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西部警察とは、石原プロモーションが制作し、テレビ朝日系列で1979年~1984年に放送されていたテレビドラマシリーズである。1980年代を代表する刑事ドラマの1つである。
警視庁西部警察署捜査課の大門部長刑事(渡哲也)と鳩村刑事(舘ひろし)をはじめとするその部下たち(大門軍団と呼ばれている)と上司の木暮課長(石原裕次郎)が凶悪犯と戦う姿を描く。
日本のテレビドラマの常識をはるかに超えたド派手な爆破シーンやカースタント、特殊マシン、男達の熱い人間ドラマが評判を呼び、シリーズ化された。
シリーズ後半の「Part2」以降になると地方ロケも敢行するようになり、札幌では豊平川河岸でカーチェイス、静岡では静岡駅前にヘリを着陸&浜名湖で船を爆破、名古屋では廃工場の巨大煙突を横倒し、広島では路面電車(広島電鉄で廃車予定の本物)を爆破させ、福島の山中に総工費3000万円を掛けて建設した要塞を一瞬で灰にするなど、そのド派手な演出はさらに過激になっていった。
この「西部警察」のルーツとなったのが、1970年代後半に日本テレビ系で放送されていた刑事ドラマ「大都会」シリーズ。すでにこの頃にド派手な演出や熱血刑事達の熱い人間ドラマという構造は出来上がっていた。
人気ドラマだったが、テレビ朝日が石原プロに破格の条件を提示したのが決め手となりに一度シリーズを終了。実質的にそのまま移籍させる形で、1979年にテレビ朝日で始めたのが「西部警察」である。
この際に提示された破格の条件というのは、広告代理店を介さずに直接放送枠を石原プロが買い付けて放送するという現在の日本の放送界では珍しい形式を容認するというもの。この番組の成功によってそれまで多額の借金を抱えていた石原プロは借金を完済した上に莫大な利益を獲得したという。
1984年に最終回3時間スペシャルで大門が殉職し幕を閉じた。
2004年に一話限りで復活、2時間スペシャルで放映された。その中では大門は生きていて捜査課長になっており、Part2以降とは別の時間軸上にある物語として設定された。
この作品の影響は海を越えてドイツにまで広がり、1996年からRTLテレビにて「アラーム・フォー・コブラ11」の名で放送を開始。特殊車両がない事以外は基本的に日本と同様の爆破・カースタントシーンが繰り広げられ、本家を超える長寿番組にまで成長している。
▲西部警察は「西部警察」・「西部警察PART2」・「西部警察PART3」の3部構成となっている。いずれにも作風ごとの特性があるのだが、ここでは各々の説明をする。
1979年10月14日から1982年4月18日まで放映されたもので、後続がPART2・3とあるので、サントラなどでは便宜上、西部警察PART1と言われることがあるが、ここでは表記なしで統一をする。
大都会シリーズの直接的な後継として局を変更したうえでスケールアップしたのがこの西部警察である。とは言え、基本的な雰囲気は大都会PART3を踏襲しているが、ドラマ性の肉付けや妹設定の復活など大都会PART2のエッセンスを混ぜたものとなっている。
ただし、放送時間が早まったことや日曜日ということでファミリー層への対応として大都会PART3で見られるバイオレンスさは抑えられている。
のっけから装甲車を使い、都内を走り回るなど、視聴者へのインパクトは十二分であった。また、舘ひろしの加入により、バイクアクションも恒常的に見られるなど、大都会時代と比べても差別化が図られている。OPでは出演者の名前のみである。
巽刑事が殉職によりい舘ひろしが一旦、降板し、新たに加納竜演ずる桐生一馬が加入。バイクアクションはお預けとなったが、桐生刑事がカーマニアという設定上、カーアクションに重点を置くようになった。OPが変更となり、役名と出演者の名前が併記されるようになった。冒頭のジャンプカーアクションは26話の「友情の捜査線」での1シーンをスローモーションで再生したもので、これはPART1最終回まで流されることになった。また、一部SEの変更も行われている。
