精一杯生きている。
『あの夏が飽和する。』とは、2018年8月12日に投稿された、カンザキイオリによるVOCALOID楽曲である。
ボーカルには鏡音レン・鏡音リンを起用している。
また、2020年9月18日に河出書房よりこの楽曲を題材とした小説『あの夏が飽和する。』が発売されて、これを記念して同日21時に『あの夏が飽和する。2020ver.』が投稿された。
さらに、2022年8月26日発売の月刊コミック電撃大王にて、武富智によるコミカライズ版『あの夏が飽和する。』が連載開始された。
2020ver.では、新たに編曲・ギター・ベースにハナムラサトシ、ドラムにイノウエケンイチが参加、映像は一新され、監督に朝倉すぐる、イラストにorie、タイポデザインに岩佐知昂、制作に根岸秀幸が携わっている。
『あの夏が飽和する。』を筆頭に、『人生はコメディ』『死ぬとき死ねばいい』を含め、"「あの夏」三部作"と呼ばれている。
あの夏のはじめ、流花は誤っていじめっ子を死なせてしまう。
自暴自棄になった流花は千尋とともに逃避行の旅に出たが、
警察に追いつめられたうえ、流花は千尋を残して自ら命を絶ってしまった。
それから13年、流花のことが忘れられず、ただ無気力な毎日を送っていた千尋の前に。
流花に生き写しの高校生・瑠花が現れる。
千尋は瑠花に強烈に惹かれていくが、彼女には人知れぬ闇が隠されていた。
さらに、瑠花の同級生でバイト仲間の武命は、壮絶な虐待のはてに悲劇的な計画を決意。
2人はそれぞれ破滅の道へ転がり落ちていた。
それに気づいた千尋の脳裏に、13年前の出来事が蘇る。
哀しみ、苦悩、そして後悔。
千尋は今度こそ、あの時言えなかった言葉を伝えて、2人を救おうとするのだが……
戦慄の決行日は二学期の始業式。命を懸けたひと夏の闘いが始まる。
「切ないぼかうた」「涙腺崩壊」といったタグが付くように、とても感動的な曲となっており、「バスタオルを用意しないと聞けない」といったコメントも数多く投稿されている。
週刊VOCALOIDとUTAUランキング#567・509では集計期間1日のみで29位とTOP30にランクインを果たす、#568・510では一気に順位をあげて7位にまで登りつめた。
2018年9月19日19時30分ごろ、VOCALOID殿堂入りを達成。
歌ってみたなどの派生動画も強烈な人気を誇っており、まふまふの歌ってみた動画はYouTubeにて1200万再生をされている。
2020年2月9日9時53分、VOCALOID伝説入りを達成。所要時間は555日16時間43分。
週刊VOCAL CharacterとUTAUランキング#677・619では2020ver.が新着9位にランクインした。
その後、2021年12月17日にVOCALOID殿堂入りを達成した。
2020年10月1日には、小説化記念としてVシンガーである花譜がカバー動画を投稿している。
2019年4月24日に発売された1st Album「白紙」に収録されている。また、同梱されているセルフライナーノーツ【解説「白紙録」】にて、『あの夏が飽和する。』の楽曲解説や制作意図を読むことが出来る。また、『あの夏が飽和する。』の解説に関しては、神椿スタジオのnoteにて全テキストが特別公開されている。
2020年9月18日に全国販売が開始した小説『あの夏が飽和する。』であるが、特設ホームページにて期間限定で物語のプロローグとなるスピンオフ短編小説を公開していた。全6話が2020年8月21日から毎週金曜日に公開されていた。このスピンオフは2020年12月31日をもって公開を終了している。
また、初回出荷分購入特典として帯についているQRコードより、入野自由と茅野愛衣の朗読音源を視聴することが出来る。また、書籍カバーについているQRコードより、『あの夏が飽和する。』を含む「あの夏」三部作が無料でダウンロードが可能となっている。
