うみへび座とは (ウミヘビザとは) [単語記事]

うみへび座 Hydra
略符	Hya
象徴	the Sea Serpent
起源	古代　プトレマイオス
概略位置	赤経：11 赤緯：-20
正中日時	4月25日 21時
広さ	1303平方度(1位)
3.0等以上の恒星数	1
最輝星	アルファルド(2.004等)
メシエ天体数	3
隣接する星座	ポンプ座かに座こいぬ座ケンタウルス座からす座コップ座しし座てんびん座おおかみ座いっかくじゅう座とも座らしんばん座ろくぶんぎ座おとめ座

うみへび座とは、トレミーの48星座の一つである。

ギリシャ神話に登場する怪物ヒュドラを題材とした星座である。

概要

春の星座であり、全88星座中最も大きい。その領域の広さは、最も小さいみなみじゅうじ座(68平方度)の約19倍、全星座平均の広さ(469平方度)の2.78倍にもなる。

夜空で実際に観測すると、かに座付近に頭があり、尾はてんびん座に達するほど長い。また概略位置より4月下旬に正中としたが、その大きさゆえ長期にわたり観測が可能である。

うみへび座で最も明るい星は2等星のアルファルド。広い星座だが、1等星は無く、2等星もこれが唯一である。

なお、名前の似た星座にみずへび座がある。南天の星座だが、ラテン語の綴りもHy drusと似ているため注意が必要である。

α：アルファルド(Alphard)またはコル・ヒドレ(Cor Hydrae)
- うみへび座の2等星で最輝星。周囲に明るい星がないため、うみへび座観測の起点にするのも良い。
  名前のアルファルドはアラビア語由来で「孤独なもの」、コル・ヒドレはラテン語で「蛇の心臓」を意味する。
γ：アルダナブ(Al Dhanab)
- 3等星。アラビア語で「尾」の名の通り、ヒュドラの後方に位置している。
ζ：ヒドロビウス(Hydrobius)
- ヒュドラの頭にある3等星。ギリシャ語で「水の住人」の意。
ν：シェラシフ(Sherasiph)
- アラビア語で「肋骨」を意味する3等星。

M48　散開星団
M68　球状星団
M83　棒渦巻銀河
- ヒュドラの尾の近くにあり、棒状構造が見られるフェイスオン銀河である。
  「回転花火銀河」と呼ばれるおおぐま座 M101に対して、「南の回転花火銀河」という愛称が付けられている。
NGC 3242　惑星状星雲
- 1785年にウィリアム・ハーシェルが発見した惑星状星雲で、ほぼ円形の構造をしている。
  「大きさといい、色といい、見え方といい、木星そっくりだ」と感想を述べたウィリアム・ヘンリー・スミスによって、「木星状星雲」の名が付けられた。

勇者ヘラクレス(ヘルクレス座)の12の冒険の2番目が、この海蛇ヒュドラ退治であった。このヒュドラは首を切ってもすぐに新しい首が生えてくるという厄介な化け物であったが、従者のイオラーオスが切り口を松明で焼くことで首の蘇生を防いだ。最後は残った不死の頭を岩の下に埋め、見事に退治に成功した。後にこのヒュドラがうみへび座になったほか、ヒュドラと共にヘラクレスに挑んだものの、ヘラクレスにあっさり踏みつけられてしまった化け蟹カルキノスもかに座となった。