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MUR閣下とは、2008年の映画『イップ・マン 序章』に登場する池内博之演じる三浦将軍のことである。
階級については明言されていないが、佐藤大佐の上官である事を鑑みると少将以上と思われる。
本名は三浦武介。帝國陸軍に所属する軍人で、正々堂々を好む高潔な武人として描かれている。階級については明言が無く不明。抗日色が強いイップ・マンであるが、三浦自体は先述の通り立派な武人である。勝手にリュウ師匠を射殺した佐藤大佐には拳銃を突きつけ、脅迫交じりに諌めるなど軍規を乱す者は味方であろうと容赦しない。脱いだ軍服を丁寧に畳んでいる事から、几帳面な部分も窺える。空手の高段者であり、中国人の格闘家を圧倒する凄まじい実力を誇る。「彼ら(中国人)に、日本の空手というものを知らしめてやる」と口にしており、空手に誇りと敬意を持っている事が窺える。
日華事変勃発に伴って部隊とともに進駐。今村均司令官率いる第五師団の指揮官としてイップ・マンの住む広東省佛山(ふっさん)へとやって来た。イップ・マンの住む豪邸を徴発して司令部にした事で、彼を極貧生活へと追いやる。人間の屑がこの野郎・・・。
続いて兵士を鍛えるための道場を開き、その練習相手として佛山の格闘家を集めていた。勝てば米一袋を渡し、降参すれば攻撃の手を止めるなど適切な運営がなされていた。日華事変によって物資や食糧が欠乏していた背景もあり、道場には数多くの格闘家が詰め掛けている。彼らとの意思疎通には、通訳のリー・チウが担当した。良い戦いをするリュウ師匠を見て刺激を受けた三浦は、「軽く肩慣らしなどでもしてくるか」と自身も参戦。3人を同時に相手すると宣言し、また勝っても負けても米を与えるとした。そしてリーが選んだラムと、無名の格闘家2名と対峙。3対1で試合を行い、彼らを軽くあしらう。圧倒的な実力差に無名の格闘家2名は早々に負けを認めるが、日本軍に恨みを持っていたラムは無鉄砲にも喰らい付く。ラムの不意打ちにも難なく対応し、実力差を見せつけてもなお反抗するラムに三浦は怒り心頭。渾身の蹴りを喰らわせて吹き飛ばした。これがトドメとなり、体中の骨を折られたラムは死亡した。その後、姿を見せないラムを心配して道場にやってきたイップ・マンは、リュウ師匠とラムの死を知って激怒。10人の一般日本兵くんを相手にすると宣言し、完勝する。一部始終を見ていた三浦閣下はイップ・マンに関心を持ち、通訳を通してまた来るよう言ったが、米が目的でなかったイップ・マンは来なかった。
いつまで経っても来ないイップ・マンを探し出すため、三浦閣下は全部隊に命令。間もなく綿花工場を襲った山賊から通報があり、部隊を率いて出撃。綿花工場に急行するが、そこにイップ・マンの姿は無かった。佐藤大佐が工場長に暴行し、力ずくで聞きだそうとするとイップ・マン本人が駆けつけてきた。既に試合外で佐藤大佐と一般日本兵くんに手を上げていたイップマンは重罪人で、佐藤大佐は怒りに任せて射殺しようとしたが、三浦がそれを制止。イップ・マンの類稀なる実力を見抜いていた三浦は、ただ殺すだけでは惜しいと考え、「日本の天皇に忠誠を尽くし、我が日本軍に中国の武術を教えるのだ」と教官になる事を勧めた。さらに要求を受け入れれば助命すると付け加えたが、イップ・マンは拒否。「教えはしない、直接戦って盗み取れ」と言い放ち、通訳のリーを通して三浦に伝えられた。好意的に受け取った三浦はイップ・マンを拘束し、一時的に営倉へと入れるのだった。三浦は投獄されたイップ・マンに自ら食事を運び、彼の前で正座して対話を試みる武人っぷりを見せるも、イップ・マンからは拒絶されてしまった。あ、そっかぁ・・・。佐藤大佐からは国民全体の栄誉に関わるとして試合をしないよう進言されるが、三浦は取り合わなかった。代わりに「率直に言わせて貰うが、私が負ける事などありえん」と自信満々に言い放つ。
