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結核


ヨミ: ケッカク
医学記事 ニコニコ大百科:医学記事
※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。

結核(けっかく)とは、結核菌による感染症である。TBテーベー)。


概要


結核(TBTuberculosis)は、ヒト結核菌によって引き起こされる感染症。その発症部位によって、肺結核肺外結核に大別される。肺結核は労咳/癆痎(ろうがい)、肺労/肺癆(はいろう)とも呼ばれた。肺が好発部位であるため、肺結核を単に結核と呼ぶことも多い。肺外結核は、症状の著明な部位によってさらに細分化される。脊椎・組織における結核による侵食はカリエス、皮膚結核は(ろうそう)とも呼ばれる。かつて、ヨーロッパではWhite plagueペスト;死病)とも呼ばれた。結核に伴う体重減少などの衰弱はConsumptionと呼ばれる。

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日本では明治以降、近代化に伴って人口が集中した都市圏、集団生活を送る軍隊などで流行がみられた。1970年代ごろまでは日本人要な死亡要因の一つであり、民病とされた。有効な治療のなかった時代、発病年齢が低く、死亡率3040%ほどと高く、持ち堪えても増悪と寛解を繰り返す結核は、や不治の病として恐れられた。沖田総司や正子規など、結核を患った著名人も多く、日本の文化にも多大な影を与えている。

予防法や治療法が確立した現在日本では、死亡率患率ともに減少しているが、諸先進国患率と較すると依然として高い。発病するのは高齢者が多いが、若年層においても発生している。結核が内で蔓延すれば民の生命や健康に重大な影を与えるため、感染症法において二類感染症に定されている。医師は結核と診断した場合、保健所に直ちに届け出なければならない。必要に応じて、結核患者に対し、調などの設備の整った病床に入院して治療を受けるよう勧告される。

結核はAIDSエイズ)やマラリアと並ぶ三大感染症の一つで、世界の人口の約1/3が結核菌に感染していると考えられている。2016年には1,040万人が発病し、170万人が死亡した結核について(ファクトシート) - 厚生労働省検疫所FORTH[外部]1997年世界保健機関は結核根絶を標として掲げ、3月24日世界結核デーに制定した。これは、1882年3月24日ドイツの細菌学者ロベルト・コッホが結核菌を発表したことに因む。例年、啓のためのイベント学会が開催されている。

肺結核

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結核のうち、肺で発病したもので、日本の全結核の80%以上を占める。これは、肺が外気に曝される臓器であること、好気性菌である結核菌にとって酸素濃度の高い肺が発育に有利であることが関係している。

結核菌を含んだ咳、燥した喀痰などから飛散した飛粒子の吸入によって感染する(飛核感染)。肺胞に到達した結核菌は、肺胞上皮細胞に寄生して増殖する。あるいは、肺胞マクロファージなどの免疫細胞によって貪食されるが、分解されずに細胞内で増殖し、逆に免疫細胞そのものを破壊する。免疫系は、結核菌を封じ込み酸素供給を絶つために、肉芽腫を形成する(結核結節)。病巣が大きくなると、しばしばチーズのような壊死がみられる。

症状は咳嗽(せき)、喀痰(たん)、喀血、胸痛、全身倦怠感、37℃前後の持続する微熱、就眠中の病的な発汗、食欲不振、体重減少などがある。進行すると呼吸困難や高熱を伴う例もある。初期症状が風邪と類似しているが、咳が2週間続くようなら気管支喘息や肺結核が疑われるため、医療機関受診が望ましい。

肺外結核

結核のうち、肺以外の臓器・組織で発病したもので、病変部位の名を冠して「結核性○○炎」または「○○結核」と呼ばれることが多い。単独で発症するケースだけでなく、肺結核を原因として二次的に発症するケースや、複数の肺外結核を併発するケースもある。以下にいくつか例示したように、結核は全身のいずれの臓器においても発生しうる疾病である。

肺の細胞に感染し、そこから血行性、リンパ行性、経気的、経腸管的に進展し発症する例が多いと考えられる。症状は病変部位によって多様である。たとえば、肺外結核で最も頻度の高い結核性胸膜炎では、発熱、胸痛、胸貯留などをきたす。結核性髄膜炎では頭痛や嘔気・嘔吐、意識障など、結核性脊椎炎では背痛や痛、運動(前屈障)などの症状をきたす。

結核菌が血液を介して多数の臓器に播種した形態は、粒結核(ぞくりゅうけっかく)と呼ばれる。AIDSに合併するケースがあり、注意を要する。症状は高熱、全身倦怠感、食欲不振、衰弱など。


語源


現在この疾患は、日本語では「結核」、英語では「tuberculosis」と呼ばれる。ドイツ語では「Tuberkulose」であり、本稿冒頭にもある「TB」はこのドイツ語Tuberkulose」の略称である(日本近代医学はその発展過程においてドイツ医学から強い影を受けたため)。そのため慣習的に、ドイツ語読みで「テーベー」と読まれる。

「結核」という言葉がこの疾患自体を現在の用法で使用されるようになったきっかけは、江戸時代後期の医師である緒方らが訳した医学書『扶氏経験遺訓』であったとされる。この『扶氏経験遺訓』では、現在で言うところの「肺結核」を説明する節において病名を「結核」と記している扶氏経験遺訓 12-14巻 (52/78)|医学図書館デジタル史料室|東京大学医学図書館[外部]

