BMP-1とは、旧ソ連が開発した軍用車両である。正しくはキリル文字で『БМП-1』と書く。読みは「ベエームペー・アジーン」だが、こんなんで検索するヤポンスキーは少ないと思われるので英語表記で我慢してくれ、同志よ。医者は必要ないし、樹を数える仕事はごめんだぞ。
なお、ここでは後継であるBMP-2、BMP-3もまとめて取り扱う。
BMPは、核爆弾が爆発し、放射能で汚染された戦場で戦車に随伴して戦闘できる快速装甲戦闘車として開発された。
当然ながら放射能で汚染された戦場では歩兵は車外には出られないので、歩兵分隊が車内から射撃できるように銃眼を設け、なおかつ戦車に火力援護(敵の対戦車砲やミサイル拠点、塹壕の制圧)を提供できるように73mm低圧砲(最大射程800m、発射速度毎分4発)とAT3サガー対戦車ミサイルを装備した。
戦闘重量は13.5t。乗員11人(下車歩兵分隊8人)。装甲防御力は12.7mm重機関銃を防ぐ程度であり、あくまでも盾となる戦車と組み合わせて運用する前提の兵器となっている。
時はソ連を中心とする共産主義国と、アメリカを中心とする自由主義国が対立していた冷戦時代。
当時のワルシャワ条約機構軍は、機甲・砲兵・機械化歩兵・空挺部隊・特殊部隊などでOMG(作戦機動グループ)と呼ばれる諸兵科連合部隊を構成し、大量の砲兵による火力支援のもと、機甲・機械化歩兵部隊が「スチームローラー」と例えられる圧倒的な物量で敵部隊を前線から押し出し、また、空挺・特殊部隊などによる後方攪乱作戦によって、相手に反撃の隙を与えないほどの速度で殲滅する縦深攻撃ドクトリンを取っていた。
このドクトリンにおいては、特にOMGの中核を担う機甲・機械化部隊の存在が重視されており、当時のソ連機械化歩兵部隊はBTR-40やBTR-60などの装輪式APC(装甲兵員輸送車)、装軌式のBTR-50が配備されており、戦場ではT-54/55、T-62などの戦車部隊とコンビを組んで運用するとされていた。
しかし、これらAPCは戦場で戦車と組むには多くの問題が存在していた。
当時、対戦車ミサイル(ATM)が目覚ましく発展しており、歩兵や軽車両でも重装甲の戦車を遠距離から余裕で撃破できるようになっていた。そこで「密閉式の兵員室を備え、ATM搭載して戦車も撃破できる大火力の戦闘車両作ったら一石二鳥じゃね?」という話になり、IFV(歩兵戦闘車)という新たなAFVジャンルが開拓され世界初のIFVとしてBMP-1が開発された。
このBMP-1の出現は各国を大いに驚かせ、IFVと呼ばれる車両の開発・普及するきっかけとなった。[2]こいつがいなければM2も89式もダルドも開発されなかった。
弾にロケットをつけて火薬で打ち出したあとロケットに点火して飛ばすタイプの砲。RPG-7とかもこの形式。この方の利点はでかい砲弾を薄い砲身(=安く軽く作れる)で打ち出すことができること。だったら最初から砲の中でロケットで点火して弾打ち出したほうがよくね? と思うだろう。実はそうやった場合後方の排気で砲身が解けてしまうという問題がでてくる。うん、砲塔にこのタイプの砲を積んだら発射の瞬間に乗員丸焦げですね。
この低圧滑腔砲はロケットランチャーと普通の大砲のいいとこどりをしたとして大いにもてはやされた……
まあ、両方の悪いところも持ち合わせてたりもするのだが。
これらの弱点はアフガニスタン侵攻の際明らかになり、BMPを与えられた兵士たちは基本タンクデサント……つまり車体の上に乗っかって移動を行い、谷とかで上からゲリラの攻撃を受けたらすぐに飛び降りて反撃を行なうという戦術を行なった。うん。兵士を戦場まで車で安全に送り迎えするというコンセプト崩壊だね!。
それでもデサント行なうのであれば装軌式でどこでもいける上、曲射砲として火力支援として使えば絶大な効果がある低圧滑空砲を備えたBMP-1は非常に頼りになる兵器であった事は確かなようである。その後、ソ連やその他の国は開発の教訓を下に新たな兵器の開発を行なうこととなる。
BMP-1の改良型。砲塔を大型にして車長と砲手二人のスペースを確保。
問題の多かった低圧滑空砲の代わりに30mm機関砲を装備し、給弾装置と砲安定装置も搭載。
仰角も大きく取れるようになり、ヘリや高所の敵にも対処可能となった。
