ザクセンリンクとは、ドイツ東部・ザクセン州ケムニッツ郊外にあるサーキットである。
MotoGPのドイツGPが開催される。
このサーキットがある地域では、1927年から公道レースをしていた。この画像のように公道を封鎖して1周8.7kmのコースを作り上げていた。1934年からはその公道コースを使ってオートバイのドイツGPが開催されるようになり、第二次世界大戦が始まる1939年まで6年連続でオートバイのドイツGPが開催された。
このサーキットがある地域における1周8.7kmの公道コースのことを「ザクセンリンク」と呼ぶようになったのは1937年のことである。
第二次世界大戦が終わったのが1945年で、そのころはザクセンリンクの属するザクセン州はソ連軍が占領する地域となっていた。1949年にザクセン州を含む地域が東ドイツとなり、西ドイツと分裂する形になった。
1951年に西ドイツでドイツGPが再開された。当然のことながら、ザクセンリンクは東ドイツの一角にあるので、ドイツGPを誘致することができなかった。
1958年から1960年はザクセンリンクで東ドイツGPが開催されるようになった。使用するのは、1939年以前と同じく公道を封鎖して作り上げた1周8.7kmのコースである。その3年間において、西ドイツで行われるドイツGPはMotoGPの一環に組み込まれていたが、ザクセンリンクで行われる東ドイツGPはMotoGPの中に組み込まれていなかった。
1961年から1972年は、東ドイツGPもMotoGPの一環に組み込まれた。
1973年になると東ドイツGPはMotoGPのカレンダーから外れたが、開催自体は1973年から1989年まで毎年ザクセンリンクで行われていた。そうしているうちにソ連が弱体化し、1990年10月になってとうとう東西ドイツが統一されることになった。このため、東ドイツGPは1989年が最後の開催となった。
1927年から1989年まで公道を封鎖して1周8.7kmのコースで公道レースを行ってきたが、さすがに1990年代になっては時代遅れとしか言いようがなかった。
1995年に常設サーキットの建設が始まり、1996年にサーキットが開業した。1周3.5kmの短いコースだった。
1998年にはMotoGPのドイツGPを誘致することができた。その年から毎年ザクセンリンクでドイツGP(MotoGP)を開催することが定着している。
2001年にサーキットの後半部分が改修され、2021年現在も見られるようなコース形状となった。
2020年はコロナ禍の影響を受けてドイツGPが開催されなかった。
ザクセンリンクは、この場所にある。
人口9万のツヴィッカウから東に15km、人口24万のケムニッツから西に16km、人口53万のドレスデンから西に78kmのこの場所にある。
サーキットが属する自治体はホーエンシュタイン=エルンストタールという。人口1万4千人の小さな街である。
これらの自治体はいずれもザクセン州に属している。ザクセンリンクには白と緑のザクセン州旗がいつも掲げられている。
サーキットで事故が起こると、ドクターヘリでサーキットから東に15km移動して、ケムニッツ郊外のこの場所にあるキュヴァルト病院へ運ばれる。
サーキット周辺は農地が多い。牧草地の中を牛が歩いている様子がテレビカメラに映し出される。
サーキットのすぐ南にはエルツ山地という山脈があり、1000m程度の標高の山が連なっている。Wikipediaにアップロードされている地形図やGoogle地形図を見ると、そのことがよく分かる。
Google地形図を拡大すると、サーキットの北にはちょっとした山があることがわかる。Googleアースで調べてみると標高450m程度であることがわかる。
サーキットは北緯50度47分の位置にある。樺太のこの村と同じぐらいの緯度にあり、夏は涼しくて冬はよく冷える。冬になるとどっさりと雪が降る(画像)。
サーキットに近いケムニッツは、MotoGPが開催される7月において平均最高気温24.4度・平均最低気温13.8度であり、東京の5月下旬から6月上旬ぐらいの気温となる(資料1、資料2)。
