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探査機「はやぶさ」とは、日本の小惑星探査機(工学実験衛星)である。
[画像を見る]
小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)
AsteroidExplorer"HAYABUSA"(MUSES-C)
「第20号科学衛星」。開発名「MUSES-C」(Mu Space Engineering Satelite-C)。
2003年5月9日、旧・文部省宇宙科学研究所(現・宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所。略称:ISAS)によって、旧・鹿児島宇宙空間観測所(現・内之浦宇宙空間観測所)から打ち上げられた。
NEC東芝スペースシステムが中心となり、大小多数の国内メーカーが本体やシステムの設計・製作・運用に関わった。NEC東芝スペースシステム(姿勢制御系)、NEC(イオンエンジン)、古河電池(リチウムイオンバッテリー)、IHIエアロスペース(カプセル・ミネルバの設計と開発)、三菱重工(化学スラスタ)、日本航空電子工業(加速度計)、富士通(軌道決定のシステム開発と運用)、明星電気(X線分析装置)、髙橋工業(カプセルの重要な部品)、会津大学(小惑星イトカワの3Dモデル構築)など。他参加企業は、Wikipediaが詳しいかも。
2010年5月、国際宇宙航行アカデミー(IAA:International Academy of Astronautics)の50周年記念ロゴ[外部]で、アポロ11号の「月面上靴跡」、ガガーリンの「人類宇宙へ」、「ISS」等と共に、宇宙開発史上の偉業として列挙された。
後述する様に、探査機本体や国内の宇宙開発を取り巻く政治・経済の環境が極めて厳しい中、宇宙探査機の幾多の記録を塗り替え、国際的な評価を獲得し、国内外問わず様々な分野の賞を多数受賞し、ギネスにも認定された(「新語・流行語大賞2010」にもノミネートされた)。
2010年6月13日、小惑星イトカワのサンプルが期待されるカプセルを地球に投下後、大気圏突入を以てその役目を終えた。
2010年11月16日、回収されたカプセル内の微粒子がイトカワ由来であることが確認された。月以遠の天体からの地表物質の回収の成功は世界初の快挙である。
▲「小惑星(イトカワ)までイオンエンジンを使った飛行を行い、自律的に小惑星に近づき、その表面から、物質のサンプルを持ち帰る」、下記4つのミッションを行う。
地球への帰還時期は、トラブルが続いたことにより2007年6月から2010年6月へと変更された。なお、イトカワで採取した試料を地球に投下した後、当初の予定になかったミッション《大気圏突入》を実行することになった。これは、JAXAの「軌道予測システム」(地球に衝突する恐れのある小惑星の軌道やその確率・時間を解析するシステム)開発のため、大気圏突入時のデータを利用するというプロジェクトである。
計画が順調であれば、試料投下後は別の目標に向かう予定であった。しかし、姿勢制御系エラーによるカプセル投下精度の低下を補うため、離脱不可能な距離でカプセルを切り離さざるをえなくなった。(-この時点では、世界中のどこを探しても、はやぶさを回収する技術は無かった-)
2010年6月13日22時51分。既にカプセルの分離・投下を済ませた「はやぶさ」は、オーストラリアの上空をひときわ明るく輝きながら最後のミッションを遂行し、その姿を星空に消した。7年をかけた壮絶で前代未聞の「おつかい」は、こうして幕を閉じた。
「世界で一番の『はじめてのおつかい』」 「でも、二度と『おつかい』には行けない」
「戻ってくるよ。『風』になって」
「おかえりなさい。本当に、おつかれさま」
- 942 : ななしのよっしん :2010/06/14(月) 22:37:21 ID: Eka6tdjJf0
