「ウィザードリィ6(原題:Wizardry 6 Bane of the Cosmic Forge)」とは、ウィザードリィシリーズの6作目である。
サブタイトルの「コズミック・フォージ」は「書いた事全てが現実となる」魔法のペンの名前。直訳すると「宇宙の鍛造器具」となるので「宇宙を書き換える」ペンという意味のようだ。
#6という数字表記も当初はされておらず、「ベイン・オブ・ザ・コズミック・フォージ」というカタカナ表記や略称の「BCF」もよく見られた。SFC版は「禁断の魔筆」というサブタイトルだが、他の機種や書籍でこの訳が使われていないようなので、とりあえず記事名は「ウィザードリィ6」とする。
タグとしては「ウィザードリィⅥ」「Wizardry6」「禁断の魔筆」「ベイン・オブ・ザ・コズミック・フォージ」などがある模様。
この世には 知らねばならない ことがある
100と20年ほど昔、その城には、もっとも邪悪な王と妃が住んでいた。
王は自らにならぶほど邪悪な魔法使いと手を結び、
彼ら以外の邪悪なるものたちを滅ぼす魔法の戦いをくり広げた。彼らがコズミック・フォージの存在を知ったのは、こうした戦いの最中だった。
彼らが敵の魔神を倒したとき、その最後の言葉によって、
彼らはその魔法のペンの存在を知った。コズミック・フォージと呼ばれるそのペンによって書き記された言葉は
すべて現実のものとなるのだ。彼らはこのペンを盗み出し、誰も想像すらできないほどの
恐怖を宇宙の中におりこみ始めた。しかし、ペンを盗み出すと間もなく、二人はおたがいの力をねたみ始めた。
もはや彼らは、おたがいの力を必要とはしなくなっていたのだ。そして、おたがいの運命とこの魔法のペンの行く末を定める、最後の戦いがくり広げられた。
それが知られていることのすべてである。
城はそれ以来、住む者もなく、王、妃、魔法使い、魔法のペンが
どうなったのかを知る者もない。しかし、今、新たな冒険者たちがこの城を訪れたことによって、
すべてが変わろうとしている・・・
プレイヤーは呪われた城・アラム城にやってきた冒険者たち。門をくぐるや否や閉じ込められてしまい、二度と引き返す事は出来ない。
果たしてこの城で何が起こったのか、呪いの伝説は真実なのか。様々な謎を解き明かし、あらゆる願望を叶える事が出来る「コズミック・フォージ」へと到達するのが冒険の目的となる。
旧システムの名残が強かった#5とは違い、ゲームシステムを完全に刷新した作品。旧シリーズとストーリーのつながりもない。
街を拠点とするシステムはなくなり、冒険者は最初に選んだ6人で最後まで固定となる(2~5人も可。機種によっては一人旅も可。転職はいつでも可能)。このため、初期パーティの作成には従来より力を入れる必要がある。
また種族と職業は旧シリーズから大量に追加がされた。詳しくは下記。
本作では職業によって異なるスキルを習得することができ、冒険と戦闘の両方で役立てることができる。
転職後にもスキルは継承・成長可能な為、全魔法を記憶した忍者などの最強キャラを作る事もできる。このスキルシステムによるキャラ育成と戦術性は高く、その分難易度も高い。
魔法体系も全て変化し、火・水・風・地・心・魔の6系統、魔法系・僧侶系・錬金系・精神系の4種の職業によって大別される。レベルアップによって職業ごとの呪文を覚えてゆき、1~6までのパワーレベルを設定して発動する事で威力や成功率を上昇できるが、その分MPを多く消費する。
ダンジョンは不定形かつ広大なものとなり、最初は城からスタートするがそのうち城の外へと飛び出す。宿屋の概念はなく、野営によってHP・MP・スタミナを回復するが、就寝中にモンスターに襲撃される事もあるので序盤では注意が必要。
ストーリーも謎解きも難解で、戦闘バランスの厳しさと相まってとにかく歯ごたえがある。
ダンジョンRPGとして様々な要素を組み込んだ傑作で、本国でも十分高い評価を得たのだが、旧来のウィザードリィを求めていた国内ファンからの評価は必ずしも高くなかった。
刷新されたゲームシステムは要素ごとに見ると#5の延長上にあるものだが、初代である#1とはますます遠ざかっているし、顔グラがあるのが気にくわないとかアニメーションするのがダメとか、そっち方面のクレームもかなりある。まあ確かにPC版の顔グラはあまり良くはないが。