サーキットに近いケムニッツは、MotoGPが開催される7月において月間降水量64mmであり、あまり雨が多くない土地柄である。しかしこのサーキットは山地が近いところにあるので、天候の急変が起こりやすい。山は上昇気流が起こりやすく、雨雲が起こりやすい。
こちらとこちらとこちらが現地の天気予報なので、MotoGP開催時には注目したい。
10コーナーのすぐ外に鉄道の線路がある。
これはドレスデン-ヴェルダウ鉄道といい、ドレスデンからケムニッツを通りサーキット最寄りのHohenstein-Ernstthal駅を通ってツヴィッカウへつながっている路線である。
ホテルに恵まれた観光都市ドレスデンから電車で1時間45分程度、2200円程度でサーキットすぐそばの駅に行くことができる(資料)。このため、わりと観戦しやすいサーキットと言える。
走ってる電車の動画はこちら。ごく普通の鉄道といった感じ。
1コーナーから真南に向いて2コーナー方面を見ると、風車が12基ほど立っているのが見える(画像1、画像2、画像3)。
この動画の左上や、この動画の中央上を見ると、白い風車が密集していることを確認できる。Googleマップで示すと、だいたいこのあたりに白い風車が立っている。
この白い風車の一群は、Bernsdorf-Gersdorf(ベアンスドルフ・ゲアスドルフ)風力発電所という(記事)。Bernsdorfはこの地区の名称で、Gersdorfはこの地区の名称である。この風力発電所に接近して撮影した人がいる(動画)。
メインストレートから南西に向いて最終コーナーに目を向けても、風車が4基ほど見える(画像1、画像2)。
メインストレートから最終コーナーに目を向けると民家と牧場が目に入る。最終コーナーを格好よく駆け上がるライダーと民家が同じカメラアングルに収まり、さらには遠くの牧場と羊も映り込み、良い写真になる(画像1、画像2)。
民家が近いので地元行政が騒音規制を敷いており、MotoGP開催時以外でバイクを走らせるのは難しい。1年のうちサーキットを使用できるのはわずか10日だけだという(記事1、記事2)。それゆえザクセンリンクでテストをすることは不可能に近い。
2017年3月に路面が再舗装されたが、どのチームも新しい路面でテストできず、そのままMotoGP開催日を迎えた。チームに時間を与えるため、金曜の練習走行の時間を増やす処置がとられた(記事1、記事2)。
サーキットの東のこの場所に、煙突が立っている。普通の工場の煙突だが、妙に目立つ。
1コーナーに突っ込む際のオンボード動画や8コーナーを立ち上がるときのオンボード動画に、煙突が映り込む。
サーキットの近くにはそこら中にキャンプ場がある。中でも最大のキャンプ場は、この場所にあるアンカーベルクである。
「アンカーベルク」で画像検索してみたり、「アンカーベルク 夜」で画像検索してみたりすると、お祭りといった感じの画像が多数ヒットする。アンカーベルクの夜を映す動画は、Youtubeに多くアップロードされている(検索例、動画1、動画2)
アンカーベルクでのお祭りは公式ウェブサイトやFacebookで宣伝されている。主催しているのは、この場所に拠点を持つGCS Eventという企業である。
この場所に、ザクセンリンク・タワーがある。
黄色と白黒チェッカーフラッグの模様に塗られていて、このサーキットの象徴的存在になっている。ザクセンリンク・タワーを背景にして記念撮影をすることが多い(画像1、画像2、画像3)。
黄色と白黒チェッカーフラッグの模様に塗る塗装は2011年7月~2012年7月の間のどこかで行われた(2012年動画7月)。2011年7月までは、赤っぽいピンク色の建物だった(2011年7月動画、2011年1月写真、2008年記事、2004年画像)。
もともとはコントロールタワーとして使われていた。コントロールタワーとは、レースの運営を行う団体の人たちが占拠して、タイム計測をしたりペナルティの有無を決めたりする場所のこと。