搭載ミサイルは誘導ミサイルっつーてもジョイスティックでいちいち操縦しないといけなかった9M14M『マリュートカ』から9M111『ファゴット』や9M113『コンクールス』といった打ちっぱなしOKのミサイルに進化。
これにより火力は大幅な向上が見られた。
しかし、車体の変更は後部ドアの燃料タンクの廃止のみ。重機関銃で穴あきチーズになるのは変わらず。
いや、先にそこを改良しろよ!。
そこで鋼製の増加装甲を取り付けたBMP-2Dが開発され、既存の車両も順次アップデートが行なわれていった。
まぁ、そのせいで水上航行能力は失われたけどね。
開発途中で主に政治的理由で放棄された水陸両用戦車の車体を流用して作られたBMPシリーズの最新型。
水陸両用戦車であったPT-76をベースにすることで、水上航行能力が復活し車体は大型化、兵士の居住性は大幅に向上。ドンガラがデカイ為、今までソ連軍車両と違って広々として快適なのだが、今までの常識を覆す後部にエンジンを設けるという暴挙に出ている。
一応頑張ってエンジンの高さを抑え、車体後部から乗り降り出来るようにしているのだが、通路の高さが1mと楽に出れる仕様では無い。上部ハッチが兵員室に付いてるので、そこから飛び出る事は出来るが、「おまえら戦場だといつもタンクデサントしてるから、乗り降りし辛くても問題ないよね」と非常に割り切った設計となっている。
武装は主力戦車並みのFCSである武装コンプレックス『2K23』を搭載。
これは砲塔に100mm低圧滑空砲・30mm機関砲・7.62mm機関銃を同軸に配置しコンピュータ制御で射撃できるもので、100mm砲からは砲口発射式対戦車ミサイル9M117『バスチオン』を発射可能。
もう外に出て装填しなくていいんだ。これにより、現用IFVでは屈指の火力を誇っている。
しかし、これらの装備のせいでお値段が高くなり(M2ブラッドレーや89式よりは断然安いが、氷河期財政だった当時のロシアじゃ……)、採用当初はロシア本国よりオイルマネーで潤っているUAE(アラブ首長国連邦)の方が配備数が多いという笑えない状況に。
とはいえ、最近では経済が立ち直りロシア本国でもまとまった数を調達できるようになり、順次BMP-2を代替していくものと見られる。
セールスの方もUAEを始め、ギリシャ、ベネズエラ、韓国(T-80と一緒に借金のカタで)等と好調であり、安さの割には高性能というロシア製兵器の面目躍如といったところである。
中国は1980年代にエジプトからBMP-1を入手し、とりあえずフルコピーである86式歩兵戦闘車を作った。しかし中国は車内の歩兵の生残性の低さからとっとと見限り、オリジナル車両の研究を始める。その結果独自の車体にBMP-3の兵器システムを組み込んだ97式歩兵戦闘車が出現。そしてそれの改良型として05式水陸両用歩兵戦闘車と05式水陸両用戦車が生まれ現在尖閣諸島や台湾に対する大きな脅威となっていたりする。
↓旧東ドイツ配備のBMP-1。
掲示板
41 ななしのよっしん
2023/04/11(火) 21:32:16 ID: fv1oYrUIt6
Pに装甲負け…さすがに世帯違いすぎるかMRA
42 ななしのよっしん
2023/07/23(日) 00:06:53 ID: UujEYOy2h3
1より2のほうがロシアの主力なのか3よりよく見るな
開戦初期は逃げる民間人車をぐしゃぐしゃにして一緒にいた猫も肉塊にして社内が毛と肉片だらけになるまで執拗に射撃したり重機関銃に横を撃たれて穴だらけになって放棄されたりと活躍してたけど今はあんまドローン映像でも見ない気がする
43 ななしのよっしん
2023/11/04(土) 11:05:04 ID: c++NPSbWf7
スペック上は凄い兵器に見えるのに実戦では30mm機関砲の連射時の精度が死ぬほど悪いとか視界が劣悪過ぎるとか欠陥がボロボロ出てきてるし実際に使ってみないと兵器の実力はわからんもんなんだなぁ
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最終更新:2024/04/20(土) 07:00
最終更新:2024/04/20(土) 07:00
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