その後、文化交流の名目で街中に特設リングが設けられた。観衆と警護の日本兵が周囲を囲む中、日本兵に連行されたイップ・マンが姿を現す。柔道着に着替えた三浦は戦う前からリング上に上がり、正座をして待っていた。イップ・マンがリングに上がると、呼吸を整えて立ち上がる。そして、ゆっくりと、構える。そしてついにイップ・マンと対戦。互いに素早く打ち合う様子はクライマックスに相応しい試合で、作中最大の激戦となった。作中でのイップ・マンはまさに最強で、対戦相手を悉く倒してきたが、MUR閣下は何度かイップ・マンに投げ技や蹴りを喰らわせる敢闘を見せた。一般日本兵くんでは全く対応できなかった頭部への執拗な殴打(実質即死技)も、MUR閣下は防いでカウンターまで決めており、閣下が強敵である事を見事に表現している。なお、即死技を防がれたイップ・マンは驚きの表情を見せている。
が、次第にイップマンに押されるようになり、動きにも乱れが生じ始める。そこをイップ・マンに突かれ、更に窮地へと追い込まれる。それでも拳を振るい続け、諦めなかったが、ついにイップ・マンの乱打を受けて手も足も出なくなる。最後は四隅にある鉄塔に頭部を強打して、気絶。試合前の自信とは裏腹に、あえなく敗れ去る。試合前、観衆から「絶対反則する」と罵られていたが、最後まで正々堂々と戦ったMUR閣下は人間の鑑。試合という名目上、死亡した訳ではなさそうだが、目を覚まさないまま物語は終了した。序章の続編にあたる葉問では、冒頭のみ回想という形で登場。閣下自体の出番はほぼ一瞬だが、率いていた日本兵が綿花工場の社長の頭を撃ち、池沼化の原因を作っている。
識者の間では、後のイップ・マンとの試合で頭部に甚大なダメージを受けた事が原因で池沼化したのではないかと推測されている。
正式なストーリーに含まれるかは不明だが、未公開シーンには戦いの後、三浦が畳の部屋で単身切腹するという場面がある。「イップマンを試合をする事は、その勝敗はもはや閣下個人の問題ではなく日本人全体の栄誉に関わる」と佐藤大佐から忠言を受けた上で試合を行っただけに、負けたMUR閣下は負い目と責任を感じていたのだろう。サウンドトラックには「腹切り」というBGMが収録されており、例の切腹シーンが使用される予定だったのかもしれない。ただ、未公開シーンでMUR閣下に射殺されたカム・サンチャウが続編の葉問では生存確定している事から、切腹はパラレル扱いの可能性が高い。北派の訛りが強すぎて翻訳できないと言うリーに、声を荒げるシーンも見受けられた。同じく未公開シーンには中国当局の判断で削除された通訳のリーが群衆にリンチされる場面があるが、この切腹シーンも検閲によるものかは分からない。
坊主、同じ苗字、空手という三点からMURと同一人物、ひいては過去の姿とする考察がある(すっとぼけ)
イップマンとの試合に敗れた時、頭部を強く打ち付けており、これが池沼の原因になったと考える有識者も多い。このためかBB先輩劇場ではMURの覚醒した姿としてMUR閣下が用いられる事がある。覚醒するとそれまでの池沼っぷりから一転、空手の高段者として周囲を圧倒する実力を備える智将と化す。また覚醒体ではなくMURが持つ顔の一つとして使用される事も。一方、MUR閣下が活躍した時代が支那事変である事から先祖と捉える人もいる。
中国に本拠を置くbilibili動画でも「MURが池沼になった真実(意訳)」というタイトルでMUR閣下の戦闘シーンが上げられており、中国のホモたちにも同一人物説が広がっている。そのためかMURが登場すると「日 本 陸 軍」とコメントされる事も。
何がともあれホモビ男優と一緒くたにされる池内兄貴かわいそう。
