けもフレロスとは (ケモフレロスとは) [単語記事]

けもフレロス（けものフレンズロス）とは、『けものフレンズ』を求めても得られない状況に陥った際に感じる喪失感である。

概要

『けものフレンズ』は動物をテーマとしたメディアミックス作品であり、2015年に始まったアプリゲーム版をはじめ漫画版やゲーム版など様々なかたちで展開している。

しかしアプリゲーム版は、アニメ版放映開始を間近に控えた2016年 12月に惜しまれつつサービス終了してしまった。その「暖かくて優しさに溢れた世界」^[1]を一時的にせよ失ったプレイヤーらは、アニメ版が来ると知りつつも喪失感を感じざるを得なかったようだ。このアプリサービス終了時点には既に、「けもフレロス」という言葉が複数の人々によって使用され始めていたことがTwitter検索などで確認できる^[2]。

その後、アニメ版が2017年 1月に満を持して放映開始された。しかし「終了したアプリのアニメ化」と受け取られた（企画はほぼ同時にスタートしているので正確ではないのだが）ことで敗戦処理であるかのようにとらえられており、また1話「さばんなちほー」がやや高難易度であった（ように初見では見えた）こともあって、当初はさほどアニメファンらからの注目を集めることができなかった。

だがその後、ストーリー展開の巧みさやキャラクターの魅力、そして特徴的なセリフなどによって次第に注目を集め、開始前はアプリ時代からのファンですら予想できていなかったほどの大きな人気を集める作品となった。かつてアプリの終了を嘆いていたTwitter ユーザーらのこの時期のツイートを見てみると、1話を見て戸惑いつつアニメファンの反応を気にしている様子、2話を見て面白さに安心し楽しむ様子、アプリ版でお気に入りだったフレンズがアニメに登場して喜ぶ様子、人気作品となっていくことを自分の事のように喜ぶ様子、などなど、古参ならではの反応が見て取れる。

こうして、かつてアプリ版終了時に生じた「けもフレロス」は解消され始めたかに見えた。

けれども皮肉なことに、このアニメ版『けものフレンズ』はなんと放映中のうちから新たな「けもフレロス」を発生させることになった。このアニメにハマってしまい、その週の放映終了直後のうちから「おかわりをよこすのです」などとわけのわからない言葉を漏らしながら次週の放映を待ち望む、といった極端な視聴者が大量に発生しはじめた。既にアプリが終了しており、BD以外にグッズもあまり存在せず、「振り込めない詐欺」と言えば聞こえは良いが、アニメ以外にファンの拠り所が全くなかった事もこういった現象に拍車をかけていた。

また制作者ら曰くこのアニメには「深夜の時間帯っていうのは、だいたい見ている層は大人たちが多くて、仕事から疲れて帰ってきてるだろうから癒してあげたいね」という意図があった^[3]とのことであり、確かに多くの人がこのアニメを視聴することで癒された。しかし「このアニメを見ることで癒される」ということは裏を返せば、「このアニメを見られない状態＝相対的に癒されていない状態」ということも意味した。

こうした人々は、けもフレロスに耐えながら一週間を過ごし、そして一週間経って最新話を見てその心を癒すことを繰り返した。

しかし最新話が来るたびに、一話一話着実に「最終話」も近づいていたのだ。

そして3月末、かばんちゃんとサーバルちゃんとラッキービーストの旅は、遂に12話「ゆうえんち」で大団円の最終回を迎え、アニメけものフレンズは無事終幕となった。
内容としては後に続きそうな線を残しながらも、清々しいエンドであり後に引きずる様なものでは無かったと言えるものであり、更に有志による海の画面に隠された「とあるメッセージ」の発見に加え、たつき監督ら制作陣からは「けものフレンズプロジェクト」続行の朗報、しかも新たなフレンズの姿と共に「新作映像制作決定」の朗報までもがもたらされるという、全国（全世界）のフレンズ達にとって大いに希望の持てる終わり方となったのであった。

……だが、それでも「これから何度火曜日が来ても、もうけものフレンズは見られない」という絶望的事実だけは曲げられず、その絶望の前に案の定フレンズ達は程度の差はあれ次々とけもフレロスを発症、「何を見ても面白くない」「けものフレンズ以外見たくない」「会社のトイレで吐いた」「勝手に涙が出る」「はやくおかわりをよこすのです」などの報告がスレなどに上がり、しまいには「わーい！火曜日はけものフレンズ13話の日だぞ！」と、ありもしない13話の幻を見ながら過去にタイバニやゆゆ式のファン間などでも見られたエア実況を始めようとする（これは当日実際に行われた）始末であった。