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買いオペレーション


ヨミ: カイオペレーション

買いオペレーション買いオペ)とは、中央銀行が行う融政策の1つである。

反対売りオペレーション売りオペ)。
 


概要


中央銀行は、債券市場に参入して、民間機関を相手に国債などの有価券を売買することがある。これを市場操作(オペレーション、オペ)という。

中央銀行民間機関から国債などの有価券を買うことを買いオペレーション買いオペ)という。

マネタリーベースベースマネー)(ハイパワードマネー)という経済学がある。マネタリーベースとは、中に流通する現通貨日銀当座預金を合計したものである。ゆえに「買いオペでマネタリーベースが増加する」といった表現をすることができる。

日銀には通貨発行権があり、制限に円を発行できる。2020年現在日本国債は100%円建てなので、日銀通貨発行権を行使することで、いくらでも買いオペすることができる(仮に日本国債がドル建てで発行されていたら、制限に買いオペできない。日銀が持っているドルの分だけしか買いオペできない)。

日銀2001年から2006年まで続けた量的金融緩和[外部]や、2013年から2020年現在まで続けている量的・質的金融緩和(異次元金融緩和)[外部]は、いずれも買いオペを軸とした融政策である。前者は、買いオペを続けて日銀当座預金を増やすという政策で、後者インフレ2%を達成するまで自動的かつ継続的に買いオペを続けて日銀当座預金を増やすという政策である。
 


買いオペによる通貨調節


警告

この項は、売りオペの記事とほぼ同じことが書かれています

買いオペで日銀当座預金を増やす

日本政府は、国債を発行して、債券市場において国債を売却する。そして、得られた政府を使って共事業を行う。

日本政府国債を発行する前と、日本政府共事業を行った後をべると、日銀当座預金の総量は変化しない。そして、民間が保有する国債の量が増える(詳しくは国債の記事を参照のこと)。

日本銀行は、日銀法第1条[外部]により、通貨の調整を行うように定められている。日銀が、日銀当座預金の総量を増やしたいと思ったら、国債市場に参加して、通貨発行権を行使して新たな日銀当座預金を作り出して、民間が保有する国債の一部を買い取る。これを買いオペレーションと言い、世の中の日銀当座預金の総量を増やす融政策である。

日銀は、「日銀当座預金を増やしすぎてしまった。それでは不都合なので、日銀当座預金を減らしたい」と思うことがある。その場合、日銀国債市場に参加して、自分が保有する国債を売りに出し、民間が保有する日銀当座預金を消滅させる。これを売りオペレーションという。

国債政府の負債だが、政府以外の全ての存在にとっての資産である。国債は、日銀にとっても、銀行券会社など民間機関にとっても、資産である(日銀の貸借対照表[外部]銀行の貸借対照表[外部]

国債という資産を日銀民間機関の間でキャッチボールするたびに、日銀当座預金の総量が増えたり減ったりする。日銀の倉庫に国債が入ったら、つまり買いオペしたら、世の中の日銀当座預金が増える。民間機関の倉庫に国債が入ったら、つまり売りオペしたら、世の中の日銀当座預金が減る。

買いオペのことを日銀による通貨発行権の行使という。通貨発行権(正確に言うと紙幣発行権であり、日銀当座預金発行権)は日銀がもっており、日銀以外の存在が紙幣日銀当座預金を作り出すと通貨偽造の罪[外部]でとっ捕まる。

売りオペのことを、日銀による通貨削減権の行使と表現することができる。日銀には通貨削減権があり、紙幣を回収して倉庫に入れてただの切れに戻す権限や、日銀当座預金を消滅させる権限がある。
 

買いオペ 売りオペ
日銀当座預金の総量 増える 減る
日銀国債保有量 増える 減る
民間国債保有量 減る 増える
別の表現1 通貨増殖通貨創造 通貨の削減、通貨消滅
別の表現2 通貨発行権の行使 通貨削減権の行使

  

買いオペはインフレ促進の効果がある

買いオペにより、民間機関が所有する日銀当座預金が増えるので、民間機関企業計に対して融資しやすい状況になり、インフレを高めてデフレ脱却する効果が期待できる。

民間銀行日銀当座預金を引き出して企業計へ貸し出しているわけではない。しかしながら日銀当座預金が増えると企業計に貸し出し可な額が一気に増えるのである。

準備預金制度というものがあり、民間銀行の貸し出し可額は、日銀当座預金の額によって決まる。日銀当座預金が少ないと貸し出し可額が少なくなり、日銀当座預金が多くなると貸し出し可額が多くなる。

貸し出し可額が増えた民間銀行は、利を下げて、借り手に対して「いくらでも融資できます、どんどん来店してください」と意思表示をするようになる。利が下がることで民間の消費意欲が活発化して、インフレが促進されていくことが期待できる。


買いオペすると民間銀行日銀当座預金が増えるので、銀行間取引市場において日銀当座預金を貸し出ししやすくなり、短期金利が下落する。また、国債を買い込むので国債市場価格が上がって長期金利も下落する。すると民間企業計は資を借りやすくなり、消費意欲が活発化することが期待できる。こういった観点からも、買いオペはインフレ促進の効果が期待できると分かる。
   

買いオペ 売りオペ
日銀当座預金の総量 増える 減る
民間銀行の貸し出し可 増える 減る
インフレ 高まる 減る
短期金利 下落(利下げ) 上昇(利上げ)
長期金利 下落 上昇

