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獣耳(けものみみ、けもみみ)とは、萌え要素のひとつ。「ケモ耳(ケモミミ)」「動物耳」とも。
猫耳、ウサ耳など、人型キャラクターの頭頂部ないし側頭部に獣の耳をつける、あるいは元の人間の耳と換えることで動物的な可愛らしさや少々の野性味などをキャラクターに付加することができる。また、元となる動物のイメージからキャラクターの性質を連想させる効果を持つこともある。このほか歩行時・ジャンプ時や感情の起伏などでぴこぴこ動くのも可愛らしさを引き立てる。モフモフしたい。
獣耳は、キャラクターの頭部から直接生えている場合(亜人、半獣人、擬人化タイプ)と、コスプレアクセサリーとして装着される場合がある。よりケモノっぽさを出したり、元の動物のイメージを強く出したい場合、肉球や尻尾、ヒゲなどがオプションとして追加されることもある。特に尻尾がついているケースは多い。逆に、尻尾のついているキャラクターにはだいたい獣耳がついている。これが更に全身の体毛や顔の造形、手足の形状などに及ぶと「獣人」「ケモノ」となり、基本的には別ジャンルとなる。
人ではないもののモチーフを人型キャラクターに採り入れるという点で、擬人化とは縁が深い。動物そのものの擬人化や、名称に動物の名前を含むものの擬人化、あるいは元の形状の一部が動物に例えられるものの擬人化などでは、獣耳がデザインとして採用されることがよくみられる。
獣耳の特性として、本来これを持たないキャラクターにも容易に付加することができるというものがある。ニコニコ動画には、一般のキャラクターに耳や尻尾を書き加える手書きMADが存在するほか、二次創作イラストなどで同様に一般キャラクターに獣耳をつけたイラストも数多く見られる。
形状は基本的に実在の獣の耳をモチーフにしているが、なかには独自のイメージが先行して本来とは異なった形をしている獣耳もある。萌え属性としてのシンボライズ・簡素化や、人型キャラクターにより馴染ませるために変化を遂げた獣耳は、実際の動物の耳とはある程度分けて考えることが求められる。
基本的に、頭頂部付近か側頭部のどちらかからぴょこんと生えている。このどちらから生えているかは元となる動物にある程度左右されるが、個人の好みも含まれる。
獣耳の色・柄は大きく分けて3つのパターンがみられる。キャラクターの髪の毛の色に合わせて、よりキャラクターになじませるパターン。元となる動物のイメージを優先し、そちらにあわせるパターン。どちらも無視してそのほかの色を選択するパターンである。1つ目と2つ目は共存することもある。2つ目・3つ目のパターンはアクセサリーとしての獣耳に多い。
耳が4つ見えているのは生物として不自然という考えから、特に直接獣耳が生えているキャラクターにおいては、本来の人間の耳の位置が髪の毛などで隠されている場合がある。ゆえに獣耳キャラクターではショートカットは少なく、ショートカットのキャラクターでもサイドの髪の毛がやや長くなっているなどすることが多い。
一方でその辺りを気にせずに「4つ耳」になっているキャラクターも一定数存在する。たとえば、『あそびにいくヨ!』(神野オキナ・著)には獣耳キャラクターが多数登場するが、いずれも4つ耳になっている。
人間の耳の有無、「2つ耳」か「4つ耳」かは個人の好みに左右される。なおアクセサリーとして獣耳を付けている場合はこれはあまり問題とされない。
▲獣耳というものが萌え要素として本格的に認知され、漫画・アニメ・ゲームなどに頻繁に登場するようになったのはここ十数年あまりのことであり、その歴史と呼べるものはあまり長くない。ここでは、獣耳が萌え要素の重要な一画を占めるになるまでの経緯、そのバックボーンなども含めて見ていくこととする。
日本の文化史上において確認できる限りで最初に見られる獣耳は、1827年に初演された歌舞伎『獨道中五十三驛』に登場する瓦版に、猫耳の化け猫が描かれたものであるとされる。1950年代には日本映画において化け猫映画が隆盛を極め、小道具として猫耳がよく使われた。
一方、現在のウサ耳人気に大きな影響を与えたと考えられるバニーガールは、1960年代のアメリカで誕生した。成人向け娯楽雑誌『PLAYBOY』との連動企画によって運営された高級クラブ「プレイボーイクラブ」のウェイトレスの衣装として考案され、60年代のうちには日本に輸入。その後テレビ番組のアシスタントガールやキャバクラなどに広まり、一種のコスプレ衣装として定着。アクセサリーとしての獣耳文化の源流のひとつとなったと考えられる。
1963年のなかよし版「リボンの騎士」には猫耳の少女の描写があり、日本最古の漫画での猫耳の表現をしたのは手塚治虫だと推測される。
また手塚治虫はこれ以外にも多くの漫画で獣耳の表現を使っている。(例:火の鳥、ブッキラによろしく、百物語、ブラック・ジャック等)
1971年に日本教育テレビ(現・テレビ朝日)系列で放映されたアメリカのTVアニメ『ドラドラ子猫とチャカチャカ娘』(原題 "Josie and the Pussycats")は、ヒョウ柄の服に猫耳・猫しっぽが舞台衣装のガールズバンド・子猫チャカチャカーズ(the Pussycats)が主人公の作品である。このアニメは同名のコミックを原作としており、こちらは1963年から出版されている。