現在はVIP用の観戦席になっているようである。タワーの内部を映した動画はこちら。全方位がガラス張りで、とても見渡しが良い。
先ほどのザクセンリンク・タワーからメインストレートを挟んだ向こう側に、コントロールタワーがある。
メインストレートから見た姿はガラス張りの建物だが(画像1、画像2)、その反対側は赤く塗装され、縦書きで「SACHSENRING」と書かれている(画像1、画像2)。
MotoGPが開催されるときは、メインストレートから北にあってコントロールタワーを含む一帯がピットとなり、メインストレートから南にあってザクセンリンク・タワーを含む一帯は各チームのホスピタリティ(ゲストをもてなす施設)などが置かれる。
関係者たちはメインストレートの南北を行ったり来たりすることになる。その往復は、この場所にあるトンネルを使う。この道はレルヒェン通りという名前が付いていて、このあたりでバックストレートの地下もくぐり、そのまま民家の並ぶ場所に続いている。つまり、単なる公道である。
レルヒェン通りのトンネルまで行くのは面倒なので、もう1つのトンネルがこのあたりに掘られている。このページの画像でメインストレートをまたがる形で「Zuschauer-tunnel」と小さく書かれている場所である。
メインストレートから南にあってザクセンリンク・タワーを含む一帯のこの場所に、円形駐車場がある。MotoGP開催中はトラックが放射状に並ぶ(画像)。
サーキットの観客向け入口はこのあたりである。MotoGP開催時には、その近くに移動式遊園地の観覧車が置かれることがある(画像)。
サーキットの観客向け入口ちかくのこの場所に、カートホール(Karthalle)がある。
普段はカート(小型のレース用四輪車)を屋内で走らせるための施設であり、画像欄を見るとカートが走っている画像を見つけることができる。
MotoGP開催時にはイベント会場として使われる。大量のファンが入りこんでごった返し、その前でMotoGPライダーがトークイベントなどをする(画像1、画像2)。あるいは、ミュージシャンのライブイベントも行われる(画像、記事)。
サーキットの観客向け入口に近くて8コーナーの直前のこの場所に、青い歩道橋がある。
この歩道橋のことをフォルクスワーゲン・ブルッケ(Volkswagen Brücke フォルクスワーゲンの橋)と呼ぶ(サーキット公式地図)。ドイツ語のBrückeを英訳するとBridgeとなる。
MotoGPが開催されていないときはフォルクスワーゲンの広告が付いている(画像)。
MotoGP開催時は、GoProやPramacといったMotoGPのスポンサーの看板が付けられる(画像1、画像2)。フォルクスワーゲンはMotoGPのスポンサーではないので、MotoGP開催時には名前が伏せられる。
青い歩道橋を渡った先のこの場所には、カート用の小型コースがある。晴れている日は、先述のカートホールからカートを走らせて、この歩道橋を渡り、カート用小型コースに移動する。
この場所にある建物がメディカルセンターである。メディカルセンターの前は公道で、一般人が訪れやすい場所にある。2020年のコロナ禍の時はこのメディカルセンターも患者を受け入れたという(画像、記事)。
ザクセン州はモータースポーツの人気が高い地域であり、ザクセンリンクで開催されるMotoGPは観衆9万人の大盛況となる。
このサーキットは全体的に小さくて、なおかつ観客席も狭い。そこに大勢の人がぎっしり入りこんで人口密度が高くなるので、歓声の音量が凄まじい。
本サーキットのコーナーには異名が付いている。サーキット公式ウェブサイトにはいくつか地図があり、その地図の中にコーナーの異名が書かれている(地図1、地図2)。Wikipediaにアップロードされている画像にも異名が書かれている(地図)。
コーナーの数え方はMotoGP風に13ヶと数えることにする(画像)。
名称 | 由来 | |
1コーナー | コカコーラ(Coca-Cola) | アメリカ合衆国の清涼飲料水企業。 |
2コーナー | ||
