「ありがとう」…それしか言う言葉がみつからない…とは、本当に「ありがとう」しか言えない事である。
あなた…『覚悟して来てる人』…ですよね |
漫画「ジョジョの奇妙な冒険」Part7「スティール・ボール・ラン」に登場する、ジョニィ・ジョースターの台詞。
作中の黒幕、ファニー・ヴァレンタイン大統領の元に集まった聖人の遺体はルーシー・スティールと一体化し、『D4C-ラブトレイン-』として発現。ヴァレンタインがルーシーから発せられる光のすき間の中にいる間は「害悪(攻撃)」を地球のどこかに飛ばしてしまい、一切の攻撃が通じず、敵対する者についたかすり傷は体の上部に登っていき致命傷になってしまう。
だが一方で、ツェペリ家の伝承にのみ伝わる「馬の力を利用した黄金長方形の回転(騎兵の回転)」は、大統領の多次元を移動できるスタンド「D4C」が大統領の肉体を保つために唯一他に移動させている「重力」という力を自由に生み出し、大統領を倒す可能性を持っている。
ルーシーを馬に乗せて助け出したジャイロ・ツェペリは、大統領を迎え撃ち、馬から得た黄金長方形の回転エネルギーは『ボール・ブレイカー』というスタンドのエネルギーとなって『ラブトレイン』の光の中に身を隠した大統領の左半身を老化させるダメージを与えた。しかし、この時放った鉄球は『ラブトレイン』の光のライン上を通過していたために、鉄球の一部はどこかに飛ばされて『真球』ではなく『楕円球』になってしまい、『回転』の力は不完全なものとなっていた。皮肉にも、ルーシーを馬に乗せてたがゆえに大統領を敗北ギリギリまで追い詰めたが、ルーシーを馬に乗せてたがゆえにジャイロが敗北する結果となってしまった。
手元に戻った鉄球が『楕円球』である事を察したジャイロ。もう1発の鉄球はジョニィを助けるために放ってしまい手元になく、脇腹に受けた銃創も心臓に向かっている。敗北を悟ったジャイロは、ジョニィに向かって『LESSON5』を与えた。
スティール・ボール・ラン
オレはこのSBRレースでいつも最短の近道を試みたが『一番の近道は遠回りだった』
『遠回りこそが俺の最短の道だった』
そう言い残すと、再び大統領に向かって騎兵の回転で楕円の鉄球を放つが、大統領の右半身を老化させたダメージのみで決定打にはならず、登って行った銃創は心臓に達してジャイロは絶命する。
親友ジャイロを失った絶望の叫びと涙を出しながらジョニィは、向かってくる大統領に向かってスタンド「タスク」の爪弾を放つも、馬(スロー・ダンサー)が黄金長方形の形をとっていないため、騎兵の回転は成功せず無駄撃ちしてしまう。そして、最後の一発を放つ前に馬の首を切り裂かれてしまい、もう騎兵の回転を生み出すことはできなくなってしまう。
最早打つ手のないジョニィに対して大統領は余裕綽々に、聖人の遺体を手に入れた『試練』への「供えもの」として、あえて残りの一発の爪弾を先に撃たせようとしていた。ジョニィは思考を巡らせる。ジャイロの「LESSON5」の意味とは…。
ジョニィが取り出したのは、ジャイロの遺した一発の「鉄球」。「黄金長方形の軌跡」で回転させたそれを馬の脚に放つと、回転の反応により馬の脚は動き、ジョニィは宙に向かって蹴り飛ばされた。「LESSON5」の遠回りとは、ジャイロとジョニィの出会いの切っ掛け――。「鉄球」の回転によって動かなかったジョニィの脚を動かせた肉体的な反応の事だった。ジョニィの元にある「鉄球」で馬の「脚を動かせ」。回転するように回り廻った遠回りが「LESSON5」に込められた意味だった。
ジャイロは自分が倒された後に、大統領はジョニィの馬を走れさせなくすることを予期していた。そのための「LESSON5」だったのだ。「黄金長方形の回転」で動いた馬の脚はジョニィに「騎兵の回転」を与えた。完全なる黄金の『回転エネルギー』、――そして『爪弾』は残り一発まだある。回転のエネルギーはジョニィのスタンド「タスク」を新たな姿『タスクACT4』に変えた。
ジャイロはこのために……
「LESSON5」はこのために…
ありがとう…………
本当に……「ありがとう」…
それしか言う言葉がみつからない…
ジャイロに対し、ジョニィが心から出た言葉は「ありがとう」だった。それは、教わった「回転」の技術や、人間性を捨てかねない「漆黒の意志」に捉われた心を正しい道に引き戻してくれた、ジャイロに対するシンプルな感謝の言葉。ジャイロとの友情を通して人間的な成長が出来たこと全てに対してへの「ありがとう」なのだ。
ジャイロの方も、SBRレース優勝という「近道」のみを目指していたが、ジョニィを通して「気高き飢え」や「男の世界」に触れて、遠回りしながらも『受け継いだ人間』では見つけられなかった正しい道を進むことが出来たのだ。『ジョジョの奇妙な冒険』における、「ジョジョ」に思いを託しながらこの世を去ってしまう「ツェペリ家」の宿命からジャイロも避ける事はできなかったが、人間的な成長を遂げた事への感謝の気持ちが「LESSON5」の中に込められている。
ジョニィの「生長」を表した「タスクACT4」のヴィジョンには、大地を踏みしめるようなしっかりとした脚がデザインとして現れている。ジョニィの脚は立ち上がれるようになっただけでなく、人間としての成長――作中最初のモノローグで語られた「この『物語』は僕が歩きだす物語だ。青春から大人という意味で……」の通り、精神的な成長を遂げた事を象徴したデザインであると言えよう。
本当に感謝の気持ちを伝えたい、そんな時には「それしか言う言葉がみつからない…」と付け足して、「ありがとう」と伝えてあげよう。
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最終更新:2024/12/21(土) 02:00
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