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財政再建


ヨミ: ザイセイサイケン
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民間企業の経営者たちは、財政再建をする傾向が強い。

経団連日本商工会議所、経済同友会の3団体を経済三団体と言い、民間企業社長会長が多く集まっている。その経済三団体は常に財政再建をしていて、しかも財務省と全く同じ論調になっている。

これはなぜかというと、民間企業財務省に頭が上がらないからである。民間企業財務省批判したり財務省の省益を損ねたりすると、税務調で報復される。財務省とその下の国税庁・税務署を恐れるため、財務省の財政再建論に全面的な賛同をしている。

民間企業の経営者にとって税務調ほど恐ろしいものはない。「税務署の調に入られ、中をひっくり返されてすべてをことごとく調べられた」という話はよく聞かれることである。

税務署を怒らせないため、東一部上場の一流企業社長会長が直々に税務署の署長へ挨拶にうかがう、という話もよく聞かれる。

このあたりの事情を言した文章があるので、引用しておきたい。谷沢永一[外部]が、1997年11月出版のこの本[外部]っている。
 

数年前までは、中小企業の経営者の集まりで私が大蔵省の批判をしますと、皆さんを伏せられたものでした。官僚のトラブルマスコミで伝えられるようになって、このごろは安らかに聴いていますが、以前は本当に怯えていました。国税庁にも税務署に対しても怯えている。講演の催者から予(あらかじ)め、官僚批判だけはやめてくれという申し入れがあることもしくなかった。どうも沢は然と大蔵批判をやっているらしい、危ない男であるらしいと。そういうことを自分たちが聞いたという実績を残したくない。聞くだけでも怖い。沢と同類と思われると税で報復される、と心配されていた。  

『拝啓 韓国、中国、ロシア、アメリカ合衆国殿―日本に「戦争責任」なし』256ページ[外部]


民間企業社長というのは、従業員を養っていかねばならない立場であり、冒険をすることができない。財務省の言いなりになり、ひたすら安泰を願うというのは、理もないことである。
 

グローバリズム(新自由主義)支持者

グローバリズム新自由主義)を支持する者は、財政再建を支持することが多い。

グローバリズムとは、国家規制を緩和して、ヒト・モノ・カネの移動を自由化することにより競争原理を導入し、ビジネスチャンスを広げる思想のことをいう。自由貿易を極大化させるために「小さな政府」を理想視しており、政府支出の削減を望み、緊縮財政をこよなくする。

新自由主義者の典例というと竹中平蔵である。竹中平蔵小泉政権に入閣して、プライマリーバランス黒字化をした。その結果として2001年骨太の方針[外部]に「プライマリーバランス黒字化」が入ることになった。講演でも、「プライマリーバランス黒字化しなければならない、そのため緊縮財政が必要だ」とひたすら訴えるのである。

竹中平蔵に限らず、海外においても、グローバリズム新自由主義)の支持者が、緊縮財政を唱えて「小さな政府」を志向する例が本当に多く見られる。


自由貿易の極大化は、政府の権弱体化させて規制緩和しないと実現しない。そのためには、緊縮財政にして政府の各省庁へ与える予算を削減すればいい。極端な話、予算を一杯減らせば規制業務を担当する部署の人数が減って、規制したくても規制できなくなり、規制緩和が進むのである。

自由貿易と規制緩和と緊縮財政、この3つは常にっている。そのことを三橋貴明は「グローバリズムトリニティ三位一体」と名付けている。

トリニティとか三位一体などという表現は、ちょっとお落すぎて人々の心にかないかもしれない。ここは一つ、「グローバリズムの三点セット」と野暮ったい表現をしてみたい。
 

安倍晋三内閣総理大臣と麻生太郎副総理兼財務大臣

安倍晋三内閣総理大臣麻生太郎総理兼財務大臣は、2012年12月に政権を獲得してから一貫して緊縮財政の路線を突き進んできた。

選挙をするたび圧勝し、環境に恵まれた彼らは、財政削減を繰り返して緊縮財政を続けてきた。そのため、政府の各部門の支出は民主党政権時代よりも少なくなったところが多くなっている。

新規国債発行額も年々減らされている(国債の記事を参照)

一般的に彼ら2人は保守政治家と見なされている。保守なら国家の基礎を作るために土建設や少子化対策を重視し積極財政の路線を進みそうなのだが、なぜかそうしない。国債発行額を減らし、財政支出を削り、消費税を増税し、一杯の緊縮財政を追求しているのである。


