『かみあり』とは、『Comic REX』(一迅社)にて連載している漫画のこと。作者は染屋カイコ。
2007年3月号より不定期に連載された後、2009年4月号より隔月化され、2019年12月号まで連載された。単行本は全9巻。
作者は島根の観光協会から「自県の紹介をしてくれた」として招待を受け、街の観光と取材、そして須佐之男命(スサノヲノミコト)の子孫と会食している。
概要
タイトルの「かみあり」は、神在月(神無月(10月)の出雲地方における呼称)に由来する。
島根県の出雲。神無月になるとそこにはあらゆる神々(一部精霊や悪魔等)が集まってくる。
大阪からの転校生、千林幸子(せんばやし さちこ)は、岡家絵美(おかや えみ)に「百聞は一見に如かず」と町中に連れ出されるのだが・・・・・・。
幸子が首を突っ込んだとある事件から、神々(一部精霊や悪魔等)との邂逅を通して繰り広げられる、神話あるあるネタからマイナーなネタまで、「私の趣味全開の漫画」とは作者談。
専門用語
- 神在月(かみありづき)
- 平安時代に書かれた『奥義抄』を意訳すると、八百万の神は10月に出雲に諸々の目的のため集まるので出雲以外には神がいなくなる。出雲以外はこれを「神無月」と呼び、出雲は「神在月」と呼ぶ。
- 流行り神(はやりがみ)
- この作品では神は信仰、思い、願いから形作られた存在であり、それらの強さから神々が降誕する。その為、ゲームや漫画、小説などのメディアで知られた神々が降誕することがある。作中ではこの事象で降誕した存在を「流行り神」と呼んでいる。
- 彼らの性格は元ネタになっているメディアの設定を引き継いでいる。また、ゲームや漫画、小説オリジナルのキャラクターも降誕することもある。
しかし事情を知らない彼らは突然現世に降誕する為、パニックになり人間との間にトラブルを起こしやすい。
- 文化英雄(ぶんかえいゆう、通常は「カルチャーヒーロー」だが作中では「トリックスター」とルビが振られる)
- 神話に登場する人類に有益な発明や発見をもたらした人物のこと。動物の姿をとっていることも多い。文化の創設者であり、彼らを媒介として現在の諸文化や諸制度が基礎づけられていると考えられている。
- 臨時神在対策課(りんじかみありたいさくか)
- 人間と神とのトラブルを処理するための部署。トップの安倍晴明と賀茂光栄、三人一組の式神が数組で構成される。
- 漫画、小説、ゲームなどを読み込みやり込み流行り神の情報を収集して対策を講じるのだが、情報が集まるとその分流行り神が降誕しやすくなるというジレンマがある。
神や悪魔という存在
流行り神の項で説明したが、作中で降誕している神や悪魔は人間の様々な感情などにより結実している為、多種多様な面を持ち合わせている。それ故、一見人間に対して友好的であるが人間の負の面も内包されている。なぜならば人間自身が神や悪魔を「そうあるべき」としているためである。
幸子と仲の良さそうにしている毘沙門も隠れ縁切りという面があるため、幸子の男運がどうなろうと知ったことではいとしている。
登場人物(人間)
- 千林幸子(せんばやし さちこ)
- とある学校の中等部に通う少女。セミロング、前髪の左側を髪留めで止めている。
- 大阪から出雲に引っ越してきた好奇心が旺盛、こてこての関西弁、関西娘。
- 神関係のトラブルに首を突っ込む、あるいは向こうからやって来るが、本人はアグレッシブな性格なのであまり気にしない、あるいは自分で事態を解決しようとする。だが後々神様が怖いことを知る。
- とある縁で出会ったヒヌカンと大眼から加護を得ている。
- 絵美曰く、「見た目は申し分ないほど可愛いが、中身がたしなむ以上にお笑い系」
- なお、肆巻18ページの「一十百千 千林」の台詞は大阪府大阪市旭区にある千林商店街で流れているデューク・エイセスの「千林商店街テーマソング」のワンフレーズである。歌詞はこちら参照、動画(カバー)はこちら。
最近爆発四魂した。
- 岡家絵美(おかや えみ)