この『扶氏経験遺訓』は、ドイツ医学書のオランダ語版からの重訳であり、オランダ語版に掲載されていたラテン語表記病名やオランダ語表記病名もカタカナで併記されている。そして「結核肺」のラテン語病名は「フチシスチュベキュロサ」(「phthisis tuberculosa」か)と記されている。このラテン語tuberculosa」は、字面からも分かるように英語tuberculosis」やドイツ語Tuberkulose」と同であり、元は「小結節」を意味する。19世紀に活躍したドイツ医学シェーラインがこの疾患で形成される結節性病変を観察して「Tuberkulose」(小結節)と表現し、それが病名そのものとして定着した。

ただし、「結核」という言葉そのものは緒方らによる創出ではないと考えられる。頸部リンパ節が累々と腫した状態の眼的所見を、核(果物の種)を結ぶ、すなわち「結核」と表現した例が7世紀の中国の書物に確認できるとのこと。

ちなみに、上記の『扶氏経験遺訓』内には、肺結核をしている「結核肺」の節とは別に、現在で言うところのリンパ節結核のことをしていると推定される疾患「瘰癧」の節がある扶氏経験遺訓 21-23巻 (20/110)|医学図書館デジタル史料室|東京大学医学図書館[外部]。そこでは「腺腫結核ヲ生スルヲ以テ普通ノ確徴トス 其始メ頸・頷下・項窩等ニ之ヲメ其核大小一ナラス」などと、多発するリンパ節腫大への表現として「結核」のが使用されている。同じ節には、病状が進行した際の合併症として「結核」も挙げられている。


病因


マイコバクテリウム属(Mycobacterium)に属する結核菌によって引き起こされる。結核のな原因であるヒト結核菌(M. tuberculosis)は、抗菌の一種で、長径1~5μm、短径0.3~0.5μmほどの偏性好気性(発育するのに酸素を必要とする)桿菌である。ミコールなどロウのような脂肪酸に富む細胞をもつため、消毒燥に高い抵抗性を有し、強い免疫応答を惹起する。ただし、外線には感受性であるため、治療や殺菌に外線(日光)を利用することもある。ほかの細菌と較して世代時間が長い(1回分裂するのに20時間程度かかる)ため、培養に時間がかかり、治療にも長期間を要する。

結核菌に曝露すると、多くは自然免疫によって封じ込められるが、約5%はそのまま結核を発病し(一次結核)、別の約5%は数年から数十年後、免疫低下などに伴って結核を発病する(二次結核)。成人の結核のほとんどは二次結核である。


検査


結核は感染症であるため、気から採取した喀痰や病変組織から結核菌を認めることが診断の基本となる。検法として、結核菌そのものを検出する検と、結核菌の感染の有を判定する免疫学的検がある。ほか、胸部CTなどの画像検、問診の結果なども総合して診断される。結核菌を検出する検として、塗、培養検、同定検が挙げられる。

免疫学的検としてツベルクリン反応検が知られているが、これはBCGワクチン接種によって偽陽性を生ずる欠点がある。現在は、より特異度の高いインターフェロンγ放出試験(QFT検、T-SPOT)が普及している。


ツベルクリン反応検査


ツベルクリンは、結核菌由来のタンパク質である。1890年、ドイツの細菌学者ロベルト・コッホによって、治療用ワクチンとして精製された。今日では治療ではなく診断に利用されている。

精製ツベルクリン(PPDPurified protein derivative)を皮内注射し、発や硬結(しこり)の程度から感染の有を判定する。ただし、ツベルクリン反応検で陽性となっても、結核菌に感染しているのか、結核菌に類似した非結核性抗菌に感染しているのか、あるいはBCGワクチン接種によるものかを区別できない。また、IVアレルギー反応を利用した検法であるため、免疫が低下している場合に陰性となる可性がある。


インターフェロンγ放出試験


インターフェロンγ放出試験(IGRA:Interferon gamma release assay)は、被験者のリンパ球と結核菌特有のタンパク質を試験管内で反応させ、免疫応答を調節するインターフェロンγIFN-γ)がどの程度産生されるのかを測定する検法。QFT検(クォンティフェロン)、T-SPOT.TBの2種類の試験が利用可

これらIGRAは、ツベルクリン反応検して高価だが、特異度は高く、副作用も採血に伴う疼痛のみと、優れた検法といえる。


治療


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1943年、アメリカ合衆国の微生物学者セルマン・ワクスマンとアルバート・シャッツによって、結核菌に有効な抗生物質ストレプトマシンが発見されて以降、抗菌薬の投与が結核治療の中心となっている。ただし、単剤投与では結核菌が剤耐性を獲得しやすいため、3~4種類の抗結核を併用する。

初回治療は、強な抗菌作用を示すリファンピシンRFP)、イソニアジド(INH)、ピラジナミド(PZA)の3剤に、それらとの併用により効果が期待されるエタンブトールEB)またはストレプトマシンSM)のどちらかを加えた4剤で治療を開始する。

上記の剤に耐性を獲得している結核菌の場合、当該剤を別の抗結核に変更する。抗結核としてほかにカナマイシン(KM)、エチオナミド(TH)、エンビオマイシンEVM)、パラアミノサリチルPAS)、サイクロセリンCS)、レボフロキシン(LVFX)、デラマニド(DLM)などがある。ただし、結核であると鑑別しきれていない状況でニューキノロン抗菌薬(LVFXなど)を使用するのは、菌の剤耐性獲得を招くため避けるべきである。また、複数のアミノグリコシド抗菌薬SM、KM、EVMなど)の併用は禁忌。第一選択の投与期間については以下に示す通り。


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最終更新日: 19/05/01 17:09
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