いわてグルージャ盛岡とは (イワテグルージャモリオカとは) [単語記事]

いわてグルージャ盛岡とは、岩手県全域をホームタウンとするJFL所属のサッカークラブである。

概要

日本フットボールリーグ
いわてグルージャ盛岡
基本情報
創設年	2003年
クラブカラー	白、赤、黒
所属	JFL
ホームスタジアム	いわぎんスタジアム（盛岡南公園球技場）[盛岡市]
ホームタウン	岩手県盛岡市他全市町村
前身	ヴィラノーバ盛岡
サッカークラブテンプレート

2003年に創設。2014年にJリーグに加盟。当初のチーム名は「グルージャ盛岡」だったが、2019年に岩手県全域をホームタウンとした際に現在のチーム名に変更している。

クラブ名の「グルージャ」とはスペイン語で「鶴」という意味。かつての盛岡藩主だった南部氏の家紋に由来する。クラブのエンブレムにも鶴があしらわれている。この地域の方言に「じゃ」がよく使われていることや、盛岡名物「じゃじゃ麺」も由来に含まれているとしている。クラブマスコットは折り鶴をモチーフとしたキヅール。

ホームスタジアムはいわぎんスタジアム。J3昇格当初はナイター開催に必要な照明設備が設置されておらず、ホームでナイトゲームを開催することができなかった。

歴史

2003年、将来のＪリーグ加盟を目指し東北リーグ2部に所属していたヴィラノーバ盛岡を改組して発足。この時の名称はグルージャ盛岡であった。

2002年は日韓ワールドカップの成功を見てJリーグを目指し始めたチームが多く出た時期であった。その中でグルージャは、2005年に東北1部リーグに昇格し、それから8シーズン中5回優勝を果たすが、ことごとくJFLへの昇格に失敗して足踏みを続けてきた（そうこうしているうちに、Jリーグを目指すクラブとしては後発の福島ユナイテッドFCに追い抜かれたりもした）。

しかし、迎えた2013年シーズンは例によって東北リーグを制すると（6回目の優勝）、全国地域サッカーリーグ決勝大会も制して優勝。本来ならばJFL昇格となるところだったが、2014年に発足するJ3リーグへの最後の1枠に滑り込むような格好となって、「飛び級」でJリーグ参入を果たした。

J3での初年度である2014年シーズンは前評判は高くなかったが、開幕直後に3連勝と好スタートを切り、最終的に上位の5位でフィニッシュする大健闘を見せる。翌年の2015年は13チーム中11位と低迷、シーズン終了後、2012年から監督を務めた鳴尾直軌が退任。

2016年も成績は振るわず、16チーム中13位で終了。この年の9月、当時の副社長がクラブの運営資金を私的に不正利用していたことが発覚。流用額は5000万円にものぼり、うち2404万円が回収不可能となった。スキャンダラスを引き起こした元副社長は、翌年に業務上横領容疑で逮捕されている。

2017年からは地元出身の菊池利三が監督に就任するも2017年、2018年と下位に低迷。

岩手県全域をホームタウン化することに伴い、2019年からクラブ名をいわてグルージャ盛岡に変更。エンブレムも向鶴を残しつつ六角形のデザインに変更された。また、この年の10月、NOVA ホールディングスが株式の過半数を譲り受け、クラブの経営権を取得。
肝心のチームの成績は後半戦わずか1勝しか挙げられず、17位のガンバ大阪U-23に勝ち点9差を付けられての断トツ最下位に沈む。

2020年元サッカー日本代表の秋田豊が監督に就任。同年特例ではあるもののJ2 ライセンスを取得。前年よりも失点数が大幅に減り、11位に浮上する。

2021年は開幕から好調を維持し、大崩れをしないまま東京五輪による中断期間を迎える。シーズン後半は僅か1敗という好成績でリーグ戦を戦い抜き、優勝・昇格争いに加わると最終節で2位を確定させる。この結果、東日本大震災から10年という節目の年に初のJ2リーグ昇格が決まる。

