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QCサークルとは、商品、サービスの品質、職場環境、コスト削減、安全を向上する為、多くの企業が推奨する自主的活動の総称である。
「QC」「カイゼン」「TQC」「改善活動」とも呼ばれる、PDCAサイクルを基本に仕事の問題点や、性能の向上を追求し品質(Quality)を管理(Control)する活動。
(なお、PDCAとはPlan『計画』、Do『実施/実行』、Check『点検/評価』、Act『処置/改善』を指す。)
この活動を行う事で製品の品質を高め、仕事の能率を上げ、安全性も確保し、仕事の負担を軽減し、仕事の報告もコレにそって行えば大体OKになる夢のシステムなのである。
また、この活動は部署内や会社全体、全国の規模で発表を行い、他部署、他社の優れた所を吸収し、自身のスキルアップにも繋がる為大変勉強になる。
発表に対する質疑応答等もあり、それにより新たな発見もあり次の活動へのステップとなる。
自主的、自発的に行うこの活動は上司を巻き込み活発的な意見を出し合い取り組む為、部下、上司間のコミュニケーションも図られ一石二鳥である。
また、QC検定という認定機関があり、自身の実力、理解度を試すのに最適な試験である。
▲儀式、サービス残業活動、QC(クルシイ)サークル、TQC(トテモクルシイ)とも。
自主的、自発的活動を行なわなければならないと言う、日本語として矛盾している事が前提である。
ちなみにこの命令者は一体誰なのか判らない事が多い。
あまり深入りすると、自分の身が危ないからである(リストラ的な意味で)。
直属の上司も、所詮末端の人間であり、真の黒幕は不明である。
上司も更に上の上司から命令されるのである。
会社によって運用方法は違いがあるだろうが、大体、年間4件の自主的活動を義務付けられており、平均して1件に対し3ヶ月間しか時間が無い。
「3ヶ月もあるなら余裕ジャン?」などと思っているのならそれは大きな間違いだ。
通常の業務をこなしながら行なわなければならないのだ。
当然、日々の業務を圧迫し、残業をしなければならなくなる。
しかし、QCサークルは自主的活動だ。
会社側の意見としては「お前等が勝手に行なう活動だろ?」との言い分で給料など出ない。
泣く泣くQC活動を行い年間4件のノルマを達成出来たとしよう。
じゃあ仕事の負担は軽減し、品質は改善できたと言えるだろうか?
答えは殆どNOである。
まず、絶対に仕事の負担は軽減しない。
取り組んだ活動に対する仕事の負担は軽減するかもしれない。
しかし、QCサークル活動は年間4件の義務がある。
即ち、また来年も4件活動を行なわなければならない。
するとどうなるか?
結局、日々の業務を圧迫する活動は継続され、しかも、改善すればするほど改善ネタも無くなる為、ネタを探す為に業務を更に圧迫する、と言う悪循環に陥るのである。
品質は改善できる事も有る。
しかし、たった3ヶ月しかない期間でロクな研究が出来るはずが無い。
日々の業務も忙しいのだ。
提出時間に遅れればペナルティもある。
なし崩し的に、適当なデータを提出し、出来もしないことを出切ると言いお茶を濁すのである。
問題点を自主的に徹底的に追求し、品質を高める活動に時間制限があるのだ。
一体何が出来ようか?
そして、そんな適当な活動成果を報告する発表会がある。
それぞれの部署10サークル位が作成したQC事例を持ち寄り発表するのだが、これもロクな場ではない。
初めてサークル活動を行なう人間はココで「茶番」と言う言葉の意味を知る。
大勢の前で発表する為、資料や原稿を作成しなければならない。
当然、練習も必用だ。
勿論、日々の業務を削ってである。
直属の上司も色々熱い指導をしてくれる。
「発音が悪いな」「滑舌はもうちょっとなんとかならんか」
そんな技能が備わっているなら、こんな会社入社するか!
パワーポイントも非常にギミックを尽くした見栄えの良い物が要求される。
画面をところ狭しと暴れまわる、文字や画像たち…。
…俺達はアニメーターやデザイナーではない。ただのサラリーマンだ。
傍から見るとPCで遊んでいる様で片身が狭いんだ!
対策に至る調査や現物作成にも天啓の如き凄い閃きががあった様に改ざんさせられる。
趣味の模型を作っている時、ドライブの最中に、同僚の何気ない一言に…。
ありとあらゆる日常で「思い付きがあった」と表現し常に改善意識がある事を匂わせる。
…俺達は演出家では無いが、それでも今表現しようとしているモノの良し悪しは解る。だから!