彼ら2人が緊縮財政を敢行するときの言いは決まり切っていて、「積極財政をすると、市場格付け会社[外部]からの評価が悪くなる。市場や格付け会社からの評価を上げるため、緊縮財政にする」というものである。麻生太郎総理兼財務大臣は2019年5月23日参議院財政融委員会において西田昌司議員に対してそのように答弁しているし(議事録[外部]の四ページ)、安倍晋三内閣総理大臣2013年5月15日参議院予算委員会において「財政再建をして市場の信認を確保する」という意味の答弁をしている(議事録[外部]の四七ページ

日本国政府の首である安倍麻生の御両人は、市場や格付け会社に対し、頭が上がらない。市場や格付け会社からの評価をひたすら恐れている。

市場や格付け会社は、リーマンショックという大不況の到来を全く予測できなかった。このため、リーマンショックのあとはアメリカ合衆国にも「市場や格付け会社の評価など当てにすべきではない」という態度の政治家が増えてきているのだが、安倍総理麻生総理はそういう潮流とは縁であり、市場や格付け会社の評価を全面的に信頼し、批判に受け入れているのである。
 

渡部昇一・上智大学名誉教授

なぜ安倍晋三麻生太郎が緊縮財政を追求するのか。

色々と原因が考えられるが、その中の最有補は渡部昇一だろうと思われる。

渡部昇一を簡単に説明すると、上智大教授英語文法史を教えていた人である。1980年代1990年代保守の論客として活躍し、いわゆる自虐史観日本は悪かった史観)の論者と論戦を繰り返しており、「日本は悪くなかった史観」をする勢の中心的存在だった。インターネットのない時代はマスコミ情報発信がやたらと強かったのだがそれにも全く屈せず戦っていたので、保守にとってはまさに英雄と言った感じの人なのである(左の皆さんからは蝎のごとく嫌われている)。

その渡部昇一は、グローバリズム新自由主義)の熱な信奉者なのである。彼の書いたグローバリズム賛美本は数多く、図書館に置いてあることが多い。そのうち1つは『まさしく歴史は繰りかえす[外部]』という本で、をなくしたボーダレス世界が既に到来しており、その中を生き抜くにはユダヤ人真似をすべき、ユダヤ人には才を持つエリートが多いが国家政府に頼らない生き方をしてきたからである、持ち優遇の税制にしてユダヤ人大富豪日本帰化するようにしろ、などと書いてある。「グローバリズム素晴らしい」という段階を既に過ぎ去っており「グローバリズム歴史の必然、その中で生き抜くにはこうせよ」とするレベルの人だった。

大規模な規制緩和をしたマーガレット・サッチャーを誉め称え、大蔵省の護送船団方式(銀行業界を統制する政策)を猛批判するなど、規制緩和も賞賛していた。フリードリッヒ・ハイエクという新自由主義の旗手といえる経済学者を絶賛し、「小さな政府せ、規制緩和せよ、福祉国家はダメだ」と論じていた(渡部昇一ハイエクを賞賛する本の代表例はこちら[外部]

自虐史観を論戦で破り続けて日本の名誉と尊厳と誇りを取り戻した保守英雄である渡部昇一先生が、グローバリズム新自由主義)を肯定して『小さな政府』を奨励している。ならば、緊縮財政を続けて『小さな政府』をそう」と、安倍晋三麻生太郎は考えているものと思われる。憧れの人物の真似をしているというわけである。

渡部昇一2017年4月17日に他界した。そのとき、安倍晋三はFacebookでこのようにコメントし[外部]葬儀にも参列している[外部]

麻生太郎も葬儀に参列し、「(渡部昇一は)知性の巨匠だったと思う。左っぽい人が多かった中で、唯一の保守的な人だったんじゃないかな」とコメントしている[外部]

安倍晋三麻生太郎の両人が心から敬し、心酔しているのだろうことがよくえる。


実際、安倍晋三麻生太郎は「渡部昇一政治家になっていたら、こうなったんじゃないか」と思えるほど渡部昇一に行動が似ている。2人とも言い負かすのが大好きで、韓国中国に厳しい態度で臨み、アメリカには親和的で、市場に対して全幅の信頼を寄せ、『小さな政府』の信奉者である。


安倍晋三麻生太郎の精的支柱である渡部昇一安倍政権の緊縮財政路線の因である、というのはもちろん推論でしかないのだが、非常に説得がある。か、安倍晋三麻生太郎に質問して、確かめてみてほしい。

(本項敬称を略して記述しました)
  

調整の仕事をするのが嫌いな国会議員

庁にとって緊縮財政というのは、要するに、仕事をやめる、仕事を放棄する、仕事を失う、ということになる。予算を削られることによって人員の削減に追い込まれ、事業計画の規模が縮小したり、あるいは事業計画自体が消滅したりする。

