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葵徳川三代(あおい とくがわさんだい)とは、2000年に放送された第37作目の大河ドラマである。
全49話、平均視聴率18.5パーセント。脚本はジェームス三木。
大河ドラマ史上、初めて全編ハイビジョン撮影が用いられた作品である。
秀吉死後・関ヶ原直前から、家康→秀忠→家光と主人公を交代しつつ、江戸初期までのドラマを描く。平均視聴率は高くなかったが、家康役の津川雅彦を中心とした俳優陣の円熟した演技は絶賛を受けた。
全49話のうち実に12話までを「関ヶ原前~関ヶ原」で占めるが、大坂の陣の後は合戦の描写がほとんどなくなり政治劇が多くなるため、物語前半と後半では印象が大きく変わるドラマでもある。
「忍従の人」という徳川家康のイメージから180度反対の「短気で押しが強く野心家」という家康像を演出した。また浅井三姉妹に着目したドラマでもあり、特に江(崇源院)に関しては非常に細かい描写がされている。
▲一般的にあまり知られていない「猪熊事件」「大久保派vs本多派の幕府内権力闘争」などの事件もきちんと描かれており、脇役の没年も知らせるなど「年表的なドラマ」と評される。石田三成も「奸臣」としてではなく好意的に描き、徳川礼賛ではない、平等な視点で製作されたようだ。全体として武家言葉を多用しており、史実の甲冑の再現率も高いなど、歴史ファン・時代劇ファンにとっては嬉しい要素も多い。
(ただし、例外や脚本家の創作、ドラマ的な演出の場面ももちろんある。真田幸村が大坂の陣で六文銭の旗を使用している、猪熊事件で中心人物となった猪熊教利が登場しない、など)。
キャストの平均年齢が高く、40代前半で死去した石田三成を当時50代半ばの江守徹が、40代半ばで死去した淀殿を当時50代後半の小川眞由美が演じるなどしたため「老人大河」と揶揄された。しかし上述の通り演技・脚本の素晴らしさにおいてそれを補って余りあるほどにカバーしているドラマである。また配役には、俳優と声優を兼業としている役者も多かった(ささきいさお、磯部勉、てらそままさき、菅生隆之など。また、名義は違うが後に声優となる黒沢ともよ、尾崎由香も子役として出演していた)。
ただし上述の武家言葉に関しては、歴史ファンからの評価は高いものの、「言葉遣いが難しいので何を言っているかわからない」というクレームがあったとされている。さらに歴史をある程度知らないと分からない部分も多く(諱の概念、官位・官職についてなど)、視聴率的に苦戦した理由はこのあたりにあると見られる。
さらに、徳川家康の癖である「爪をかんで吐き出す」という仕草(史実でも家康は爪を噛む癖があった)に関しても「食事時に気分の悪いものを見せるな」というクレームがあり、この仕草は物語の進行と共に姿を消していった。家康役の津川雅彦は、「そもそもテレビを見ながら食事をするな」と反論している。
物語の要所要所で、中村梅雀演じる徳川光圀が注釈を入れるのだが(これは上述の歴史をあまり知らない層へのフォローの意味もある)、「サッカーでたとえればペナルティエリア」「フェイント作戦」など横文字を使った注釈もあり賛否両論であった。物語に解説役を設ける手法は、同じジェームス三木作品である「八代将軍吉宗」でも用いられている。
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