字は使われない。使ってくれりゃ発音問題が一つ減ったのに。
ǣ [æː] 上記æの長音。ゲルマン祖の*ǣから生したǣ1と、*aiから生したǣ2がある。ウェセックス方言ではこれらは区別がされないが、マーシア方言では、前者が<ē>、後者が<ǣ>と区別される。ケント方言では両者とも9世紀初頭までは<ǣ>が多いが、9世紀中ごろから<ē>となる。
e [e] 前舌中音。
ē [eː] 上記eの長音。
i [i] 前舌高音。
ī [iː] 上記iの長音。
o [o] 後舌中音。
ō [oː] 上記oの長音。
œ [œ] 前舌円唇中音。ドイツ語のöに相当する発音。iウムラウトによりoが前舌化し生じた音である。初期の写本には見られるが、West Saxon方言では、非円唇化(唇の丸まりがなくなる)が生じ、eに合一した。現代では、West Saxon方言が重視される為、使われることは少ない。
œ̄ [œː] 上述œの長音。
u [u] 後舌高音。
ū [uː] 上記uの長音。
y [y] 古英語ではyは音を表す。前舌円唇高音。ドイツ語のüの発音に相当。iウムラウトによりuが前舌化して生じた音である。後期のWest Saxon方言では、非円唇化が起こりiやieとの区別がなくなっている。
ȳ [yː] 上記yの長音。
ea [æɑ]
ēa [æːɑ]
eo [eo] なお、古英語後期において一部ではあるが、[o]へと変化した例がある。
ēo [eːo] 上記と同じく古英語後期において、[oː]へと変化した例がある。
io [io]
īo [iːo]
ie [iy]
īe [iːy]

但し、厳密な音価に関しては古英語期での遷移もあって議論が有る。例えば、後期には尾の強勢の音-a, -o, -uは-e /ə/へと弱音化し、後に消失した。他にも、円唇音は末期には、非円唇音となっている他、方言間でも微妙な差異がある。


i-ウムラウト


i-ウムラウト(i-umlaut)とは、強勢音に対し後続のi音あるいはj音(ここでいうj音とは日本語のヤ行のような音)が影を与えて、前舌化を起こす現である。ドイツ語や(ゴートを除く)他のゲルマンでも見られるが、現代英語ではど残っていない。一方で、古英語では広く活用曲用に関わる現である。但し、影を与えたi音やj音は古英語期までにほぼ消失している。

など。


文法


印欧語族に顕著な屈折の傾向を示す。

名詞において、性は男性、中性、女性の三つ。格は格、対格、属格、与格の四つ。数は単数と複数を持つ。

代名詞においてはこれに加えて、人称代名詞の一人称と二人称に双数(両数)を持つ他、示代名詞と疑問代名詞の単数に具格を有する。

形容詞は名詞に合わせて活用し、用法に応じて強変化と弱変化を行う。強変化の単数における男性と中性には具格が存在する。また、最上級と較級が有る。

動詞は、7つの強変化動詞と3つの弱変化動詞に大別され、このうち、強変化動詞は現在不規則動詞につながる。時制は現在過去の二つ。法は直説法、仮定法、命法の三つ。及び、数と人称によって活用する。現代の英語に見受けられるhave beenなどの了形は古英語には存在しない。

順は、ドイツ語のようなV2順を示すことが多いが、多いと言うだけで、などにおいては必ずしも守られなかった。また、の位置はかなり自由だった。

疑問、否定に助動詞を使わず、疑問の際には動詞を文頭に、否定の際には否定の副詞(ne)を挿入した。また、二重否定は否定の強調を表す(二重否定が英語において「誤っている」とし、肯定の意とされたのは、十七世紀以降、知識人たちが英語の文法を整理した後である)。


名詞


名詞の曲用は大きく強変化と弱変化、小変化に分かれる。さらに、強変化と弱変化は性によって分類される。ちなみに弱変化・強変化という呼称はグリム童話で有名なグリム兄弟ヤーコプ・グリムによりつけられたものである。

古英語における、英語曲用で特徴的なのは以下の点である

  1. 複数与格の尾は常に-um
  2. 複数属格の尾はほぼ-a,時に-ena
  3. 格と対格が同形が多い

ゲルマン祖時代に、印欧祖の八格のうち、奪格と処格が与格に統合され、六格へと変化した格は古英語期までに呼格が格に、具格が与格に統合され、四格に格の数を減じた(ただし、具格の形容詞いは冠詞がついた与格は具格の機を持つ)。その代わり、格変化に変わって前置詞による意味の表示を発展させていった。

さらに古英語期の間に、尾の摩滅も加わって対格と与格の統合が進んだ。元々、格と対格が同形な名詞が多いこともあって、後には属格とそれ以外の区別しかなくなった。


強変化


強変化の尾はおよそ以下のとおりになる。

男性 中性 女性
単数 -Ø/-u
対格 -e
属格 -es -es -e
与格 -e -e -e
複数 -as -u/-Ø -a/-e
対格 -as -u/-Ø -a/-e
属格 -a -a -a/-ena
与格 -um -um -um

ちなみに、現在の複数形尾-(e)sは強変化のうち男性複数格の尾OE. -asに遡る

男性名詞


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最終更新日: 19/02/17 05:26
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