- とある学校の中等部に通う少女。ショートの髪に眼鏡、制服時には黒タイツを履いている。
- 幸子の友達で幸子のことを「サチ」と呼んでいる。幸子からは「エミちゃん」と呼ばれる。
- 真の巻き込まれヒロインで幸子には苦労させられている。
- 幸子と同じくヒヌカンから炎の加護を受けている。
登場人物(神、神に近しい存在)
- 安倍晴明(あべのせいめい)
- 臨時神在対策課のトップ。とても有名な陰陽師の人間神。
- 平安時代の衣装を纏った男性だが、時折狐になることもある。
- 様々なメディアで何度も取り上げられたため、俗世に近い存在であり人間神と言うことで対策課を任されているがサボリ癖がある。
いろんな設定や属性がてんこ盛り。
- 賀茂光栄(かものみつよし)
- 臨時神在対策課で晴明の助手をしている人間神。
- 作中では元服前の少年の姿をしているが妻帯者。
- 数少ない良識人。そのせいか苦労は絶えない。
- 白虎(びゃっこ)
- 京都の四方の守護する四神の内、西方を守護する名前の通り白い虎。
- 古くから降誕しているせいか中身は関西のおっちゃん。妻・妾・子女・息子の嫁などの女性の守護もしているので女の子が好き。「女の子は大事。守ることの何がおかしい」と言える男前。
- 渋いおっちゃんの姿にもなれるが子どもたちから怖がられるので虎の姿の方が多い。
- 東京や他の地方にも四神がいるため「京都の白虎」と呼ばれることもあるが、作中で「白虎」というと概ね彼の事を指す。
- ヒヌカン
- 沖縄の火の神で竈を守護している。作中では沖縄の民族衣装に身を包んだ女性の姿をしている。
- 沖縄では祀られている家ごとに存在してる。とある事件の事態を収拾した礼に幸子と絵美に火の加護を与えた。
- ヒヌカン曰く、「粉物が上手に焼けるようになる」
- 大眼(だいまなこ)
- 元鍛冶の神で現厄災の神。人の業を帳面に書きつけて厄を呼ぶ。
- 作中では隻眼隻脚の男性。元は鎚であった杖を突いている。妻帯者。
『山本勘助』という情報の一部が分化した存在でもある。
- 穴に落ちて出られなくなった時、噂に聞いていた幸子を呼び寄せ、出られた礼に火の加護を与えた。
- 玉祖命(たまのおやのみこと)、天明玉命(あまのあかるたまのみこと)
- 最初は勾玉を造る玉造りの神だったが、レンズの守護をするようになりメガニストとなる。
- 作中では丸眼鏡をかけ、勾玉を装飾した服を着た少年。
- 絵美が眼鏡をコンタクトにしようとするのを阻止したり、眼鏡について並々ならぬ情熱を持っている。
- 日本武尊(やまとたけるのみこと)
- 『日本最古の男の娘』であり文化英雄(トリックスター)。
- 日々自分を磨くことを怠らず常に女装しており、ハロウィンではコマが変わるたびに服装が違ったりする。
- 作者が集めた衣装の参考画像で彼専用のフォルダができるくらいである。
- 須佐之男命(スサノヲノミコト)
- 『日本最古の女装男子』とは日本武尊談。
- 理由は、『女性を装備した男子(女装男子)』」だから。
- 作中では髪がぼさぼさで豪放磊落な大男。常に八岐大蛇の首の骨を持ち歩いている。
- 間々観音(ままかんのん)
- 正式名称は『間々乳観音(ままちちかんのん)』。愛知県小牧市の『龍音寺』はおっぱい関連の宝庫である。
- 授乳の願いから、おっぱいの発育、心の成長、子供の成育、安産、縁結び、開運、厄除け…と、乳に関することはいうまでもなく、乳以外にもご利益がいっぱい。
- 作中では麻呂眉で髪の長い、そしてとても豊満な胸の女性。腰に三つ葉葵の紋所が入った布を巻いており、これは「参道」と「産道」がかかっている。
- 胸を見たり触ったりすることで、胸に対する思いや、胸の真偽や行末などが分かる。
登場人物(天使など)
- ガブリエル(流行り神)
- とある漫画から降誕した流行り神。
- 作中では腰まである金髪に裾の短いワンピースを着た、翼が生えた女性。いつも雄しべのないユリの花を持っている。
- 著作権の関係で短い服装を変更できないが、パンチラは言語道断、パンモロは悪即斬という女性の味方?