上述の通り、2022年8月26日発売の月刊コミック電撃大王にて、コミカライズ版『あの夏が飽和する。』の連載が開始された。10月号の付録として、『あの夏が飽和する。』のフレーズ&ビジュアルカットインクリアファイルと2022年9月シールカレンダーが付属している。また、9月12日にはComicWalkerとニコニコ静画でも配信が開始されている。11月22日にはpixivコミックでも公開がスタートされた。
コミックス1巻が2023年2月25日に発売が決定している。
また、コミカライズ1巻の発売を記念して2月25日の20時より配信ライブ『この夜が飽和する。』の開催も告知されている。この配信はカンザキイオリYouTubeチャンネルにて、全編無料で視聴可能となっている。
「昨日人を殺したんだ」
君はそう言っていた。
梅雨時ずぶ濡れのまんま、部屋の前で泣いていた。
夏が始まったばかりというのに、
君はひどく震えていた。
そんな話で始まる、あの夏の日の記憶だ。
「殺したのは隣の席の、いつも虐めてくるアイツ。
もう嫌になって、肩を突き飛ばして、
打ち所が悪かったんだ。
もうここには居られないと思うし、どっか遠いとこで死んでくるよ」
そんな君に僕は言った。
「それじゃ僕も連れてって」
財布を持って、ナイフを持って、
携帯ゲームもカバンに詰めて、
いらないものは全部、壊していこう。
あの写真も、あの日記も、今となっちゃもういらないさ。
人殺しと、ダメ人間の君と僕の旅だ。
そして僕らは逃げ出した。
この狭い狭いこの世界から。
家族もクラスの奴らも何もかも全部捨てて君と二人で。
遠い遠い誰もいない場所で二人で死のうよ。
もうこの世界に価値などないよ、人殺しなんてそこら中湧いてるじゃんか。
君は何も悪くないよ。君は何も悪くないよ。
結局僕ら誰にも愛されたことなど無かったんだ。
そんな嫌な共通点で僕らは簡単に信じあってきた。
君の手を握った時微かな震えも既に無くなっていて、
誰にも縛られないで二人、線路の上を歩いた。
金を盗んで、二人で逃げて、
どこにも行ける気がしたんだ。
今更怖いものは、僕らにはなかったんだ。
額の汗も、落ちたメガネも
「今となっちゃどうでもいいさ。
あぶれ者の、小さな逃避行の旅だ」
いつか夢見た優しくて、誰にも好かれる主人公なら、
汚くなった僕たちも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな?
「そんな夢なら捨てたよ、
だって現実を見ろよ?
シアワセの四文字なんてなかった今までの人生で思い知ったじゃないか。
自分は何も悪くねえと、誰もがきっと思ってる」
宛ても無く彷徨う蝉の群れに、
水も無くなり揺れ出す視界に、
迫り狂う鬼たちの怒号に、
バカみたいにはしゃぎあい
ふと君はナイフをとった。
「君が今までそばにいたからここまでこれたんだ。
だからもういいよ。もういいよ。
死ぬのは私一人でいいよ。」
そして君は首を切った。
まるで何かの映画のワンシーンだ。
白昼夢を見ている気がした。
気づけば僕は捕まって。
君がどこにも見つからなくって。
君だけがどこにもいなくって。
そして時は過ぎて言った。
ただ暑い暑い日が過ぎてった。
家族もクラスの奴らもいるのになぜか君だけはどこにもいない。
あの夏の日を思い出す。
僕は今も今でも歌ってる。
君をずっと探しているんだ。
君に言いたいことがあるんだ。
9月の終わりにくしゃみして
6月の匂いを繰り返す。
君の笑顔は、君の無邪気さは、頭の中を飽和している。
誰も何も悪くないよ。
君は何も悪くはないから、もういいよ、投げ出してしまおう。
そう言って欲しかったのだろう?なあ?
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