アメリカ人SF作家コードウェイナー・スミス著のSF小説『人類補完機構』シリーズの登場人物である、猫を元に作られた亜人間ク・メルも著名である。作中にはク・メルが猫耳であるとの描写はないが、1976年に出版されたシリーズ短編作品『帰らぬク・メルのバラッド』邦訳版の挿絵で猫耳キャラクターとして描かれている。
1978年から連載の始まった大島弓子『綿の国星』の須和野チビ猫も猫耳として著名である。チビ猫の視点から見た人間模様などを描いたこの作品では猫が擬人化された姿で描かれ、日本初の猫耳主人公漫画として知られている。
1980年代にはいると、鳥山明『Dr.スランプ』にて、則巻アラレおよびピー助のアクセサリーとして猫耳帽子が登場。アクセサリーとしての猫耳の認知を拡げた。また1982年に連載が開始された池野恋の『ときめきトゥナイト』に登場するヒロイン江藤蘭世の母親・椎羅は狼女という設定であり狼耳である。
この頃から、いわゆるロリコンブームも手伝って猫耳美少女キャラクターが登場するようになる。
1989年、永野あかねの『猫でごめん!』が登場。父親の実験の失敗により猫と融合してしまった女子高生・白石やよいのラブコメを描いた作品。このあたりから猫耳キャラクターが一気に増加していくことになる。翌1990年には、ゲーム『ファイナルファンタジーIII』の職業・導師の服装として猫耳フードが採用された。なおテレビゲームにおいてはそれ以前の1987年、『女神転生』においてネコマタという猫耳の悪魔が登場している。
一方これに先立った1987年、桜玉吉の『しあわせのかたち』に犬耳キャラクター本田べるのが登場。これがいわゆる「たれ犬耳」の始まりとされる。
1990年代後半にはいると、Leafのアダルトゲーム『痕』の柏木楓、アニメ『機動戦艦ナデシコ』のホシノ・ルリなど、本来は獣耳キャラクターではないもののキャラづけ・漫画表現として獣耳イメージをもつキャラクターが登場する。そして1998年、ゲーマーズの情報誌『フロムゲーマーズ』に「でじこ」が登場。猫耳ブームのさきがけとなる。
1990年代には『幽☆遊☆白書』の妖狐蔵馬、『コンなパニック』 の如月まい、『悠久幻想曲』の橘由羅などといった狐耳キャラクターも登場、猫耳以外の獣耳としての版図を広げた。また『デ・ジ・キャラット』のラ・ビ・アン・ローズ(うさだ)、『ギャラクシーエンジェル』のミント・ブラマンシュなど、ウサ耳キャラクターがその人気を獲得していったのもこの頃である。
そして2000年代、「萌え」文化の隆盛も手伝って、多くの作品に様々な獣耳キャラクターが登場する時代が訪れる。2006年にはメイド喫茶ブームの流れからネコミミカフェが登場するなど、コスプレアクセサリーとしての獣耳も大いに注目を集め、獣耳は萌え属性として大きな位置を占めるに至っている。
▲獣耳には、メジャーなものからマイナーなものまで様々なバリエーションがある。「主なキャラクター」には、作中でそういった描写(アクセサリーや漫画表現など)がなされたことがあるだけというキャラクターも含む。
獣耳の源流にして代表格。猫ベースの人型キャラクターからコスプレアクセサリーとしての猫耳、漫画表現・キャラづけとしての猫耳まで、幅広い作品で見ることができる。更に猫っぽさを追求する場合、猫尻尾、肉球、猫目、猫ヒゲなどの属性が追加されることも。「猫耳」の記事も参照。
基本的には猫の耳の形をしており、ほぼ正三角形のものからやや先端が尖ったものまで幅が見られる。アクセサリーなどの場合、よりシンボライズしたシンプルな形状になっている事も多い。特に耳の中にあるふさふさした毛はよく省略される(個人的には重要パーツなのだが)。
色も様々で、髪の毛の色にあわせてあるものや黒猫、三毛猫など実在の猫の毛色を連想させる色のものなどがある。
愛玩動物である猫由来の可愛らしさ、場合によってはいたずらっぽさや奔放さがキャラクターに加わり、人の毛にはないふさふさもさもさ感、感情などに合わせてぴょこぴょこ動く様などああもうたまらん。
後掲の他の獣耳のうち、特に生物的に近い虎耳、犬耳・狼耳、狐耳などは形状が似ていることもあり、ぱっと見だけではこれらと区別できないことがある。このようなケースでは、尻尾などの他のパーツで判断したり、キャラクター本人の元となっている動物で判断したりすることになる。特に言及されない場合は最もメジャーなこの猫耳と捉えられることが多い。
猫同様人間に馴染みの深い生き物であり、獣耳の中ではメジャーな方といえる。犬といえば「尻尾で感情を表す」というイメージもあってか犬尻尾と組み合わさっているケースも多い。「犬耳」の記事も参照。
形状は猫耳と同様の場合も多いが、テリアやスパニエル、ブルドッグなど独特の形の耳を持った品種にあわせた犬耳もある。特に猫耳と差別化を図る場合、やや垂れ気味に描かれることも。具体的にはやや「大きめのサイズで側頭部寄りについているタイプ」や「耳そのものが前方に垂れているタイプ(たれ犬耳)」などが見られる。
犬耳は猫耳とはまた違った可愛らしさを醸し出す。これは猫と犬そのもののイメージに起因するが、猫耳が奔放なイメージを持つことがあるのに対し犬耳は従順さや真面目さといった印象に繋がることがある。