3コーナー | カストロール・オメガ(Castrol Omega) | カストロールはイギリスの潤滑油企業で、エンジンオイルなどを作っている。このコーナー全体でΩ(オメガ)の形になっているのでオメガと呼ばれている。 |
4コーナー | ||
5コーナー | ||
6コーナー | クライン・クッペ(klein kuppe) | 小さな(klein)丘(kuppe)という意味。このコーナーが頂点であり、ここから駆け下っていく。 |
7コーナー | カートホール(Karthalle) | この場所にある屋内カート乗り場を指す言葉。 |
8コーナー | フォルクスワーゲン・ブルッケ(Volkswagen brücke) アウディ・ブルッケ(Audi brücke) フォルクスワーゲン(Volkswagen) |
フォルクスワーゲンもアウディもドイツの自動車企業である。 このコーナーの目前にある青い歩道橋をフォルクスワーゲン・ブルッケというので、その歩道橋の名前と同じようにコーナーを呼ぶ。また、アウディはフォルクスワーゲン傘下の企業なので、アウディ・ブルッケと呼ぶこともある。 このコーナーを単に「フォルクスワーゲン」と呼ぶこともある。 |
9コーナー | グロベ・クッペ(grobe kuppe) | 粗っぽい(grobe)丘(kuppe)という意味。 |
10コーナー | ノルド(nord) | 北という意味。サーキットの中で最北端にあるため(画像)。 |
11コーナー | ファーハラーガー(fahrerlager)※(2018年6月まで) | ドイツ語で「レース関係者が集まる場所」という意味で、英訳するとPaddockになる。メインストレート北側パドックとメインストレート南側パドックの両方から近い(画像)。 |
ラルフ・ウォルドマン(Ralf Waldmann) | 2018年3月10日に他界したドイツ人ライダーの名前。1990年代にMotoGPの250ccクラスなどで活躍した。2018年6月に改名した(記事1、記事2) | |
12コーナー | ザクセン(Sachsen) | このサーキットが属するザクセン州のこと。 |
13コーナー | クエッケンベルグ(Queckenberg) | このコーナーの先のこのあたりに同じ名前の公道がある。 |
ザクセンリンクのコースの変遷を記録しているウェブサイトがある。
http://www.the-fastlane.co.uk/racingcircuits/index.html
ここのトップページでCircuits by Country の欄の中の Germany をクリックし、Sachsenringを選ぶと、1927年のコースから2003年以降の現コースまで全てを閲覧できる。
1927年から1990年までは、公道を封鎖して作り上げた1周8.7kmのコースである。Wikipediaの画像も参考になる。
1996年に常設サーキットが開業した。1996年に作り上げたコース形状は、2021年現在のコース形状と比べて、前半部分がだいたい同じであり、後半部分が大きく異なっている。1996年に作り上げたコース形状は、1999年まで維持された。
1998年と1999年はこのコース形状でドイツGP(MotoGP)が開催されている。
G+の解説者の坂田和人さんはザクセンリンクのドイツGPを体験したのだが、走ったのはこの「1996年から1999年までのコース」である。
2000年の改修で、ジェットコースターのように坂を一気に駆け下る右コーナーが完成した。2018年6月以降にラルフ・ウォルドマン・コーナーと名付けられた高速コーナーである。
2001年の改修で、さらにコース後半区間が高速化した。2001年の改修で決まったコース形状が、そのまま2021年現在まで受け継がれている。
コース全長が3,671mであり、2018年~2019年にMotoGPが開催された19ヶ所のサーキットの中で最下位である。2018年~2019年にMotoGPが開催された19ヶ所のサーキットの中で全長が3000km台なのは、本サーキットだけである。