2022年はJ2リーグに舞台を移し、初戦の対ジェフユナイテッド市原・千葉戦に勝利するものの9勝7分26敗と大きく負け越しシーズン最下位に終わり、1年でJ3へ降格した。監督の秋田豊は監督退任となったが、直後にチームの親会社であるNOVAから株式の一部を譲り受け、代表取締役オーナー兼代表取締役社長に就任に就任した（NOVAのユニフォームスポンサーは継続の方針）。

2023年は元アトランタ五輪代表の松原良香が監督に就任。好不調の波が激しく、シーズン中に3度3連敗を喫したこともあり上位から引き離されてしまう。J2昇格が厳しくなった9月20日に松原監督を解任。ユース監督の中三川哲治が後任となった残り11試合は6勝3分2敗と勝ち越し、10位となる。
8月には元アテネ五輪代表主将でYouTUberとして活躍している那須大亮が現役復帰し、1週間限定で加入し話題を呼んでいる。

2024年は第11節福島ユナイテッド戦で0-9と記録的な大敗を喫するなど成績が低迷し、中三川が監督からヘッドコーチに降格となり、GMの神野卓哉が監督に就任。この人事について秋田社長は中三川が監督を務めていることで選手に甘えが出ていると説明している。しかし監督交代後もチームは浮上の兆しが見えず、最下位に沈んでしまう。第24節の沼津戦に0-3で敗れると、クラブは二度目の監督交代に踏み切り、星野敬が監督に就任。それでも負のスパイラルからは抜け出せず、9月には秋田社長が今シーズン限りでの退任を表明する事態に。結局、第35節の金沢戦に1-1で引き分けたことで最下位が確定。来シーズンのJFL降格が決定するという最悪の結末を迎える。最終的に19位との勝ち点差は10。得点数27、失点数80がいずれもリーグ断トツ最下位と落ちるべくして落ちるシーズンとなった。

タイトル

東北社会人サッカーリーグ1部：6回
2005年、2007年、2008年、2009年、2010年、2013年
全国地域サッカーリーグ決勝大会：1回
2013年

現在の所属選手

背番号	Pos.	選手名	生年月日	加入年	前所属	備考
-	監督	星川敬	1976.5.29	2024	Y.S.C.C.横浜監督
3	DF	嶋津袖杏	2000.10.3	2025	福井ユナイテッド FC	【完】
4	DF	牟田雄佑	1990.9.22	2025	ボンケットFC	【完】
5	DF	金沢一矢	2002.10.31	2025	愛媛FC	【完】
6	MF	セドリック・トゥサン	2001.3.29	2025	パシフィックFC	【完】
7	FW	深堀隼平	1998.6.29	2024	愛媛FC
8	MF	弓削翼	2000.2.5	2022	日本体育大学
9	FW	シラス	2002.7.4	2024	SCプライエンセ
11	FW	藤本憲明	1989.3.19	2025	鹿児島ユナイテッドFC	【完】
13	MF	小暮大器	1994.5.18	2024	ブラウブリッツ秋田
14	MF	中里崇宏	1990.3.29	2025	Y.S.C.C.横浜	【完】
16	DF	柳世根	2001.12.25	2024	朝鮮大学
18	MF	河合秀人	1993.10.1	2025	FC ティアモ枚方	【完】
19	DF	ウォン・テラン	2002.7.25	2025	釜山アイパーク	【完】
21	MF	道本大飛	1998.12.6	2024	Y.S.C.C.横浜
22	DF	西大伍	1987.8.28	2023	北海道コンサドーレ札幌
23	MF	中村充孝	1990.9.13	2022	モンテディオ山形
25	DF	和田昴士	2001.10.24	2025	台中Futuro	【完】
28	FW	松村航希	1996.5.25	2024	Y.S.C.C.横浜	【完】
29	FW	町田悠	2002.9.24	2025	東洋大学	【卒】
30	MF	和田篤紀	1993.12.9	2025	ジェイリース FC	【完】
32	DF	斉藤拓	2002.12.24	2025	仙台大学	【卒】
33	DF	山内舟征	2000.12.13	2024	FC琉球OKINAWA
36	GK	田中春希	2003.4.23	2025	国士舘大学	【卒】
39	MF	嫁阪翔太	1996.10.19	2025	奈良クラブ	【完】
40	GK	名良橋拓真	1997.5.19	2025	テゲバジャーロ宮崎	【完】
44	DF	新玉瑛琉	2001.10.12	2024	青山学院大学
49	MF	小林祐希	1992.4.24	2025	北海道コンサドーレ札幌	【完】
50	GK	若林学	2004.3.10	2025	大宮アルディージャ	【レ】
51	GK	キム・ソンゴン	2002.3.22	2024	全州大学校
55	MF	藤島樹騎也	1996.8.26	2025	Y.S.C.C.横浜	【完】
77	MF	小松寛太	2001.9.10	2024	早稲田大学
80	MF	濱名真央	2000.9.8	2025	アトレチコ鈴鹿クラブ	【完】