それまでの大都会シリーズの延長線上だった西部警察の方向性を変更し、決定づけたマシンXの加入により、その当時の科学技術では解決は出来ないであろう事件の解決に一役マシンXが買った描写が多く存在する。
兼子刑事の殉職で五代高之が降板し、変わって北条卓刑事役で御木裕が加入。白バイ隊からの転入ということでバイクアクションが生きると思われたが、実際は着任時のエピソードのみであり、むしろ当人の格闘能力によるところの描写のほうが多かった。
後の全国縦断ロケに通じる大規模な九州ロケをはさみ、どんどん上昇しつつあった高い人気を示すかのようにアクションも派手となっていった。
桐生刑事がICPOへの出向・加納竜が降板し、平尾一兵刑事役の峰竜太が加入。大都会で上条刑事をやってから約2年のブランクを挟んでの再デビューとなったが、肉体派だった上条刑事と真逆の軟派な刑事として、殺伐としがちな西部署捜査課の癒しとなっていった。
番組では明言されていなかったが、88話収録中に木暮課長を演ずる石原裕次郎が解離性大動脈瘤を患い、一時降板。世間一般として石原の病欠の理由は周知されていたが、番組内ではあえて匂わせないように制作をされていた。
とはいえ、非常に存在感の大きい石原がいない事を少しでも払拭するため、これまでは全く見られなかった二宮係長が本庁に対して一喝したりする描写といった具合にキャラ性を強くしたり、今なお伝説である運河の大ジャンプのようにアクションへのてこ入れも行われた。
舘ひろしが鳩村英次刑事として再加入、特別機動車両隊とともにバイクアクションを展開、同時に加入した特別機動車両・サファリと共に石原のいない状態を補うがごとくのド派手なアクションと展開した。
石原のいない時期より盛り上がっていた番組内のテンションは松田刑事殉職話で最高潮を迎えていた。
123話で寺尾聰演ずる松田刑事が殉職により降板、124話でに木暮課長役の石原裕次郎が再登板。
とはいえ、この頃はおそらくは次回作であるPART2の構想も固まっており、言わば繋ぎみたいなものであり、いささかさみしいものであった。
西部警察126話終了から1カ月程度のブランクを挟んだ1982年5月30日から1983年3月20日の全40話、約10カ月放映されたシリーズである。西部警察の続編とは銘打ってるものの、出演者の変更や「自分でまいた種は自分で刈り取る」という大門軍団の哲学の成り立ちなど、前作を踏襲しているとは言い難い個所も多く、前作とはパラレルワールドの関係であるという声もあるほどである(実際、2004年のリメイクにおいては大門が存命している)
三浦友和演じる沖田刑事がクローズアップされることが多く、西部警察PART2自体が沖田刑事のためのシリーズともいわれる。またその当時勃興し始めたバディもののエッセンスを取り入れ、沖田刑事の相棒として、舘ひろし演ずる鳩村刑事がその後のあぶない刑事に通じるウィットとジョークを交えて時に2人で主役を張ったりした。
ドラマ性もあった前作から比べると、アクション面を前面に押し出しているため、ドラマ性は薄まっている傾向にある。
アクション面も都内でカーアクションがやりづらいという状況から、この頃より爆破などの方向性に舵を取り始めた。
何より大きいのは全国縦断ロケであろう。
沖田刑事を交えて始まった西部警察PART2であるが、全国縦断ロケを組み込んだことでPART2の方向性が決定づけられた。OPは前作の九州ロケにおける1シーンをトップに置いた。
前作より登板していた庄司永健演ずる二宮係長が降板、新たな係長役には大都会PART3で加川捜査課長を演じた高城淳一が佐川捜査係長役として登板した。
またマシンXも退役となり、新たにスーパーZとマシンRSが加入した。
一方で23話で特別機動車両隊に解散勧告がなされ、事件自体は解決をみたものの、これ以降に特別機動車両隊が出てくる場面がなくなったため、バイクアクションは舘ひろし演じる鳩村刑事に特に注目がいくようになった。また、この頃より沖田刑事と鳩村刑事がコンビを組んで捜査に当たる場面が多くなってきた。