ともかく、業務そっちのけで作成し猛練習を積む。
当然サービス残業だ。
そうして作り上げた発表事例を大勢の前で読み上げる。
その後は質疑応答時間だ。
当然、質疑応答も抜かりは無い。
質問者は別のサークル員が行なう。
当然お互いの苦しみも悲しみも知り抜いている。
予め、質問内容と応答内容は決めておくのだ。
ちなみに、このヤラセ行為は直属の上司も協力してくれる。
なにせ自分達も苦しんで来た道だから、部下の苦しみは身にしみて解っている。
発表会を盛り上げる為、と言う苦しいにも程がある言い訳の下、事前に質問者は割り振られているのだ。
「このサークルが発表する時はコッチのサークル員2名程度が質問する事」と、こんな感じで。
そうして余計な突っ込みが無い様に、細心の注意を払って当たり障りの無い事を質問し応答する。
「苦労した点はなんですか?」 「工夫した点はなんですか?」 「品質には影響ないんですか?」
だいたいこんな内容の無難な質問が判で押したように繰り返される。
目が死んでいる質問者と、質問に考えるそぶりも見せず即答する発表者。
発表会の最大の見せ場である。
その後、司会者が「発表者に盛大な拍手を」と促し、まばらな乾いた拍手が開場に響き渡る。
そう言ったやり取りが10サークル分あり発表会は終了する。
後日、社内メールや掲示板にて発表会の模様が報告される。
「素晴らしい発表と盛り上がりを見せ大盛況のもと無事終了しました」と締められる。
私は「盛況」と言う言葉を調べてみた。
せい‐きょう【盛況】 催し物に多くの人が集まって、盛んなようす。「バザーは―のうちに終わった」
アレが大盛況なら、この世に存在する演説、舞台演劇は全てスタンディングオベーションだと思う。
ちなみにココで1位を獲得すると更に上の発表会へ行かなくてはならない。
当然、更に業務を圧迫する。
だから皆、1位にはならない様に、でも最下位にはならないように渾身の努力を払って手を抜くのだ。
QCサークルにはマネージャー、管理者、推進者、世話人、アドバイザー、PTAなど、サークル員を支援する人たちが存在する。
サークルによって様々であろうが、大抵2~3人の上司が付く。
リーダー「推進者さん、今回はA案でやっていきます」
推進者「いやB案の方がいいだろう」
リーダー「はい」
リーダー「世話人さん、今回はB案になりました」
世話人「これならC案の方がいい」
リーダー「…はい」
リーダー「管理者さん、今回はC案でお願いします」
管理者「うーん、A案が妥当だろう」
リーダー「……はい」
リーダー「サークル員の皆さん、今回はA案になりましt…」
偶然立ち寄った部長「Z案があるぞ」
サークル員「えぇ…」
そして出来上がる役に立たない成果物。
なぜ役に立たないのかと言えば、多数の上司の顔を立てる必要から本来捨てるべき案を組み込まねばならず、結果ガラクタや謎のオブジェが出来上がるのである。
まさに船が山を登った瞬間であろう。
▲船頭多くして船山に登る
意味
指図する人が多くて方針の統一がはかれず、物事がとんでもない方向にそれてしまうことのたとえ。
では、こんな儀式が繰り広げられるQCテーマは如何にして作られるのだろうか?