※備考欄は【完】=完全移籍での加入、【レ】=レンタル移籍での加入、【復】=レンタル先からの復帰、【新】=新任の監督、【昇】=トップチーム昇格、【卒】=新卒での加入、【特】=特別指定選手、【2】=2種登録、【H】=ホームグロウン選手

過去に所属した主な選手

松田賢太（2007 - 2016）
武藤真一（2004 - 2005）
小林亮太（2012 - 2015）
岡田裕政（2013 - 2015）
森田創（2013 - 2017）
林勇介（2014 - 2017）
森英次郎（2014 - 2017）
谷口堅三（2015 - 2018）
谷村憲一（2015 - 2018）
牛之濱拓（2016）
鈴木達也（2016 - 2019）
梅内和磨（2016 - 2019）
谷口海斗（2018 - 2019）
飯野将太（2018 - 2021）
宮市剛（2018 - 2024）
脇本晃臣（2020 - 2022）
モレラト（2020 - 2022）
ブレンネル（2020 - 2022）

土井康平（2012 - 2021）
小松駿汰（2020 - 2023）
野澤大志ブランドン（2021 - 2022）
ビスマルク（2021 - 2022）
和田昌士（2021 - 2023）
加々美登生（2021 - 2024）
オダボー・ゲネス（2021 - 2025）
奥山洋平（2022）
中村充孝（2022 - 2023）
甲斐健太郎（2022 - 2023）
新保海鈴（2023）
丹野健太（2023）
藤村怜（2023）
水野晃樹（2023 - 2024）
深津康太（2023 - 2024）

歴代監督

監督名	在任期間	備考
武藤真一	2004年～2005年	・選手兼任監督・東北2部優勝＆1部昇格(2004年) ・東北1部優勝(2005年)
吉田暢	2006年～2011年	・東北1部優勝(2005年、2007年、2008年、2009年、2010年)
鳴尾直軌	2012年～2015年	・東北1部優勝(2013年) ・全国地域リーグ優勝(2014年) ・J3参入(2014年)
神川明彦	2016年
菊池利三	2017年～2019年
秋田豊	2020年～2022年	・J2昇格(2021年) ・J3降格(2022年)
松原良香	2023年～2023年 9月
中三川哲治	2023年 9月～2024年 5月
神野卓哉	2024年 5月～8月
星川敬	2024年 8月～	JFL降格(2024年)

キヅール

ファンの要望に応え、2017年に制定されたマスコットキャラクターである。モチーフは「折鶴」で、「折」の字を「祈」に変えてキヅールとネーミングされた。

いわゆるゆるキャラなデザインが跋扈するマスコットキャラ界隈の中で、折鶴から中の人の脚が出ているだけという斬新なフォルムになっているのが特徴。

立体化にあわせて、くまモンのような一般的なデザインのもので100万～120万円くらいかかるというのが相場なものの、キヅールはおよそ280万円かかるという見積もりが出てしまう。J3 チームの懐具合ではきびしい金額なので、クラウドファンディングでパトロンを募集したところ一ヶ月で500万円を越える金額が集まり無事に立体化。なお、パトロンのなかで岩手県民は一割ほどだったとスタッフは苦笑い。