コース全長が短いため、このサーキットでの差は他のサーキットの差よりも大きい価値がある。「ザクセンリンクの0.5秒差は他のサーキットの1.0秒差に相当する」といった具合に考えておいて良い。
コーナー数は13ヶ所で(資料)、2018年~2019年にMotoGPが開催された19ヶ所のサーキットの中で上から15番目である。
前半区間はぐるっと回り込んだコーナーばかりで、アクセルを全開にせずハーフスロットルにして、ひたすら我慢・忍耐・辛抱する。このため平均速度も低速で、2018年~2019年にMotoGPが開催された19ヶ所のサーキットの中で上から17番目である。
前半区間は回り込んだコーナーが延々と続き、常にマシンが左右のどちらかに傾いている。ライダーはコーナーで体を酷使して直線で体を休めるものなので、ライダーにとって休む暇が無い。
コース幅が狭く複合コーナーが多くラインが一本しか無いので、後方から追い上げていくことが難しい。ゆえに、予選を頑張ってスターティング位置を上げ、より前の位置からスタートする方が有利になる。予選が重要なサーキットとなる。
MotoGP最大排気量クラスにおいて、ホンダが2010年から10連覇を飾っている。なぜホンダのマシンが速いのかと問われたダニ・ペドロサは、「このサーキットは(リアタイヤの)グリップを失いやすいサーキットだが、ホンダのマシンはリアタイヤの滑りを制御しやすい。そのためホンダの成績が良いのだろう」と発言している(記事)。
ザクセンリンクは山に作られたサーキットで、斜面だらけである。雨が降った後に先に乾くのは、斜面となっている。斜面の方が平面よりも風を浴びやすく、乾きやすい。
こちらがMotoGP公式サイトの使用ギア明示動画である。一番低いギアは2速で、1速を使わない。
主なパッシングポイントはメインストレートエンドの1コーナー(Coca-Cola)、8コーナー、バックストレートエンドの12コーナー(Sachsen)、最終13コーナー(Queckenberg)である。
左コーナー10ヶ所に対し右コーナーは3つのみでタイヤの右側が冷えやすく、右コーナーの転倒が多い。1コーナー(Coca-Cola)や11コーナーといった右コーナーでの転倒が目立つ。
左コーナーが極端に多いので、2015年にブリヂストンは「左右非対称のフロントタイヤ」を導入した。左に硬めのコンパウンド(ゴムのこと)、右に柔らかめのコンパウンドを入れたフロントタイヤである。この左右非対称のフロントタイヤは2014年後半のフィリップアイランドサーキットとバレンシアサーキットで先行導入しており、2015年はザクセンリンクにも導入された。ライダーからの評判は上々だった。右が柔らかいコンパウンドなのですぐに温まり、11コーナーで安全に走れるようになったのである。
ところがフロントタイヤというのはブレーキング時にほとんどの荷重を受ける場所で、柔らかいコンパウンドだときっちりマシンを止めることができない。ゆえに左右非対称のフロントタイヤだと1コーナーでのハードブレーキングがイマイチになった。「1コーナーではイマイチになるけど11コーナーで安全になるから、まあいいか・・・」と各ライダー達は妥協して考えていたという。
このレースの前に左手・左腕・左肩・左足といった左半身のどこかを怪我していると大変である。左半身に負荷を掛ける左コーナーが多く、怪我の痛みが身に沁みる。
ザクセンリンクはコース幅12mと発表されているが、これは最も広いメインストレートの数値である。1コーナーから急に幅が狭くなり、コース幅が12mよりもはるかに狭くなる。その狭っ苦しいコーナーが延々と続き、とにかくパッシングしにくい。
このページの地図はザクセンリンクの4つのセクターを色分けして表示している。
セクター1が、スタートラインから2コーナーと3コーナーの中間地点まで。セクター2が、2コーナーと3コーナーの中間地点から7コーナー立ち上がり地点まで。
セクター1とセクター2は、1コーナーを例外として、パッシングすることが非常に難しい。