シリーズの根幹と言われるアイテム集め要素に関しても、#5と違って入手の難しいレアアイテムもあるのだが、商店そのものがなくなったためコレクション性は高くない。
紛れもない名作なのだが、旧シリーズの国内で評価された部分とズレがあったようで、露骨に嫌っている人もいる。ウィザードリィ、ひいてはダンジョンRPGの何が好きだったかを測る物差しのようなゲームとも言える。
もっとも、PC版を遊んだ人の中には「ゲーム内容以前に重たくて遊べたもんではなかった」という意見もあった。表現の高度化により、PC自体の性能にもかなり依存していたのだろう。
また転職を繰り返すと強くなりすぎてゲームバランスが崩壊するなど、重大な問題もある。
画面構成やゲームシステムに「ダンジョンマスター」の影響がかなり見られるが、あちらと違ってリアルタイムになったわけではない。ちょっとでもプレイしていればダンジョンマスターと全く別のゲームであることは一目瞭然なのだが、どちらも適当にしかやってないプレイヤーが混同しているようである。
また、モンスターだけでなく、NPCなどにボイスが入ったりする。
SFC版「ウィザードリィVI」は明らかに移植が遅れており、発売されたのはPSの「ウィザードリィVII」と同時期だった。根本的にゲーム機で再現が難しかったのが影響していると思われる。
このSFC版のグラフィックはPC版の仕様に準拠したまま末弥純の新規デザインに変更されており、美麗さに定評のある末弥モンスターがアニメーションする姿を楽しめる。特に物語の鍵を握る「悪魔の娘」ことレベッカの愛らしさは必見。
日本語PC版は顔グラドットを自作できるツールがこっそり付属していた。これを踏襲し、SFC版はデザエモンみたいに顔グラを描ける機能が正式についている。
他にも小説版「サイレンの哀歌が聴こえる」と「呪われし聖筆」には男性主人公、攻略本「リプレイ&ガイド」には女性主人公が存在する。
英語版だが、2013年5月23日と同年の9月11日にSteam版が配信された。
男性は強さ+2、女性は魅力とカルマ(運の良さみたいなもの)にそれぞれ+1される。また装備品の中には男女それぞれ専用のものがあったり、女性専用の職業があったりする。
ゲーム全体を通して言うならば明らかに女性が優遇されており、女性専用職のヴァルキリーの強さは元より、一部職業の最強防具も女性専用だったり、カルマが高いとゲーム中の様々な判定で有利だったりする。
男性の長所である強さは打撃時に発揮されるが、打撃にも命中・貫通判定などで結局カルマが使われるので男性優位というわけでもない。一応転職に強さが要求される職の場合は少しだけ有利になるが、逆に強さが不要で魅力が必要な職では女性の方が有利である。
特定の能力に特化した専門家クラス。上級職よりも転職条件は緩いが(一部例外あり)、その能力が劣るわけでは決してない。
いくつかの専門職の能力を兼ね備えた複合クラス。ただし必ずしも専門職の上位互換とは限らない。中には独自の強みを持つクラスも。
薄暗い世界観はテーブルトークRPG「アドバンスト・ウィザードリィRPG」に反映され、そこでは新たに構築された世界情勢が描写されている。
※あくまでもTRPG上での設定であり、公式ではないので注意。
世界は混沌に飲まれつつあり、緩やかな崩壊の一途を辿っている。それは大地を守護していた宝珠が破壊されたとも、混沌を封印していた門が崩壊したからだともされているが、真相は不明。しかしリルガミンの名で呼ばれた城塞都市は口にするのも憚られる「呪われた都」となり、地上にはモンスターが闊歩し、混沌の影響によって太陽は雲に覆われている。
地方は慢性的な飢餓と重い年貢に苦しんでおり、若者は口減らしの為に村を出ざるを得ない。あるものは冒険者となり、あるものは犯罪者となり、その行く末は様々だが、待ち受けるのは苦難である。
辛うじて残った都市国家でも政治と宗教の腐敗が進み、王族は自らの権威を守る為に軍備ばかりを拡張し、ついには闇の住人達に称号を与え「黒貴族」として人間の支配を黙認さえしている。
余談だがこのルールをベースとした小説「ウィザードリィ・サーガ」が上中下3巻で上梓されているが、そのセリフ回しや展開から「Wiz版特攻の拓」と呼ばれているとかいないとか。