国会議員にとっても事情は同じで、緊縮財政になると国会議員仕事が減る。

積極財政のときは、予算をしっかり消化するために業者の手配をしなければならず、国会議員が調整をしっかり行う必要があり、国会議員仕事が増える。「予算を付けたのに、その予算を使って仕事をする民間企業が不足していて計画が進まない」という間抜けな事態になってはいけないので、共事業を引き受ける民間企業たちと大いに話し合わねばならない。緊縮財政においては、国会議員はそうした忙しさから解放されるのである。


このため、調整の仕事をするのが嫌いな国会議員、もう少しキツい言い方をすると調整の仕事サボりたがる怠け者の国会議員、そういう人が緊縮財政を支持する傾向にある。
 


緊縮財政を定める財政法第4条


緊縮財政を政府国会に対して要してくる法律というと、財政法第4条[外部]である。
 

財政法第4条 の歳出は、債又は借入以外の歳入を以て、その財としなければならない。但し、共事業費、出資及び貸付の財については、国会の議決を経た額の範囲内で、債を発行し又は借入をなすことができる。


道路の建設といった共事業に関するものの財には国債を使ってよい、と定めている。これを建設国債という。

共事業以外の支出は国債でまかなってはならない、と定めている。つまり公務員の給料の支払いだったり、政府の抱える研究機関の開発予算だったり、そういう支出に対して国債を発行するのはダメで、税収の範囲内に支出を削りなさいといっている。いかにもといった感じの、緊縮財政志向の法律である。
 

財政法第4条を骨抜きにする国会

財政法第4条を守っていては政府予算が組めないので、毎年、特例国債法[外部]という1年かぎりの法律国会で成立させ、共事業以外の支払いにあてるための国債を発行している。これを特例国債という。

要するに、財政法第4条は、毎年抜きにされているのである。

財政法第4条を抜きにする国会議員たちにも言い分があり、「財政法の上位にあたる憲法83条や第85では『どれだけ国債を発行するかは国会自由に決めてよい』と解釈できる条文になっている」というものである。

日本国憲法83条と第85は、次のようになっている。
  

日本国憲法第83条[外部] の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

日本国憲法第85条[外部] 費を支出し、又はが債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

 
これらの条文から導かれるのは財政民主主義[外部]というものである。民の代表者である国会には、の財政を決める権限が与えられている。「国会共事業以外の支払いにあてるための国債を発行することを決議したら、その意向が通るのは当然だ」という解釈が成り立ち、財政法第4条もあっさりと視される。

ちなみに日本国憲法にはこういう条文もある。
 

日本国憲法第41条[外部] 国会は、権の最高機関であつて、一の立法機関である。

 
財政法第4条というのは法律なのだが、日本国憲法にはとても勝てない。41条と第83条と第85の3つに逆らうことは不可能である。こうして、財政法第4条は毎年のように視されている。
 

平和主義者が財政法第4条を制定した

財政法が制定されたのは1947年昭和22年である。この法律の制定に関わったのが、平井治という人物である。当時、大蔵省に勤めていて計局法規課長の地位にあった。

この人は反戦平和の思想を胸に秘めていた人で、「戦争遂行には国債の発行が不可欠である。ならば、国債を発行不可能にしてしまえば、戦争をすることができなくなる」という発想のもとに、財政法第4条を立案したという。そのことは1947年出版の『財政法逐条解説[外部]』という本に記されている。

日本の左政党というと、反戦平和をとても熱心にする。その左政党の1つである日本社会党は、1965年に初めて特例国債法が可決成立したときに「特例国債戦争につながる」と猛反対していた。また、現在日本共産党も特例国債法を常に批判する。

反戦平和と緊縮財政はとても相性がいい、と言える。


※この項の資料・・・佐藤健志『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』40~50ページ[外部]しんぶん赤旗2008年4月24日版[外部]三橋貴明ブログ[外部]
 


日本国憲法と財政政策


日本国憲法は、どのような財政政策を志向しているのか、本項で確認しておきたい。

ちなみに日本国憲法というのは、公務員全員に対して義務を課す法規であり、その影の大きさは財政法をはるかに上回る。
 

日本国憲法第99条[外部] 天皇又は摂政及び務大臣、国会議員裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 

 
務大臣は行政府の人事権を握る人のことで、国会議員は立法府の構成員で、裁判官法府の構成員である。つまり、行政・立法・法の三権に関わる公務員は、全員憲法を尊重し擁護せねばならない。
 

憲法第25条第2項で積極財政を努力目標にする

積極財政を政府に対して要してくる法規というと、憲法第25条第2項[外部]である。
 

日本国憲法第25条第2項 は、すべての生活部面について、社会社会保障及び衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


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最終更新日: 20/03/22 23:07
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