さよなら妖精とは、米澤穂信の青春ミステリ小説である。
東京創元社から2004年に<ミステリ・フロンティア>レーベルより単行本が出版され、2006年10月に文庫化(創元推理文庫)されている。
米澤穂信の第3作であり、初めて一般文芸レーベルから出版された作品。
角川スニーカー文庫から出たデビュー作『氷菓』に始まる〈古典部〉シリーズがレーベル廃止のため打ち切りを食らい、続編の発表が不可能になっていたところ、笠井潔の紹介で東京創元社に声をかけられる。そこで〈古典部〉シリーズの第3巻として準備されていたものを独立した作品として書き直し、若手作家のための叢書である<ミステリ・フロンティア>レーベルより2004年に出版された。
一般のミステリ専門レーベルから出たこともあってミステリー界からも注目を集め、宝島社の『このミステリーがすごい!』のランキングで20位を獲得し、米澤穂信の名は世に知られるようになった。本作のヒットにより打ち切られていた〈古典部〉シリーズも2005年より『クドリャフカの順番』が単行本で刊行され再開するなど副産物も生んでいる。
ユーゴスラビアが題材となっているのは、作者の卒業論文のテーマだったからとのこと。もともとの〈古典部〉版では架空の国だったらしい。
2007年ごろまで、米澤作品には「男の主役級は名前が3文字、女の主役級は苗字が3文字」という緩やかな法則があった(〈古典部〉シリーズ、〈小市民〉シリーズ、『犬はどこだ』、『インシテミル』では成立)が、本作では太刀洗万智には当てはまるものの、守屋路行はこの法則を外れている。作者はこれについて「彼は『主人公』の役割を掴み得なかったから」と述べている。
なおその後、太刀洗万智を主人公とした〈ベルーフ〉シリーズが開始され、現在長編と短編集が各1冊ずつ刊行されている。長編『王とサーカス』の献辞には、本作のマーヤの名が記されている。
1991年4月、藤柴市に住む高校3年生の守屋と太刀洗は、帰宅途中、雨宿りする一人の異邦の少女『マーヤ』と出会う。
数ヶ月の間、行動を共にした後に、様々な思い出を分かち合いつつ、マーヤは帰国した。
1年後の1992年7月、守屋は、ある決意を胸に行動を始める…。
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27 ななしのよっしん
2021/01/18(月) 01:25:33 ID: UHjpiKn1u4
最後の宴会で披露したナイフ捌きを、マーヤは「ちょっとしたもの」と自慢気に語ったけれど、それは日本にいるぼくらからすれば「ちょっとしたもの」(なかなかのもの)でも、戦争という現実の中では本当に「ちょっとしたもの」(些細なもの)にすぎない
首を狙撃されるなんて、守屋相手に見せた護身術やナイフどうこうではどうにもならないわけだから
ユーゴスラビアがもうすぐ消え失せてしまうことも、あの手の護身が実際には役に立ちそうにないことも、本当は分かっていて分かりたくなかった彼女の虚構性が「妖精」たらしめているんだろうなぁ
……これが最終話だった古典部シリーズってちょっと想像できない
あと名字の件は千反田得流とかそんなところなのかな
28 ななしのよっしん
2021/07/09(金) 21:51:32 ID: giWZ21Q3qp
>〈古典部〉シリーズが売り上げ不振のため打ち切りを食らい、続編の発表が不可能になっていた
嘘でしょ……
29 ななしのよっしん
2022/06/11(土) 00:46:52 ID: XrHJebKjdu
お互い手紙のやり取りがあったとはいえ、後の短編でマーヤの兄が最初に会いに行ったのが太刀洗なのはちょっと侘びしい…。話が終わった後守屋達の所にも行ったと思いたいが。
後ラスト前の守屋の無邪気な遠く行きたい感がマーヤに一刀両断された所は、ジャンル違うが『魔性の子』ラストを連想した。何となく彼方に憧れるのと、その彼方で現実を生きるのは違うんだけど、彼方に夢中になってると都合の良い展開しか見えないのかな…。
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最終更新:2024/04/25(木) 18:00
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