丘陵地帯のサーキットなので高低差が大きく、アップダウンがある。そうしたアップダウンの激しさは、四輪オンボード動画を見るとはっきり分かる(動画1、動画2)
アップダウンが多いので、コーナーの先が見えないブラインドコーナーが多く、コースとしての難易度が高い。ブラインドコーナーは先が見えない状況で感覚を頼りにアクセルを開けねばならず、ライダーにとって度胸と想像力と頭の良さを問われるとても難しいコーナーなのである。
ブラインドコーナーというのは遅いライダーがさらにペースを落とす場所であり、予選の中で走行ペースを上げてタイムを出していくときに遅いライダーに邪魔されやすい場所である。そうしたブラインドコーナーが多いので、予選でタイムを出すのがなかなか難しい。
マルク・マルケスが2010年から2019年まで10年連続ポールトゥウィンという大記録を達成している。
2010年は125ccクラス、2011年と2012年はMoto2クラス、2013年からは最大排気量クラス。雨が降ろうがドライ路面だろうがやたら速く、もはや手が付けられない。
MotoGPのスタートラインとチェッカーラインは位置が異なっている。スタートラインはこの白線で、チェッカーラインは最終コーナーを立ち上がってすぐの白線である。
レースの動画を見てもよく分かる。スタートの動画はこちら、フィニッシュの動画はこちら。
メインストレートに起伏がある。最終コーナーを駆け上がってチェッカーラインまで上り勾配で、そこからはしばらく平坦。ピットウォールが終わるあたりで急な上り勾配になり、そして下り勾配になりながら1コーナーに入る。動画で見ると、勾配の変化がよく分かる。
ピットレーン出口がかなりの上り勾配で、ライダーは坂を駆け上がってコースに入る(動画)。その上り勾配は隣接するメインストレートにも生じているわけである。
1コーナー(Coca-Cola)は数少ないパッシングポイントである。それと同時に転倒多発地帯でもあり、フロントタイヤを滑らせてスリップダウン転倒したり、リアタイヤが滑ってその次の瞬間に急にグリップが戻りライダーが放り出されるハイサイド転倒したり(動画)、止まりきれずオーバーランしたりして、グラベル(砂)のなかに突っ込むライダーが後を絶たない。右コーナーが少ないサーキットなのでタイヤ右側が冷えやすく、右コーナーが転倒の魔所になる。
1コーナー(Coca-Cola)の脱出から3コーナー(Castrol Omega)の進入まで下り勾配で、右に傾いた状態から左へ切り返し、左へ傾いた状態から右へ切り返す。下り勾配の中のマシン切り返しを2回行う難しい場所である。
1コーナーから2コーナー方面を見る画像や、1コーナー進入から始まるこの車載動画を見ると、下り勾配の急激さがよく分かる。
急な下り勾配を一気に駆け下りつつ切り返すので、フロントタイヤの消耗が激しい。それゆえ、レース序盤からレース中盤においてわざとこのあたりをゆっくり走り、フロントタイヤの消耗を抑える工夫をすることがある。2013年のMoto3クラス決勝にてルイス・サロムがそのように走り、しっかり2位表彰台を確保した。
3コーナー(Castrol Omega)は、背の高い木々が生える小高い丘の麓(ふもと)をぐるっと回る。
小高い丘に背の高い木々がいっぱい生えていて、その麓をバイクがぐるっと優雅に旋回していく。
3コーナー(Castrol Omega)の前半の進入部分はかなりの下り勾配で、3コーナーの後半の脱出部分はかなりの上り勾配である(動画)。
4コーナーは上り勾配で、右に傾いた状態から左にマシンを切り返す。5コーナーは平坦な左コーナーである。
4コーナーと5コーナーの両方とも、転倒多発地帯になっている。
4コーナーは上り勾配の中の切り返しで、フロントタイヤの荷重が抜けやすい。5コーナーは急に平坦になって左右のカント(傾斜)も少ないので、リアタイヤの荷重が抜けやすい。
4コーナーは早く上りきりたいという心理も働くので、アクセルを思い切り開けたくなってしまう。タイヤが滑って転倒することが多い。