長年QCに苦しめ鍛えられているサークル員達。
疲れ切った脳細胞を振り絞ってサークル会合を行なう。
まずは、テーマ選定だ。
本来のやり方は、テーマを持ち寄ったり、効率の悪い作業を提案して、案件をデータ化し一番非効率、危険な作業を選ぶ。
それこそ作業を細かく細分化し、何に時間が掛かっているのか?危険なのか徹底的に議論する。
本来ならそうすべきなのだが、そんな馬鹿な事に割く時間は無い。
今まで散々関わってきた作業だ。
そんなモン直感で解る。
持ち寄られた案件に対しサークル員の一番発言力の強い者が「ん。コレ」と決める。
後は、それらしいデータを後付けして選定理由を決めるのだ。
なお、言うまでもないが、下記の様な案件はここで全て弾かれる。
そしてその作業は今、
この様な事を、徹底的に調査し掘り下げる。
理由を追求し、作業に対する問題点を炙り出す。
本来ならそうすべきなのだが、そんな馬鹿な事に割く時間は無い。
今まで散々関わってきた作業だ!そんなモン直感で解る。
ワザとらしく、「理由は解らないが、ココが無駄、ココが危ないからどう対策すれば良いか?」と締める。
直感で解ってはいるから調査もクソもないのだが、そこはぐっと堪えて次に進む。
今後行なう要因解析、調査、対策を誰が、何を、いつまでにやるか決める。
当然、名ばかりの表面上の計画だ。
どんなに時間が掛かろうが最後には帳尻が合う魔法の計画である。
出来上がった物は必ず計画通りに終わった事になっている。
計画が不要とは言うまい。
ある程度の計画は必要であろう。
上記では『魔法の計画』と表現したが、当然ながら本来、成果がでるか不明な物に対する改善に対し、『解決の日にち』を設けるなどナンセンスの極みである。
何が要因で作業がやりにくいのか?危険なのか洗い出す。
特性要因図を使い沢山の要因を挙げコレが要因だと決める。
系統図法を使い対策に対し何が一番相応しいか決める。
当然誰もが要因は直感でコレしかないと頭で思い描いているので、結果は火を見るより明らか。
必ず直感で思っていた対策が選ばれるように色々改ざんする。
どんな物を使えば良いのか調査する…フリをする。
色々アイデアを詰めたと偽りの対策を施す。
いかに苦労して作ったか切実に訴えかける文章を考える。
あとは、それっぽく見える写真を撮ったり、無駄な装飾を散りばめて派手に完成をアピールする。
完成したQCに対し感想や反省点、次回への課題を添える。
ここまで読んでくれた皆さんに今更「こんな文章を書く」などと言う必要は無いだろう。
そう!貴方が今思い描いている白々しい文言を、そっくりそのまま書き上げる。
こうして完成されるのである。
しかし、一息つけたとしても達成感などあろうはずが無い。
仮に本物のQCを行なったとしても、すぐ次に取りかからねばならない。
終わりの見えない事に取り組むのは本当に心が折れそうになるのだ。
今までも殆ど反則技であるが、こちらはちょっと質が違う。
QC活動を行なっている会社は大体「創意工夫」活動を行なっている。
創意工夫とは個人QCみたいなものである。
その時に使ったネタをQCに作り変えるのだ。
すなわち完成品、完成対策から今までの手順を逆に遡って行くのだ。
実は結構難しいので面倒であるが、背に腹は変えられない。
こんなまどろっこしいやり方などせずとも一瞬で終わらせる方法もある。
数年前に提出したQC活動を、日付を変えて再提出するのだ。
このQCサークル活動は歴史が古い。
会社には膨大な量のQCデータがあり、その全てのデータと重複していないか確認する術は無い。
個人の記憶でしか判断できないのだ。
また、もの凄い量の専門用語が並んだりするので、QC管理を仕事としている部署如きに理解できるはずも無く、 全く同一であれば後々調査が入った時にバレてしまうが、細部データ、レイアウトをチョット変更したら大体通る。
直属の上司の目さえやり過ごせば何とかなるのだ。
ただし、QCを信仰している上司が所属している部署ではお勧めできない禁断の奥義だ。
これは筆者の失敗談でもありますが、初めてQC会議に出席した時、
と言った事に惑わされ、「あぁ、これは時間がある人だけが参加すれば良いんだ。仕事を片付けるのが先決だ。」と判断し、「仕事が溜まっているので欠席して良いですか?」と申請したら滅茶苦茶怒られました。
あの時の衝撃は今でも忘れられません。
QCは結果を出す事に意義があるのではありません。
参加し、ノルマをこなし提出する事に意義があるのです。
これも筆者の失敗談でありますが、計画通りに成果を出せなかった為、上司にに『追加研究』の申請を行ったら滅茶苦茶怒られました。
説教の内容を吟味し要約すると『自分の監督するサークルだけ遅れる恥をかかせるのか!?』でした。
それは、『品質』を何より大事にする社会で『品質度外視』と判断してよろしいか?
問:QCサークルとしてどちらがの姿勢が正しいか?
1.狙い通りの結果を出せないけど、不完全でも狙い通りの計画通りに活動を無理やり完了させる。
2.狙い通りに結果を出せないので、徹底的に原因を追究する為に計画を遅らせる。
解:1
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