- 「地球、見えまし・・・」
あのラストショット。炎に包まれながら声を届けようとした、という感じがした。- 943 : ななしのよっしん :2010/06/14(月) 22:41:57 ID: 9HKL4+W8qY
- >>942 地平線に隠れただけなんだがな。通信途絶の約22分後に大気圏突入
- 972 : ななしのよっしん :2010/06/15(火) 01:02:51 ID: KzyEkAHOhK
- >>942-943
撮影した画像を送信中。
↓
地上のアンテナから見えない位置に入り通信終了。
↓
地球の影に入り太陽電池からの電力供給が途切れてはやぶさの電源が落ちる。
↓
再突入。
つまり、はやぶさは先に眠ってしまったので熱い思いも痛い思いもしなかったってこと。
更なる情報は関連外部リンク、及び本項目右カラムのWikipedia、ニコニコ動画のアイコンボタンを押してリンク先のコンテンツを参照されたい。
▲日本の宇宙開発予算は、昔から極めて少ないのが伝統であり、「はやぶさプロジェクト」も冷遇が歴史そのものである。本機搭載の小惑星探査ロボット「ミネルバ」ですら、メーカーからの試供品や民生品を使い、開発資金もメーカーからの協賛金や旧ISASのなけなしのへそくり研究費に頼る事となった。持ち出しばかり。
運用予算についても2005年末に「はやぶさ」が一時消息不明となったときなどは、次年度の予算編成が迫り政府がここぞとばかりに運用予算に見切りをつけかねないとして、川口マネージャーがプロジェクトメンバーの士気を維持させるとともに次年度の運用費が決して無駄ではないことを知らしめるために再補足の 確率(正確には再補足に適切な位置に「はやぶさ」が来るであろう確率。決して"再補足が実現する確率"ではない事に注意。表向きには違いを明確にしなかったけど)を急いで算出するなど奸計涙ぐましい努力を払ったほど。
そんな中、本プロジェクトを受け継ぐ形で「はやぶさ2」の開発が進められているが、NASAのように潤沢な資金が手当されていないのは、悲しいけど予想されたこと。
そんな中、当時の政府による事業仕分けが行われ、更なる深刻な予算不足に陥り、他プロジェクト(火星探査機「のぞみ」のリベンジ計画、「かぐや」後継機、「だいち」後継機、準天頂衛星計画(「みちびき」等)、HTVベースの有人機など)等と少ない予算を奪い合うほかない状況となる。
も し、「はやぶさ2」計画が消滅すれば、JAXA、メーカー、研究者の3つに渡る人材、開発した工学的技術、運用経験のノウハウなど、1990年代からはや ぶさの開発と運用で、積みかさねてきたものも四散し、関係する技術開発はお終いとなり、優秀な専門家たちの海外流出にも繋がりかねない。
こういったこともあって、作家の松浦晋也[外部]をはじめとする著名人や在野の有志たち(例えば「はやぶさまとめ」[外部])が支援を呼びかけている。また、中の人も、「応援してください、『はやぶさ2』。『はやぶさ』の成果があぶない。」[外部]と声を上げざるを得ないところまできている。
あちこちの分野に手を広げず、主力プロジェクトに絞り込む「選択と集中」は予算節減の点では理に適うが、「はやぶさ2」を含め、様々な宇宙開発関係のプロジェクトの断念・打ち切りは、国家的損失を招くと危惧されている。
こういうときだからこそ、政治に対する不満を感情的に動画や掲示板にぶつけるよりも(気持ちは分かるが)、文部科学省[外部]や財務省[外部]などに「宇宙開発全般の発展」について粛々と嘆願や意見を具申したほうが得策といえるのではないだろうか。(本稿の掲示板にも同じような意見が出ています)
※幸い、はやぶさの地球帰還が成功し、はやぶさ2の開発の2011年度予算は満額通りました。しかし、2012年度は、JAXAの(最低限の)要求予算73億円に対し、当時の政府与党は30億円と大幅減額した(´・ω・`)ショボーン。
そのことについて、川口元プロジェクトマネージャーはこう自分のブログで述べている。