俳優の池内博之氏のもとへ、海外映画の出演オファーが届いた。イップマン序章という映画で、敵のMUR閣下役だった。子供の頃から知っているサモハン・キンポーと一緒に仕事が出来るという事で、凄く嬉しかったという。イップマン序章の撮影をするにあたって、MUR閣下役の池内博之氏は香港でサモハン・キンポーから一ヶ月の特訓を受けている。
脚本製作の段階では、MUR閣下は極悪人の設定だった。このため池内氏はMUR役での出演を躊躇したという。監督に対し、「武道を通じて二人(イップマンとMUR)が通じ合える瞬間がある、そういうものだったらやりたい」と池内氏は伝えたという。監督も戦争の話ではなく武道の話にしたいと思っており、要求が通って作中のMUR閣下像が出来上がった。高潔な武人たるMUR閣下は、池内氏によって生み出されたと言えるだろう。MURはラスボスであるため、クランクインから一ヶ月間は池内氏の出番は無かった。その間にずっとアクションの練習を重ねていた。ちなみに嫌味な奴で有名な佐藤大佐は最後に作られた登場人物だった。劇中で佐藤大佐が行った悪行は、本来MUR閣下が行う予定だったのかもしれない。
事前に台本は渡されていたが、大まかな指示しか書いておらず、監督の指示に従いながらその場その場でシーンが撮影された。これには池内氏も苦労したようである。本番直前になって突然入れられたシーンもあった。いやーキツいっす。
池内氏は黒帯を絞めるほどの柔道家だが、アクションは初挑戦だった。後のインタビューで「(格闘するシーンで)うそ臭いの嫌だ」と明言しており、妥協を許さない姿勢で撮影に望んでいたという。
そのため池内氏の体には生傷や痣が絶えず、「もしマネージャーがいたら撮影を中止させていただろう」と苦笑気味に答えていた。初挑戦だけに撮影は苦労の連続だった。池内氏は前もってアクションの練習をしていたが、全然ついていけなかった。「大変でしたね」と当時を振り返る。撮影中はアクション大スターのドニー・イェンとも交流があった。イップマン同様、ドニー氏も紳士的で「この作品でこれだけ出来れば、他の現場に行っても大丈夫だよ」と励ましてくれたという。優しい人物だがお茶目に一面もあり、池内氏に悪い日本語を聞きたがっていた。教えたお返しに池内氏も悪い広東語を教わったという。ウレシイ…ウレシイ…。
イップマン対MUR閣下のラスボス戦は短いが、撮影には二週間を要している。妥協を許さぬ姿勢だったようで、少しでも当たってないように見えたらリテイクを喰らった。表情にもこだわり、ドニー氏とともに「本当にこの顔で良いか」と何度も試行錯誤を重ねた。佐藤大佐を演じた渋谷天馬氏も「そこまでするのか?」と驚いていた。見ごたえのある迫力のラストシーンは、こうして作られていった。
MUR閣下について池内氏は「三浦はそういう武道というものが大好きで、だから詠春拳を作ったイップ・マンと出会って、刺激的を受けてひかれたんでしょうね」と評している。MURの存在を軽くしないよう、ずっしりとしたイメージを持って演じたという。池内氏自身もMURが好きだと語っている。そうだよ(便乗) 今後もアクション映画のオファーがあったら挑戦していきたいと前向きな考えを述べた。
イップマン序章を見たディン・ジェン監督はMUR役の池内氏の演技に惚れ込み、オファーを出した事で映画「レイルロード・タイガー」(2016年公開)への出演が決まった。今作では抗日レジスタンスを追う憲兵隊長山口を演じ、中国での人気が爆発。MUR閣下役をきっかけに、活躍の舞台を中国に移した。たまげたなあ。なお、佐藤大佐役の渋谷氏もイップマン序章出演以降出演オファーが激増したと語っており、池内・佐藤両氏にとって不動不変の出世作であるといえる。
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