井上昭文演ずる浜刑事が殉職により降板、これは体力上の理由によるものである。殉職は太陽にほえろ!以来のその当時における刑事ドラマのお約束とは言え、ベテラン刑事の殉職はほとんど例のないものであった。代わって加入したのが八丈島より赴任した小林昭二演ずる南刑事である。
多くのドラマで善悪合わせて多く出演してきた大ベテランだけに、割合に待遇は優遇されており要所要所で重要な役割を果たすことになる。
1983年4月3日から1984年10月22日まで放映された。全68話+最終話の69回放送。
三浦友和演ずる沖田刑事の人気により、当初よりも出演が長くなり、PART3序盤までは実質PART2の延長とも言えるような感じであった。
アクションシーンもカーアクションは地方ロケが多くなり、火薬量も多く派手に爆破するスタイルが多くなった一方、都内でのロケは関係個所の許認可が難しくなり、初期の西部警察からすると明らか見劣りするものが多くなってきた。そのため、シナリオもアクションの絡まないような、人情物などが見られるようになったものの、やはり番組の作風からすればあまり合ってないと言えるようなものであった。
この他、回が進むとともに出演者に降板が発生してきた。
いよいよ沖田刑事の余命がわずかとなる中で大門の妹の明子との恋仲を絡めたストーリーが多くなっていく。なお、この間におけるOPはPART2のものを踏襲しており、PART3と銘打ってるものの、実質はPART2の延長ともいえるものであった。
三浦友和演ずる沖田刑事が退職・冬山へ消えたことをもって降板。代わって、7話より柴俊夫演ずる山県刑事が赴任、シティボーイでスマートな沖田刑事とは逆にどこか泥臭い雰囲気で差別化が図られている。
また平尾一兵刑事の服装がスーツからジャケット+蝶ネクタイに変更となっている
8話では石原良純演ずる五代刑事が赴任。それまでの一番若い北条刑事からさらに若い刑事として、初期の北条刑事も真っ青の暴走直向きさを見せつけてくれた。
また7話からOPが変更となり、北海道ロケにおける1シーンを置いた。また出演者が増えたことによる尺の都合からか、若干音楽が速くなっている。なお放送の順番が事情により入れ替わったことで11話「狙撃」のみ旧OPが使用されている。そしてこの回を持って捜査課の山野事務員が降板している。
マシン軍団にRS1・2が加入し、従来のマシンRSはRS-3に加入、カーアクションも最高潮を迎えるが、これが大いに生きるのは主に地方ロケが多く、このころより都内におけるカーアクションの頻度が減り始め、アクションをするにしても公道上ではなく、私有地が見受けられる。22話を持ってセブンのママ役の吉行和子が降板、47話をもって歌姫の八木美代子が降板する具合にやや出演者のさみしさが目立つようになってきた。
マシン軍団の礎を築いたマシンXが破壊され、全国縦断ロケも滋賀・京都・大阪・兵庫の3部作をもって終了。前述したとおり、都内でのカーアクションを伴うロケが難しくなってきたので、全体的に作風が人情ものであったりと西部警察の作風とはやや合わない作品が見受けられた。
鳩村刑事専用マシンとなるカタナRが加入したが、最終回まで9回までしか登場していない。そして68話になって、突然五代刑事と大門刑事の妹・明子の交際が描かれ、最終回へとつながっていく。
▲西部署捜査課の刑事の面々は「大門軍団」と言われており、犯罪者から恐れられている。その実績は検挙率が警視庁の警察署の中で1番である事に示されている。
通常、大門軍団と言う場合は課長や係長を含む事は無く、現場に出る面々を指す事が殆どである(詳細は「大門軍団」を参照)
「太陽にほえろ!」程で無いにしろ、殉職も発生したがリューのように栄転した者やオキの様に退職した者もいる。
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