▲国民に自信と希望を与える政策がとられているのか、率直に申して、大いに疑問を感ずるところです。
自信と希望で飯が食えるか、との声があるかもしれません。
しかし、この国が将来成長できる国であることを信じられなければ、
けっして閉塞から抜け出せるはずはないのです。
それを担うはずの、今は中学、高校、大学生かもしれない次の世代がそれを実感できるのか、
実感させることができるのかが問われているはずです。この国が、我々が、創造できる国であることを確信できなければ、将来はありません。
この創造できる国だと確信させる政策にためらうことは、耐え忍んでいけば先が見えるという誤解に起因するのだと思います。
地球の裏側では、たとえ後方集団入ることになろうとも、はやぶさ-2 の4倍近い経費を投じて、
科学意義、そして国民に矜持をあたえる政策をとる国(米国NASA)があるかと思えば、
主導的立場に身をおくことに自信もなく、少ない経費をなお削減し、
わざわざ後方集団にさがって国民を落胆させる政策をとろうという国がある。なんとも情けないことではないでしょうか。
真の国益とは何か、次世代の国づくりをどう行うのか、それが見えないのでは、真の復興、
つまり国の将来を作ることはできないのではないか、と感じます。
ニコニコ動画ではJRの寝台特急列車および新幹線、プロレスラー、旧日本陸軍戦闘機、スズキ製バイク等の同名の「はやぶさ」と区別する為に、本項目名、"探査機「はやぶさ」"タグが利用されている。
資金難と理不尽なバッシングの中での開発と打ち上げから始まり、システム障害、故障、燃料漏れ、通信途絶・・・もうだめぽ的な数々のトラブル。困難を乗り越え、満身創痍でミッションをこなす姿と大気圏再突入という最期の使命。新旧テクノロジーの融合、膨大なシステムとプログラムを作り上げたメーカーの技術者と、ミクロン単位の精度で部品を仕上げた町工場の職人の意地とプライド。そして、前述の「軌道の魔術師」こと川口淳一郎PMが率いた運用チームのガチの粘りや常識を覆す発想と航行技術、「こんなこともあろうかと」の多重の仕掛けが結集された一大プロジェクト、それが“探査機「はやぶさ」”。
ちなみに、川口PMは開発中や運用中、担当者にいつもムチャぶりをする事も有名。
, ノ)
ノ)ノ,(ノi
( (ノし
┐) ∧,∧ ノ
..|( ( ....:::::::) ( これよりTCM-5を開始する
 ̄⊂/ ̄ ̄7 )ヽ lヽ,,lヽ
(/ 川口/ノ ( ) やめて!
 ̄TT ̄ と、 ゙i
こういったことを背景として、関連動画を見た視聴者の中には、「泣いた(´;ω;`)」「絶対に帰って来いよ!」「がんばれ!」「おかえりなさい」といったコメントを残す人も多い。ニコニコ動画史上最も愛された宇宙機とも言えるだろう。(地球帰還当日は 、ネットを通じて生放送されたが、本稿の更新や掲示板へのレス投稿、関連動画へのコメント投稿もリアルタイムで行われていた。)
そんなニコ動では、月周回衛星「かぐや(SELENE)」、火星探査機「のぞみ」、金星探査機「あかつき」をはじめとする、はやぶさの兄弟姉妹たちの秀逸な動画作品も多数作られているので、ぜひ視聴してほしい。そして、応援していただければ幸いである。
▲当初の命名予定は、手塚治虫著『鉄腕アトム』の主人公アトム誕生年の2003年に打ち上げである事から、本機が高度な自律性を持つロボット探査機である事に因み、「アトム(ATOM:Asteroid Take-Out Misson」だった。しかし、原爆(AtomicBomb)を想起させること等から、最終的に第二候補の「はやぶさ」と命名された。JAXAの公式見解ではないが、的川泰宣(JAXA技術参与・名誉教授)の講演[外部]によると、命名理由は以下3点である。
1998年に、アメリカのLINEARチーム(マサチューセッツ工科大学リンカーン研究所の地球近傍小惑星探査チーム)が発見した小惑星の一つである。当初は「(25143)1998SF36」という名前であった。