怪作にして快作であると編者は個人的に思っているので、機会があれば是非ご覧あれ。
1992年5月15日にJICC出版局から発売されたPC-9801およびFM-TOWNSの攻略本だが、この本にはリプレイのために予め用意されたプレイヤーキャラクターがいる。
上記のパーティーメンバーとの出逢いの内容は「リプレイ&ガイド」の主人公フェミナが語るという仕様になっている。
街道沿いにある、小さな宿屋に産まれたのが18年前、それまで、旅なんて言えるようなものは、した事はなかった。最初の旅が今度の冒険だったのさ。旅に出たのは、真夜中というには遅く早朝というには早い、そんな時間だったね。何故って?そりゃ村の人間に会いたくなかったからさ。夜逃げ?馬鹿なこと言ってるんじゃないよ。村の掟に背くような事はやっちゃいない。人に会うたびに旅に出る理由を説明するのが煩わしかっただけさ。村の人間の言う事は「女なのに戦士になるのか?」って事だけ。解ろうともしないくせに説明だけを求めてくる。挙句に「無理だ」って決めつけるのさ。子供を産み、育てるだけの生活より、自分が何ができるのかを試してみたかった。女の限界が本当にあるのか、あるならどこが限界なのか、そんな事をさ。それで、裏の物置に転がっていた剣だの鎧だのをもらって、旅に出たってわけ。最初は当てもなく、大きな町に向かった。戦士としての職が見つかると思ってね。ところが町でも「女じゃ駄目だ」って返事ばかり。実力を見せてやるために何かやる必要があった。何かないかと聞きまわってみたら城の話が出てきたってわけさ。ところが、協力するような仲間が見つからない。しょうがないんで、町でパーティーを作るのは諦めて、とりあえず城に向かったのさ。
最初に出逢ったのは、碓井っていう妙な男。街道の脇で足を妙な形に組んで座っていたのさ。
フェミナ「そんな所で何をしているんだい?」
碓井「座禅を組んでおる。」
フェミナ「ふーん。私はフェミナっていう駆け出しの戦士さ。あんた、名前は?」
碓井「拙者、碓井影直と申す。職は侍でござる。」
フェミナ「サムライか、なるほどね。これからちょっとした冒険に出るんだ。力を貸さないか?」
碓井「うむ……、お供いたそう。」
碓井はムークという種族のせいか、侍という職業のせいか、、すごい無口な奴だった。
碓井と仲間になってから数日経ち、実直そうな男だってことは分かった。私達は城のすぐ近くにある村に入ろうとしていた。そして、その町に街道が接するって所に人待ち顔のドラコンが立っていたのさ。ドラコンの表情なんか判るのかって?全身毛だらけのムークを相手にしてたんだ、ドラコンの表情の方が分かり易いってもんさ。
バル・ハン「そこの二人、どこに行くんだ?」
フェミナ「何だい、あんたは。通行税の取り立てかい?」
バル・ハン「これは失礼。私はバル・ハン。流れ者の竜戦士だ。城を探索する仲間を探している。」
フェミナ「へぇ。確かに城に行こうと思ってるよ。何だって私達に声を掛けたんだい?」
バル・ハン「人だけのパーティは居心地が悪くてな。外見が人と大きく違うと、仲間の中でも特別視されるからな。ムークと人のパーティならそんな心配もなさそうだ。どうだい?」
フェミナ「私は構わないよ。碓井は?」
碓井「うむ、拙者も構わん。」
前衛の肉弾戦要員は、揃ったってわけだ。
あんまり上手く行くんで、後衛も簡単に揃っちまいそうな気がしてたね。村に入ってみると広場に人が集まってた。
ハルム「神は、種族の、分け隔てなく、愛を与えようと、しておいてです……」
ラウルフの僧侶らしいのが、神の教えとやらを叫んでいたのさ。もっとも、聞いてる奴は、人間と違うおかしな発音でたどたどしく喋るのを笑いながら聞いてるだけ。
フェミナ「あそこの坊主、使えるんじゃないか?」
後衛としては、丁度いい候補がもう見つかったわけさ。しばらくは物珍しそうに眺めていた村人も、次第に散っていった。そして、ラウルフの前には私達以外に誰もいなくなっていた。
フェミナ「ねえ、あんた。私達にその神の力とやらを貸さないか?」
ハルム「え?僕ですか?僕に出来る事なら何でも……。で、何をするんですか?」
フェミナ「120年前、この辺りを恐怖で治めていたっていう領主がいるだろ。そいつの城の謎を探りに行くのさ。廃墟だって聞いてるけど、どんなモンスターがいるか判りゃしない。あんたのような癒し手の助けが必要なのさ。」
