リアルスティール 単語

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リアルスティール

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リアルスティール(Real Steel)とは、日本競走馬である。

」が付く良血と、それに恥じぬ秀でたを持ちながら、同世代や上の世代の怪物達に苦戦し、海外で遂に戴冠を果たしたシルバーコレクターとしても有名な苦労人。2015年クラシック世代の強さを明した名である。

名の由来はアメリカSFアクション映画リアル・スティール」から。

な勝ち
2015年:共同通信杯(GIII)
2016年:ドバイターフ(G1)
2017年:毎日王冠(GII)

概要

血統とデビューまで

ディープインパクトラヴオンリーミー、ストームキャット(Storm Cat)。

言わずと知れた日本競馬至宝にして大種牡馬
は未出走で繁殖入りしているが、日本にも縁が深いKingmambo等の名を輩出し、孫世代にも活躍が多い名Miesque祖母に持つ。肌馬相馬眼に定評のあるノーザンファーム代表・吉田勝己に購買されて繁殖入りした後は、リアルスティールの後にオークス海外GI3勝ラヴズオンリーユーも輩出した名である。
ディープインパクトとのニックスが注されており、「熟」の代名詞にもなりつつある。非の打ち所がない良血である。

生まれが生まれなら育ちもエリート。生産牧場吉田氏のくだりからもわかる通り下のノーザンファーム馬主は飛ぶを落とす勢いでスターホースを獲得し続けている一口馬主クラブサンデーレーシング調教師関西の名門である矢作芳人……という、ケチをつけるところが一切見つからない完璧な布で育成された。

デビューからクラシックまで ~ 順調、そしてその後ろに潜む怪物

2014年12月末の阪神競馬場にて、しばらく戦を務めることになる福永祐一を背にデビュー。3身半差で前評判通り快勝する。

翌年の次走はダービーを見据えてか、東京競馬場共同通信杯(GIII)に出走し、半身差で勝利。しかし、この半身差で下した相手がリアルスティールを阻む第一の怪物として少し後に立ち塞がることになる。

この勢いのまま皐月賞トライアルスプリングステークス(GII)も獲らん! と出走したのだが、2着と初の敗戦を喫することになる。この初めて負けた相手も、後に第二の怪物として立ち塞がる。

皐月賞と日本ダービー ~ 同世代の怪物

そして迎えた皐月賞(GI)、1番人気後に不遇な扱い仲間になるサトノクラウンに譲ったが、そこまでの安定した走りが評価されて2番人気に支持された。レースは良いスタートを切って先頭5番手辺りの好位置につけ、前のも失速し始めた最後の直線で見事抜け出しこのまま一冠……!
と思ったその時、共同通信杯で二着に負かしたドゥラメンテ一気に急加速、最後の直線でリアルスティールを含む全をねじせて勝利してしまった。リアルスティールはまたも2着である。

リアルスティールも3着以下は2身半引き離していた。本来は勝だったはずである。これは勝ちが「強すぎた」という他ない。同世代にこんな怪物が居たのが不幸だったのだろう。ドゥラメンテも同じノーザンファーム出身・同じサンデーレーシング所有だったのは何の因果か。

続く東京優駿(GI)でも、見せ場は作るが、ドゥラメンテレコードタイムの走りには敵わず。4着に敗れた。

菊花賞 ~ 思わぬチャンス、しかし……

そんなこんなでクラシックを終えて菊花賞に向けた調整に入っていたリアルスティールだったが、そこに思わぬ知らせが舞い込む。

ドゥラメンテ骨折で年内全休」

何ということだろう。ライバルの怪を喜ぶのはあんまり好ましいことではないが、手強い相手が一人消えたのは事実である。しかしこうなれば、意地でも最後の一冠である菊花賞は勝たなければならないという話になってくる。

初戦は菊花賞トライアル神戸新聞杯(GII)。ここはリアファルの2着に敗れるが、まあここは叩き台だし、まず及第点と言っていい走りであった。問題は本番だ。

ということで菊花賞(GI)では1番人気こそリアファルに譲るも、2番人気に支持される。レースも序盤のペースから一転スローペースになったのを福永騎手が見定め、二度の坂のあたりでめに前に追い出そうとするが、坂で慢して最後の直線で内ラチ沿いの群を掻い潜るという離れ業を見せた北村宏司と、その相棒キタサンブラックが抜け出る。リアルスティールも加速して猛追したが、わずかに及ばず、2着……。
まさか同世代にドゥラメンテ以外でこんな凄まじい走りができる怪物が居たとは……。これはもう運がなかったとしか言いようがないだろう。この後、キタサンブラックは2年間に渡り内で古の王者として君臨することになる。

以後、リアルスティールは年内休養に入る。「惜しい」尽くしのクラシックであった。

4歳春 ~ 海外で念願の初戴冠

4歳最初のレース中山記念(GII)では、骨折明けのドゥラメンテとの再戦になり……復活していた彼の3着に敗れる。ちなみに2着に入ったのは共同通信杯ドゥラメンテと一緒に倒したアンビシャスだった。なんてこった。とはいえレース内容自体は悪くなかったし、営はかねてより標としていたドバイターフ(GI)挑戦を正式に決定する。

