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E-8


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E-8 JSTARS (Joint Surveillance and Target Attack Radar Systemジョイント・スターズ)とは、アメリカ空軍が運用する地上部隊揮・管制航空機である。


概要


JSTARSはAWACSに似ているが、AWACS航空戦を管理するように作られているのに対し、JSTARSは地上戦を支援する役を与えられている。

JSTARSは機体下部に複数のモードを持つレーダーを搭載している。一つは広域監視・移動標を表示するドップラーレーダー(WAS/MTI)で、WASなら大規模な機甲師団の動きを発見でき、MTIなら個々の車両を表示する。このモードでは5万キロの地域をカバーできる。もう一つのモードは合成開口レーダーSAR)で、標地域の地図軍事施設の映像を作るだけでなく、地下に埋められている金属製構造物も見つけられる(特定深度は機密)。湾岸戦争ではクウェート南部にあったイラク軍が敷設した地雷原を発見することに成功している。戦場未来 兵器戦争をいかに制するか」ジョージフリードマン レディス・フリードマン 関根:訳 徳間書店 1997 p.133


開発


AWACS中における航空機揮管制機を備えているが、そのレーダーはあくまでも中を高速で移動する物体=航空機を対としている。

では、AWACS同様に中から地上を移動する車両を追跡することで、地上部隊の揮を円滑にすることができるのではないだろうか? という発想が生まれた。もっとも技術的なハードルは高く、実現したのは1980年代末になってからである。

理由は簡単で、地上を移動する物体の速度の遅さがすべての原因だった。レーダー電磁波の反射をとらえて標の方位距離を測るが、それを中から地上に向ければ、関係のない地上や建物などから反射した電波(グラウンドクラッタ)も拾ってしまう。高速で移動する物体であれば、これらのノイズの中から移動しているものを選別することは容易なのだが、地上車両はせいぜい時速50km前後、どんなに速くても100kmはえない。つまりノイズの中に埋没してしまう。これらの雑多な情報から必要な情報を切り分けるためには、特定範囲を精細に計測する解像度(分解)の高いレーダーが必要だった。この問題をクリアするため航空機に搭載可な合成開口レーダーの実用化を待つ必要があった。

通常レーダーとは電磁波の反射により測距する。標をどれだけとらえるか、高解像度(分解)をあげるためにはできるかぎり高い波長の周波数とアンテナの大きさが必要になる。(レーダーの性の一つであるビーム向性だが、これはλ(波長)/D(アンテナ直径)によってビーム向性がめられる。極端に言えば波長が短ければ短いほど、アンテナが大きければ大きいほどよい。マイクロ波(cm単位)よりミリ波(mm単位)レーダーがより分解を上げることができる。極端なことを言えば人間が高解像度なのもの波長をとらえているから、ということになる。ただし波長が短ければ短くなるほど(つまり周波数が高くなればなるほど)、大気などで減衰しやすい。)

では遠距離からより精密に分解を上げるためにはどうしたらよいのか。その答えが合成開口レーダーである。つまり移動しながら計測したい範囲に対して収束したマイクロ波を向けて送受信することで見た上のアンテナ(開口)を広げてしまえばいいということで原理は簡単だが、実現には高いハードルがあった。移動しながら送受信をして、なおかつそのズレ(位相)を把握する必要がある。地表に設置された場合や移動軌がはっきりしている衛星の地上観測用であればまだしも航空機に搭載するためには正確な航法装置と高速で大量のデータを処理できるだけのコンピュータが必要だった。またノイズの除去にもコンピューターが必要になる。

まりこれだけの設備を航空機に搭載できるまで時間を必要としたのである。

1980年代に入って実現に途がついたこともあり、空軍陸軍共同の計画としてスタートした。Joint Surveillance and Target Attack Radar System = 統合警標攻撃レーダーシステムという味もそっけもないが頭文字をつなげるとJ-STARSという名前になるのもアメリカ軍お得意の語呂合わせというところだろう。

初飛行は1988年中古のB-707(アメリカ空軍AWACS E-3セントリーやE-6、はてはエアフォース・ワンにのベース機体としても有名)をベースに必要な機材を積み込んで初飛行に成功。試験を重ねていたところに湾岸戦争が勃発。あわてて当時の2機を送り込んだ。

砂漠地帯ということもあり彼陸上車両部隊の移動パターンを追跡しやすく、合成開口レーダーではなくビームを絞ったドップラーレーダーモードにすることで特定標を追跡しやすくすることも容易だったらしい。かなりの高い評価を得た(なんでも車両タイプまで判別したという)。

現在、E-8Cに搭載されているAN/APY-7レーダーは地上移動モード(GTMI)、固定ターゲットモード(FTI)、合成開口レーダーモード(SAR)の三つの機を備え、それぞれ状況に応じて使い分けているとされている。

もっともレーダーでとらえた情報をいかにして地上部隊に伝達するのか、という点においては課題を残したと見えて、2000年代RMAなどC4Iの向上を促す原因にもなったという。最新のE-8Cはこれらの情報データリンクで地上部隊に転送するを備える。

現有機体は17機。最初の2機がE-8Aとされ、新機の開発が計画されたがキャンセル中古のB-707をベースに搭載機材をアップデートしたE-8C(と、既存のE-8AがE-8C相当へと改造されたもの)がある。湾岸戦争以降、アメリカ軍が参加した戦闘のほとんどに参加。アフガニスタンでも警にあたっているが、標が車両ではなく人間であるということもあって課題を残している。


後継機


空軍は後継機としてE-10Aの開発を進めていたがこれは2007年キャンセルされた。これを受けてE-8Cのエンジンを交換する計画を立てたが、これも2012年白紙化2015年度よりE-8Cのミッション機器をより小の機体に移植、あるいは新システムを開発する、JSTARS RECAPRecapitlization:再構築)計画を開始している。JSTARS RECAPではボーイングロッキード、ノースロップが導する3チームが参加している。「E-8CジョイントSTARSとJSTARS RECAP石川潤一 航空ファン2018年2月


その他


1991年湾岸戦争当時、距離100キロメートルも離れた地点の上から地上を見ることができる航空機はこのE-8だけだった。その後「合成開口レーダー」の技術が航空機用の較的軽量なシステムにも応用されるようになり、E-8のような大機でなくても遠距離からの地上監視が行えるようになっている。例えば英空軍ではカナダ製の双発ビジネスジェットAESAレーダーを搭載した対地偵察機センチネル」を開発し、これを5機保有している。高度1万5000メートルを飛べば、160キロメートルも離れた場所にいる敵歩兵の動きを探知できる。「兵頭二十八の防衛2016」兵頭二十八 思社 2016 p.322


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関連項目



最終更新日: 19/11/21 20:47
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