ハルム「いいでしょう。神が癒し手としてこの地へ導いたのに違いありません。僕はハルム。よろしく。」
日も暮れて、村の宿屋に入った。村人も一杯飲みに来る時間だったよ。宿の一階はお決まりの酒場さ。テーブルを囲んで食事をしながら話をしてたら……。
セシュート「あらら、女性の戦士殿とはこりゃまた珍しい。どちらに行かれるのかな?」
フェミナ「何だいあんた。酔っ払いに用はないよ。さっさと消えな!」
セシュート「こりゃぁつれないお言葉。俺はセシュートっていうんだ。相席してもいいかな?」
そう言いつつ、側の椅子を持ってきて勝手に座っちまった。
セシュート「もしかして、あの城に行くのかな?」
フェミナ「城に行くんだったらどうなのさ。」
セシュート「あっ、やっぱり!それなら俺も連れてきなよ。鍵開けなんか得意だぜ。宝箱にかかってる罠だって外せるしさ。どうだい?連れてくかい?」
3人共構わないって返事さ。
フェミナ「じゃあ連れてってやるよ。役に立てよ。」
セシュート「いいなぁ、そのキリッとした所。俺の村には、なよなよした女しかいなかったもんなぁ…。とりあえず乾杯といきましょう。」
フェミナ「それはジョッキじゃない。私の脚だ。」
セシュート「あれ?もう酔っ払ったかな?ハハハ。」
こうして、すけべぇエルフは一応、仲間になった。後衛二人目が決まったわけさ。
次の朝、村を出て城へと向かったのさ。もう一人ぐらい仲間が欲しかったけど、村には冒険に出ようなんて奴はいなかった。城への道を歩いていくと、道の脇にしゃがみ込んで本を読んでる女に会ったのさ。近づいても一心不乱に本を読んでいて、こっちに気が付かない。セシュートが近づいてって横から覗き込むように声を掛けた。
メルユ「ふぇっ!?ビックリしたなぁ、もう。忍び寄るなんて礼儀を知らない人ね。え、こんなに大勢?人を驚かせて何が楽しいのよ。」
セシュート「忍び寄ったわけじゃないんだけどなぁ。」
メルユ「うるさいわね。魔法の勉強中だったのよ。あなた達こそ何をしてるのよ?この先は廃墟となった城しかないわよ。」
フェミナ「その城に行く途中さ。フェルプールのお嬢さん。あんた魔法使いなのかい?」
メルユ「そうよ。丁度良かった。あの城に行くんだったら一緒に行ってあげる。あの城には魔法使いが住んでいた事もあるのよ。だから、私が知りたい事がいっぱいあるの。」
フェミナ「魔法使いが仲間になるのは喜ばしい事だけどね……」
メルユ「じゃあ問題ないじゃない。出発、出発!」
こうして6人が集まったのさ。皆冒険は初めて、実際の戦闘を経験した奴もいない、ってんだから凄いパーティだよ。そんな奴が帰った者がないっていう城に行こうってんだから端から見れば無謀もいいとこだったろう。お互いの情報を交換しながら、城への道を進んでいった。道は深い森の中に入って行き、動物達の鳴き声もだんだん少なくなってきた。そして、森の木々を圧倒するようにそびえている目的の城に着いたのさ。
掲示板
11 ななしのよっしん
2023/03/10(金) 09:30:18 ID: 5NRwZTuZoI
て考えてたらいつのまに新しい解説動画来ててそこに正体書いてあったわw
ムービーとかEDとか随所手抜きな所もあるけどよく考えられてる物語だわ
12 ななしのよっしん
2023/03/14(火) 13:25:24 ID: jA5AXZKbCZ
13 ななしのよっしん
2023/09/06(水) 08:47:08 ID: HTaCoXRbpJ
おなじみの人間…といいつつ信仰心ワーストで頭一つ低い状態が解消されて本当に平均的になったのはこの作品から
何となく平均化されていたノームは信仰心単独トップ、他は旧作ドワーフ様にとろくて頑丈になった
ドワーフは信仰心据え置きの代わりにフィジカルをさらに強化する路線
攻撃力の弱い信仰キャラはラウルフにスライドした印象
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/20(土) 04:00
最終更新:2024/04/20(土) 04:00
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