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総統閣下シリーズとは、映画「ヒトラー 〜最期の12日間〜」の主にヒトラーに嘘字幕をつけたMADシリーズである。ヒトラーの秘書であったユンゲ女史の証言を基に、第二次世界大戦末期、ソ連軍の圧倒的物量の前に敗北を待つだけとなったナチスや、総統アドルフ・ヒトラーの関係者(親衛隊将校や幹部)たちの真実の姿を鮮烈に描き出した傑作映画である。総統閣下はスイス出身の世界的俳優ブルーノ・ガンツが演じている。なお、この「総統閣下シリーズ」という名前は、一説によると、“総統閣下が相当かっかしている”さまから付けられたとか。
芸術を愛する我が総統閣下は、博学多才にして博覧強記(だが美大は落ちた)、勿論のこと所謂サブカルチャーについてもまた堪能で有らせられる。つまるところオタクである。また、世界の時事問題に対しても精通しており、頼もしき同盟国である大日本帝國の良識的臣民諸君が憤慨した、かの毎日新聞騒動に於いても強い関心をお持ちになっている。
近頃耳にする話では、総督官邸に詰める近臣諸君やご婦人方は、閣下の挙動――例えばスクールデイズ最終話の放送中止で激しいご立腹の趣の様子をお見せになったとき――について、大ドイツと全アーリア人の指導者として違戻するものではないかと、多少の怪しからん疑問を持っているようだ。第三帝國の経綸を掌る者がこのようにあってもいいものだろうか、と。
しかし、諸君がそう妄想する必要は毫もあるべからずものであり、閣下が時折見せる感情の高ぶりもまた、誇り高きアーリア人を思う廉潔な精神から生まれた、荒漠たる砂漠に降る慈悲の大雨であることを我々は忘れてはならない!!
日本には「タイフーン・イッカー」という言葉がある。嵐の後の好天を指す言葉だ。周囲の厳しい痛痒の目を浴びた後には祝福が訪れる。苦難の航海の後には、荒蕪地が母なる大地へと変貌し、疾風怒濤の荒海は静謐で穏やかな海へと変貌し、一羽の鳩が眩しき青天に羽ばたく人類の新天地があるのだ!!!
彼らの繊弱やかで繊細な精神に発するつまらない疑問は、全くの杞憂に終わるものだと私は確信している。もし仮に完全なる理解に達しなかった時は、最寄の党支部へ行ってその旨を申し立ててくれれば、我が党は最大限の力を以ってあなたを目覚めさせてくれるだろう。
ところで、我が大ドイツが産んだ19世紀最大の大文学者――否、人類史上最大の文学者とでも称せようか、有脚書厨にして我が党の思想の先駆者たるフリードリヒ・ニーチェはこう語っている。
脱皮できない蛇は滅びる。意見を脱皮してゆくことを妨げられた精神も同じことである。
ああ、宜なるかな。猖獗を極めた内気の充満した薄暗い部屋に、清らかで新鮮な外気が入り込み暖かな太陽光が一筋差し込んだような、心持ちが好くなる言葉だ! これぞまさしく、サブカルチャーなどという概念の偏見をしてアーリア人を侮辱せしめんとする売国奴を予言した名言であり、このような概念をユダヤ人的傍若無人発想に繋がるものとして、19世紀の大偉人は看破していたと謂うことに他ならない!! 総統閣下もまた、その雄才をいかんなく発揮した著書「我が闘争」の中でこれとほぼ等しいことを述べている。もしニーチェの主義にそんなことをないと暴言を放つ人間が居たらすぐに通報すること。精神病に罹っているようなので党の特別療養所へ運ぶ次第である。
万物の祖ギリシア文化を受け継いだ上乗の文明を我がドイツに齎したローマ帝國。その一日ならず千年続いたローマ帝國を生み出したイタリアには「コサ・ファッタ・カポ・ア」という言葉がある。やってしまった事はもうどうにもならないという意味だ。
もうこうなったからにはルビコン川にサイコロを捨ててしまうのだ! 全アーリア人は今日を以ってサブカルチャーなどという偏見的発想を捨て「ホーホクルトゥーア」、つまり英語ではハイカルチャーと呼称すべきである!!
ああ、卑賤なる偸安者よ、今すぐグロース・ドイッチュラントを去れ!! 苟も知的理性を持ち我が総統閣下を愛し崇高なるアーリア人である諸君は、須べからずホーホクルトゥーアをもまた愛さなければならないのである!!! ついでに言えば日本人もアーリア人の子孫と説明されていることを忘れてはならない! 手を繋ぎ共に携え深淵に落ちるのだ!! イヒ・シュヴョーレ・アドルフ・ヒトラー・ウンエアシュッターリッヘ・トロイエ! ハイル・ヒトラー!! ジーク・ハイル!! ハイル・ヒトラーーーーー!!11!!1!!!
国民啓蒙・ナチス宣伝大臣兼ベルリン防衛総監 パウル・ヨーゼフ・ゲッベルス
▲[]の時間は、最もよくネタにされる例のアレで聞こえる空耳の時間帯である。また閣下以外の空耳は、()内にその人物名を記した。さらに嘘字幕で使用される頻度の高い空耳は太字で表記してある。