5・6・7コーナーはよく似た左コーナー3連発である。このページの画像と空撮画像を見比べておきたい。
5コーナーが平坦、6コーナーと7コーナーがかなり急激な下り勾配になっている。
この動画はカメラマンを6コーナーに配置し北東の5コーナーにカメラを向けて撮影した。5コーナー特有の旗が映っている。
この動画はカメラマンを7コーナーに配置し北西の6コーナーにカメラを向けて向けて撮影した。6コーナーには旗がない。
7コーナー(Karthallen)の進入部分の外には赤い観客席があり、7コーナー(Karthallen)の中間部分の外には青い観客席がある。赤・青と来るのが7コーナー(Karthallen)、となっている。
7コーナー(Karthallen)を終えると下り勾配が無くなり、ほんのわずかだが直線になる。
8コーナーの直前にはコースの上に青色の歩道橋(フォルクスワーゲン・ブルッケ)が架かっている。
歩道橋の下をくぐって8コーナーを過ぎると、長い上り勾配が始まる。9コーナー脱出まで上りが続く。
9コーナーを脱出したあたりから、コース左側に金網がある。この金網は11コーナーまで続く。
10コーナーは坂を登り切って平坦になっている。
10コーナーを抜けて右の11コーナーへ進入していくところは、イン側の壁で視界が遮られて先が見えない状態になっている(動画)。
11コーナーは左に傾いた状態から右に切り返しての下りの右コーナーで、転倒多発地帯となっている。
3コーナー(Castrol Omega)以来久々の右コーナーで、タイヤ右側は冷えきっている。ところがこの11コーナーを全速力で走らないと次のバックストレートで遅れてしまうので、どうしてもアクセルを開けていかなければならない。
11コーナーの外には広大なグラベル(砂)があり、毎年多くのライダーがこのグラベルの世話になる(動画1、動画2)
この11コーナーは危険すぎる、というライダーの発言が相次いでおり、コースの改修も検討されている。
ただ、11コーナーの付近は崖で、その崖の下に民家もある。11コーナー自体をいじる改修は難しい。11コーナーの前に右コーナーを追加してタイヤ右側の加温を促進する程度の改修しかできないとされる。
バックストレートはジェットコースターを連想させるほどの急激な下り坂になっている。12コーナー(Sachsen)を下から見た動画はこちらで、滑り台にしか見えない。ここだけで21mの高低差があり、7階建てビルに相当する。
ここをアクセル全開で加速して前のライダーの背後にぴたりと付き、スリップストリームの恩恵を受け、バックストレートエンドの12コーナー(Sachsen)でインに飛び込んで抜く、というのが多い。
12コーナー(Sachsen)は急な下り坂をアクセル全開で走る後なのでハードブレーキングが必要である。ところがこのコーナーは直角に近いコーナーなので目一杯車速を落とすわけにはいかず、ある程度ブレーキを緩めて車速を保ちたい。「ハードブレーキングが必要だが止めすぎてもダメ」という、難易度の高いコーナーである。
最終コーナー(Queckenberg)は進入部分から急激な上り坂のブラインドコーナーで、最後の勝負所となっている。12コーナー(Sachsen)の観客席からの動画を見ても、相当な上り勾配になっていることがわかる。ブレーキングを遅らせインに飛び込むか、ブレーキングを早めて立ち上がり重視のラインを通るか、二者択一となっており、先行するライダーと後続のライダーの駆け引きとなる。
最終コーナーを立ち上がってすぐのところにチェッカーラインがあるので、最終ラップ・最終コーナーでの攻防がそのままレース結果になりやすい。
最終コーナーの立ち上がり部分も急な上り勾配になっている(動画)。歩いて登っていくのは苦労しそう。
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最終更新:2024/04/20(土) 06:00
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