 


政府の国債市中消化を助ける買いオペ


財政法第5条[外部]において、中央銀行の国債直接引き受けが禁じられている。これは、日銀政府から直接国債を購入してはならない、というものである。日銀は、「政府の財政節度を失わせないために財政法第5条が制定された」との解釈を披露している(資料[外部])。


ところが、日銀は、政府国債中消化を助ける買いオペをしている。

政府国会の議決を受けた上で40兆円の国債を新規に発行し、国債市場に売却することになるとする。ところが、どこの民間機関も余分な日銀当座預金をあまり多く保有していないことが分かった。その場合、日銀はどうするのか。

日銀は、国債市場に参加して、民間機関から国債を次々と買い上げて、余分な日銀当座預金40兆円分発生させる。それに合わせて、政府国債民間機関に向けて売却する。日銀当座預金には基本的に利子が付かず、国債には基本的に利子が付くので、民間機関は大喜びで国債を購入し、余分な日銀当座預金国債に変える。そうして、政府の新規国債40兆円は、事に中消化される。

日銀法第4条[外部]において、日銀政府は常に連絡を密にし、十分な意思疎通を図ることが義務づけられている。そのため、このような連携行動をとることができる。

日銀法第1条[外部]において、日銀通貨及び融の調節を行うことを義務づけられている。どこの民間機関にも余分な日銀当座預金がない状況で政府がいきなり大量の国債を売り出したら、売り手の方が優勢なので国債価格が暴落し、長期金利が上昇する。また、日銀当座預金がさらに枯渇するので短期金利も上昇する。長期金利短期金利の上昇は、デフレとなる。通貨及び融の調節をすることが使命である日銀にとって、政府国債中消化を助ける買いオペは、日銀法第1条の理念に合致しており、まことに正しい行動である。
 


買いオペの問題点 インフレ率が思うように上がらない


買いオペをデフレ脱却の切り札とすることには問題点がある、と摘されている。

買いオペをして増えるのは、日銀当座預金である。民間銀行にとって、日銀当座預金が増えれば、その分、貸し出し可額が増える。ところが、民間銀行は貸し出し可額が増えたからといっても、実際に貸し出しを増やさないことがある。世の中の企業計の消費・需要が少なく、有効な投資先が見つからないのなら、理して貸し出しを増やそうとしない。

民間銀行が、企業計に向けて融資することをしなければ、世の中に出回る通貨の量が増えず、いつまで経ってもインフレが高まらず、デフレ脱却できない、というわけである。


このことを経済学を使って表現すると「買いオペをすると確かにマネタリーベースが増える。しかし、マネーストックが増えるとは限らない」となる。マネタリーベース中央銀行民間向けに発行した通貨の総量で、民間機関中央銀行に預ける日銀当座預金も含まれる。マネーストックは、機関以外の企業計が保有する通貨の総量で、「世の中に出回っているお金」のことである。

このため、売りオペ融引締)はよく効くが、買いオペ(融緩和)はあまり効果がい、とも論じられる。このことを示す文章を引用しておく。
 

これまでも、既にしばしば「融政策は、引き締め時により有効であり、緩和つまり気振策としてはその効果は鈍く、有効需要に直接く財政政策の方が効果的である」と言われてきている。

そもそも融引締政策とは、経済活動が過熱して物財・労働・外貨等の需給関係がバランスを欠くような(需要過)状況になった時、(どんな取引にも必ず必要な)オカネという兵糧を絞る、出し渋ることで、実体経済の健全なバランスを回復させようとすること(パーティーっ盛りに、お酒を取り上げるようなもの)であり、経済が猛にオカネを必要としている時だけに、確かにこれは効く。

逆に経済が沈滞している時は、企業にしてみれば、・・・(中略)・・・おいそれと銀行の申し出に応じるとは限らない。く「紐で引っることはできても、紐で押す(push on the string)ことはできない」、あるいはく「からを取り上げてを飲ませなくすることはできるが、逆にたっぷりのを満たしたの傍に持って行ったとしても、いざむか否かはの気持ち・体調次第であり、理に飲ませることはできない」とも表される。

横山昭雄『真説 経済・金融の仕組み』147~148ページ[外部]

 
紐で押す(push on the string)[外部]とは、有名な経済学者ケインズが流行らせた言葉で、英文の経済記事にしばしば出てくる。



2013年3月日銀総裁へ就任した黒田異次元融緩和と称して大規模な買いオペを始めた。この融政策のため、日銀当座預金マネタリーベースが一気に増えた(日銀資料[外部])。表にするとこうなる。
 

日銀当座預金 マネタリーベース
2012年12月 43兆円 131兆円
2019年12月 397兆円(+354兆円) 512兆円(+381兆円)

 

これだけ日銀当座預金を増やしたのにインフレ率は上がらず、2%インフレ標すら達成できていない。

日銀が怒濤の勢いで買いオペをして、民間銀行日銀当座預金が増えて、民間銀行の融資可額が一気に増えても、なかなか民間銀行が貸し出しをしようとしない。日本国内の消費意欲が少なくなっており、有望な投資先が見つからないからである。そのため、世の中の企業が回らず、企業の業績は振るわず、賃は伸びず、インフレがあまりかからない。
   


中央銀行が国債を保有する意味


日銀は政府の意向に逆らえない


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最終更新日: 20/02/24 18:20
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