ドバイでは世界的な名手として名を馳せるライアン・ムーア上に招くも、昨年までは中長距離を走っていたことや、中山記念ドゥラメンテはともかくアンビシャスにも敗れたことから熟説が囁かれた結果、4番人気という微妙な評価に落ち着く。しかしレースが始まってみれば、やや出遅れ気味ながら先頭2、3番手くらいの好位を確保し、順調にレースを進め、最後の直線で強い伸び脚で抜け出て見事に優勝海外の地で悲願のG1タイトルを手にした。

後は上を福永騎手に戻して安田記念(GI)に出走するが、ガレ気味でロゴタイプ逃げに対応できず、本来のを発揮できずに11着に沈んだ。

4歳秋 ~ 一つ上の怪物

の休養後、営は天皇賞(秋)(GI)へと照準を合わせて調整を進める。上は福永騎手からミルコ・デムーロに乗り替わりとなった。

秋天当日は、安田記念の惨敗もあって7番人気低評価に落ち着く。レースでは後方の好位を確保し、外に回されながらも最後の直線では上がり最速の脚で追い上げる。しかし自身をドバイ勝利に導いたムーア騎手が跨るマイル絶対王者モーリスには及ばず、彼の2階級制覇をもっとも間近で見届ける2着に敗れた。

その後は上に再びムーア騎手を迎え、ジャパンカップ(GI)に出走。秋天で見せたパフォーマンス上交代が評価され、キタサンブラックに次ぐ2番人気レースに臨むが、直線で伸び悩み5着に敗れる。前年のリベンジは果たせなかった。

5歳以降

5歳以降の戦績については、さほど特筆することはない。マイル・中距離重賞の常連としてを発揮し、毎日王冠(GII)勝利し、天皇賞(秋)で4着、ドバイターフ3着というように内外のG1で好走したが、結局2つG1タイトルには手が届かなかった。
6歳時の安田記念15着の後、右前脚種子靭帯炎を発症。引退種牡馬入りが決定した。

通算成績は17戦4勝、2着5回(内GI3回)。
G1は結局4歳時のドバイターフしか取れなかったが、G1での2着は3回、しかもその時に負けた相手がドゥラメンテキタサンブラックモーリス怪物いであったのは運がなかったとしか言いようがない。たらればになってしまうが、この3頭ともう少し世代がずれていれば、後2、3個はG1を取れただろうと思えるくらいのポテンシャルがあるだった。

しかし、走りにこれといったがない為か、古になってからは同世代のサトノクラウンと並びメディアでの扱いもやや不遇で、ドバイターフを制覇した時も、ドバイシーマクラシックでのドゥラメンテ落鉄話題をかっさらっていき、あんまり話題にならなかったりと結構ひどいに遭っている。ダービーまでは「福永悲願のダービー制覇へ!!」みたいな感じで盛り上がっていたんだがなぁ……

引退後

引退後は社台スタリオンステーション種牡馬入り。が付くほどの良血、どの距離でも器用にこなせそうな競走実績、ストームキャット系で懸念される成長の低さを払拭する古での実績、200万円という較的お手頃な種付け料……と、数々の好材料が並んだことで、毎年150頭程度の肌馬を集める人気種牡馬となった。

初年度産駒である2022年デビュー組は順調に勝ち上がり、芝・ダート両方で重賞も登場したが、翌年には社台SSからブリーダーズ・スタリオンステーションへの異動が発表された。一方で種付け料は22年の250万円から300万円に増額したところからすると、これは社台グループが見切りをつけたというより、非社台系血統の肌馬との相性の良さを鑑みた、日高地方の生産者への需要増を見越した営業戦略と考えるべきだろうか(社台SSブリーダーズSSではアクセスのしやすさがだいぶ違うのである)。
2023年の瀬には2世フォーエバーヤング全日本2歳優駿勝利して初のGI級競走勝利を決めており、パフォーマンスに関してはダートの方も相性が良いようだ。ディープ血統のダート向け後継種牡馬としては、キズナに続くポジションとなるれか。

現役時代に負かされたドゥラメンテキタサンブラックモーリスへのリベンジ種牡馬として果たせるのか。ディープインパクト亡き後にその後継を担う有補として活躍に期待したい。

血統表

ディープインパクト
2002 鹿毛
*サンデーサイレンス
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
*ウインドインハーヘア
1991 鹿毛
Alzao Lyphard
Lady Rebecca
Burghclere Busted
Highclere
*ラヴオンリーミー
2006 鹿毛
FNo.20
Storm Cat
1983 黒鹿毛
Storm Bird Northern Dancer
South Ocean
Terlingua Secretariat
Crimson Saint
Monevassia
1994 鹿毛
Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Miesque Nureyev
Pasadoble
競走馬の4代血統表

クロスNorthern Dancer 4×5×5(12.50%)

主な産駒

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