- ゲームから降誕した流行り神であるが、作中では「本物のガブリエル」という存在も登場する。
- ガブリエル(天使)
- フードを被り翼が生えた戦を司る天使。長い髪にユリの花を2つ刺している。
- 「主は絶対的で正しい」という考え方には否定的。主が理不尽で残酷であってもそれが愛しいと思っている。
- 流行り神のカブリエルを「エル」と呼んで批難せず導いている。
登場人物(悪魔)
- アガレス
- 『ソロモンの小鍵』(レゲメトン)に記される、31の軍団を率い地獄の東を統率する大いなる公爵。
- 元は農耕と時間を司る神。とても慈悲深いが思考は悪魔的。
悪意はないがなんでも過剰に与えすぎるダメ人間製造機。
- 普段は紳士風の男性だが、仕事で片脚の脛あたりを露出した女性になることもある。
- ヴァッサーゴ
- 『ソロモンの小鍵』(レゲメトン)に記される、26の軍団を率いる皇子。
- しかし作中では常にカラスの姿で女性の言葉使いをする。いつもアガレスの側にいる。
- カイム
- 30の軍団を率いる地獄の大総裁。作中ではツグミの姿をしている。が人間にもなれる。
- 元は天使で、詭弁を弄することが趣味。動物の声や水の音の意味が分かる。
- ガブリエル(流行り神)の大ファン。
- グレモリー
- 『ソロモンの小鍵』(レゲメトン)に記される、26の軍団を率いる地獄の公爵。
- 女性に変身できる者は多いが、ソロモンの72柱の中で唯一女性の姿で現れる。
- 作中ではゴシックな服装をした巻ロールで語尾が「~じゃ」。
- 流行り神のカノンの大ファン。
登場人物(流行り神)
- リグドラ
- 大阪のゲーム会社が作ったゲームから降誕した、オリジナルの流行り神。
- 火蜥蜴(国外の四方を司る火の精霊)がモチーフだが、普段は鱗を持つ肌の赤い青年の姿をしている。
- 気性がとても荒いが根は優しく仲間思い。そしてシスコン。
- ガブリエル(流行り神)
- 登場人物(天使など)を参照。「このスカートをめくる者、一切の希望を捨てよ」
- カノン
- ガブリエル(流行り神)と同じ漫画から降誕した流行り神。モチーフは観世音菩薩。
- 作中ではショートの黒髪に蓮の花を刺した少女。手にも蓮の花を持っている。
- 悪魔にもファンが居るほど癒やしのオーラを出す彼女だが、周りの面子が濃いせいであまり目立たない。
登場人物(その他)
- ジャック・オー・ランタン
- ハロウィンが神在月の10月にあるため、境界が不安定になり妖怪などに分類される存在も降誕する。
- ジャック・オー・ランタンは、そんな中で、頭がかぼちゃの人間型であり複数存在する。
- 単行本8巻現在、幸子たちに対して明らかな敵対意識を露わにしている唯一の存在。
- 理由はハロウィンの前に痴漢行為を止められた挙句、ぼっこぼこにされたため(したのは間々観音と日本武尊だが)。
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外部リンク
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